経験に無駄なものは一切ない。
目の前の課題に真摯に向き合うことで、
次の目標が見えてくる。

私は現在の会社を起業するまでに、3回転職し、4つの職場を経験しています。大学卒業後は営業マンとして大手不動産会社に入社。そこでは自身の提案により営業先の業績が上がる経験をし、「経営者を助ける仕事がしたい」と会計事務所に転職して税理士をめざすことに。結果的に税理士試験には失敗しましたが、この時期にコンサルティングという仕事を知って、会計系のコンサルティング会社へ。ここでの主なコンサル先は建設業界で、バブル崩壊後の不況の中で破綻しかかっているようなところばかり。そういった企業を立て直すには、いくらいい提案であっても最終的に人を動かすのはこちらの熱意や誠意だということを学びました。その後、大手経営コンサルティング会社へ転職。当時の社長の「量が質に変わる」という言葉にならい、入社後は必死に仕事をこなしました。ここでは大手企業のコンサルティングにも関わりましたが、税理士試験に向けての2年間の努力が当時の私を大いに支えてくれました。

この会社で医療経営部門が立ち上がった時、私は産婦人科の道を選択。なぜなら「おめでとう」といえる医療機関はここだけだからです。しかし現場の状況は非常に苛酷で課題も山積み。そこで私は、街で子ども連れのお母さんにインタビューをするなどして地道に顧客目線を養い、経営にフィードバックするようにしました。その後順調にクライアントも増え、その方々に独立をすすめられたことをきっかけにカテナシアを設立。これまで人や会社に依存していては生き残れないと何事も自力で突破することを心がけてきましたが、起業するにあたり多くの人に支えられていることを実感。人に感謝し、恩を返していきたいと、現在は国外にも医療支援の取り組みを広げ、多くの人脈にも恵まれました。

ぜひ覚えておいてほしいのは、チャンスをつかむ準備を万全にしておくこと。いい言葉を発していい人に触れ、いい場所に身を置いておくこと。スランプに陥った時こそ身近な人を大切にすることです。みなさんはこれから困難に向き合うことが多々あるでしょうが、それには必ず将来につながる意味があります。ぜひ今、目の前にある出来事や人と真摯に向き合い、チャンスを逃さずつかむようにしてください。

「キャリア教育科目-卒業生経営者から学ぶ社会人に必要な力」より