桃山学院教育大学

子どもと教育の、
今とこれから。

感性を養う、心の教育

学ぶ楽しさや発見するよろこびを、
音の世界で、幼い心に響かせる。

音の世界で“心”を育む

国語や算数、理科といった科目と並ぶ、音楽の授業。保育現場でも、音楽は取り入れられています。教育において、音楽の役割とは何でしょうか。それは、音を使って「感性を養う」ということ。さまざまな音を聴いて「綺麗だな」とうっとりしたり、逆に「嫌だな」と耳をふさいだり。多様な音の刺激によって、感情を引き出すことで、「感じる」という心が養われます。感じる心を持つことは、人の成長や学習の原点です。何かを発見する「よろこび」、知ることの「楽しさ」を感じることが探求心や好奇心を培い、成長への原動力になるからです。また、さまざまな教科への楽しい入口になることもあります。例えば、「かたつむり」の歌。『つのだせ やりだせ』と歌いながら、「つのって何のこと?」という疑問が生まれれば、それは理科の扉。歌詞は国語そのもの、数え歌は算数。音楽が、各教科への興味を喚起するきっかけにもなっているのです。

音楽で見えないものが見える

机に向かう授業とは違い、歌を歌ったり楽器を演奏する音楽の授業。子どもたちは感情をいっぱいに表現します。その一方で、子どもたちが過剰に盛り上がり、その収拾に頭を悩ませる教員がいます。逆に、楽しいはずの歌が元気なく歌われるのも、本当の姿とは言えません。音楽の授業には、目には見えない「感情のコントロール」の成長が表れるのです。感情を豊かに表現する心の開放と、きちんと冷静に授業を受ける姿勢づくり。オンとオフを、子どもたちが自分でコントロールできるかどうか。音楽の授業ではそれが顕著に見て取れますが、他の教科においても同様なのです。この力は、ひとつの教科だけではなく学校という集団生活全体を通じて身につけていくものです。それを指導することは、教員にとっては難しく、私自身の課題でもありました。「自分ができないことは、教えられない」という教訓を、これから教員をめざす方々には伝えたいと思います。

時代を越えても変わらない

私が教員になった頃と比べて、人と音楽を取り巻く環境は大きく変わりました。インターネットをはじめとしたメディアの発達により、音楽はますます身近になっています。しかし、変わっているのは、人と音楽の触れ合い方だけではないでしょうか。音楽がもたらしてくれる楽しさや心地よさ、心を揺さぶる感動が変わることはないでしょう。それは音楽を通じた教育も同じです。音楽によって育む「発見するよろこび」や「知る楽しさ」は学びの原点です。教員をめざす方々に、私がいつも伝えている言葉があります。それは、「音楽を教えるのではなく、音楽で育てる」ということ。教育においては、音楽を演奏できるようになったり、歌を上手に歌えるようになることがゴールではないのです。音楽を通じて、豊かな感性を養っていく。成長する楽しさや生きる喜びを、幼い心に響かせる。それができる教員をめざしてほしいと願っています。

私の歩み

私は幼少の頃からピアノを習っていました。子どもが好きということもあり、ピアノを学んだ経験を子どもの教育に活かしたいと考えて教員の道へ。実は音楽だけではなくスポーツも大好き。学生時代はテニス部に所属しながら、水泳部などにも顔を出すほどでした。おかげでさまざまな友達ができ、コミュニケーション能力も養われたと思います。人生の転機は阪神大震災。被災して音楽に触れられない日々が続く中で聴いた賛美歌が忘れられません。音に包まれる魂の喜びを感じ、自分がいかに音楽を愛しているかを改めて実感しました。皆さんも自分の好きな音楽を大切にしてください。

田原 昌子
田原たはら 昌子まさこ
教授
略歴
愛知教育大学大学院教育学研究科芸術教育専攻音楽科教育専修修了、教育学修士。日本フィンランド学校講師、滋賀大学教育学部附属小学校講師(音楽科)などを経て現職。専門分野はピアノ、音楽科教育、幼児教育における表現指導。

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