『教員おすすめ本2020 Special 〜学長・学部長編〜』






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

桃山学院大学長(牧野丹奈子先生:推薦文つき)

タ イ ト ル 備考
1. 『倫理という力』 前田英樹著  
  「なぜ人を殺してはいけないの?」小さな子にこのように聞かれたら、何と答えますか?この本はその問いから始まります。「理屈は人を救わない」、「道徳で人を説得することはできない」と著者は言います。そして、哲学者アランの言葉「在るものを愛する」の意味を説明します。よく生きる、とはどのようなことか。それは決して難しいことではないと、教えてくれる本です。  
2. 『公共哲学とは何か』 山脇直司著  
  人は社会の中でしか生きられないので、公共性と個人という問題は昔から至る所でみられる問題です。著者は、戦前の日本などでみられた「滅私奉公」や自己中心のライフスタイルでよくみられる「滅公奉私」といった考え方の問題点を指摘します。そのうえで、「活私開公」という考え方を紹介します。個人の尊厳と公共性は決して相反するものではなく、両立できるものだということを教えてくれる本です。  
3. 『社会を変えるには』 小熊英二著  
  昔に比べると、私たちは慣習やルールに縛られずに、何でも選択できるようになりました。「自由と多様」を手に入れたのです。しかし、果たして私たちの心は満たされているでしょうか?むしろ、今の社会は行き詰っていませんか?では、なぜそうなってしまったのか、私たちはどうすればよいのか。著者は“自分自身を変え、相手との関係を変える「対話」”が鍵だと説きます。全体的に少し難しいかもしれませんが、面白いところだけ拾って読む読み方でもよいと思います。  
4. 『私とは何か : 「個人」から「分人」へ』 平野啓一郎著  
  就活のひとつに自己分析があります。そのときになって初めて「自分ってどんな人間なんだろう」と考える学生さんが多いようです。この本を読むと、色々な自分があってもいいのだと教えられます。たとえば、Aさんと会っているときの自分は好きだけど、Bさんと会っているときの自分は嫌だ、などなど。そしてそのような沢山の自分のなかで、好きな自分が一つでもあれば「そこを足場に生きていけばいい」と著者は励ましてくれます。  
5. 『論語と算盤』 渋沢栄一 [著]  
  近年、SDGsやCSRなど、経済性と社会性の両立が求められています。しかし、実はこの話は今に始まったことではありません。この本の著者である渋沢栄一は江戸時代末期に農民から武士に取り立てられ、明治時代に大蔵官僚として財政政策で辣腕ぶりを発揮し、そのあと実業家として成功した人です。次の「1万円札の人」でもあります。渋沢栄一はこの本の中で、“お金儲けと仁義道徳の道は一致するものである”ということを説いています。今の社会で働く人はしっかりとその意味を考えるべきと思います。  
6. 『日本でいちばん大切にしたい会社 全7巻』 坂本光司著  
  経営では顧客第一とよく言われます。しかし著者は、「社員とその家族を幸せにする」ことが第一と言います。なぜ、顧客より社員なのか。シリーズの第一作となるこの本では、5つの企業事例が紹介されています。私が初めてこの本を読んだとき、「これこそがほんとうの経営だ」と思って、胸が熱くなりました。経営の現場において、目の前の人を大切にする素晴らしさを是非とも感じてほしいです。  
7. 『一瞬で心をつかむ伝わるイラスト思考』 松田純著  
  私は昔から絵を描くのが大の苦手です。ピカチューを描いてもキティちゃんと見間違われるほどです。しかし実は、この絵を描く能力は仕事の多くの場面で大変重要なのです。たとえば、アイデアを他人に説明するときも、文字より図やイラストの方が効果的だと言われています。この本はイラストを上手に描くことだけを狙ったものではありません。イラストを描くことで、思考を深めることを狙ったものです。右脳と左脳の連携ですね。  
8. 『夢十夜 : 他二篇 』 夏目漱石著  
  「こんな夢を見た。」という出だしの短編10篇から成っています。本当の夢って、なんか不思議で理不尽で意味不明のものが多いですよね。その世界観が見事に描かれています。そしてその異次元の世界の話でありながら、「あ、そうそう」と誰もが思う人間の本質が見事に描かれています。10篇の内容はバラエティに富んでいます。たとえば、第一夜の話は美しく、第九夜の話は悲しく、そして第三夜の話はとても怖いです。  
9. 『博士の愛した数式』 小川洋子著  
  「私」は28歳のシングルマザーで家政婦です。10歳になる「息子」が一人。「私」は、交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持たない数学者「博士」の世話をすることになります。数学にしか興味を示さない「博士」ですが、やがて二人の心の交流が始まります。登場人物は皆、それぞれに何かを背負いながらも、健気にせいいっぱい、そして優しく生きています。そのような人達に対して、博士の口から説明される数や数式の美しさは、(たとえ数学を知らなくても)心に染み入ります。寺尾聡、深津絵里主演で映画化もされました。  
10. 『出口のない海』 横山秀夫 [著]  
  「回転」という名の人間魚雷を知っていますか?太平洋戦争の時の日本の特攻兵器です。主人公は、あることがきっかけで、この回転の乗組員になってしまいます。主人公は決して軍国主義の青年ではありません。甲子園の元優勝ピッチャーで、大学進学後も魔球を完成させようとしているスポーツ好きな青年です。そんな主人公は悩み続けます。なぜ、自分は死ななければならないのか。国にいる家族や愛する人のためというが、自分一人が死んでも、敵が攻めてくれば守れないではないか。では何のためか。最後に彼が見つけた答えは・・・。福井から帰る時間つぶしのために何気なく買った本でした。電車の中で「こんなつらい本、買わなければよかった」と思ったのを覚えています。市川海老蔵主演で映画化されました。  






