【研究活動】

プロジェクト活動概要

2019年度 共同研究プロジェクト活動概要

共同研究プロジェクトの制度は、1975年に学際的研究または専門を異にする研究者の共同研究を支援するために設置されました。今年度は下記の プロジェクトが活動を行います。


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研 究 テ ー マ :21世紀の日本の安全保障(V)
英 文 テ ー マ :Japan’s Security in the 21st Century(V)
研 究 期 間 : 2017年4月〜2020年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・望月 和彦 経済学部教授
            : 戦間期におけるわが国の安全保障政策から現在の安全保障政策を考える
     ・櫻井 雄大 経済学部講師 : コンピューター・シミュレーションを使った紛争の研究
     ・松村 昌廣 法学部教授
           : 日米同盟の制約と日本の選択肢−−共同・連携作戦を中心に
     ・田代 昌孝 経済学部教授 : 地方財政と安全保障
     ・澤田 鉄平 経済学部准教授 : 日本の防衛産業
     ・村山 高康 本学名誉教授 : 冷戦後の国際関係分析と日米中の安全保障体制構想の研究
     ・鈴木 博信 本学名誉教授
           : 日本の安全保障にかかわる一要素としてのロシアの伝統的な「西方観」と安保意識
     ・藤森 かよ子 福山市立大学名誉教授
           : リバタリアニズムから見た日本の安全保障―政治哲学的アプローチから―
     ・伊藤 カンナ 名古屋大学大学院経済学研究科准教授
           : 西洋経済史からみた日本の安全保障
     ・吉川 丈 大阪府立大学経済学研究科准教授 : ゲーム理論を用いた安全保障分析
     ・星川 大祐 本学キャリアセンター事務課職員 : 冷戦後の日米安全保障体制と東アジア
     ・捧 堅二 大和大学政治経済学部准教授、本学兼任講師 
           : 冷戦後のアメリカ、日本、中国の安全保障体制を中心とした国家体制の比較分析

      
研究の目的・特色

 今や、アジア・太平洋地域秩序の脆弱性は急速に高まってきた。強力な核戦力の存在のため、事実上、大国間での大戦争ができない 結果、殺戮と破壊そして戦争特需が創出できない。そのため、構造的に世界的なデフレが深まるなか、欧州は金融経済危機の中にあ り、米国の構造的危機も深まっている。米国ではポピュリズムが強くなり、従来のエリート主導による国際主義的な対外政策が維持で きなくなる可能性が出てきた。必然的に、日米同盟に依存してきた我が国の安全保障も根本から揺さぶられる懸念が出てきた。
  他方、中国はその輸出市場である米国および欧州の経済的停滞から従来の製造業の輸出主導路線は維持できなくなり、過剰生産力を抱えて、失業などによる国内的不満が高まって いる。現共産党政権は社会政治的な不安定性を制御しようと、ナショナリスティックな対外政策を強めている。
  具体的には、軍拡を続ける一方、南シナ海(南沙・西沙諸島)と東シナ海(尖閣列島)における領有権を主張するため、法執行機関の艦船による挑発的かつ強圧的な行動をとり続 けている。南シナ海では数多くの人工島を急激に造成し、軍事施設・拠点を建設している。また、中国海軍艦船は従来の活動範囲を大 きく超えて、我が国の南西諸島を横切る形で西太平洋上まで進出し、軍事演習を行うようになった。
  さらに、台湾に対しては経済関係を拡大しつつ、台湾の自国に対する依存度を高めさせ、着実に中台統一に布石を打っている。
  朝鮮半島においては、北朝鮮が2016年になって二度の核爆発実験と数多くのミサイル発射実験を行い、核兵器の実用化を急速に進展させた模様である。一旦実用化されれば、 日本が享受する米国の拡大核抑止にも疑問が生じざるをえなくなる。
  このように日本の安全保障をめぐるリスクが急激に高まっている国際関係の変化を踏まえると,日本は否応なく独自の対策を考えざるをえない。また、当面、米国に依存してきた 安保政策は急激に転換できないことから、米国の軍事力を補完するように防衛力を強化せざるをえない。
  とはいえ、わが国は少子高齢化とデフレ経済化が同時に進行するデフレ経済のなか、財政的制約も大きい。また、現実的な安保政策へ転換するには、長年に亘って現憲法下で課さ れて来た法的制約や国民世論の制約も非常に大きい。
  本プロジェクトは、これからのわが国の安全保障について、これまで先行のプロジェクトで行ってきた以上に、どのような具体的な施策が必要かつ可能かという視点から、多面的 に考察、提言することを目的とする。

