- 名前
- 夏凪 一仁
- 会社
- 株式会社つくろう堺市民球団
- 学部
- 経営学部 経営学科 2003年卒
「自分の目の前に現れる壁や問題は、解決できることしか現れない」。
この信念をもって何事にも前向きに取り組むと、道はひらける。
私は卒業後、10年間で3つの仕事を経験しました。そのうちの一つは起業したコンサルティング会社で、4つ目も同じく起業して開いた飲食店でした。その店がオープンして4年目のある日、前職マイナビの後輩に「独立リーグの球団を作りませんか?」と誘われ、即快諾。2018年7月に株式会社つくろう堺市民球団を立ち上げ、代表取締役に就任しました。
日本にはプロ野球リーグが12球団あり、その下に独立リーグ(関西独立リーグ、四国アイランドリーグplus、ルートインBCリーグの3リーグ)があります。ただ独立リーグに球団を作ったものの継続することができなかったり、立ち上げを表明したけれど立ち消えになったりする球団が多いのが現状です。スポーツビジネスの主な収入源はスポンサー収入・観客収入・グッズ収入ですが、正直なところこのビジネスモデルでは球団経営は非常に厳しいのが現状です。これまでのスポーツチームはスポンサー収入に頼るところが大きく、企業にスポンサーになってもらうときも「地域を盛り上げるためにがんばるので応援してください!」というのが殺し文句でした。しかし、「応援」はビジネスではありません。そこで私たちは以下のような新しいビジネスモデルを考えました。
独立リーグ球団を構成しているのは、スポンサー・選手・ファン・球団です。これらが一体となって、みんなが幸せにならなければビジネスは継続できません。独立リーグの観客数は1試合で多くても1,000人前後、平日昼の試合となれば、数百人というのも珍しくありません。スポンサーとしてはそれでは広告としての効果がありません。
そこで、監督や選手が球団のある堺市の魅力をPRする記事や動画を発信するwebサイトを立ち上げて企業広告の閲覧数を増やしたり、人材不足で悩んでいるスポンサー企業で選手にアルバイトをしてもらったり(選手が有名になれば集客にもつながるため)、プロ野球選手の道をあきらめなければならなくなった選手をスポンサー企業に紹介し正社員で雇用してもらうなど、双方のメリットになる道を模索しています。
また、選手のメリットとしてはプロ野球チームの2軍・3軍との交流戦があり、そこで活躍できればプロへの足がかりになること。
ファンとしても選手との距離が近く、選手やチームを育てる楽しみがあります。球団名もユニフォームのデザインも一般公募で選出して形にしてきました。今後も野球漫画とのコラボレーションや桃山学院大学の学生さんとの合同プロジュクト、YouTubeで公式チャンネルを作るなど、地域全体が盛り上がるような新しい仕組みを作っていきたいと考えています。
今はまだゼロから一歩踏み出したような状態で、これから大変なことも多々現れてくるでしょう。しかし、私が人生で大切にしているのは、「自分の目の前に現れる壁や問題は、解決できることしか現れない」ということです。挑戦できる土台があったからこそ、球団経営の話が舞い込んできたのではないでしょうか。みなさんも何か乗り越えなければならない壁が現れたときに、「解決できるからこの問題が現れたんだ」と思って、ぜひ前向きに取り組んでほしいと思います。
「キャリア教育科目—卒業生経営者から学ぶ社会人に必要な力」より
(※この内容は2018年12月取材時のものです。)