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

国際教養学部(佐々木英哲先生:推薦文つき)

コロナ禍を機に読書を通して「家族」を考えるために

深刻化するコロナ禍を受けて、テレワークなる就業形態(情報通信技術を使った遠隔勤務)がにわかに喧伝されるようになった。人々が在宅のまま勤務できるようになり、働き方改革が加速するというポジティブな面もそこにはある。しかし結果として家族空間はさらに濃密になる。実際、フラストレーションが溜まった、大人になりきれない子供大人による家庭内暴力(いわゆるDV)の報告件数がとみに増加しつつあるという。
家族とは何だろう。一人暮らしをするにしても、家族への情緒的な絆は決して切れない。そもそも当たり前だと思ってきた家族が揺らぎ、家族と密接なかかわりがあるとされるジェンダー観も根底から覆された現代資本主義社会を我々は生きているのである。
今回、皆さんに勧めたい本は、いわゆる正統的な「古典」に分類される文学作品である。兄弟間、親子間、夫婦間の葛藤、家族の崩壊と再生をテーマとした、傑作として評価の定まった文学作品で、特に国際教養学部の学生さんには読んでおくと、今後の授業でも大いに役立つことは間違いない作品ばかりである。
初学者にとっても比較的読みやすいものを選んでみた。当方の守備範囲の関係上、アメリカに重きを置かせてもらった。選んだ本の大部分は廉価な文庫本として数社から出版されているので、作品タイトルと作者だけ明示しておこう。


タ イ ト ル 備考
1. 『緋文字 改版』 N・ホーソン著/佐藤清訳  
2. 『キッチン』 吉本ばなな著  
3. 『アブサロム、アブサロム! 上』 フォークナー作/藤平育子訳  
4. 『アブサロム、アブサロム! 下』 フォークナー作/藤平育子訳  
5. 『草の葉 上 』 ホイットマン作/酒本雅之訳
6. 『草の葉 中』 ホイットマン作/酒本雅之訳  
7. 『草の葉 下』 ホイットマン作/酒本雅之訳  
8. 『オニール名作集』 喜志哲雄 [ほか] 訳  
9. 『乙女たちの地獄(1‐2巻)』 ハーマン・メルヴィル著 本学
所蔵なし
10. 『海辺の光景 39刷改版』 安岡章太郎著  
11. 『遠い声遠い部屋 48刷改版』 カポーティ [著]/河野一郎訳  
12. 『欲望という名の電車 30刷改版』 T.ウィリアムズ [著]/小田島雄志訳  
13. 『リア王』 シェイクスピア著/安西徹雄訳  






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

社会学部(川井太加子先生:推薦文つき)

