ゼミのプロジェクト学習で桃のオリジナルスイーツを企画

「桃大好き」というフレーズ。「桃大が好き」とも「桃が大好き」ともとれる。そんな言葉遊びから、桃大発の桃スイーツ開発販売というプロジェクトを成しとげた学生がいる。西出幹人、経営学部の3年次生だ。
プロジェクトの主体となったのは、彼が所属する櫻井ゼミ。ゼミのテーマは「産官学連携によるプロジェクト学習」だ。各学生が考えた企画案の中から、選ばれたプロジェクトの実現をめざしてゼミ生が取り組んでいく。
西出は「地域連携」に目をつけ、大学ホームページで情報を収集。大学が岸和田市と連携協定を結んでいることを知った。さらに岸和田市の特産品を調べてみると、包近(かねちか)町の桃がブランド産品として人気だという。「大学と連携している市で、ブランド産品があり、しかも桃大の桃にも通じる。これならいける」。西出はさっそく企画書を作成した。その趣旨は、岸和田市包近町の桃でオリジナルスイーツを開発し、桃山祭の模擬店で販売すること。
より確実に、企画の実現性を高めるために、企画書を大学の地域連携室へ提出。そこから岸和田市役所にも連絡を取ってやりとりを重ね、事前に了承を得た。
「企画案としては、内容を詰められているか、共感してもらえるか、実現性があるかを重視して、決定すればすぐに動ける状態にしていました」。西出の企画は櫻井准教授とゼミ生の支持を得て、実施が決定した。まずは岸和田市内のすべての洋菓子店と連絡を取って企画意図を説明。その中から、包近町の桃でスイーツをつくった経験がある「パティスリー・ソレイユ」に協力をいただけることとなった。
一方で桃の調達に苦労をしたと西出は振り返る。「今年は天候の関係で桃の成長が早まり、注文をした時にはすでに農家からの出荷は終わっていました。そこで何店ものスーパーマーケットに電話をかけて、包近の桃の在庫を確認。なんとか必要量2~3 k gをかき集めました」。かくして準備は整った。商品は、桃のパイ。「僕は1年生のときから桃山祭実行委員会に参加し、食品販売での保健所チェックがどれほど厳しいかを知っていたので、あらかじめ加工調理された焼き菓子、パイなら安全面も大丈夫だと判断しました」。

こだわり抜いた「桃のパイ」が完成!

西出は2 年次に受講した「マーケティング論」で、消費者心理を考慮しながらモノやサービスをつくる・売ることのおもしろさに目覚めていた。実際につくるのはパティシエだが、西出にもこだわりがあった。「形は三角形に。はじめのひとくちは角の部分でパイの重層感を楽しみつつ、次に桃の果肉を味わえる。サクッと、しっとりと。パイ生地と桃のメリハリをつけたかったんです」。
お店のパティシエもまた、一流の技術を持って、桃大生の要望に応えた。見栄えをよくするために大きさはどうするか、焦がさないために層の厚さをどうするか。試作と改善を繰りかえし、みんなが納得できる桃のパイがついに完成した。

大盛況だった桃山祭「食」を通じて人々を笑顔に

天候にも恵まれ、多くの人でにぎわう桃山祭。そこには、桃色の服をまとった西出の姿があった。「桃のパイは、その場で食べることも、お持ち帰りもできます!」今回の桃山祭模擬店の中で、唯一の焼き菓子であることをアピールしていたのも、「差別化」というマーケティング手法を知っている西出らしいセールストークだ。桃のパイのおいしさは多くの人々を笑顔で包みこみ、3日間とも早々に売り切れるという盛況ぶりだった。
「自分ならではの方法で、人を喜ばせることを大事にしたい。将来は、自分の考えたプランでお客様に満足してもらえる仕事がしたいです」。今回は「食」を通じて、つくる人、食べる人と喜びを共有した西出。その思いと企画力は、これからも発揮されるに違いない。

(※この内容(学年表記含む)は2018年12月取材時のものです。)