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「第3回桃山学院大学図書館書評賞」受賞者<2008年12月3日発表>

                                  
最優秀書評賞該当作品なし
優秀書評賞木谷 友子 (文学部2年次生)            
   山本文緒『きっと君は泣く』 角川書店  1997年
佳 作 根来 厚志 (国際教養学部1年次生)            
   辺見庸『もの食う人びと』 角川書店 1997年
川畑 七海 (社会学部3年次生)
   山田悠介『レンタル・チルドレン』 幻冬舎 2006年
笠松 侑加 (国際教養学部1年次生)
   今泉みね子『ドイツを変えた10人の環境パイオニア』 白水社 1997年

受賞作一覧はこちら

審査講評(全般)                 図書館長  社会学部教授 松永俊男

  

 図書館書評賞も今年度で3回目になりました。応募作品数は、第1回目の一昨年度が55点、昨年度か140点でしたが、今年度は121作品の応募がありました。各学部から選出されている図書館委員5名の合議により、優秀書評賞1編、佳作3編を決定しました。残念ながら今回も、最優秀書評賞の該当作品は認められませんでした。  
 今回も指定の書式(本文の1行は40字で40行以内)になっていない作品がかなりありました。書式が指定されている場合には、それを順守することが第一に求められることです。また、これも例年のことですが、本学図書館に所蔵されていない図書のため、選考対象外とされた作品がかなりあります。応募要項はきちんと読むことが必要です。
 書評というかぎり、本の内容が的確に紹介され、それに対する評者の評価がなければなりません。しかし残念なことに、応募作品の多くは、内容紹介に止まり、評者の評価がありません。「面白かった」「役に立った」といった感想を書いただけでは書評にはなりません。その本のどこが優れているのかを指摘しなければなりません。また、本に書かれていることと、評者の意見とが明確に区別されていない作品もかなりありました。この区別は明白でなければなりません。
 今回の受賞作のうち、優秀賞の『きっと君は泣く』は、応募作品の中では書評として最も整っていました。ただし、原作では愛と家族と性の問題が重要なテーマになっているのに、それに触れておらず、内容紹介に不足があります。そのため、最優秀作品とは認められませんでした。この優秀賞の受賞者は、昨年度、佳作入選でした。来年度はさらに上を目指して努力することを期待しています。
 佳作3作品のうちでは、『もの食う人びと』が最も高く評価されました。内容紹介はほぼ正確で、自分なりの評価を自信を持って述べています。しかしその感想は、貧しい国の人々のためになにかをしなければならない、といった上からの目線に止まっています。原作は1994年に書かれた警告の書で、「飽食の中にしのびよる飢餓」を予言しています。そのことに注目すれば、もう一歩踏み込んだ議論ができたはずです。『レンタル・チルドレン』は、未読の人に原作を読んでみようと思わせる力があります。しかし、一貫したテーマがある小説なのに、それがないように紹介しているのは、内容の理解が不十分であるといえるでしょう。『ドイツを変えた10人の環境パイオニア』は、書評としての形になっていることと、環境問題への意欲を買って佳作としました。しかし、内容紹介は目次を転記したにすぎず、そのうちの1章についての要約にも誤りがあります。  
 今回の応募作のうちには、図書の一部だけを読んで、あたかも全体を読んだように書いている作品がいくつもありました。当たり前のことですが、対象図書のすべてを読み、まずその全体がどのようなものか紹介することが必要です。「まえがき」と「あとがき」をなぞって書評をでっち上げるのは、最低の行為です。  
 以上の点を参考にして、次回以降もより多くの学生諸君から、より素晴らしい書評が出されることを願っています。








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