定期健康診断結果の見方



 健康診断の目的は、まだ自覚症状のない病気の早期発見、早期治療を行う事ともう一つに、病気になるのを防ぎ、健康を増進させる事にあります。

血清コレステロールや血糖値が高くても自覚症状はありませんが、将来「狭心症」、「心筋梗塞」、「糖尿病」になりやすい体質になっていきます。

「高脂血症」「高血圧」等の「危険因子」を早期に発見し、正常化する為に生活習慣を見直すきっかけとなれば、将来病気になるのを防ぐことが出来ます。

★眼底検査          

★肥満度           

★血圧            

★肝機能           

★コレステロールと中性脂肪

★糖尿病           

★尿酸値           

★貧血            

★心電図           

★保健室の健康診断に関するパンフレット紹介


眼底検査

血管を直接みて動脈硬化を診断し、視神経などの眼底の状態がわかります。
Hは、高血圧性変化を、Sは、硬化性変化を意味し、それぞれ1〜4の4段階に分類されています。
Oは、眼底の血管に変性が認めないと言うことで正常です。
比較的多い所見に、乳頭陥凹があります。
乳頭陥凹:視神経の一部がへこんでいる状態。正常な視神経でも多少はへこんでいます。個人差によってもへこみの大きさは変わりますが、緑内障のサインの場合もあります。
眼科にて精密検査を受けて下さい。

肥満度

 肥満度は、身長と体重から算出する「BMI」という体格指数で計算しています。

計算方法:BMI=体重(s)÷身長(m)÷身長(m)

判定方法:やせ<18.5≦普通<25≦太りすぎ。
       18.5〜24.5の数値の間が標準値となります。

 肥満となる要因は、食事、運動、体質の三つが考えられます。一般に太っている人は、栄養価の高い物を多くとり、運動不足であることが多いです。
肥満は、「糖尿病」や「狭心症」「心筋梗塞」など多くの病気の要因となります。食事メニュー、量を自分でコントロール出来るよう注意し、1日一万歩以上歩くような努力が必要です。

血圧

 1日の内にも変動しやすいので、安定した精神状態で測定することが大切です。
高血圧は、脳動脈の動脈硬化を進め、脳梗塞や脳出血の起こる頻度を高くします。血圧が高めの人は、食塩摂取を控え、適度な運動をしましょう。

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肝機能

 肝臓は、細胞の再生能力に優れ、多少の障害では自覚症状が現れません。だから、沈黙の臓器とも呼ばれています。 異常を指摘されてもなにもせず、放っておくと知らず知らずの内に病状が進行していきます。
治療の基本は、食事と安静です。アルコール性の肝障害では、アルコールを控えて週に2日は、休肝日を!
脂肪肝では、体重を標準体重へ減量を!


脂質代謝・コレステロール

 コレステロール脂質の一種で食物から吸収されるほか、肝臓で合成されて全身の細胞に運ばれます。コレステロールは、細胞膜やホルモンの材料となり体には必要な物質です。コレステロール粒子の代表といわれているものに、LDLコレステロールとHDLコレステロールがあります。LDLコレステロールが増えすぎると血管壁に入り込んでコレステロールが溜まり動脈硬化が進みます。そのため悪玉といわれています。
 HDLコレステロールは、余分なコレステロールを肝臓へ戻す役割があり、血管壁に溜まったコレステロールも回収するため善玉と呼ばれています。LDLが増加しHDLが減少した状態が続くと動脈硬化が進行し心筋梗塞などの疾患となる原因の一つです。
 血液中の脂質にはコレステロールのほかに中性脂肪があります。中性脂肪は、エネルギー源として大切ですが、増えすぎるとLDLをより小さくして血管壁に入りやすくし、HDLを減少させるので、中性脂肪が増えすぎると動脈硬化を助長させます。
 脂質異常は、食事から大きな影響を受けるので、毎日の食生活を見直して適正摂取カロリーを守れば改善されます。脂身の多い肉や中性脂肪を増やすアルコールや菓子等の糖質を摂り過ぎず、食物繊維の多い野菜、きのこ、海草、LDLや中性脂肪を減らすEPAを含む背の青い魚を食べるよう心がけましょう。

糖尿病

 血液を下降させる唯一のホルモンは、膵臓から分泌されているインスリンです。
このインスリンの働きが悪くなったり、不足した状態が続くと血糖が上昇したままになります。
血糖が高い状態が続くと末梢の血管が障害を受け、眼、腎臓、神経がやられます。早期発見、早期治療が大切です。
原因として遺伝的な要素が大きいですが、慢性的な食物の過剰摂取、肥満なども原因となります。

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尿酸値

 痛風の検査です。肉類の取りすぎで上昇します。
血液中に尿酸が増え、これが関節などで結晶化し、炎症を起こします。(足の親指の付け根が赤くはれて痛む)
尿酸値が、9mg/dlを越すと痛風発作が起きやすく、一度発作が起きた人は、尿酸値を5mg/dl以下に下げておかないと再発作が起きやすいので注意してください。


貧血

 血液中のヘモグロビンは、肺から酸素を取り入れて体の隅々まで運ぶ役目をしています。
タンパク質や鉄分が不足すると、ヘモグロビンが減少してしまいます。その結果、体の隅々 まで酸素が運ばれないので、立ちくらみ、めまい、階段の上り下りで息切れがする等の症状 がでてきます。私たちの体では、毎日1mgの鉄が使われていきます。
使う分だけ毎日食品から取らなければなりません。偏食せず、鉄を多く含む食品を(レバー・鰻・ほうれん草・納豆など)食べましょう。


心電図

 心臓病には、心不全、不整脈、狭心症などの虚血性心疾患に分ける事が出来ます。心不全は、坂道を登ると動悸を感じ歩けなくなる。不整脈では、安静にしているときに脈が速くなる、遅くなる。このように心不全や不整脈では、自覚症状があり、医師の診察を受けていることが多い。健康診断では、主に狭心症などの虚血性心疾患の危険性がないかを調べます。
虚血性心疾患は、心臓に栄養を送る血管が狭くなって心臓の筋肉が酸欠になります。その結果、胸部に痛みを感じ狭心症発作を起こします。
進行すると血管が詰まった状態になり心筋梗塞発作につながります。心筋障害が疑われる場合は、精密検査を受けて下さい。
不整脈の中でも上室性期外収縮・心室性期外収縮が単発ででることは、健康な人でも約70%の人に見られるもので、そのほとんどが心配のないものです。
自覚症状として、動悸・息切れ・不安感・恐怖感が強い、「頻拍発作」を起こす危険性があるものは、治療の対象となります。
何らかの自覚症状があれば、保健室へお越しください。すぐに心電図検査ができます。

保健室の健康診断に関するパンフレット紹介

「ここが知りたいメタボリックシンドロームQ&A」

「健診結果で改善しよう!あなたの生活習慣」
健診結果によってどのような点に注意して生活習慣を改善していけばよいかをアドバイス
「食事バランスアップガイド」よくある7つの疑問に管理栄養士が答えます
食事を「主食」「主菜」「副菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理区分に分け、一日に「何を」「どれだけ」食べたらいいのかという目安
「女性のための健康BOOK」
女性のからだに関する知識・更年期・腰痛・頭痛・肩こり・冷え性・低血圧・貧血・便秘・病気予防

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