「安心・安全」、「車好きを育てる」、「体験・発見」を軸に、
新しいクルマとの付き合い方をもっと提案していきたい。

学生時代はあまり学校におらず、百貨店の配送やテレビ局でのハガキ整理など、数々のアルバイトに勤しんでいました。車が好きだったこともあり、アルバイトで貯めた50万円でスプリンタートレノという国産初のスポーツカーを買った思い出があります。学生のみなさんには、居心地のいい場所に安住することなく、アウェイな環境に飛び出してほしいと思います。それは様々なことを学ぶ機会となり、そういった環境で自分をどれだけ表現できるかは社会人になったときにも大切な経験として活きてくるからです。

私は入社3年目のときに、創業者から3分間でこれからどうなりたいかを書き出せといわれ、「早く高槻店(当時の担当店舗)の売上をNo.1にしたい」、「リーダーシップをとるなら1番になりたい」、「担当で他の店に絶対負けたくない」と書きました。「何でも1番になれ」が創業者のメッセージでしたので、そのようなことを大事にしながら最初の10年間はがむしゃらに働きました。海外にも出ながら失敗もし、経験値を上げながらオリジナリティの部分ができあがっていったのではないかと考えています。

現在、自動車は100年に1度の変革期を迎えています。私たちはそんな中、「2050未来共創」というタイトルのもと、「プロフェッショナリー&フレンドリー」のスローガンを掲げ、車の未来を視野に入れたマーケットや文化を作る戦略を始めています。講演のタイトルを「車」とせずに「クルマ」としたのも、これまでの車の概念を捨てて新しいクルマの価値観を考えようという意味をこめてです。

たとえば今は車離れといわれていますが、実際の販売台数は減ってはいません。若い男性の乗り手が減り、軽自動車を中心に女性の乗り手が増えているのです。そういった方々に向けて車の新しい使い方をしっかりと伝えていけば、新しい車文化が生まれるのではないか。そんな想いから、当社は「JACK&MARIE」というライフスタイルショップを立ち上げたり、「A PIT AUTOBACS SHINONOME」という人と車が安らげる空間を作ったりして、お客様に新たな体験や発見をしていただける売場作りにも挑戦しています。家と同様に車内のインテリアにもこだわりたい、ビジネスに使うビジネスカーがあってもいい、ドローンを積んでドライブが楽しめたら…と、これからの車との付き合い方には様々なことが考えられます。そういった中に「安心・安全」、「車好きを育てる」、「体験・発見」という価値を織りまぜながら、新しいカーライフ文化を創造するのがこれからの目標です。

学生のみなさんに伝えたいのは、「境遇を選ぶことはできない」けれど、その中でも「生き方を選ぶことはできる」ということ。そして、時間の使い方は「命の使い方」だと考え、今というかけがえのない時間を精一杯生きてほしいと思います。


「キャリア教育科目—卒業生経営者から学ぶ社会人に必要な力」より
(※この内容は2018年12月取材時のものです。)