奈良団扇の魅力を広める活動にも取り組む

奈良県の指定伝統工芸品である「奈良団扇」の製造販売を行う、創業160余年の池田含香堂六代目当主として、団扇職人をしています。奈良団扇は美しさと実用性を兼ね備え、毎年宮中にも献上している工芸品。材料や道具なども含めて、すべてが家内工業による手作業で製作しています。戦前には10軒ほどあった奈良団扇の店も、現在は当店のみとなってしまいました。現在は作るだけでなく、メディアへの出演や大学の臨時講師、全国各地での工芸イベントへの参加など、奈良団扇の魅力を広める活動にも取り組んでいます。また新たな挑戦として、伝統をベースに漆など他の工芸も取り入れた団扇づくりも行っています。

社交性を身につけるため桃大へ

もともとは、家業を考えて大学進学は考えていませんでした。しかし母が「勉強するだけでなく、多くのことを学んできて」と大学進学を促してくれました。私は昔から積極的に人前に出るような性格ではなかったので、職人の世界へ入る前に社交性を身につけてもらいたいと考えたからだと思います。大学では軽音楽部に入り、100人ほどの部員がいる中で副部長を務めさせてもらいました。4年間の経験や大学で出会った大切な友達は、今後生きていくうえで財産になるものばかりで、自分を大きく成長させてくれました。そんな機会をくれた母には本当に感謝しています。在学中に身につけた経験を生かして、これからも奈良団扇の魅力を広め、日本一の工芸品に育てていきたいと思っています。


(※この内容(学年表記含む)は2018年5月取材時のものです。)