卒業生教員からのメッセージ

2008年度 「卒業生教育関係者の集い」

入梅直前の6月1日(日)に、「プレ50フェスタ2008」のプログラムの一つとして、教職課程委員会主催の「卒業生教育関係者の集い」が、3号館211教室で14時から実施された。本学卒業の教育関係者を対象とするこの催しは今年度で9回目となる。
卒業生13名、教職課程履修学生12名、教職員9名が参加した。

まず、第1部の「卒業生スピーチ」では、高崎昌哉氏(大阪女子高等学校)、境 千鶴氏(明光義塾)沼田吉昭氏(大阪市立中央高等学校)の3氏が近況を報告するとともに、教職を志望する後輩たちに熱いメッセージを送った。

参加者各人の簡単な自己紹介に引き続き、第2部「卒業生と教職課程履修学生との懇談」では、参加者は4つのグループに分かれて、教職課程履修学生があらかじめ準備したメモに基づき、卒業生に間近に迫る教育実習や教員採用試験などの疑問や悩みをぶつけた。茶菓子をつまみながらのアットホームな雰囲気の中、先輩から後輩へ懇切丁寧な助言があった。各グループの討議内容はその後の全体会へグループ代表から報告された。分散会形式の討議は、現在の子供たちの現状、生徒指導、自己中な親への対応、総合的な学習の時間の内容、司書教諭の待遇、採用試験の採用状況および受験対策、非常勤講師をすることのメリット等々、多岐に及び、時間が足らなかった。アンケートには、参加者全体による討議の時間確保の要望や参加した学生の数が少ないなどの指摘があった。

第3部の「メルゼミへの誘い」では、浅水一則氏(大学講師)が具体的な内容の紹介を行った。案内のチラシは「過去の面接情報を参考にしながら、新しい情報を交換し合い、お互いに切磋琢磨して自分自身に更なる磨きをかけませんか」と呼びかけている。

以下は、当日近況報告とともに教職課程履修学生にエールを送ってくれた3氏によるメッセージのまとめである。
 

高崎昌也氏(大阪女子高等学校)

私は2004年卒業で、学籍番号が00Bです。
大学卒業後は、科目履修生として情報科免許の取得のため本学に通っていました。
それと同時にスクールサポーターとして、大学の近くの南池田中学校へ勤めました。
仕事の内容は、不登校生徒の指導や先生方の補助です。
1年間、学校の教師という職業を近くで見ることができました。
そこで知り合った先生が、現在の学校を紹介してくれました。
在学時は、他にも高校への放課後学習なども参加させてもらいました。
講義だけではなく多くの体験や出会いをさせてもらい感謝しています。

 

境 千鶴氏(明光義塾)

1. 学校の先生ではなく塾の先生を選んだわけ
・たどっていけば竹中ゼミに入ったところから始まったのかも
→教員採用試験合格目指してフリーターで頑張ろうかと思っていたところ、竹中先生より「イング」という学習塾を紹介していただいた。教授力を上げるため、イングで働くことを決意。
・塾では、自分が教えたことからの成果がはっきりと出される
→「先生のおかげで英語があがったよ」と言ってもらえることの嬉しさを実感

⇒私が先生になりたいと思ったきっかけは、「英語を教え、一人でも多くの生徒に英語をわかってもらいたい」と思ったこと。「もしかしたら、私は塾のほうが向いているかもしれない」と思うようになる。

・「3年チャレンジしてダメだったら諦める」と決めていたので、いったん教育とは別の職へ転職するが合わず、次の就職活動をしているときにやはり塾に目が行く
→「やはり私は塾がいいんだ」と再認識

⇒「正社員」「塾の仕事」の両方を満たす、今の明光義塾へ転職。現在に至る。

2.塾での仕事
・授業をする(おもに講師が足りない時)
・講師のお給料の計算
・生徒の月謝管理
・講師のシフト管理
・面談(生徒面談・保護者面談・新規面談)
・座席表管理
・電話応対
・教室の掃除
などなど。他にも細かい作業がたくさんあるが、あげるときりがないので大きな仕事のみピックアップ。
仕事はしんどいが、辛いとは思わず楽しくできている。

3. 教育実習に向けてアドバイス
・教材研究は、必ず実習前にすませておくこと。
→実習中は指導案作成に時間をさかれるため、教材研究をしている時間などない
・実習中は、いろんな教科・科目の授業を見学させてもらい、黒板の使い方等盗めるものはなんでも盗む
・授業に向けて、板書計画・板書練習も必ずしておく(私は、板書は45分間で1回も消さずに授業できるようになった)

4. 教員採用試験へのアドバイス
@一次筆記試験について
・筆記試験では一般教養と教職教養があるが、教職教養に力をいれて勉強するとよい
→一般教養は範囲が広すぎるため、手をつけだすときりがない
・満点ではなく合格点をとればよいのだから、一般教養では得意な科目(私の場合英語・国語)と、少し勉強すればとれそうな科目(私は数学)を確実にとるようにする。他は「捨てる」(マークシートなので…)
・教職教養では、「教育基本法」「学校教育法」「新学習指導要領」をおさえておくといいかも

A二次筆記試験について
・大学受験レベルで勉強すること(マークではないので、記述ができるように)
・英語の「グループディスカッション」対策としては、相手の意見に対して「賛成」・「反対」と言う際のいくつかのパターンを頭にいれておくようにするといいかも

B面接について
・教育問題について調べておく。特に「数字」はおさえておく。(問題になるのは数が多いから)
・自分のいいところ、悪いところをしっかり分析する
→文章を書いて添削してもらうとよくわかるので、ぜひ「メルゼミ」を活用してもらいたい

 

沼田 吉昭氏(大阪市立中央高等学校)

 母校である桃山学院大学を卒業して今年で22年目になります。高等学校商業科の教員としても現任校で四校目の学校となりました。
今日は、自分が教員になってよかった、と感じていることを言わせていただきます。それは卒業式です。特に担任で自分のクラスを送り出す時の卒業式は、何ともいえない感動があります。ある先生は冗談で「この日のために、つらい3年間がある」といっていましたが、まったくの冗談でもないと思います。入学時から3年間、常に順調ということはありません、そうでない場合のほうが多いのです。問題行動はする。欠点ばかりとって進級が危ない。授業をサボる。家出する。学校来ない。怒ったら文句をいう。もう「何を考えているのだ!」と思うこともしばしばあり、それでも言い続けて3年間、何とか無事に卒業式を迎えることができたとき、一つの大きな仕事をやり遂げた満足感があります。
このときばかりは、生徒(卒業生)も特別、感謝の言葉がたくさんでてきます。「先生ありがとう」このひとことは、最高に嬉しいです。卒業生にとっては先生なのです。いつまでたってもそうなのです。
 卒業して数年後には、卒業生の結婚式に招待されることがあります。参列者には、当時の級友も来ていて、ちょっとした同窓会みたいな感じになります。その席上で、保護者の方にお礼を言われます。教員になってよかった、と感じる瞬間です。自分が教えた生徒が卒業し、立派に社会人として生活しているのを見て、これからも頑張れよ、と思います。そして家に帰ってから、人を育てるこの仕事に就けてよかったな。教員になって本当によかったな。と思うのです。
先生という仕事の責任は重いですが、それだけにやりがいのある仕事だとわたしは思います。

 

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