研究プログラム (計画・スケジュール)

  メンバーの専門分野を生かし、それぞれの立場から21世紀の日本の安全保障を考えていく。そして専門分野の異なるもの同士による議論を通して、多面的な問題の把握を行い、 それぞれの安全保障論を深めていきたい。そのためには、通常の研究発表だけではなく、日本の防衛産業の現場見学、自衛隊や米軍基 地の見学を通じて知見を高めるとともに、研究合宿を行い徹底的に討論する場を設けたい。
 また、日本の安全保障を具体的に担っている防衛省や外務省のスタッフに対するインタビューも行い、変化しつつある安全保障環境 の中で日本の安全保障を彼らがどう認識し、どう対応しようとしているのかを研究していきたい。さらには、日本の主要同盟国である アメリカ、さらには韓国、台湾、ベトナムなどの安全保障担当者や国際関係の専門家に対するインタビューも行いたい。
  具体的には、初年度は、アメリカでの政権交代など、国際安全保障情勢が大きく変化する可能性があることから、その方向性の分析を行う。次年度は、そうした変化に伴う影響を 考察する。さらに、第三年度は、新たな環境に対する日本の外交安全保障政策に関する評価を行う。
  これらの研究発表、討論、インタビューなどの情報収集を積み重ねることにより、今後の採るべき日本の安全保障政策についてできるだけ具体的な施策を見出していきたい。

共同研究の内容および効果    

 多様な専門分野の研究者による研究は、日本の安全保障を多面的にとらえることを可能にする。それは単に政治・外交・軍 事面のみに限定されず、経済や歴史やイデオロギー面にも広げた形での安全保障政策の提言へとつながっていくと考えられ る。
  この共同研究の成果は基本的に個々人の研究成果となると思われるが、その際、草稿を回覧してコメントを加えるなどして、研究会や合宿での知見や議論を反映するように心がけ る。
  参加者の中には、学術論文だけではなく、当プロジェクトの研究会での討論や研究成果を踏まえて、内外の新聞やテレビ報道番組を利用して、解説や提言を行うものがいる。
 これらの側面を相乗効果を高めることで、研究成果を拡大させ深化させていきたい。

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研 究 テ ー マ :文科系総合大学におけるリテラシー教育の実践的研究(2)
英 文 テ ー マ :Applied research of literacy education in university(2)
研 究 期 間 : 2017年4月〜2020年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・藤間 真 経済学部教授
           : 全体調整、情報リテラシー教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・山本 順一 経営学部教授 : 図書館情報学の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・井田 憲計 経済学部准教授 : 統計教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・巖  圭介 社会学部教授 : 環境教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・中村 恒彦 経営学部教授 : 会計学教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・篠原 千佳 社会学部准教授
                     : グローバル化社会における社会学教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・村上 あかね 社会学部准教授
                                               : 量的リテラシー教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・大村 鍾太 経営学部准教授  : ITリテラシー教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・櫛井 亜依  共通教育機構契約教員
                                                : アカデミック・ライティングの立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・横山 泰三 学習支援センター契約教員
                                                : アカデミック・ライティングの立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・長内 遥香 学習支援センター契約教員
                                                : アカデミック・ライティングの立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・向村 九音 共通教育機構契約教員
                                               : アカデミック・ライティングの立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・横山 恵理 本学非常勤教員
                                               : アカデミック・ライティングの立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・吉弘 憲介 経済学部准教授 : 経済学教育の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・高良 要多 本学教務課職員 : 教務課の立場からの情報収集・教材作成・実践
             ・福山 正和 本学教育支援課学習支援センター職員
                                                       : 学習支援センターの立場からの情報収集・教材作成・実践