タ イ ト ル 備考
1. 『社会学用語図鑑 : 人物と用語でたどる社会学の全体像』 田中正人編著/香月孝史著  
  イラストがふんだんに盛り込まれた取っつきやすい社会学用語解説書。授業で習ったキーワードの復習にも役立つ。  
2. 『シャガクに訊け!』 大石大著  
  家族、恋愛、友人関係、就活など学生たちが抱える悩みを社会学が解決!青春小説でありミステリーでもあるユニークな社会学入門書。  
3. 『悩める日本人 : 「人生案内」に見る現代社会の姿』 山田昌弘著  
  人々の抱える様々な悩みに社会学者が回答するというユニークな本です。社会学者の考え方の「クセ」のようなものがわかります。  
4. 『健康格差 : あなたの寿命は社会が決める』 NHKスペシャル取材班著  
  社会のあり方は私たちの健康にも大きな影響を与えています。この本を読むと、新型コロナウイルスの感染拡大についても、新しい視点から考えることができるでしょう。  
5. 『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗著  
  視覚障害者の世界を知り、さらに自身の視野を広げる新しい発見が得られる。  
6. 『東大合格生のノートはどうして美しいのか?』 太田あや著  
  アイデアを整理したり、記憶を定着させるには手を動かさないといけないということがわかる。  
7. 『コンビニ外国人』 芹澤健介著  
  コンビニで働く外国人への丹念な取材をもとに、現代日本における外国人労働者の実態を明らかにしながら、これからの日本社会のゆくえを展望しています。  
8. 『ひとり空間の都市論』 南後由和著  
  街中で「ぼっち」でいられる安心感を真面目に考えています。  
9. 『結婚と家族のこれから : 共働き社会の限界』 筒井淳也著  
  未来の「家族」はもっと自由でいいのかもしれません。  
10. 『南海ホークスがあったころ : 野球ファンとパ・リーグの文化史』 永井良和, 橋爪紳也著  
  今年急逝した野村克也のことを知るにも、南海沿線の文化史を知るにも好適の書。  
11. 『原子力時代における哲学 (犀の教室)』 國分功一郎著  
  なんでこの世に原子力があるのかを根っこから考えてみたい人に。  
12. 『世界史の針が巻き戻るとき : 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』 マルクス・ガブリエル著/大野和基訳  
  現在最も注目される哲学者による現代社会論。インタビューをまとめたものなので読みやすい。マクルス・ガブリエル関連の動画はYouTubeに大量にアップされており、併せて視聴すると理解の助けとなる。  
13. 『日本の分断 : 切り離される非大卒若者 (レッグス) たち』 吉川徹著  
  社会には様々な格差や不平等が存在します。この本は学歴の格差に注目して、日本社会の問題点を描き出しています。  
14. 『未来を変える目標SDGsアイデアブック』 Think the Earth編著/ロビン西マンガ  
  「国連で採択された「持続可能な開発のための目標 Sustainable Development Goals : SDGs (エス・ディー・ジーズ)」についてわかりやすく学べる本です。いま、社会福祉の世界も含めて、国内外で、あらゆる領域でSDGsへの取り組みが広がっています。広い視野を持って、社会福祉をとらえ直してみることができると思います。」  
15. 『『銀河鉄道の夜』しあわせさがし (理想の教室)』 千葉一幹著  
  多くの人がご存じの宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』をしあわせさがしという観点から取り上げています。本当の幸せとは何なのでしょうか。みんなの幸せはどのように追求できるのでしょうか。ジョバンニとカンパネルラの関係や自己犠牲というテーマをもとに考えていきます。『銀河鉄道の夜』を読んだことのある人にはもちろん、読んでいない人でもお薦めです  
16. 『現代社会はどこに向かうか : 高原の見晴らしを切り開くこと』 見田宗介著  
  新入生には、少し手ごたえがあるかもしれませんが、在学中に挑戦する甲斐はあります。まさに、今がどんな時代かを考えさせられる刺激になることは間違いなしです。視野が広がり、新たな角度を求められ、「永続する幸福」について考えさせられます。著名な学者の作品ですが、本格的な研究書ではないのでエッセイ的に読むこともできます。  
17. 『平和の訴え』 エラスムス著/箕輪三郎訳 本学
所蔵なし
  有言実行の人。ペン1本で、1人ぼっちで、世界平和のために闘いぬいた偉大な学者。それがエラスムス(1466-1536)です。復讐は復讐を招き寄せる。けれど好意は好意を生み、善行は善行を招く。世界平和の実現のためには、一方で権力者(支配階級)の狡さ・強欲さ・無責任さをただしつつ、他方で市民が不和(戦争の種)へと煽られないよう自覚を深めてゆくことが大切だ。市民が互いに許し合い、協力を拡げてゆくことが大切だ−エラスムスの思想は、近現代の学問と文化に継承されています。  
18. 『幸福論』 アラン [著]/神谷幹夫訳  
  今日を見つめて、明日の幸福を作る人。誰にも意志(希望を抱くこと)の向こうに可能性が開けていると、直球で語り続けた人。それがアラン(1868-1951)です。今日の不安や悲しみは気分が作っているけれど、明日の幸福は意志が作る。幸福は、お金で買えない、自分の外側に求めても絶対に手に入らない。意志をもって(希望を抱いて)進んでゆくことで、人は幸福になるのだ-アランの言葉は、今も世界中で、困難な時期にある人々の心を支え励まし続けています。  






