I. 下の説明文は、囲み内の省略語のいずれかを解説したものである。あてはまるものをそれぞれひとつ選んで回答欄に記入し(各5点)、さらに下の問に答えよ。
BSE, CDM, CFC, DDT, DHMO, IPCC, LCA, NOx, PCB, RoHS, SOx, TCDD, TDI, WHO
(1) EUの有害物質規制。電気製品には、鉛、水銀、カドミウム、六価クロムと臭素系難燃剤2種を使用することを禁ずる。
=> RoHS (Restriction of Hazardous Substances、直訳して「有害物質規制」)
(2) 先進国が途上国で温室効果ガス削減事業を行い、その削減分を自国の削減量としてカウントする仕組み。
=> CDM (Clean Development Mechanism「クリーン開発メカニズム」)
(3) 地球温暖化についての科学的知見を集め評価し、国際社会に報告する専門家集団。
=> IPCC (Inter-governmental Panell on Climate Change「気候変動に関する政府間パネル」)
(4) 20世紀初期に開発された塩素系有機化合物のひとつで、変圧器やコンデンサー、熱媒体などに使われた工業用油。現在では生産・使用を禁止されている。
=> PCB (Poly Chlorinated Biphenyl「ポリ塩化ビフェニル」)
(5) オゾン層破壊物質の代表格で、かつて産業用洗浄剤や冷媒として使われた。
=> CFC (Chloro Fluoro Carbon「クロロフルオロカーボン」)
a) 上記の(1)のように、有害性のあるものの使用を禁じることで危険を避けようとする考え方を、なに原則というか(5点)。そのような考え方のメリットとデメリットを論じよ(10点)。
=> 予防原則(ゼロリスクでもOK)。有害性が疑われる物質をすべて排除していくことで安全性が確保されるが、厳密に考えれば有害性のない物質など存在しないのでムリが生じる。また、上手に使用すれば最低限のリスクで大きな利益を得られる物質でも使えなくなると、社会的損失となる場合もある。
b) 上記の(2)は京都メカニズムと呼ばれる仕組みのひとつである。同じく京都メカニズムのひとつである排出量取引とはどのような仕組みか説明せよ(10点)。
国や企業に対し温室効果ガスの排出枠を割り当て、削減の結果排出枠に余りがでたらそれを市場で売ることができる仕組み。
「排出量を売買する」という書き方が多かったが、その表現はちょっと変だろう。「枠」という意味合いの言葉はぜひほしい。
c) 上記の(4)の物質が混入して1968年に九州北部で起きた事件の名前は?(5点)
=> カネミ油症事件
d) 上記の(5)とならんでオゾン層破壊物質とされている臭化メチルはどういう用途に使われていたか、代表的な用途とそのはたらきをひとつ説明せよ(5点)。
土壌殺菌剤。土壌中の植物病原菌を死滅させ農作物の病害を防ぐ。他に、博物館収蔵庫の防虫処理、検疫における殺虫処理など。
用途に「臭いつけ」「消臭効果」などが挙がっていて笑った。「臭素」という物質の存在を知らないのだろうな。
II. 京都議定書によって日本はどのような義務を負うか。正確に記述せよ。(完答10点)
2008年から2012年の5年間、温室効果ガスの排出量を1990年を基準に6%削減する。多くの人がヤマをかけていたと思われる。これくらい答えられないと情けないからね。しかし、一部を抜かしたり、微妙に数字が違ったり、この10点を取れなかった人も多かった。
III. 使用済み天ぷら油を原料にして走るディーゼル車と、トウモロコシから作られるエタノールで走る車。総合的に考えてどちらが環境負荷が低いと考えられるか。理由を添えて答えよ。(10点)
どちらも植物由来の燃料なのでカーボンニュートラルだが、燃料目的で最初から作られるエタノールが耕地拡大に伴う環境破壊や食料生産との競合を起こしかねないのに対し、ディーゼル油は廃棄するしかなかった使用済み天ぷら油から作るので廃棄物削減にもなり、環境負荷がより低いと考えられる。
どちらに軍配を上げていても、その説明が的を射ていれば適宜部分点を与えた。バイオエタノールがカーボンニュートラルであるということは多くの回答者が書いておりこれに5点を与えたが、天ぷら油だって植物性であり同じくカーボンニュートラルである、ということに気づいていない者が多いのは情けなかった。ディーゼルの方が排気ガスが汚く環境負荷が高い、という答えも多かったが、これは必ずしも正しくなくまた意図した点ではない。しかし完全に間違いとも言えないので部分点。ディーゼル車の方が燃費が悪いというのは事実と違うのでダメ。エタノール車からは水しか出ない、というのは燃料電池と間違えている。排気が植物性だから環境に優しい、というのには笑った。
IV. すべての廃棄物を再資源化することができれば、原理的には完全な循環型社会になる。そのような社会は原理的に可能なのか。論評せよ。なお再資源化の技術的な限界についてはこの際考えないこととする。
技術的に再資源化が可能であっても、その工程には必ずエネルギー消費が必要である。したがって、すべての廃棄物を循環させるには膨大なエネルギーが必要となる。現状では環境負荷を生じないエネルギーは充分になく、ムリに再資源化すればエネルギー由来の環境負荷が増えることになり、持続不可能である。
適宜部分点を与えた。みんなが協力しないからムリだと思う、みんなでがんばればいつかできるはず、というような答えも多かったが、そういうことを尋ねているわけではない。
V. リサイクルに関する次の文章の[ ]内に当てはまる言葉を右の回答欄に記入せよ。(各5点)
使用済みペットボトルをフレークにして、それを原料に卵のパックやカーペット等に再生するリサイクルを[(1)]リサイクルという。この場合、ペットボトルからペットボトルというふうに同質のものに再生するのは難しく、リサイクルするたびに質が落ちていく。こうしたリサイクルを[(2)]リサイクルと表現する。最終的にこれ以上製品に再生するのは困難である場合、[(3)]リサイクルされるのが最後の有効活用である。
(1) マテリアル (2) カスケード (3) サーマル