      
研究の目的・特色

  2014年の中央教育審議会答申『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について』および、2016年の高大 接続システム改革会議最終報告などに象徴されるように、大学教育を研究者コミュニティによる「高等教育」という位置づけから中等 教育段階に続く「第三段階教育」と捉えなおす社会的要請が加速してきている。
  このような流れの元、我々も、先行する15共247(文科系総合大学におけるリテラシー教育の実践的研究)において、新科目『レポート入門』に代表されるアカデミック・ラ イティング教育へのルーブリックの導入による講義内容の可視化向上やラーニング・コモンズ的な学習支援機構と正課科目の連携につ いて実践的研究を遂行することにより、一定の成果を得てきた。
  しかし、その中で、学生たちがその必要性を認知できないがゆえに形式的にやりすごしてしまうという「真正性」の問題や各講義における「レポート」という講義の多義性などに より、既存の方向性によるアカデミック・ライティング教育には、改善の余地の多いことも明らかになってきた。
  また、研究メンバーの他の研究により、上述の改善のポテンシャルを持つ方向性として数学教授学および図書館情報学の応用の可能性が示唆されてきた。
  この様な知見のもと、新しい大学教育の方法論を第一期よりさらに広く逍遥した上で実際に教育実践する事を通じて、その汎用的有効性の個別具体的な事例への対応ノウハウを形 式知化することを試みること、そしてその試行錯誤を通じて先述した問題点の解決法を模索することが本研究の目的である。背景とす る学問分野の異なる研究スタッフ及び学習支援施設の担当職員が集まって、その知見を共有しようというところに本研究の特色があ る。

研究プログラム (計画・スケジュール)

  第一年度(2017年度)では、15共247の成果物である教材・プログラムを実際に試用することにより、その実効性と限界を確認すると同時に、実際の大学生活でどのよう なアカデミック・ライティングの技能が必要とされるか、学生・教職員へのアンケート調査を行う。また、数学教授学や図書館情報学 などの近隣分野に応用可能な概念がないか文献調査を進める。
  第二年度(2018年度)においては、教材・プログラムの改善を図ると同時に、近隣分野の応用可能概念をアカデミック・ライティングに応用することに努める。
  第三年度(2019年度)においては、近隣分野の知見のアカデミック・ライティングへの応用についてさらに追求すると同時に、それを盛り込むこと により教材・プログラムの 更なる改善を図り、最終論文の執筆の準備を進める。
※定期的な研究会(学期中2月に一度、夏休みと春休みに合宿)の他、学外の研究会への参加等を随時実施し、考察を進める。

共同研究の内容および効果    

 本研究では、学生に文章を書かせるという営みについて深く内省することにより、なぜ・何を・どのように教えるかについ て形式知化することにより、より学生が認知しやすい形となるようアカデミック・ライティング教育を改善し続ける。この繰 り返しは単に講義時間だけでなく、図書館や学習支援センターでの自習支援との連携も視野に入れる。この繰り返しによって ノウハウ・教材の蓄積と形式知化を進める。
? この共同研究によって、汎用的横断的な教育手法を文科系総合大学が内包する幅広い学問分野それぞれに適合させるノウハウ、学生や講義に応じて適切な大学教育手法を選択する 幅と選択のノウハウについての知見が広がることが期待される。更に、汎用的な視点から自己の教育活動を再編成すること と、他分野研究者の再編成のプロセスに関与することにより、各教育スタッフの研究内容についても新しい方向性の萌芽が示 唆されることも期待される。


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研 究 テ ー マ :大学での学びを下支えする要因の分析研究
英 文 テ ー マ :Analytical Studies of Essential Factors underpinning learning for University
        Students

研 究 期 間 : 2018年4月〜2021年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・辻  洋一郎 経済学部教授 : 研究統括
        ・巖 圭介 社会学部教授 :  統括補佐
         ・藤間 真 経済学部教授 : 数学教育の見地からの考察
         ・吉弘 憲介 経済学部准教授 : 経済学の見地からの考察
         ・木村 佳弘  経済学部准教授 : 経済学教育の見地からの考察
         ・西ア 勝彦  経済学部講師 : 教養教育の見地からの考察

      
研究の目的・特色

  本研究は、本学学生を対象として、その成長に必要な基本的要因を分類整理し、効果的な対応方法を模索することを目的としている。申請者の一部は、本学学生の予備的観察を通 じて、通説的に提唱され、実践されている初年次教育やキャリア教育には、基本的な問題点が存在し、その解消こそが、教育成果をよ り一層効果的にするのではないか、との仮説を持つに至っている。本研究は、第一に通説にない基礎的要因の重要性を検討し、理論的 な考察を行う。第二に、学生が社会に通用する能力を修得するために、得られた基礎的要因をどのように授業に反映させていくかを、 実験授業等を通じて研究する。対象としては、大学教育の入り口である初年次教育と、出口に位置づけられるキャリア教育の2つに絞 り検討するが、発展的には、専門教育や学外教育等にも成果を拡張することを意図している。
 