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

法学部(瀬谷ゆり子先生:推薦文つき)

法学部長推薦と言っても、法律の専門書ではありません。法学部教員の協力を得て、いろいろなジャンルから提供してもらいました。まず一冊でも手にしてもらえたら、うれしいです。


タ イ ト ル 備考
1a. 『ハゲタカ [1] 上 : 新装版』 真山仁 [著]  
1b. 『ハゲタカ [1] 下 : 新装版』 真山仁 [著]  
  日本のバブル崩壊後を舞台とする小説で、登場会社のモデルあります。ハゲタカ外資に国内資本が立ち向かう小説のようにもみえますが、大きな経済社会の流れのなかで、自分がその立場ならどう判断するかも考えさせられます。  
2. 『バブル : 日本迷走の原点 : 1980-1989』 永野健二著  
  日本の「バブル」を知らない世代の皆さんへ。ハゲタカと併せて、読んでみてください  
3. 『女性のいない民主主義』 前田健太郎著  
  わが国の女性の活躍を示すさまざまな指数が世界的にみて低いことはよく知られています。とくに国会議員や大臣の数など政治のレベルで顕著です。女性の議員などが極端に少ない日本の政治は民主主義と呼べるのでしょうか。この本は、このような問題意識から、何が女性を政治から閉め出してきたのか、を考えます。憲法や政治学の視点・洞察力を深めるのに格好の本です。  
4. 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー : The real British secondary school days』 ブレイディみかこ著  
  英国人の夫、その間に生まれた息子と3人で英国に暮らす著者。息子が学校生活で経験する人種の違いや差別を自分自身でどう乗り越えようとするか。「多様性」「差別」「アイデンティティー」「シティズンシップ」をどう考えればいいか。ヒントをくれます。英国の中学校ではまず、「シティズンシップ」「人権規約」を徹底的に教えられる・・人権の母国だとつくづく納得する本です。  
5. 『日本の無戸籍者』 井戸まさえ著  
  戸籍って何か、説明できますか?日本人にとって戸籍とは何かという根源的な問いです。  
6. 『動物保護入門 : ドイツとギリシャに学ぶ共生の未来』 浅川千尋, 有馬めぐむ著  
  憲法学者が書いた本。各国の動物保護法制を比較し、わが国の動物保護(?)のあり方に警鐘をならします。  
7. 『こども六法』 山崎聡一郎著  
  「こども」と侮ってはいけません。「それ」を聞かれて、きちんと説明できますか? これを読んで自分の中の理解と照らし合わせて下さい。法学部生は、手元の六法と見比べるとよいでしょう。  
8. 『11歳からの正しく怖がるインターネット : 大人もネットで失敗しなくなる本』 小木曽健著  
  インターネットは安全ではありません。繰り返し説明し、諭してもなかなか理解してもらえません。それはなぜか。今インターネットを利用している多くの人々が、インターネットの危険性を理解する前に「それ」を使い始め、「それ」の利便性を享受してしまったから。ではどうすればよいか? 今からでも学びましょう。自分のために。家族のために。友人のために。インターネットは利便性と危険性を兼ね備えた諸刃の剣なのですから。  
9. 『白銀の墟 (おか) 玄 (くろ) の月 全4巻』 小野不由美著  
  日本を代表するファンタジー小説「十二国記シリーズ」の最新刊。シリーズ全編では、天帝に任命された王が民を虐げると、王を選んだ麒麟が病み、やがて王も斃れるので、王は真剣に職務に取り組まなければならない、という設定です。一方、現世の民主主義では、むちゃくちゃな政治家を止められるのは、その人を選んだ国民自身のみです。読むたびに、国家は国民の為に何をすべきか、国民は国家のために何をすべきかを考えさせられます(ケネディ大統領の就任演説みたいですね)。  
10. 『ガリレオ : 真実を求めて』 山本省三文/カサハラテツロー絵  
  子ども向けの本ですが、ガリレオの生涯を詳しく知ることができます。「近代科学の父」は手製の望遠鏡を用いて1610年に木星を観察し、地動説を唱えますが、宗教裁判で自説撤回に追い込まれます。しかし、彼の発見は政治と科学、宗教と科学を分離させる大きなきっかけになりました。日本人の多くは仏教徒ですが、宇宙の始まりであるビッグバンやダーウィンの進化論を否定する人はほとんどいないでしょう。でも、トランプ大統領の支持層を構成する福音主義の人々は、アダムとエヴァなど聖書の記述をそのままに信じています。あなたも政治と科学の関係を考えてみませんか。国際紛争の原因がよくわかりますよ。  
11. 『漫画君たちはどう生きるか』 吉野源三郎原作/羽賀翔一漫画  
  1933年に出版された歴史的名著といわれている小説のマンガ版です。マンガ版なので読み易いと思います。これからの人生どのように生きていけばよいのかを考えるのに良い本だと思います。  
12. 『2030年の世界地図帳 : あたらしい経済とSDGs、未来への展望』 落合陽一著  
  SDGsHi(持続可能な開発目標)を認識しながら本書を読み、みなさんが生きてゆく2030年以降の世界がどうあるべきか考え、そして行動してください。  
13. 『民主主義という不思議な仕組み』 佐々木毅著  
  少なくとも主要国ではあたりまえとなっている民主主義。しかし、その民主主義も決して万能ではなく、多くの欠陥を抱えています。本書は、民主主義の仕組みやそこに潜む課題、そしてそうした課題に取り組むための方途を政治思想史研究の大家がわかりやすく解説したものです。  
14. 『移民の経済学 : 雇用、経済成長から治安まで、日本は変わるか』 友原章典著  
  移民の受け入れは現代の日本におけるきわめて重要な政策課題で、大学のゼミなどでも頻繁に取り上げられるテーマですが、議論はとかく感情的になりがちです。本書は雇用や治安などのさまざまな分野にわたって、移民がもたらす「損」と「得」を冷静に分析したものです。  






