【研究活動】
プロジェクト活動概要
2019年度 共同研究プロジェクト活動概要
共同研究プロジェクトの制度は、1975年に学際的研究または専門を異にする研究者の共同研究を支援するために設置されました。今年度は下記の プロジェクトが活動を行います。
<17共255>
研 究 テ ー マ :21世紀の日本の安全保障(V) 英 文 テ ー マ :Japan’s Security in the 21st Century(V) 研 究 期 間 : 2017年4月〜2020年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
今や、アジア・太平洋地域秩序の脆弱性は急速に高まってきた。強力な核戦力の存在のため、事実上、大国間での大戦争ができない
結果、殺戮と破壊そして戦争特需が創出できない。そのため、構造的に世界的なデフレが深まるなか、欧州は金融経済危機の中にあ
り、米国の構造的危機も深まっている。米国ではポピュリズムが強くなり、従来のエリート主導による国際主義的な対外政策が維持で
きなくなる可能性が出てきた。必然的に、日米同盟に依存してきた我が国の安全保障も根本から揺さぶられる懸念が出てきた。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
メンバーの専門分野を生かし、それぞれの立場から21世紀の日本の安全保障を考えていく。そして専門分野の異なるもの同士による議論を通して、多面的な問題の把握を行い、
それぞれの安全保障論を深めていきたい。そのためには、通常の研究発表だけではなく、日本の防衛産業の現場見学、自衛隊や米軍基
地の見学を通じて知見を高めるとともに、研究合宿を行い徹底的に討論する場を設けたい。 |
共同研究の内容および効果
多様な専門分野の研究者による研究は、日本の安全保障を多面的にとらえることを可能にする。それは単に政治・外交・軍
事面のみに限定されず、経済や歴史やイデオロギー面にも広げた形での安全保障政策の提言へとつながっていくと考えられ
る。 |
<17共257>
研 究 テ ー マ :文科系総合大学におけるリテラシー教育の実践的研究(2) 英 文 テ ー マ :Applied research of literacy education in university(2) 研 究 期 間 : 2017年4月〜2020年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
2014年の中央教育審議会答申『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について』および、2016年の高大
接続システム改革会議最終報告などに象徴されるように、大学教育を研究者コミュニティによる「高等教育」という位置づけから中等
教育段階に続く「第三段階教育」と捉えなおす社会的要請が加速してきている。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
第一年度(2017年度)では、15共247の成果物である教材・プログラムを実際に試用することにより、その実効性と限界を確認すると同時に、実際の大学生活でどのよう
なアカデミック・ライティングの技能が必要とされるか、学生・教職員へのアンケート調査を行う。また、数学教授学や図書館情報学
などの近隣分野に応用可能な概念がないか文献調査を進める。 |
共同研究の内容および効果
本研究では、学生に文章を書かせるという営みについて深く内省することにより、なぜ・何を・どのように教えるかについ
て形式知化することにより、より学生が認知しやすい形となるようアカデミック・ライティング教育を改善し続ける。この繰
り返しは単に講義時間だけでなく、図書館や学習支援センターでの自習支援との連携も視野に入れる。この繰り返しによって
ノウハウ・教材の蓄積と形式知化を進める。 |
<18共263>
研 究 テ ー マ :大学での学びを下支えする要因の分析研究 英 文 テ ー マ :Analytical Studies of Essential Factors underpinning learning for University Students 研 究 期 間 : 2018年4月〜2021年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
本研究は、本学学生を対象として、その成長に必要な基本的要因を分類整理し、効果的な対応方法を模索することを目的としている。申請者の一部は、本学学生の予備的観察を通
じて、通説的に提唱され、実践されている初年次教育やキャリア教育には、基本的な問題点が存在し、その解消こそが、教育成果をよ
り一層効果的にするのではないか、との仮説を持つに至っている。本研究は、第一に通説にない基礎的要因の重要性を検討し、理論的
な考察を行う。第二に、学生が社会に通用する能力を修得するために、得られた基礎的要因をどのように授業に反映させていくかを、
実験授業等を通じて研究する。対象としては、大学教育の入り口である初年次教育と、出口に位置づけられるキャリア教育の2つに絞
り検討するが、発展的には、専門教育や学外教育等にも成果を拡張することを意図している。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
2018年度 研究班の共通認識の醸成と仮説の理論的背景の確認、及び実験授業の設計と予備検証 |
共同研究の内容および効果
初年度は、仮説提唱者がこれまで行ってきた初年次教育・キャリア教育での取り組みを班内で照会するとともに、班員それぞれの
立場から、批判的に議論したい。ある程度成果が固まったところで、班員それぞれの立場・専門から、成果をどのように個々の教育活
動に反映できるかを考察し、展開可能性を模索する。このプロセスは、班員のみならず他の本学教員に本研究の成果を普及する試験的
試みととらえている。 |
<18共264>
研 究 テ ー マ
:大学サッカー選手の静的・動的バランス能力に関する研究 英 文 テ ー マ :Study on balance abilities of static and dynamic in university’s football players. 研 究 期 間 : 2018年4月〜2021年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
競技スポーツ選手には、スポーツ種目に限らず、高いバランス能力が不可欠である。バランス能力には静的バランスと動的バランスがある。体操競技や
アーチェリー、および剣道
等の個人競技では、動的バランス能力よりむしろ高い静的バランス能力が重要であるが、高い動的バランス能力は必要ないということ
にはならない。サッカー、野球、バレーボール、およびバスケットボール等の集団競技についても、同じことが言える。特にサッカー
