- 名前
- 長尾 優輝
- 学部
- 経済学部 経済学科 中国ビジネスキャリアコース※ 2015年卒業
- 会社
- NK Wealth Management株式会社 代表取締役

在学中2度の中国留学を経験した長尾優輝さんは、中国語を生かして大手証券会社の就職面接を突破し、管理職目前の敏腕営業パーソンでした。管理職として営業ノルマ達成を部下に指示するより、「顧客に寄り添う資産運用を」と独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)に転身しました。個人事業主としてのIFAから、より幅広い業務を展開できる金融商品仲介業(IFA法人)・NK Wealth Management株式会社(本社・長崎市)を2024年4月、創業しました。創業メンバー4人のうち1人は、桃山学院大学の同期生。1年でメンバーは倍増の8人となり、大阪支店開設など業容の拡大も考えています。
中国語で就職面接
かつて経済学部にあった中国ビジネスキャリアコースで学び、中国南通市の南通大学に半年、さらに北京市の中央民族大学に1年間、交換留学しました。特に中央民族大学の1年間は、楽しかった思い出ばかりです。妻も中央民族大学で知り合った韓国人で、卒業後に結婚しました。
帰国後の就活では中国語を生かそうと、旅行業界と中国向けビジネスが盛んな半導体商社を中心に取り組み、内定をいただきました。ところがテレビ番組の証券業界の特集で、有能な社員たちが高め合っている証券会社の雰囲気を見て、そういう場に身を置きたいと感じました。証券大手3社にエントリーシートを提出したところ、SMBC日興証券だけ面接に進みました。
SMBC日興証券の面接では冒頭、中国語で話し始めました。インパクトを与えられるだろうと思ったのです。中国語は自己紹介だけでしたが、それが受けたようで内定をいただき、2015年、同社に入社しました。

桃大在学中の経験について、NK Wealth Managementのオフィスで伺いました
営業の第一線で活躍
配属されたのは大阪のあべのハルカス支店です。営業社員が100人近くもいる大型支店です。1年目は総務でしたが、2年目に営業に回りました。個人、法人区別なくまわる「飛び込み営業」です。自転車で地域を回りながら、片っ端から個人宅や中小企業を訪問します。当然のことながら、ほとんどが「今忙しい」「株屋に用はない」と、なかなか話を聞いてもらえません。そのうちに、お断りされても気にならなくなりましたが、半年間、新規の取引口座を1件も開設できない状況が続きました。それでも同支店の同期入社7人に負けたくない一心で休日も飛び込み営業を続けた結果、半年後に数件の新規口座を獲得できました。
口座を開いてくださった方からの紹介で徐々に営業が軌道に乗り始めました。また、飛び込み営業をしながら「他の証券会社で運用している」などの情報をリストアップしていき、再度訪問してみるなどの方法で口座獲得のコツをつかんでいきました。3年目、4年目は営業成績優秀者として社内表彰も受けました。4年目には海外研修の機会もいただき、ドイツ、ルクセンブルグでSMBC日興証券が扱っているファンドの運用会社を訪問しました。
信頼を大切にする証券マンに
営業力の基盤は初任地の大阪で身に付けました。もっとも印象に残っているのは、初めて口座を開設していただいた税理士さんです。私の商品知識などを評価してくださったのではなく、「顧客である自分のことを本当に考えている」と、信頼していただいたことが決め手でした。相手のことを考える営業、それが今につながっている私の基本姿勢です。
あべのハルカス支店で4年過ごした後、長崎支店に異動しました。県内全域を担当する支店です。私はあべのハルカス支店の営業成績が評価され、筆頭セールスマンとして長崎支店の大口顧客である公益法人や事業会社を担当しました。債券を中心とした資産運用や本業の支援を行うソリューション提案などに取り組みました。長崎支店に3年半在籍しその間にも社長表彰を受賞、次の異動が見えてきました。
管理職ではなく顧客本位の営業を
次なる任務は、課長となり部下を指導する立場になる予定でした。第一線のプレイヤーではなく、部下の指導が中心になります。証券会社は顧客にとって本当に必要な商品提案だけでなく、会社として販売に力を入れる推奨商品のセールスも求められます。部下に、推奨商品の販売ノルマを達成させる役割も担うことになります。ですが、推奨商品の中には、「自分自身が買うか?」と問われれば、正直自分なら選ばないだろうと感じるものもあり、そうした商品を勧めることには強い抵抗を覚えました。これまでの7年半の営業マン生活で、「顧客にとって本当に良いもの」を第一に考えて提案してきました。ですが、それをこの先も変わらず続けていくことが難しくなると感じました。そして同時に、大企業という組織の中で、この方針を根本から変えることは簡単ではないと痛感しました。

顧客にとっての「ベスト」を、常に考えながら仕事をしてきた長尾さん
独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)に転身
IFAは日本のいわゆる証券会社とは異なり、複数の金融機関と提携し、幅広い金融商品からお客様に最適な商品を選定します。転勤がないので、生涯サポートをします。お客様の資産が増えれば、自ずと自分の報酬も増えます。顧客と利害が一致するのです。
2022年に7年半務めたSMBC日興証券を退職し、IFAに転身しました。不安はありましたが、当時長崎県には私が知る限り証券会社出身のIFAは一人もおらず、思い切って飛び込めば「ブルーオーシャン(競争の少ない事業分野)」でもあると考えました。長崎県のIFAのパイオニアとして2年間で150件ほどの顧客を獲得できました。
顧客のためにも法人化
独立後は個人事業主としてIFAの仕事を順調に続けていましたが、「もし私が倒れたりしたら、顧客に迷惑をかける」と気づき、法人化してチームで動いたほうが良いと考えました。1人でやっていると考え方がワンパターンになりがちで、複数で考えた方が提案の幅が広がることも期待できます。
金融商品仲介業は財務局の登録免許が必要です。その申請は証券会社を通じて行わなければなりません。取引実績があり信頼してもらっていた証券会社2社に協力してもらいましたが、1年がかりでした。
2024年4月に開業。創業メンバーは私と日興証券の同期1人、桃山学院大学の同級生の証券会社OBと、長崎の証券会社出身者の4人です。社名は私の苗字のイニシャルNと、創業メンバーの名前の共通点であるKからつけました。
法人化の効果は予想通りでした。安心感が増しましたし、地元のメディアが取り上げてくれ、ブランディングにもプラスになっています。同じ志を持つSMBC日興証券の後輩も加わり、1年で2倍の8人になりました。8月には保険代理店の登録も行い、証券だけでなく保険もラインナップして顧客のニーズに対応していく予定です。

創業メンバーで、同じく本学卒業生の若村副社長(左)と。※撮影は、大阪・あべのキャンパス
九州を拠点に
長崎は自然が豊かで、子ども(9歳、7歳、1歳)の子育てもしやすいです。他府県出身者を快く受け入れる雰囲気もあり、長崎で腰を据えて会社を大きくしていきたいと思っています。 社員のうち4人は大阪を拠点に営業活動をしており、将来は大阪にも店舗を開設する予定です。リモート中心の営業、対面中心の営業と、それぞれ手法は異なりますが、全員が「お客様の人生に寄り添う」という考えで、セールスというよりコンサルタントという姿勢で日々業務を行っています。九州に本社を構えるIFA法人は数十社あります。ここ長崎の地から、金融サービスの質と仲介預かり残高において九州No.1の地位を確立できるよう努力していきます。
※経済学部 中国ビジネスキャリアコースは現在、募集しておりません。
(※この内容は2025年8月取材時のものです。)