中学生で目覚めた「プロへの道」。

「スノースクート」という名を知っているだろうか。自転車とスノーボードを組み合わせたような器具に乗り、雪上を駆けるスポーツだ。その日本一を決める大会「SCOOTER’S CROSS JAPAN TOUR」。ジャンプをして空中技を競い合うフリースタイル部門で、連覇を果たした選手がいる。麻生航太だ。
彼とスノースクートとの出会いは小学生の頃。当時プロだった父親の影響によるものだ。はじめは遊びだったが、しだいに本気になっていった。「僕もプロになる」。中学生の頃にはすでに、その夢は揺るぎない決意に変わっていた。土日になると、雪がなくても練習できる施設・ウォータージャンプへ。スノースクートとともに彼は成長した。2016年、世界での戦いを意識しはじめた18歳の麻生は、技術とともに「国際力」を身につけるべく、桃山学院大学へと入学した。

「100時間でモノにする」 未到の技で、3連覇へ。

2年連続王者の理由を、彼はこう言い切る。「圧倒的な練習量。シーズンオフも含めて、1年中乗っている人はそうはいない」。その言葉通り、彼にとって横に1回転するなど朝飯前。バックフリップという後方宙返りもモノにした。しかし難度が上がれば、危険度も増す。「正直、怖いと思う時も。練習しに来て、練習せずに帰ったこともあった」。いったん視線を落としながらも、彼はふたたび前を向いた。「どんな技でも、100時間練習したら必ずできる自信がある」。
今、新たに挑戦している技があるという。それは、スノースクートを1回転させている間、自身は逆方向に回り、ふたたびハンドルを握って着地するというもの。「日本にはまだできる人はいない。2018年の大会でこの技を披露し、3連覇をめざしたい」。日本一が麻生のルーティンになりつつある今、彼が世界の舞台で輝く日は、確実に近づいている。

(※この内容(学年表記含む)は2017年10月取材時のものです。)