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お知らせ
2016.4.2
お知らせ・イベント
2016年度入学式を挙行しました
4月2日(土)、午前9時より本学チャペルにおいて新入学生歓迎記念礼拝が、10時より総合体育館において2016年度入学式が執り行われました。今年度は、学部生1606名、大学院生27名が入学されます。
式では、大勢の保護者も見守る中、壇上で各学部の新入生代表が宣誓の言葉を述べました。

新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。

新入生歓迎記念礼拝

宮嶋 眞チャプレンよりお祝いのことば

2016年度入学式

前田 徹生学長より式辞

磯 晴久学院長より祝祷

入学宣誓

2016年度入学式 学長式辞

 本日はご多用のところ、入学生の保護者ならびにご来賓の皆さま、教育後援会、大学同窓会の関係者の皆さま、入学式にご臨席を賜りまして、厚く御礼申しあげます。とりわけ、今日までの長きにわたって皆さんの勉学を支え、励ましてこられたご家族や保護者の皆さまに対し、心からのお慶びを申しあげます。
 さて、新入生の皆さん!ご入学おめでとうございます。ようこそ桃山学院大学へ!大学教職員一同、皆さんのご入学を心より歓迎いたすとともに、心からのお慶びを申しあげます。
 皆さんは、これから始まる大学生活を前にして、期待と不安の入り混じった気持ちの中におられるのではないでしょうか。どんな未来が待っているのだろうか?実りある学生生活を送れるだろうか? 友達はできるだろうか?未知の生活を前にして不安の中にいるのではないでしょうか。遠い昔に大学生だった私にとって、大学生活は「人生でもっとも自由な時代」、その意味で「光り輝く黄金の時」であった気がいたします。皆さんもいずれ卒業して大学生活を振り返ったとき、同じ思いで振り返ることになるでしょう。いや是非ともなって欲しいと念願する次第です。そのために、今日はこれからの皆さんの大学での学びを実り多きものとするために役立つと思われるお話をしたいと思います。
 皆さんは、本学のHPや大学案内、あるいは梅田や難波にある本学の看板を一度は見たことがあるかと思います。そこには必ず「世界が変わる体験がある」という標語が掲げられています。桃山学院大学は「体験教育」を教育の重要な柱に位置づけております。なぜ体験教育を重視するのでしょうか?それは体験教育が最も深い学びに繋がると確信しているからなのです。体験教育がなぜ大切なのか、ここでは2人の先輩の体験をご紹介しながらその大切さを伝えたいと思います。

 一人は、インドネシア国際ワークキャンプに参加され、それをきっかけにすっかりインドネシア好きになったNさんのお話です。
 本学の国際ボランティア活動の一つにインドネシア・バリ島での国際ワークキャンプがあります。このプログラムは今年で実施30回を迎えます。こうした活動は今日では「サービスラーニング」として世界の大学が教育的意義のある活動として注目するところとなっていますが、本学では30年も前から実施しております。本学の「サービスラーニング」は、国際ワークキャンプ以外にもインドネシア、インド、中国(内モンゴル自治区)と多様に展開し、本学の特色の一つとなっております。
 Nさんは、1年生の時に国際ワークキャンプに参加されました。現地の子どもたちや若者との触れ合い、そこに生きる人々の苦悩と笑顔に接して、もっともっと自由に交流したいという強い思いから語学をマスターする決意をし、インドネシア政府が支給する奨学金を獲得し、約半年間、現地の大学に留学されインドネシア語を学びました。昨年行われた総領事を招いてのインドネシア・ウィークでは、一切の原稿を持たずにワークキャンプでの体験をインドネシア語で流暢に語っておられました。それには私も感動させられました。ワークキャンプでの人との出会いが言葉を学びたい、という強い動機づけを与え、自分と社会との関わり方を見つけたのだと思います。本学には留学生と1対1でペアを組み、交流を深める「バディー制度」がありますが、Nさんはバディーとしてもインドネシアからの留学生をお世話するなど、学内での様々なイベントにも積極的に参加しておられました。この3月につぎのようなメールを残して卒業されました。
「桃山学院大学で勉強でき、そして教授や職員の皆さまと出会えて幸せです。・・・私は桃山学院大学のおかげで、充実した、やり直したくないと思うほどの素敵な学生生活を送ることができました。」
 
 もうお一人の方は、T君です。T君は、1年生の時にインド異文化・ボランティア体験セミナーに参加されました。インド異文化・ボランティア体験セミナーも本学が主催する国際ボランティア活動の一つで、今年で12年目を迎えます。一昨年度(2014年度)より、上智大学と交流協定を結び、上智大学との共同での開催となりました。他大学との共同実施は大変興味深い試みで、2回目となりましたが、意義深い成果を上げています。このセミナーはインドのコルカタにあり、ユニークな教育活動を展開しているロレット・デイスクール・シエルダを訪問しての交流プログラムと、ノーベル平和賞を受賞したマザーテレサが開設したマザー・ハウスでのボランティア、の二つが活動の中心となっています。中でもマザー・ハウスでの活動は、路上に打ち捨てられて死にゆく人々を収容し、人間らしい死を迎えさせるためのホスピスの活動です。そんな活動に世界各国から集まった人々がボランティアとして参加しています。T君は、顎が陥没し、眼をそむけたくなるような容貌の患者さんと出会い、その死に向きあったのです。その体験を通して自己をみつめ、一人の人間としての存在意義を考えることになります。T君は報告会の中で「この患者さんとの出会いが自分の人生を変えた」と語っています。インド社会がかかえる不条理な世界を前にして、参加した学生たちは解決することのできない様々な課題に直面します。自分の人間としての小ささにも向き合わされます。自分を知り、世界を知ることで、社会との関わり、「社会で役立つ人間でありたい」との自覚が芽生えてきます。
 T君はサッカー関係の仕事を海外でする夢に向かって、今、アメリカに留学中です。

 本学の体験教育は、国際ボランティア活動に限られるものではありません。留学による異文化体験、海外・国内インターンシップ、実習授業、フィールドワーク、実践プログラムなど様々なプログラムがあります。社会福祉実習の報告会などでも、体験を通した学びの深さを自覚した姿を見ることができます。とかく生活体験が乏しく、非現実な世界に浸りがちな現代の若者にとって、体験教育はきわめて有益な教育手法と言えましょう。しかもその「体験」が単に体験にとどまるものでなく、他者に仕える、他者に役立つ内容を含むものであることが体験に深みを与えることになります。体験教育は、必ず正解があるというものではありません。その体験の過程のなかで、何かに気づき、感じそして行動し、自他を理解して自分自身の変容を促すことを目指すもので、自己の体験を言語化し、表現するプロセスを通じて内発性を喚起し力強い深みのある学びに結びついて行くのです。

 これから桃山学院大学で学ぶ皆さんは、小さな自分の世界にとどまらず、新しい世界を体験し、経験を積み重ねてください。質の高い体験や経験は、必ずや学び、鍛えることの大切さ、自分が生きることの意味を教えてくれることでしょう。これからの4年間、緑豊かで自由の気風があふれるキャンパスで、「社会を切り開く力」を身につけるために「自分を知り世界を知る体験の旅」に挑んでください。
 皆さんの前途が実り豊かで祝福に満ちたものであることを祈念して、私の式辞といたします。改めまして、「ご入学、おめでとうございます!」

2016年4月2日
桃山学院大学学長
前田 徹生