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

経済学部(島田克彦先生:推薦文つき)

自然の一部である人間は、生活と生業を営む空間、すなわち地域をどのように成り立たせてきたのか、また20世紀の戦争はそれをどのように破壊したのか、そして土地や景観に遺された先人の足跡をどのようにして読み取るのか。このようなことを考えて10点を選んでみました。新入生のみなさんが「無人島へ持っていく1冊」と出会えるよう、祈っています。


タ イ ト ル 備考
1. 『土地に刻まれた歴史』 古島敏雄著  
2. 『二〇世紀の歴史』 木畑洋一著  
3. 『中国戦線従軍記 : 歴史家の体験した戦場』 藤原彰著  
4. 『その街の今は』 柴崎友香著  
5. 『経済史 : いまを知り, 未来を生きるために』 小野塚知二著
6. 『3.11を心に刻んで 2020』 岩波書店編集部編  
7. 『村と戦争 : 兵事係の証言』 黒田俊雄編 本学
所蔵なし
8. 『戦後補償から考える日本とアジア 第2版』 内海愛子著  
9. 『神去なあなあ日常』 三浦しをん著  
10. 『八朔の雪』 高田郁著  






桃山学院大学長 国際教養学部 社会学部
法学部 経済学部 経営学部

経営学部(藤田智子先生:推薦文つき)

