2011年春期 自然科学(生物学1)
期末試験 問題と解答


1. 次の出来事を起きた順番に記号を並び替えよ。(完答5点)
a 人類誕生 b エディアカラ生物群の繁栄 c 多細胞化 d 大気中の酸素濃度の上昇 
e 恐竜絶滅 f カンブリア大爆発

  => d → c → b → f → e → a

2. 次の(  )に当てはまる単語を記入せよ。(各3点)
・(古細菌)は原始生命に近いと考えられる生物群で、メタン菌をはじめとして無酸素環境に生息するものが多い、3つの生物界のうちのひとつである。
・DNAは糖とリン酸と4種の(塩基)(=文字)から構成され、3文字で1つの(アミノ酸)に対応する暗号となっている。1文字変化しても対応するものが変わらない場合、その組み合わせは(同義コドン)という。
・ある戦略(A)をとる個体で占められた集団に、他の戦略を採用する個体が侵入できないとき、Aの戦略を(進化的に安定)な戦略と言う。

3. 初期の生命の進化の中で細胞内共生は極めて重要な役割を果たした。その共生がもたらしたふたつのものを解説せよ。(20点)

 => 葉緑体は、光合成をするシアノバクテリアが細胞内に共生したもので、太陽光をエネルギー源として有機物を作り出すことのできる生物を拡大させた。ミトコンドリアは、酸素呼吸をする細菌が細胞内に共生したもので、酸素呼吸によって作り出された大きなエネルギーをATPの形で細胞に提供した。

4. この50年で日本人成人男性の平均身長はずいぶん高くなった。これは進化と見なすべきだろうか。なにをどう調べればその答えが出るだろうか。(15点)

 => もしこの現象が自然選択による進化だとすれば、この50年間において、(1)日本人成人男性の身長にばらつきがあった、(2)身長は遺伝した、(3)身長と適応度は相関した、という3条件がそろっていたことになる。1と2については確実になり立つ。3はつまり身長が高いほど多くの子を残したということであるが、これはありそうにない。この点について調査を行い、そのような事実がなければ、自然選択による進化ではないと言える。

【コメント】栄養状態が改善したため、ということを授業で言ったが、ここで求めているのはそうした答ではなく、どうやったら進化かどうかを判断できるか、という点である。「DNAを調べればわかる」というのは答として認めない。

【珍回答】「最初は四足歩行だったが、年が経つにつれ姿勢がどんどんよくなってきたから。」…そうか、二足歩行が始まったのはここ50年以内のことだったのか…。

5. ある昆虫を飼育してみると、生まれてくる子どもの性比がメスに大きく偏っていた。このことからこの昆虫に関してどのようなことが推測されるか。理由を添えてふたつ可能性を示せ(各10点)。

 => (1)閉じた空間内で近親交配する生活史を持つ、(2)Wolbachiaなどの性比を操作する微生物に寄生されている、(3)生まれたメスの子が生殖令に達するまでに死亡する率がオスより高い、(4)他のメンバーがオスを多く生む集団にいた、(5)もともと無性生殖している、(6)じつは社会性のハチやアリだった、(7)温度などの環境で性が決まる生物で、適温ではなかった、(8)単なる偶然(5点)

【コメント】こちらの心づもりとしては1と2の答だけだったのだが、驚くほどいろいろな回答があり、思わずうなった。設問の書き方もちょっとまずかったか。

6. ある生物に血縁者間の利他行動が進化するのに必要な最低限の条件はなにか(5点)。またハチやアリに真社会性が多く見られるのはなぜか(10点)。

 => 条件としては、血縁者を認識できること。ハチやアリでは半倍数性のため親子の血縁度が1/2なのに対し姉妹間が3/4だから。

【コメント】だれが血縁者かわからなかったら利他行動しようがないですから。ちょっと問い方が雑だったか。「利他行動で、コストを上回る包括適応度利益が得られること」と書いた人も正解。

7. 新たに世界自然遺産に登録された小笠原諸島について。この地に独特の生物が多い理由はなにか(5点)。その生物たちを守るために今後徹底的に取り組まねばならないことは何か(5点)。

 => 他の陸地と地続きになったことがなく、海で隔離された環境でたまたまたどり着いた生物が独自の進化を遂げてきたため。保全のためには、とくに外来種の侵入を未然に防ぎつつ、すでに侵入している外来種を駆除する必要がある。

【コメント】「小さな島で遺伝的浮動がおきやすかったから」というのも正解にした。


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2011. 8. 15.