2010年春期 自然科学(生物学1)
期末試験 問題と解答


I. 以下に並ぶ8つの文章を読み、講義内容にもとづいて各文の間違いを指摘し正しく書き直せ。正しいと思う場合は正しいと記せ。書き直し方は一通りではないかもしれないが、書かれた内容に間違いがなければ正解とする。諸説存在する場合も、授業で取り上げた説明を基本とする。(10点×8問)

1. 原始地球にオゾン層はなかった。オゾン層が形成されたことで陸上に植物が進出できるようになり、その結果大気中の酸素の量が増えた。

  => シアノバクテリアが誕生して酸素が排出され、その酸素が上空でオゾン層になって、その後に生物の陸上進出が始まった。

2. 現存する生物を3つのグループに分けるとすれば、真核生物、真正細菌と原核生物となる。

  => 原核生物ではなく古細菌

3. DNAは糖とリン酸と3種の塩基から構成され、塩基4文字で1つのタンパク質に対応する暗号となっている。

  => 4種の塩基から構成され、塩基3文字で1つのアミノ酸に対応

4. 体が大きいほど適応度が高く、体の大きさにばらつきがあれば、自然選択により体は次第に大型化していくと予測できる。

  => 加えて、体の大きさが遺伝するのであれば、大型化する。

5. 進化には偶然の力も作用する。とくに大きな集団では個体の形質のばらつきが大きいので偶然の力がはたらく機会も多い。

  => 大きな集団ではなく、小さな集団

6. 日本産トキが最後の1羽になったとき、その個体の細胞からクローンを100個体くらい量産しておけば、あとは自然繁殖で復活させられただろう。

  => 最後の1羽をクローンしても全部同じ性の個体になるので繁殖できない。絶滅の原因を除去しなければいけない。近交弱勢が起きる。

7. アリの巣には、もっぱら巣を防衛するオスの働きアリと、女王の子を育てるメスの働きアリがいて、全員が自らを犠牲にして種の繁栄のために尽くしている。

  => 働きアリはすべてメス。自らを犠牲にして種の繁栄に尽くすのではなく、血縁者を通して自分の遺伝子のコピーが多く残る仕組みになっている。

【補足】「種の繁栄」ではなくあくまで「個(の遺伝子)の繁栄」である

8. ヒトの場合、両親を同じくする兄弟姉妹間の血縁度は二分の一だが、アリやハチの場合は兄弟間が四分の一、姉妹間が二分の一となる。

  => 兄弟間は二分の一、姉妹間は四分の三

【補足】「兄弟間二分の一」は授業で扱わなかったのでボーナス点扱い(10点)

<ボーナス問題 空欄を埋めよ 各10点>アリの姉弟間は、弟から見れば姉に対する血縁度は(二分の一)だが、姉から見ると弟に対する血縁度は(四分の一)となる。

II. アゲハチョウの卵の内部にアゲハタマゴバチが卵を産んでいる。このハチは、生まれたオスがチョウの卵の内部にいるうちに、同居するメスと交尾をする性質を持っている。最初に卵を見つけたメスは、メス7オス1の割合で8個の卵を産んだ。なぜオスとメスを同数産まないのか、解説せよ。(10点)

  => 親の立場で見れば、複数のオスを生んでも兄弟げんかが起きるだけでメリットはない。それよりメスを生んだ方がより多くの孫を得ることができるため。

III. クジャクのオスはメスに比べてはるかに華麗な尾羽を持っている。このように、雌雄の間に大きな形質のちがいがある状態を( A )といい、その状態を進化させる力を( B )という。

1. 上の文章の空欄を埋めよ(各5点)。 A(性的二型)  B(性選択

2. なぜ多くの生物(とくに鳥類)で、オスの方が配偶相手の獲得のために苦労し、メスが選ぶ立場になるのだろうか(10点)。

  => メスが持つ卵(卵子)は、オスの精子に比べて数の少ない限定資源であるため。

【誤答】オスよりメスが少ないから。【珍回答】メスにとってオスの精神が足りなくなることはない。

3. <ボーナス問題>クジャクの生息地に、地上性の肉食動物が侵入し、クジャクを捕食し始めた。クジャクも捕食者も絶滅には至らないと仮定して、長い年月の後クジャクはどのように進化すると推察できるか。説明せよ。(10点)

  => [回答例]オスの長い尾羽は逃げるのに邪魔になるので、長い者が食われ次第に短く進化する。羽の色も地味になる。空を飛べるようになる。木に登るようになる。等々 (もっともな説明1つにつき10点)

【珍回答】捕食者との間に雑種が生まれて新しい種が誕生する。クジャクは水の中でしか生きられないが、カエルになると両生類になる(?)。


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2010. 9. 23.