教員は一番向いていない職業だと思っていました
大学入学当初は日本語教員になろうとは全く考えていませんでした。むしろ、教えることが苦手な私にとって、教員は一番向いていない仕事だと思っていたくらいです。
将来は海外の方々や文化に触れる仕事に就きたいと考えていました。進路についてもさまざまな人に相談し、「貿易関係や航空業界、ホテル業界などが向いているのではないか」とアドバイスを受けましたが、どれもしっくりきませんでした。
そんな中、入学当初から参加していたBuddyプログラムで留学生と頻繁に交流をするうちに、日本語の難しさや面白さに気づき、日本語を教えることに興味を持つようになりました。
日本語教員の道は考えていなかったという上田さん
1年生から続けてきたBuddyプログラム
1年生から4年生までずっとBuddyを続けてきました。その間、オンラインと対面を含めインドネシア、ベトナム、タイ、フランス、オランダ、オーストリアなどの留学生と交流しました。
Buddyプログラムに参加したことで、国内にいながら世界各国からの留学生と交流し、交友関係を広げることができました。また、異なるバックグラウンドを持つ同世代の学生との交流は非常に刺激的で、自分の視野を広げる貴重な経験となりました。
私は2年生から日本語教員養成課程の科目を履修しはじめたのですが、Buddyの日本語学習を手伝うなど、日本語教員を目指すうえでも非常に貴重な体験になったと思います。

Buddyの留学生と交流する上田さん
教育実習前の日本語授業見学
日本語教育実習前の学内研修において実際、留学生に日本語を教授している先生の授業を見学させていただいたり、私が準備した教育実習で行う授業内容についてもご指導いただきました。
また、先生からは授業内容だけではなく、その授業を通して学生にどのようになって欲しいか、授業を通じてどのようなことを学んで欲しいかを考えるよう助言をいただきました。
実際に教えるという経験がなく、自分が用意した授業内容で本当に良いのだろうかと不安でしたが、先生に助言をいただいたことで、授業のイメージが明確になり安心することができました。
日本語教育実習の参加者は私一人だけだったのですが、それでも私のためだけに時間を割いて親身に指導してくださった先生には本当に感謝しています。
輔仁大学(台湾)での日本語教育実習
まずは現地の受け入れ先大学で行われている日本語の授業にお邪魔し、先生方がどのように教えているのかを見学しました。教育実習は約3週間あり、2週目と3週目でそれぞれ、登壇実習として日本語の授業と日本文化に関する授業を行いました。
実は、日本文化紹介の授業は1トピックを2回に分けて行うことになっていたのですが、間違ってトピックを2つ用意してしまいました。現地の先生に相談すると、「じゃあ、夜間のクラスでも教えてみますか?」と提案していただき、嬉しい誤算で夜間のクラスでも実習させてもらえることになりました。
昼間のクラスは私と同年代の学生が多く和気あいあいとした雰囲気だったのですが、夜間は年齢層が高く社会人の方もいらっしゃり、その積極性や学習意欲の高さに驚かされました。思いがけない展開から夜間授業で実習させていただいたのですが、社会人になっても学ぶ姿勢を忘れないことの大切さを実感し、非常に貴重な経験になりました。
教壇に上がり教育実習を行う上田さん
休日は現地の友達と台湾の街を散策
現地大学のBuddyがいたのですが、台湾に到着した際には空港まで迎えに来て、大学のキャンパス内も案内してくれました。また、実習期間中に滞在していた学生寮のスタッフが台湾語しか話せず、私も日本語か英語しか話せなかったので、Buddyが間に入り通訳をしてくれました。
Buddyとは休日も一緒に出かけるほど仲良くなり、淡水という川沿いの街を訪れたり、食べ歩きを楽しんだり(ミニトマト飴がおすすめです)と、Buddyといっしょにリラックスした雰囲気で現地の文化を楽しむことができました。また台湾名物の夜市にも一緒に訪れました。

観光で訪れた台湾の名所、九份の街並み

Buddyと一緒に食べた現地での夕食
日本語学校でのインターンシップ
帰国後も日本語教員養成課程の授業を受講し、前学期に必要な科目をすべて修得し終えました。現在は日本語に関する知識を深めるため、「日本語の音声」という授業を受講しています。
また、今年の10月からは日本語学校で教員としてインターンシップに参加し、実際に教壇に立って留学生に日本語を教えています。インターンシップを通じて、改めて教壇に立って教えることの難しさを実感しています。教育実習とは全く違い、実践はやはり難しいです。
クラスの中には私が説明した日本語をきっちりと理解している学生とそうでない学生がいて、日本語レベルがバラバラなので、どのようにすれば全員に分かってもらえるか、試行錯誤をしながら取り組んでいます。
インターンシップでの授業準備を行う上田さん
日本語教育実習に参加して学んだこと
台湾での日本語教育実習に参加し、日本語を教授するという貴重な経験を積むことができたのはもちろんですが、何よりも人として成長したなと思います。新しい環境に挑戦することが、自分を成長させるために大切なことだと改めて実感しました。
また、実習先で担当してくださった先生と将来はどんな日本語教員になりたいのかや、どこで(国内なのか海外なのか)働きたいのか、どんな学生に日本語を教えたいかなどについて話しをしました。
それまでは単に日本語教員になりたい、海外で日本語を教えたいとしか考えていませんでしたが、先生との会話の中で具体的にどのような日本語教員を目指していくのかについて考えるようになりました。
私は学部生として日本語教員養成課程を受講し、日本語教授法についてさまざまなことを学びましたが、まだ学び足りないことや不足している知識があると感じています。そのため、現在は社会人経験を積んだ後、大学院進学を考えています。

実習先の学生さんと上田さん
これから海外研修・留学を目指す学生の皆さんへ
悩むよりもやってみることが大切だと思います。大学生のうちに留学や海外経験をすることは、非常に大きなメリットがあると思います。大学のプログラムで海外に行くので、サポート体制がしっかりしています。
何かあったときは現地スタッフの方々、国際センターのスタッフの方々が対応してくれるので安心感もあります。みなさんもこの恵まれた環境を最大限に生かし、ぜひ海外に挑戦してみてください。
国際教養学部 英語・国際文化学科 4回生 上田 文子さん