労働法を守る労働基準監督官

労働行政に携わることを目指したのは、大学一年生の頃に法職オリエンテーションの授業で、現職の労働基準監督官の方から仕事内容について聞いたことがきっかけです。それまで、労働行政について詳しく知らず、労働基準監督官のことについては全く知りませんでした。あの、法職オリエンテーションの授業は自分の人生のターニングポイントだったと感じています。
労働局は厚生労働省の地方出先機関として都道府県ごとに設置されており、労働局の傘下にはハローワークと労働基準監督署があります。労働基準監督署では労災保険の加入手続きや労災に見舞われた方に対する給付の審査等をするほか、労働基準法や労働安全衛生法違反などの取り締まりを行います。例えば、最低賃金以下での雇用や賃金未払いなどの取り締まりです。
労働基準監督官は、事業者に対して是正勧告などの指導を行い、悪質な場合などは逮捕、送検を行います。労働基準監督官は刑事訴訟法上の特別司法警察職員です。一部法令については司法警察員の警察官と同等の権限を持って取り締まりを行うことができるため、早くから現場の第一線で働くことができることが魅力の一つです。

現場で労働者のために

私の父親はなかなか休みが取れず、いつも仕事をしていたため幼少期の家族団らんや父親との思い出はあまりありませんでした。しかし、家族との思い出を作る機会は誰もが当たり前に享受されるべきものだと私は考えています。自分のような経験を持つ人や仕事で家族との思い出を作る機会を失う人を少しでも減らせるように、当たり前のことが当たり前に享受できる世の中にしたいという思いから労働行政に携わることを希望しました。
 私は現場で労働者や使用者の話を直に聞き、目の前の人を救うことができる労働基準監督官に興味を持っていましたが、同時に国家公務員総合職として本省で法案の企画立案などを通して労働行政に携わりたいとも思っていました。国家公務員総合職試験も労働基準監督官試験もどちらも合格しましたが、熟考の末、現場で目の前の人を救いたいという思いが強かったので労働基準監督官を選びました。

大学での学び

法学部だったので法学の授業を中心に学びました。国家公務員試験では専門科目として法学(憲法、民法、行政法等)が出題されるので、直に活かすことができました。また、私は憲法学のゼミに所属し、憲法などの小論文や政策課題論文についてゼミの先生に質問し添削を受けることができたことも合格に繋がったと思います。
教職課程も履修し、そこで培った人に伝える力や授業力、教育実習での経験が人前で物怖じせずに自分の意見を分かりやすく発言できる力となり、面接で役立ちました。
文化サークル連合本部次長として、加盟の許認可やイベントの企画運営などを行いました。関係者からの質問に対する回答書や大学に提出する書類の作成、そのほか本部長の補佐の仕事を行い、その経験は採用試験で高く評価されました。また、MBC学生放送局の部長も務め、予算の検討や執行、司会、ラジオの放送などに携わりました。珍しい活動であり、面接では興味を持って聞いていただけました。

アピールポイント

計画性、実現能力、積極性と自分の興味関心に社会性を持たせる努力が就職活動時のアピールポイントに繋がっていると思います。
計画性、実現能力については、採用されるにはどのような能力が必要かを考え、それにはどのくらいの時間が必要かを計画し、結果を出すための努力をすることです。私は、勉強した成果を客観的に評価してもらうために、法学検定上級の資格取得に挑戦し、3年生で合格できました。当時、法学検定上級を目指す人は私の周りにはいませんでしたが、一心に勉強し、面接では大いに評価して頂くことができました。
また、積極性については教職課程や学内情報センターでのアルバイト、サークル活動などどんなことも積極的に取り組みました。その結果、内部研修の統括担当者や文化サークル連合本部の次長に推してもらい、様々な経験を積んだことが採用面接でアピールポイントの一つになりました。
また、自分の興味関心を社会にどう活かせるかを考え努力しました。私は趣味がコーヒー作りだったのでコーヒーソムリエと飲食店営業に必要な食品衛生責任者資格を取得しました。もし資格や経験がなければただのコーヒー好きで話が終わってしまいます。自分の趣味に付加価値をつけることで、興味関心を社会に活かすというアピールポイントになると思います。

大学の就職サポート

大学内で開かれている公務員講座が役に立ちました。公務員試験対策の先生が、筆記試験から面接試験まで一貫したサポートして下さいます。学内で開講されているため通いやすかったです。また、独学では難しい数的推理や数的処理も分かりやすく、時事問題対策も様々なニュースの中から公務員試験に出やすいものを抽出してくれるので効率良く勉強をすることができました。定期的に公務員内定者の方や卒業生で現職の公務員の方からお話を聞く機会も設けられ、モチベーションアップにも繋がりました。面接対策も公務員試験に特化していることから公務員試験特有の質問などにも対応できたほか、論作文の添削も何回もして下さるので自信を持って本番を迎えることができました。
キャリアセンターでは、面接の所作や受け答えの練習をして頂きました。面接は高校入試やバイトの面接しか受けたことがなかったので苦戦しましたが、丁寧に何度も御指導下さったので本番では練習の成果を発揮することができました。
桃大は勉強や様々な経験ができる環境が整った素晴らしい大学です。この環境を存分に活かして自己実現に繋げてほしいと思っています。夢を実現させるには努力が必要です。桃大で大きな花を咲かすことができるよう応援しています。そして、国家公務員になりたいと思っている人がいましたら、いつか一緒に働けることを願っています。

(この内容は2025年2月取材時のものです)