- 名前
- 膳師 弘育
- 学部
- 社会学部 社会学科 2001 年卒業
- 会社
- 株式会社ファーストリテイリング 法務・コンプライアンス部 コンプライアンスチーム
就職活動での不本意な結果がターニングポイントに。
大学3年次の時、「就職活動は、企業の人と直接話せて視野が広がるから、とても良い経験になる」とアドバイスを受けたことがきっかけで、本格的に就職活動を行いました。ラクロスの部活動やアルバイトで後輩に教えることが好きだった私は、教育関係を中心に受験。いくつかの企業で最終選考まで残ったのですが、内定にはいたりませんでした。いま振り返ると、これがターニングポイントでした。いったんの休息を挟んで再び活動したときに、ユニクロを運営しているファーストリテイリングという企業に出会い、内定をもらいました。しかし、もともと教育業界を志望していたので「ここでやっていけるだろうか」という不安もありました。当時の採用担当者に桃大卒業生の社員を紹介してもらい、日々の仕事内容を詳しく聞くことに。そこで発見したのは、この会社にも人に教えたりできる環境がたくさんあるということ。学校ならば1クラス30人程度。しかしこの会社なら何万人の人に関われる。自分の好きな「教える」ということを、とても広い範囲で行うことができると感じました。
教えること、伝えることで人の成長を感じる。
入社を決めた私は、もっとユニクロのことを知りたいと考え、4年次の夏から自宅近くの店舗でアルバイトをはじめました。当時は毎週異なる色のフリースが発売されていた頃で、店内はいつもお客さまで溢れていました。忙しい反面、とても楽しかったです。お客さまに気持ち良くお買い物をしていただけるように、店内整備や駐車場の案内など、店舗運営の基礎を一つひとつ教わりました。
桃大を卒業後、私は大阪市内の店舗へ配属されました。アルバイトと違うのは、マネジメント業務が加わったこと。指導をされる側から、指導をする側へ立場が変わりました。その後、福井県での勤務を経て富山県へ。新店をオープンするための抜擢でした。多くの人が待ち望んでいた場所での新店ということもあり、アルバイトたちには「ユニクロで働く意義」を強く伝えました。この姿勢が評価され、半年後には東京の店舗で店長デビューを果たしました。
これまでに店長代理としてお客さま対応を行った経験はありましたが、いざ店長となるとその重圧はかなりのもの。店舗運営のスキルには自信があったにもかかわらず、お客さまだけではなくスタッフからも不満が噴出しました。振り返ってみると、成功させたい気持ちが空回りして気持ちの余裕がなくなっていたのだと思います。この経験から、大切なのはスキルだけでなく、まわりへの心配りだと気付き、自分の殻をひとつ破ることができました。
店長の役割には、仕入れやアルバイトの採用、スタッフ教育などがあります。遅刻をしてきたスタッフには単に注意するだけではなく、まわりのスタッフへの影響、そして最終的にお客さまに迷惑をかけてしまうことを話します。一方でがんばっている人はきちんと評価します。ユニクロは店長の推薦でがんばっている人を表彰する制度があります。推薦したアルバイトは、表彰してあげると一段と成長します。仕事について深く考えるようになり、学んだことを店舗で共有し、実践してくれるようになります。教えること、伝えることで、人の成長を感じる。教育は学校だけで行われるのではなく、企業でも行われているのです。
社内の教育者として、世界中の従業員と関わる。
店長としての業務に励んでいたある日、「新店の店長を任せたい」と声がかかりました。新店ではこれまでの経験を活かし、アルバイトにもレジのリーダーを任せるなど、新しいことに挑戦しながら店舗づくりに取り組みました。アルバイトスタッフに重要な役割を任せられたのは、ユニクロの価値観に相応しい人を採用しているから。これは働く側の立場でも大事なことです。自分の価値観に近い企業を選ぶことは、これから働くことを経験する在学生や高校生の皆さんにとって必ずプラスになるでしょう。
その後、店長としての仕事ぶりが評価され、エリアを管轄するマネージャーに昇格。複数の店舗の店長やスタッフを指導する立場になりました。「もっと会社を良くしていくためには、何よりも人材が大切。より広い範囲での人の育成に携わりたい」。改めてそう感じた私は、会社の公募制度を利用して人事部へ。ここでは店舗人事からキャリアの相談まで、一人ひとりが働きやすく成長できる環境づくりを行うことを心がけました。
2年間人事部で勤務した後、現在の法務・コンプライアンス部へ異動。ファーストリテイリングで働いているすべての人から、仕事や人間関係について相談を受ける部署です。相談を受けるだけではなく、そこから見えてくる課題を会社にフィードバックし、改善へと繋げます。また世界11万人の従業員へのコンプライアンス教育のため、インターネットを利用したeラーニングの学習システムを立ち上げました。これからも人の成長をお膳立てするファーストリテイリング内の教育者として、スタッフと関わっていきたいと思います。
(※この内容は2018年4月取材時のものです)