タ イ ト ル 備考
1. 『Life Shift (ライフシフト) : 100年時代の人生戦略』 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット著/池村千秋訳  
  第一著者であるリンダ・グラットンは世界的な経営学者である。経営学的な見地で人生100年時代への対応を示唆している。本書によると今の学生たちが高齢になったころ、平均寿命は100歳を超えていると試算している。若いうちに人生戦略を考えておく重要性に気づいてもらいたい。  
2. 『ユダヤ人大富豪の教え [1]』 本田健著  
  アメリカ人の老富豪が日本人青年と出会い、幸せな金持ちになる方法を教える話である。「お金の法則を学ぶ」「失敗とうまくつき合う」「スピーチの天才になる」「人脈を使いこなす」「自分のビジネスをもつ」等々、経営学部生たちにとって、これからの人生を豊かに生きていくヒントが書かれている。  
3. 『超AI入門 : ディープラーニングはどこまで進化するのか』 松尾豊, NHK「人間ってナンだ?超AI入門」制作班編著  
  NHKテレビで放映された「人間ってナンだ? 超AI入門」で取り上げた内容を、松尾氏が中心にNHKスタッフらとともにまとめたもの。数式等はなく、AIについて文字だけで説明している。AIに関心がある文系の学生たちに理解しやすい入門書だと思う。  
4. 『世界の経営学者はいま何を考えているのか : 知られざるビジネスの知のフロンティア』 入山章栄著  
  「経営学」の実像を明快に説明してくれています。これから経営学を学ぶ人にも、経営学を学んでいる最中の人にもお薦めします。  
5. 『データ分析の力 : 因果関係に迫る思考法』 伊藤公一朗著  
  都合の良いデータ分析に騙されないための一冊です。数式を用いずに、可能な限り正確にかつ分かりやすく説明されているので、数学が苦手な人にもお薦めできます。  
6. 『世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている : ビジネスパーソンのための戦略思考の教科書』 デビッド・マクアダムス著/上原裕美子訳  
  経済学の一分野であるゲーム理論は、企業を分析する方法の1つです。しかし、これが実際にどう使われているのかというのは、多くの人が知らないでしょう。この書籍は、実際の有名企業がどのようにゲーム理論を使っているかを解説しています。経営学を学習するうえで、重要な気づきを与えてくれるでしょう。  
7. 『アルキメデスの大戦 全10巻』 三田紀房著  
  漫画です。漫画ですが、ドラゴン桜という受験漫画をご存知でしょうか。あの作者の作品です。この本は、戦時中の戦艦の建造費用を計算するということがテーマになっています。つまり、『原価計算』が大きなテーマになっています。原価計算は多くの企業で使われていますが、皆さんなじみがないと思います。しかし、実際には多くの意思決定に原価計算が重要だということをこの漫画は教えてくれるでしょう。  
8. 『日本の思想 改版』 丸山真男著  
   かつて必読書であった、あまりにも名高い「岩波新書」の一冊です。やはり一度は読んでおいてもらいたいなあ、という願いを込めて推薦します。近代日本特有の歩みを批判的な視点から描きだしています。真に創造的な「批判精神」とはどのようなものか。それを感じ取ることができるでしょう。  
9. 『「民主」と「愛国」 : 戦後日本のナショナリズムと公共性』 小熊英二著  
  5cmほどある分厚い一冊ですが、ぜひ挑戦してみてください。案外、読みやすいです。あの敗戦の体験がまだ残っていたころの日本の姿が、さまざまな言説の引用によって描かれています。特に第一章の「モラルの焦土」は、敗戦間際の大日本帝国において、国家への滅私奉公が声高に叫ばれているにもかかわらず、というか、それゆえに、軍隊で、疎開先の村で、隣組で、小学校で、あらゆる場所でゴマカシとエゴイズムとイジメが蔓延しているさまを映しだしています。若いみなさんにとっては、この章だけでも読むに値するでしょう。  
10. 『俘虜記 63刷改版』 大岡昇平著  
  大岡昇平は戦後日本を代表する作家です。30歳を過ぎて応召し、敗戦直前にフィリピンでアメリカ軍の捕虜になりました。これはその時の記録です。戦争や軍隊の記憶がどんどんと失われていく現代日本のなかで、ユーモアさえ交えた明晰な文章でつづられた戦争の悲惨さと滑稽さに触れてほしいと思います。