- 名前
- 代表取締役社長 松井 太郎
- 会社
- 株式会社コンパス
- 学科
- 社会学部 社会学科 1990年卒
好き嫌いを意識する、主体的に選択する、今の自分を受け入れる。
そうすると、今まで抑えていた「本当の気持ち」が見えてくる。
まず、はじめに簡単なワークをしましょう。今から周りの人と相談せずに、自分のノートに流れ星、月、木、家、鳥を描いてください。そして、描けたら周りの人と見せ合いましょう。いかがでしたか?満月を描く人もいれば三日月を描く人もいましたよね? 同じことを聞いても、人によって受け取り方が違う、つまり、自分の人生に「正解」はないということです。みなさんがこれまでしてきた勉強は、たったひとつの正解を求めることが多く、自分の人生やキャリアについても同じように考えていたかもしれませんが、先ほど描いた絵のように、人はそれぞれ違って当たり前なのです。
さて、テーマにある「何がしたいかわからない」という人が最近増えています。それは周りの空気を読むあまり「異なる意見を言ってはいけない」と自分自身に制限かけてしまっているせいかもしれません。チャレンジしたいことがあるのに、「どうせ上手くいかないから」とか「失敗した姿を見られるのが恥ずかしい」などと世間体を気にする人もいますが、これも心のブレーキで、自分で自分の幅を狭めてしまっているに過ぎません。
上手くいってもいかなくても、今の自分を受け入れること。そうすれば、自然と気持ちが楽になり「もっと上を目指したい」、「何か新しいことを始めたい」という欲求が生まれ、それらにチャレンジすることで自信にもつながっていくはずです。そのためには好き嫌いを意識すること、何事も人任せにせず主体的に選択すること、YES/NOをはっきりすることです。何かの判断を迫られたときは、他人の目や損得勘定ではなく、自分自身の素直な感覚を大切にしてみてください。
仮にみなさんは何の制限もなかったら何をしたいですか? 人生において何か壁にぶつかったときは、この問いを思い返してください。とはいえ、なかなか難しい質問ですから、したいことが思い浮かばないときは、「今までやろうと思ってできなかったこと」をやってみてください。例えば「前から見たかったDVDを見る」とか「ずっと会いたかった昔の友達に会う」とか、それらを1週間に5~7個書き出して実行してみてください。ポイントは、必ず達成できるものにすること。全てクリアできたら、次の1~2週間でさらに5~7個書き出して実行。これをすると、「簡単すぎてやる気がでないこと」と「できないこと」の間に「絶妙にできること」があることに気づくはずです。
最後にプランド・ハップンスタンス理論(1999年 スタンフォード大学/クランボルツ教授)をご紹介したいと思います。プランド・ハップンスタンス理論は次の3つの骨子から構成されます。①個人のキャリアは、予期しない偶然の出来事によってその8割が形成される。②その偶然の出来事を当人の主体性や努力によって最大限に活用し、キャリアを歩む力に発展させることができる。③偶然の出来事をただ待つのではなく、それを意図的に生み出すよう積極的に行動することや、自分の周りに起きていることに心を研ぎ澄ませることで自らのキャリアを創造する機会を増やすことができる。
また、偶然を取り込むために必要な5つの特徴として、「好奇心(たえず新しい学習の機会を模索し続ける)」、「粘り強さ(失敗に屈せず、努力し続ける)」、「柔軟な対応(こだわりを捨てて行動を変える)」、「楽観的に取り組む(可能になるとポジティブに考える)」、「リスクをとる(結果が不確実でもリスクを取って行動を起こす)」が挙げられています。すなわち、ブランド・ハップンスタンス理論は「まずはこだわりを捨て新たな機会を増やす!そうすれば、いつでもやりたいことは見つかる」という人生訓の要素が強いとも言えるでしょう。
「キャリア教育科目-卒業生経営者から学ぶ社会人に必要な力」より
(※この内容は2018年10月取材時のものです。)