2009年秋期 自然科学(生物学1)
期末試験 問題と解答


1. 地球生命を構成する元素を5つあげよ(元素名あるいは元素記号)。(各2点、計10点)

  => C, O, H, P, N

【補足】5大元素のつもりだったのだが、「主要な」とは書いてなかったのでそれだけというわけにはいかなくなった。Na, Mg, S, Cl, K, Ca, Fe, B, F, Al, Si, V, Cr, Mn, Co, Ni, Cu, Zn, As, Se, Mo, I もありということに。

2. 以下の出来事を古い順に並べ替えよ。(完答5点)
a)エディアカラ生物群  b)ヒトの出現  c)酸素呼吸の開始  d)恐竜の絶滅  e)海生生物の爆発的多様化

  => c → a → e → d → b

3. 以下の文章の[  ]に適切な語を入れよ。(各5点、計15点)

ゲノム、DNA、コドン、塩基、アミノ酸、タンパク質。このうち、4種類しかないのは[塩基]、20種類あるのは[アミノ酸]、64種類あるのは[コドン]である。

4. 以下の文章の[  ]に適切な語を入れよ。(各5点、計25点)

もとは独立した生物だったが、他の細胞に取り込まれてそのままそこで生きるようになり、やがて細胞の器官として機能するようになったと考えられる細胞内小器官が2つある。ひとつは[ミトコンドリア]、もうひとつは植物や植物プランクトンに存在する[葉緑体]である。後者のもとになったと考えられる生物の名前は[シアノバクテリア]で、今も独立の生物として存在する。

(1) このような考え方を何説というか?   [細胞内共生説

(2) この説を支持する根拠をひとつ挙げよ。

独自のDNAを持つ、細胞内で増殖する、2重膜を持つ、抗生物質に対する感受性が真正細菌と似ている、などのうちひとつ。

5. 遺伝子とDNAは同義ではない。どう違うのか、説明せよ。(10点)

[回答例]DNAは、デオキシリボ核酸という物質に過ぎない。長いDNA分子のごく一部に、意味を持ち翻訳されてタンパク質を作り出す情報をもった部分がある。これが遺伝子である。

【コメント】要するにDNAのほんの一部に遺伝子がある、ということを書いてほしかった。「DNAが遺伝子のはたらきをする」は5点。「DNAは物質、遺伝子は遺伝情報」は間違ってないけどどう違うのか説明できてないのでダメ。

6. ヒトの出生性比は男児に偏っている(女100に対し男105〜106)。性比の理論にもとづきこれを簡単に説明せよ。(10点)

[回答例]性比の理論によれば、少数派の性が常に進化的に有利になるので、生殖年齢に達したときの男女比はほぼ1対1になる。しかし人間の男児は女児より死亡率が高いため、それを補うため出生時の性比は男児に偏るのである。

【コメント】性比が1対1に収束する説明だけだと5点。男児の方が死亡率が高いということだけだと5点。

7. (1) 自然選択による進化の条件を3つ挙げよ。(10点)
(2) 現代日本人の脚の長さは50年前に比べて長くなっているように思えるが、自然選択によって長くなる方へ進化してきたと考えられるかどうか、3条件に当てはめて検討せよ。(10点)

[回答例](1) 形質のばらつき、形質の遺伝、形質と適応度の相関
(2) 人間の脚の長さにはばらつきがあり、おそらくある程度遺伝もするだろう。しかし、足の長い者が生存や生殖上有利で、他より多くの子孫を残してきたとは到底考えにくい。したがって、脚が長くなっていたとしてもそれは自然選択の結果ではないと考えられる。

8. (1) 自己犠牲的な行動の進化を説明するために拡張された適応度の概念を、なんというか。(5点)

      [包括]適応度

 (2) 上の概念の通常の適応度との違いを簡単に説明せよ。(10点)

[回答例]適応度は通常、次世代に残す自分の子孫の数と考えられるが、包括適応度は自分の血縁者が残す子孫も勘定に入れる。なぜなら、血縁者は自分の遺伝子を血縁度に応じて一定の確率で持っているので、その子孫も自分の遺伝子を持つからである。

【コメント】ややこしいところなので、この程度の説明でも十分。

9. 異なる水系に棲むメダカを気軽に移動させ放流することは、生物多様性の保全の観点から、してはいけないこととされている。その理由を説明せよ。(10点)

[回答例]生物はその生息場所ごとにある程度独立した進化をたどる。とくに移動力の低い生物ではそれが顕著である。同じメダカと言っても、水系ごとにある程度異なる歴史をたどって進化してきて、場所によって遺伝的に異なる場合がある。それを考慮せずに移動させることは、その生物の歴史性を破壊することになる。

【コメント】外来種がなぜ悪いか、という一般論を書いた人が多かった。それだけだと5点。

10. 絶滅に瀕した動物を救うため、わずかに残された個体から人為的にクローンを多数作成して数を増やそうと思う。この企てはうまくいくだろうか。うまくいかない理由を挙げよ。ただしクローン化自体は技術的に可能なものとする。(もっともな理由一つにつき10点)

[回答例]遺伝的に多様にはならないので近交弱勢が起きる。あるいは環境変化に弱い。
数が減少した理由が環境の悪化であれば、それを解決しないと同じ結果になる。
同様に、餌やすみかが不足しているなら、数を増やすとかえって競争が激化する。
クローンだと同じ性なので、生き残りが一方の性しかいなければ、増やしてもムダ。
など。

【コメント】ボーナス扱いで、最高40点まで与えた。ほとんどの場合は10点か20点だが。



おまけ:珍答・怪答 傑作選

今期は不作でした…。

  • 進化的に安定した政略、生命を構成する元素はA,T,G,C
  • 体、生系、質、多

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    2010. 4. 1.