のような競技では、一見高い動的バランス能力は必要不可欠であるが、静的バランス能力はあまり必要としないと考えられがちであ
る。しかし、サッカー競技中の姿勢安定性は重要であり、静的・動的バランスの如何に問わず、いずれも重要な能力である。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
2018年度 |
共同研究の内容および効果
静的・動的バランス能力は、主に高齢者の転倒予防を評価する能力として、重心動揺計による各軌跡長や面積、およびステップ反応テ
ストによる移動の反応時間が用いられている。近年におけるバランス能力に関する研究では、高齢者においては性差が認められること
や、運動習慣の有無によって異なることが明らかにされている。若年者における研究では、性差がないこと、および定期的な運動習慣
の有無では差が認められるといったことが報告されている。しかし、サッカー選手のバランス能力については必ずしも明らかにされて
いるとは言えない。仮説として、サッカー選手は静的バランス能力に優れており、且つ、動的バランス能力にも優れているのではない
かと考えている。本研究結果において、サッカー選手の静的・動的バランス能力が一般学生や他の競技選手より優れているとすれば、
コンディショニング等の一つ有効な指標となりえるものと考える。 |
<18共265>
研 究 テ ー マ
:都市財政における新しい社会的リスクへの対応状況 英 文 テ ー マ :A study of urban fiscal policy in New social risk 研 究 期 間 : 2018年4月〜2020年3月(2ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
本研究では、都市財政の現状と課題を、新たな方法論を駆使した実態分析を通じて「可視化」することを目的とする。具体的には、次の3点の課題に取り組む。すなわち、@都
市内における財政需要の地理的分布を、住民属性と住民が抱える多様なニーズを踏まえながら経年で分析する。Aいわゆる「新しい社
会的リスク」を踏まえた経費分類を通じて、都市財政(基礎自治体)が果たしている機能と役割について実態的に検証する。B外部委
託の現況を把握することで、基礎自治体における政策ネットワーク(基礎自治体・民間事業者・地縁的、機能的非営利団体間の関係)
を分析する。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
2018年4月以降、基本的に毎月、研究会を実施。 |
共同研究の内容および効果
本研究の研究実施に当たっては、大別すると以下のステップを通じて行う。 |
<19共269>
研 究 テ ー マ :発展途上国における世帯資産評価と起業行動に関する実証的研究
-ミャンマー・マンダレー近郊農村の事例調査を中心に- 英 文 テ ー マ :Study of assets evaluation of families and startup in a developing country ?case of Myanmar, Mandalay- 研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
東南アジアやアフリカ諸国のような経済的に未発達な地域においては、貨幣のみでは収入や資産などを正しく評価することは困難であ
る。しかし、このような地域での経済的活動を正当に評価するためには当該地域における経済的な評価方法が一定程度確立される必要
がある。本研究は、このような経済的未発達地域において今後貧困から起業を経て経済的に発展していくための地域条件を探りたい。
Morduchら(2009)は、南アフリカやバングラデシュといった国でファイナンスダイアリーという手法で貧困層の家計戦略
を聞き取っている。彼らの研究によると、地域特性により物的資源、不確実性の原因、資産の蓄積方法、人
口密度、インフラストラク
チャ等の相違により、資産の内容が異なり、評価の内容も異なっている。本研究では、Morduchら(2009)の研究の妥当性
を検証しながら、どの要因がどのように資産の増減・保証といった家計戦略に影響を及ぼすのかを明らかにする。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
2019年4月から2022年3月までの3年間で複数地域・複数世帯の家計調査を行う。 |
共同研究の内容および効果
ミャンマーでは農業が主な産業となっている。室屋先生は東南アジアでの豊富な活動や、第1次産業から6次産業化につい
ての研究を進めていることから、本研究の成果は今後の研究にとっての基盤となるものであり、適任である。櫻井先生は国際
経営の研究視点から、特に最貧困地域とされるミャンマーについてはより客観的なアドバイスがいただけることと、調査票の
作成、改善といった点から指摘がいただける。金子先生は、協力隊員時代にセネガルの農村で女性グループと一緒にマイクロ
ファイナンスについての経験があり、本研究の実現可能性を高めることに貢献していただける。山田先生は、ミャンマーのマ
ンダレー近郊を調査した経験から、マイクロファイナンスが活用できれば多くの起業機会が存在することを確認してきた。そ
のため、起業の条件に興味を持っている。ミャンマーにおける起業や産業は経済的に見ても注目されており、本研究の成果
は、他の多くの視点からの基礎的研究という意味がある。 |
<19共270>
研 究 テ ー マ :人文・社会科学におけるテキストマイニングの適応可能性 英 文 テ ー マ :Adaptation possibility of text mining in the human and social science 研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
コンピューターによる計算技術の向上により、文章をデータ化することが可能になった。文章に代表されるテキストデータを品詞分
解した上でより高度な分析を実行して新たな知見を得る。こうした一連を総称してテキストマイニングという。これまでは
Twitterでのつぶやきなどから顧客の嗜好をつかむマーケティングの世界を中心に活用されていたが、近年、思想史などデータ
分析を主流としない研究分野においてもテキストマイニングを活用した研究業績がみられるようになってきた。現在はまだ萌芽的段階
だが、これからますます重要性を増す分析手法になると思われる。本研究では経済学・法学・政治学・宗教学・歴史学・思想史・哲
学・倫理学・教育学など、人文および社会科学系諸領域でテキストマイニングにもとづいた分析を試みる。その中で、これまでにない
知見が得られるのか? テキストマイニングでは未解明な問題はどこにあるのか?
