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お知らせ
2014.9.29
お知らせ・イベント
2014年度9月卒業証書・学位記授与式を執り行ないました
 9月27日(土)午前10時より、本学チャペルにて、卒業記念礼拝および9月卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
大西修 学院長と前田徹生 学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。
 本学の卒業生をどうぞよろしくお願い申し上げます。 

      大西修 学院長

      前田徹生 学長

2014年度9月卒業証書・学位授与式 式辞

 

 本日ここに集われた109名の学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。卒業と修了の式にあたり、これまで皆さんが尽くされてきた努力と研鑽に対し、桃山学院大学の教職員を代表して心からの敬意を表したいと思います。また、この日までの長きにわたって皆さんの勉学と研究を支え、励ましてこられたご家族の皆さんに対しても、心からのお慶びを申し上げます。
 

 さて、晴れて桃山学院大学を卒業するみなさんのキャンパス生活はいかがなものだったでしょうか。様々な思いで大学生活を振り返っていることと思います。のびのびとキャンパス生活を過ごし、大学生活を楽しく満喫したという方もおられるでしょう。君たちの先輩の卒業生が「桃大には勉強にしろ、遊びにしろ、学生がやりたいことを自由に挑戦できる環境があった。」と語っております。桃山学院大学の伝統にはこうしたリベラリズムの伝統が脈々と受け継がれております。私は、学びの場においてこの「自由」の風が吹いているということは極めて重要な意味を持つものであると考えております。学びにおける自由(=自主性)の大切さについて、世阿弥は、彼の著した秘伝書『至花道』の中で、本人が「やりたい」と心から思うことのない芸を「無主風」と呼び、そのようなものは決して客に感動与える芸とはならないと厳しく戒めています。言い換えれば、自分が心の底から「やりたい」「好きだ」という内発的動機づけがなければ何事も身につくものでは無いと言っております。親や先生、監督から無理やり押し付けられた習い事や勉強は、結局長続きせず本物になることはないのです。桃山学院大学の自由な校風は、自ら課題を見つけ、挑戦し、積極的に活動して、失敗や成功を経験しながら個性や才能を磨き上げ、人間力・社会人力を身に付けることができる“力”をもつものなのです。
 本学の卒業生数は今年の3月末で67,492名を数えます。今日、ここで卒業を迎える109名を加えますと67,601名となります。帝国データバンクの最新の調査によりますと、今年1月末までのデータで、社長職に就いておられる本学の卒業生は973名もおられます。大学ランキング2015では全国の大学で64位に位置しております。数の上での数字ですので、割合となるとさらに高い数字を示すことになるでしょう。
 社長職ばかりではありません。桃大生の活躍はいたるところで見聞きすることがあります。つい最近も、三菱東京UFJ銀行に所要で出かけた折、卒業後8年目にして支店長代理を務める卒業生にお会いしました。三菱東京UFJといえば、メガバンク中のメガバンク。著名な大学出身者がひしめく中で出世頭となって頑張っている、そんなみなさんの先輩もおられます。例をあげるとキリがないのですが、底力のある人間力・社会人力を身につけ、自律的・能動的でしなやかな精神力をもち、いたるところで活躍する卒業生の姿を見ることができます。人間力・社会人力に優れた桃大生を、私は勝手に桃山スピリットの持ち主と名づけているのですが、皆さんもまたこうした桃山スピリットの継承者なのです。


 さて、我々を取り巻く世界には多くの難題が待ち構えていております。まず、日本社会に目を向けてみますと、2011年の東日本大震災、今夏の広島大水害に象徴されますように繰り返される局地的大水害といったように、自然災害の多い日本では、災害への対策は避けて通ることのできない課題です。それは天災というよりも人災の要素が大きくからみ、我々の知恵で解決しなければならない問題でもあるのです。
 また、少子高齢化の波がひたひたと押し寄せてきています。2013年の調査では65歳以上の人口は3,186万人となり、総人口に占める割合は25.0%と過去最高を更新しました。現在の日本は、人口の4人に1人が高齢者という、超高齢化社会となっております。このままで推移しますと、2060年には65歳以上の高齢者が全体の約40%を占めると推計されています。こうした人口構成の変動は、年金・医療・福祉といった問題に深刻な影響を与えるばかりでなく、雇用問題、教育環境の変化など日本社会全体に大きな影響をもたらします。それだけに新鮮な発想力をもって、社会全体で取り組むべき重要課題といえましょう。
 世界に目を転じてみますと、国境を越えてヒト・モノが自由に行き来するグローバル化の流れが大きな潮流となって世界を席捲しつつあります。その効果は、必ずしもプラスの側面を有するばかりでなく、貧富の差を拡大し、環境や固有の文化を破壊するといった負の側面もあることも見過ごせません。グローバル化に対しても柔軟な発想でもってより深い知恵で対処しなくてはなりません。
 安全保障の面においても、中東地域への軍事介入で始まった欧米諸国を中心とする軍事戦略は、「イスラム国」を誕生させ、戦争が世界中に飛び火する可能性すら帯びてきました。ここでは「軍事力の限界」という問題を冷静に捉えなければならないと思います。
 こうした国内・国外に山積するさまざまな課題に対しては、既存の硬直した思考や解決方法でその解を見出すことはできません。柔軟な発想、創造的思考力、批判的精神、不屈の精神力といった桃山リベラリズムのなかで育まれる桃山スピリットこそが大きな力を発揮するのです。
 これからも自律的・能動的でしなやか精神力を特性とする桃山スピリットを胸に刻み、自信と誇りをもって日本に、世界に羽ばたいてください。そんなみなさんの前途が実り豊かで、悔いのない人生であることを祈念して、私からの式辞といたします。
 

 

2014年9月27日
桃山学院大学 学長
前田 徹生