桃山学院教育大学

子どもと教育の、
今とこれから。

教育と医療のまなざし

教育と医療の両面から、
育ちゆく命を守るために。

教育と医療をつなぐ唯一の教員

皆さんが学校教育でお世話になってきた「養護教諭」。「保健室の先生」と言ったほうがわかりやすいと思います。教員でありながら医療知識を持つ存在。身体測定の実施、ケガや病気で調子を崩した子どものケア、そして心身に障がいを持つ子どもをフォローする役割を担っています。教員をめざそうと本学で学ぶ皆さんにおいては、これまで医療分野の学びを経験したことがない人がほとんどでしょう。私はまず、皆さんの身の回りにある「健康」について考えてもらうようにしています。例えば、たばこ。最近は街や商業施設でも、禁煙が進んできました。しかし、ある研究機関による調査によれば、本人はもちろん、家族の誰もが吸わないといった女性の毛髪からも、たばこに含まれるニコチンが検出されるといいます。また、乳児の死亡原因の第1位も、母親を介したたばこの影響と言われています。知っていただきたいのは、子どもたちを取り巻く「環境」へ目を向けることの大切さ。環境は、子どもの健康に密接につながっているのですが、一般的に知られていない事実がたくさんあるのです。講義では、豊富なデータや、環境をテーマにしたテレビコマーシャルなども観ていただき、子どもたちが暮らす社会について知識を広げてほしいと思っています。

命には“守り方”がある

子どもと健康に関する分野については年々研究が重ねられています。私の専門である小児科の領域においては、発達障がいの解明が進んでいます。例えば、発作的に暴れてしまう子どもは、発作中の記憶がない可能性がある、と言われています。暴れている最中に何を言っても、本人は覚えていないのですから対処法は変わります。なぜ暴れてしまうのか、そのメカニズムも解明されつつあり、それがわかると論理的に適した方法でケアできるようになるのです。障がいについては、本人はもちろんご家族にとってもデリケートな側面を持つため、社会的な視野からの配慮も必要になります。4年間の学びの中では、障がいを持った子どもへの向き合い方だけでなく、看護師に準じる医療分野の知識と技術も身につけていきます。実際の病院で学ぶ、基礎看護実習という科目もあります。情報を知る、心身をケアする実践的なスキルを修得する、現場で実践的に学ぶ。それらすべてがリンクして、養護教諭というプロフェッショナルへの道が開くと言えるでしょう。

子どもを想う気持ちを大切に

教育現場の医療を担う専門家は気持ちだけでは成り立ちませんが、4年間学び、その先に続く養護教諭を歩む支えになるのは、やはり子どもを想う気持ちであってほしいと願います。子どもは、長期入院となると「院内学級」に入ることができます。自分と同じように入院する子どもたちとともに学ぶことができる教育機関です。しかし、現在の制度において院内学級に入ることは「転校」という手続きを行うことになります。つまり、違う学校の生徒になるということです。これは子どもにとってつらい状況と言えると思います。実際には、さまざまな配慮がなされていますが、状況を踏まえた対応が必要です。

あなたが先生なら、どうしますか。命の大切さ、思いやりの心を学ぶ教育がここからはじまります。

私の歩み

小児科医として、長年子どもたちと接してきました。現在も現役の臨床医として、診察にあたることもあります。障がいを持つ子どもたちとの交流もあり、その成長を見守っています。医療分野の学びは健康に関わることから、専門的で難しいこともありますが、私の授業では、現場での体験や皆さんに身近な話題などを交え、わかりやすく伝えることを心掛けています。ぜひ一緒に学び、子どもの健やかな成長を支えていきましょう。

永井 利三郎
永井ながい 利三郎としさぶろう
教授
略歴
大阪大学医学部卒、医学博士。兵庫県立病院小児科医長、大阪大学医学部保健学科長などを経て現職。専門分野は小児科学、小児神経学、小児保健学、てんかん学、発達障害学。

ページトップへ