ビジネスデザイン学部は企業から提示していただいた課題の解決を目指すビジネスプランの策定など実践的な学びが特色です。社会人の基準に達するプランを練るためには、業界動向や消費傾向の調査、事業の狙いと需要の見通し、収支計画など幅広い準備が必要で、学生たちは入学直後から精力的に努力を続けます。バスケットボール選手だった同学部4年次の園山翔琉さんは大けがをきっかけに「大学で徹底して学ぼう」とビジネスデザイン学部のオープンキャンパス・模擬授業に何度も参加して、同学部への進学を決めました。

スポーツ一筋だった高校までの生活

高校までスポーツ一筋でした。中学では学校の部活だけでなく地域のクラブチームでも活動し、競技に打ち込みました。高校は、一緒に練習してもらった強豪高校に「推薦してください」と頼み込んで、チームメイトと一緒に進学。入学後は練習に励み、試合にも出られるようになったのですが、高3春の練習中に怪我をしてしまい選手を続けることができなくなりました。その後、負けず嫌いな性格が故にマネジャーとして部活は続けましたが、「いいタイミングかもしれない。新しいことに挑戦しよう」と、進学して勉学で頑張ることにしました。
ビジネスデザイン学部のオープンキャンパスには毎回参加し、模擬授業の常連でした。学びの内容を理解した上で入学してみて、「頑張れば応援してくれる人が必ずいる」環境は期待どおりでした。

コンテストがきっかけで商品を開発・販売

1年次の冬、ビジネスデザイン学部の教員が個人で主催するビジネスプランコンテストに参加しました。需要が冬場に集中する上に、年々売上高が減少している堺市のこんにゃく製造企業への提案が課題でした。同社が一度は挑戦して失敗した「こんにゃく入りスムージー」を「凍らせてアイスにしたらいい」と考え、夏向けの氷菓にリニューアルする企画を提案しました。試食するとシャリシャリした食感が好評で、コンテストで優勝しました。
この商品企画をその後2年をかけてさらに磨き上げ、こんにゃく粉とリンゴジュースを混ぜて冷やした「フルッペ」という商品に仕上げました。アイスクリームに入っている凝固剤をこんにゃく粉に置き換えることで、食物繊維が多く健康的でムニュムニュした独特の食感になりました。私が食品衛生管理者の資格を取り、イベントなどで販売しています。今後は販路を広げ、ネット販売にも挑戦したいと思っています。

「のめるアイス」として商品化、販売しているフルッペ

〝厳しい先生〟のゼミを選びNPOへ提言

当時、「フルッペ」はビジネスデザイン学部初の開発商品だったようで、開発・販売の過程をまとめて卒業論文にすればいい、と勧めてくれる先生もいました。ただ、様々な学びに触れたい、もっと学びを高めたいと考えていた私は、「厳しさ」を求めて岩田千栄美先生のゼミに所属し、学びを広げる道を選びました。
岩田ゼミでは3年次、社会人が専門性を生かすボランティア活動・プロボノの参加者を学生にも広げる「ユース・プロボノ」の立ち上げに携わりました。岩田先生がプロボノをコーディネートしている特定NPO法人サービスグラント事務局から相談を受けて実現したそうです。私たち学生は、ビジネスデザイン学部がある大阪市阿倍野区内の地域活動団体の支援に実際に取り組むことでプロボノを体験、学生にとっても有意義で挑戦しがいのある活動だと考えました。しかし、活動にあたって支援対象団体への聞き取りや提案内容の説明など経験の少ない学生には難しく、「大人」の助言が欠かせないと痛感し、サービスグラント事務局スタッフなどが介入する仕組みを用意したうえで、ユース・プロボノを制度化するよう提言しました。

3年次にゼミで取り組んだ「ユース・プロボノ」立ち上げに向けたプロジェクト。
実際にプロボノを体験することで課題を洗い出し、提言に結びつけた。

採用難の中小企業を支える方法を提案へ

今は、中小企業の新卒採用における課題解決をテーマとして、4人グループで卒業研究に取り組んでいます。近畿経済産業局が実施している、圏内の中小企業と大学生のマッチングを図る事業に岩田先生が協力することになったのをきっかけに、私たちの卒業研究としてもこのテーマを扱うことになりました。
大手企業が積極的に採用しているため、学生の立場において就職は「売り手市場」ですが、中小企業は大卒生の採用に苦慮しているそうです。中小企業、中でも消費者との接点がないBtoBの事業を展開する企業は学生に認知されにくく、確固たる経営基盤を持ち、業績も堅調な企業であっても、新卒採用に課題を感じている現状があります。
大企業志向ではなく、やりがいや事業の成長性などを評価する学生も少なくないはずなので、学生がどのような機会に中小企業を認知するのかについてのアンケート調査なども行い、優良な中小企業の名前を学生に浸透させ、やりがいを求める大学生とどのようにマッチングすることができるか、研究を進めていく予定です。

4年次には、後輩の課題解決をサポートしながら自身の卒業研究を進める毎日を過ごしている。

組織の中で成長していきたい

ビジネスデザイン学部は起業を目指す学生が多いというイメージを持たれているかもしれませんが、私は大きな組織の中で、先輩や上司など経験を積んだ人たちにもまれて実力をつけていきたいと考えています。大学入学後の学びの中で、先生や企業の方など関わってくださった大人からスキルや経験を学べたと実感しているからです。40~50歳のころを見据えた長期のことはまだ考えられませんが、これから5~10年の間は企業の中に入り、周りの人たちから学んでいくつもりです。そのため、現在は「営業職で、自分が成長できる環境」という思いで、多くの先輩から学ぶことができる規模の企業を目標に、就活に取り組んでいます。

▼参考
フルッペ(開発当時の商品名は、ふるにゃくシャイク)を取り上げた記事
※外部サイトにリンクします
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000108870.html


(※この内容は2025年10月取材時のものです。)

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