難題に直面したときも、思考を「できる」方向へ。
前向きな姿勢は必ず成長につながります。

当社は私にとって二番目の会社で、入社後はスポンサー営業の部署に配属。入社当時はスポンサーが15社ほどしかおりませんでしたので、とにかくいろいろな会社に電話をかけて約300社まで増やしました。その功績を買われ、2016年に代表取締役に就任。Bリーグ2016-17シーズンの大阪エヴェッサの売上げは全36クラブ中一位に輝きました。

ただ、大阪エヴェッサの売上げのメインはスポンサー収入で、これを入場料収入が上回らない、つまりチケットが売れ難いという課題も抱えています。現在、ライブエンターテインメント市場は活気づいていて、消費者ニーズはモノ消費からコト消費へ移り、非日常の空間や会場の一体感といった「体験」に価値が置かれるようになってきました。大阪エヴェッサの課題である「集客力」を上げるには、強いチーム作りはもちろん、試合会場の演出に力を入れていく必要があります。その際に目標としているのがEXILEです。彼らの特徴としては、「とにかくかっこいい」、「音と光で非日常な空間を演出している」、「客層が広い」、「男女ともに人気がある」、「キャラクターが多彩である」、「ライブが参加型」があげられ、とにかくさまざまなコンテンツを詰め込んで楽しい空間を演出しています。彼らにならい、当社もバスケットボールの試合だけでなく、試合前や試合後をいかに楽しんでもらえるようにするかが、今後成長していくためのカギになると考えています。

企業は利益を上げなければ倒産してしまいます。これはプロスポーツも一緒で、絶対に赤字を出してはいけません。ただここで勘違いしないでほしいのが、企業は儲けることがすべてではないということです。事業で一番大切なのは経営理念で、当社のそれは、「為(い)世(せい)為人(いじん)」、つまり世のため人のためです。私たちの使命は大阪エヴェッサの運営を通じて社会や人々に貢献することで、地域の方々に試合を見てもらって喜んでもらったり、「私もがんばろう!」と思ってもらったりすること。お金はあくまでもそういった目的を達成するための手段でしかないのです。みなさんが今後就職活動を進める上でも、気になった企業の経営理念は必ず見てほしいと思います。

「できる人材」と「できない人材」の大きな差は、難題を突きつけられたときに、「やります!」といえるか、「それは○○だからできない」とできない理由を並べるか、といったところに表れます。ぜひ課題に直面したときには、「どうやったらできるだろう?」と、思考回路を「できる」方向にもっていってください。私も社長になるまで人生が順調だったわけではなく、新卒で入社した会社で何度も辛い経験をして、みじめな思いもしました。そこで自分の至らない部分を見つめ直し、心機一転してがんばろうと心に決めたからこそ今の私があるといえます。ぜひみなさんも「できない理由を考えるのではなく、できる方法を考える」という前向きな気持ちで、今後の人生を歩んでいってほしいと思います。


「キャリア教育科目—卒業生経営者から学ぶ社会人に必要な力」より
(※この内容は2018年12月取材時のものです。)