人文・社会科学系領域におけるテキストマイニングの分析射程を明らかにするのが本研究の目的である。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
本研究に参加する各メンバーはテキストマイニングの手法に習熟しているわけではない。そのため、1年目では外部講師を複
数招いてテキストマイニングの発想方法や分析結果の解釈について研鑽を積むことに主眼を置く。それと同時に、テキストマイニ
ングはテキストデータ作成にかなりの時間を要するため、テキストデータの作成に注力する。2年目以降は各メンバーがテキスト
データにもとづいて解析作業を行い、年に4回程度の研究会を開催して解析結果を共有しつつ、分析射程を明らかにしていく。そ
の際、必要に応じて分析手法に関する勉強会も開催する。 |
共同研究の内容および効果
本研究の最大の効果は統一的な分析手法による学問間の相互理解にある。人間社会が成熟しグローバル化が進展する中で、学問分野固有の問題が明確になりにくくなってきてい
る。これは当然学際的研究の必要性の高まりを示唆するものであるが、その際、各学問領域の専門用語を並べるだけでは学際的研究と
は言えない。無論、学際的課題について各専門領域の立場でどう理解するかという視点は重要であるが、次の段階として何らかの意味
で統一的視点によって分析する必要がある。本研究は各専門領域をテキストマイニングという統一的手法で再検証することで各専門領
域間の接合を図るとともに、学際的領域や各専門領域での新たな課題の発見など、多岐にわたる効果が期待できる。 |
<19共271>
研 究 テ ー マ
:近代日本の社会問題とそれへの対応 英 文 テ ー マ :Social Problems and Countermeasures in pre-war Japan 研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年) |
---|
研究スタッフ、研究課題および 役割分担 |
研究の目的・特色
近代日本の人々は、様々な社会問題を抱えていた。伝染病や貧困はその最たる例である。こうした問題に対しては、政府は内務省を中心に対策をとってきた。伝染病対策では衛生
委員や市町村衛生吏員、警官が活躍した。貧困対策では、恤救規則や労働者疾病保険、工場法、救護法などに基づき、労働者や生活困
窮者の生活支援を行った。しかしこうした政府の側の対応のみでそうした問題が解決されてきたわけではない。政府の政策を受容する
中で住民の間には、例えば労働運動や衛生組合、方面委員にみられるような活動が登場するのである。特に衛生組合や方面委員といっ
た取り組みに関しては従来の研究で取り上げられることは多くはない。もしくはその実態は不明な点が少なくないのである。そこで本
研究は、従来の研究動向に衛生組合や方面委員などの視点を加味して、近代日本の社会問題の諸相やそれへの対応を解明しようとする
ものである。 |
研究プログラム (計画・スケジュール)
<2019年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批 |
共同研究の内容および効果
本研究は、近代日本の社会問題に政府と住民の視点から接近しようとするものである。社会問題は、古今東西かならず存在し、また住民生活そのものであることから、実態の解明
は容易ではない。そのため社会問題の原因やそれへの対応などを解明しようとする際には、研究上の工夫が必要となる。政治家、官
僚、社会運動家、労働者・職工そして住民など、学際的な視点が求められるのである。本研究では従来から取り上げられてきた官僚や
労働者、社会運動家等の視点に、住民の視点を加えて、近代日本の社会問題の位置づけやそれへの対応を解明するものである。住民の
視点を取り上げる際、注目されるのが従来の労働運動等に加えて衛生組合や方面委員などである。 |