2006年春期 自然科学(生物学1)
期末試験 問題と解答


I. 以下の各問いについて、[  ]に適当な言葉を入れよ。(各3点)

(1) DNA、コドン、塩基、アミノ酸、タンパク質。このうち、4種類しかないのは[ 塩基 ]、20種類あるのは[ アミノ酸 ]、64種類あるのは[ コドン ]である。

【コメント】最終回の復習で強調したつもりだけど・・・。

(2) どぶ川には古代の生物が住んでいる。ガスを発生させるこの生物は[ メタン細菌 ]と呼ばれ、酸素のない環境に生息し、初期の酸素無き地球に繁栄した生物のなごりと考えられる。分類すると、生物全体を大きく分けた3つのグループのうち[ 古細菌 ]に属する。

(3) 生物の集団に新しいばらつきを生み出す力は[ 突然変異 ]と[ 組み換え(有性生殖) ]、 生じたばらつきの割合が世代を経て変化する原因は[ 自然選択 ]と[ 遺伝的浮動(偶然、人口学的変動) ]である。

II. 以下の各問いに答えよ。(1a以外各10点)

(1)「全人類のミトコンドリアは20万年前のひとりの女性に由来する」とする説がある。
(a) この女性のことをなんと呼ぶか?(3点)[ ミトコンドリア・イヴ ]
(b) これはつまり20万年前ただひとりの祖先から人は由来したということか?説明せよ。

(b) => ちがう。ミトコンドリアは母系遺伝する。つまり女性でなければ次世代に伝わらない。したがって、子どもが男ばかりだとその家系のミトコンドリアは子孫に伝わらなくなる。20万年前にも人はたくさんいたが、イヴを除いてすべて途中でミトコンドリアの系譜は途絶えたということ。

【コメント】(a)の傑作回答集:ミトコンドリア女王、ホールマザー、ターヘルアナトミア、アフリカの母、ミトコンドリアネーゼ、アリス

(2) 生物は、何のために呼吸するのか?なぜ必要なのか説明せよ。

=> 有機物を分解してエネルギーを取り出すため。

【コメント】「酸素が必要だから」というのは答えとして認めない。なぜ酸素が必要なのか、それを答えて欲しい。ちなみに呼吸は酸素呼吸とは限らない。

(3) 有性生殖と無性生殖、他のことがなにもなければ、無性生殖が2倍有利だというが、どういうことか?説明せよ。

=> 有性生殖だと、減数分裂により自分の遺伝子の半分しか子孫に伝えられない。無性生殖なら全部伝わる。それで2倍。

【コメント】授業で明確にこういう説明をしなかった。2匹ずつ子供を作るとき、有性ならオスメス1匹ずつ、無性ならメス2匹、だから無性生殖が2倍有利、と言った。これは間違った説明でした。むろんこの通りに答えた人は満点つけました。

(4) 殺虫剤抵抗性の進化と同じように、病原体に対する抵抗性も進化するはずなのに、病気が無くならないのはなぜか?説明せよ。

=> 病気に弱い個体が死んで抵抗性は進化するが、感染できる個体が減れば病原体に対する自然選択がはたらき、新たな感染能力を持ったものが進化する。常に病原体が進化し、しかもそのスピードが宿主より速いため、病気は無くならない。

III. 以下の文章を読んで、問いに答えよ。

 東南アジア熱帯に分布するオオバギという植物は、茎の中の空洞にアリを住まわせ、葉から栄養に富んだ物質を分泌してアリの食料として提供する。アリはオオバギの上を歩き回り、葉を食べようとする昆虫などを排除する。この2種の関係が自然選択によって進化した道筋を想像してみよう。

 最初、オオバギの祖先はアリと関係を結んでいなかったし、アリもオオバギと関係なく生きていた。この状態をオオバギA、アリAとする。ある時、オオバギAの集団の中に突然変異の個体、オオバギBが生まれた。オオバギBは、茎の中に空洞があった。それを見つけたアリA集団中のある個体は、その空洞の中に巣を作ることにした。この巣で繁殖したアリは、オオバギの上を歩き回り、ときどき虫を見つけては獲物にした。

 このとき、オオバギAの適応度[(a)]オオバギBの適応度、という関係が成り立てば、茎の中に空洞があるという性質がオオバギ集団に広がる。

 オオバギBが集団中に広がるにつれ、アリAの中から、オオバギの茎の空洞に必ず巣を作るアリBという突然変異が現れた。このとき、アリAの適応度[(b)]アリBの適応度、という関係が成り立てば、オオバギの茎の中に巣を作るという性質がアリ集団に広がる。

 さて、オオバギBとアリBの関係ができた後、葉から分泌物を出す突然変異個体オオバギCが現れた。これをアリBが餌として食べ、結果的にアリBがオオバギCの上で歩き回る時間が長くなった。このとき、オオバギBの適応度[(c)]オオバギCの適応度、という関係が成り立てば、葉から分泌物を出すという性質がオオバギ集団に広がる。

 こうして、オオバギとアリの助け合いの関係が成立したと推測される。

(1) この2種のような助け合いの関係をなんというか?(4点) [ 相利共生 ]

(2) 文章中の[(a)]〜[(c)]にはそれぞれ >, <, =, ≠ のいずれかの記号が入る。1つずつ選べ。(各2点)

=> いずれも < が入る。

(3) 実際のアリは、オオバギ上の昆虫を餌として食べているのではなく、単純に植物上から排除している。そのような行動はアリにどんなメリットがあるのだろうか。(10点)

=> 植物の健全な成長を助けることで、分泌物の餌を十分に確保し、茎の中の巣も守れる。

(4) オオバギがアリの餌として分泌している物質には、かなりのエネルギーコストがかかる。次の3つのエネルギーがどのような関係にあるとき、オオバギはアリの餌を分泌し続けるだろうか。大小関係を示せ(例. a+b  P: アリがいないときにオオバギが得られるエネルギー
 Q: アリがいるときにオオバギが得られるエネルギー
 R: アリの餌を分泌するのにオオバギが使うエネルギー

=> P + R < Q (むろん、Q-P>R, P<Q-Rも可)

(5) オオバギを食べる昆虫が激減したとき、アリとの関係はどうなると推測されるか?理由を添えて説明せよ。(10点)

=> 上の式で、QとPの差が小さくなり、差がRを下回ると餌の分泌メリットがなくなり、共生関係が解消される可能性が出てくる。


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2006. 8. 22.