研究プログラム (計画・スケジュール) 

  2018年度 研究班の共通認識の醸成と仮説の理論的背景の確認、及び実験授業の設計と予備検証
         (研究会・合宿研修、及び実験授業の予備的実施)
  2019年度 実験授業での検証と理論考察(研究会・合宿研修、及び実験授業の実施)
  2020年度 実験授業での検証と拡張性の検討(合宿研修、及び実験授業の実施)

共同研究の内容および効果

  初年度は、仮説提唱者がこれまで行ってきた初年次教育・キャリア教育での取り組みを班内で照会するとともに、班員それぞれの 立場から、批判的に議論したい。ある程度成果が固まったところで、班員それぞれの立場・専門から、成果をどのように個々の教育活 動に反映できるかを考察し、展開可能性を模索する。このプロセスは、班員のみならず他の本学教員に本研究の成果を普及する試験的 試みととらえている。


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研 究 テ ー マ :大学サッカー選手の静的・動的バランス能力に関する研究
英 文 テ ー マ :Study on balance abilities of static and dynamic in university’s football players.
研 究 期 間 : 2018年4月〜2021年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者   ・松本 直也 経済学部准教授 : 研究の総括、およびサッカー選手のバランス 測定
      ・竹内 靖子 社会学部准教授 :  一般学生のバランス測定
      ・義永 忠一 経済学部准教授 : 一般学生のバランス測定
      ・上野 勝男 経済学部准教授 : 一般学生のバランス測定
      ・川野 裕姫子 本学非常勤講師 : 測定結果の分析
      ・松浦 義昌 本学非常勤講師 : 測定結果の分析
      ・平井 博志 大阪府立大学非常勤講師 : サッカー選手のバランス測定
      ・内田 雄 仁愛女子大学専任講師 : 測定結果の統計解析
      ・出村 慎一 金沢大学客員研究員 : 測定結果の統計解析
      ・吉村 雅文 順天堂大学教授 : サッカー研究に関する知識提供

      
研究の目的・特色

  競技スポーツ選手には、スポーツ種目に限らず、高いバランス能力が不可欠である。バランス能力には静的バランスと動的バランスがある。体操競技や アーチェリー、および剣道 等の個人競技では、動的バランス能力よりむしろ高い静的バランス能力が重要であるが、高い動的バランス能力は必要ないということ にはならない。サッカー、野球、バレーボール、およびバスケットボール等の集団競技についても、同じことが言える。特にサッカー のような競技では、一見高い動的バランス能力は必要不可欠であるが、静的バランス能力はあまり必要としないと考えられがちであ る。しかし、サッカー競技中の姿勢安定性は重要であり、静的・動的バランスの如何に問わず、いずれも重要な能力である。
  本研究では、大学サッカー選手の静的・動的バランス能力について、重心動揺量とステップ反応テストから検討する。

研究プログラム (計画・スケジュール) 

 2018年度
   サッカー選手と一般学生を対象に、健康度・生活習慣調査を実施し、両者の基本的な健康度・
   生活習慣を把握し考察する。また、重心動揺計を用いて静的バランス能力測定を測定する。
 2019年度
   サッカー選手と一般学生を対象に、ステップ反応テストを用いて、動的バランス能力を測定する。
 2020年度
   両者を対象にディジョックボードを用いて、動的バランス能力を測定する。
   サッカー選手と一般学生を比較し、サッカー選手の静的・動的バランス能力について評価する。

 【付加された内容:2019年度申請書より】
 昨年度は、ステップ反応テストを用いて、動的バランス能力(敏捷性)を測定した。
 今年度は、重心動揺計を用いて、静的バランス能力測定を実施する。
 次年度は、新規の動的バランステストを用いて、動的バランス能力を測定し、総合的に
 大学サッカー選手のバランス能力について評価する。

共同研究の内容および効果

  静的・動的バランス能力は、主に高齢者の転倒予防を評価する能力として、重心動揺計による各軌跡長や面積、およびステップ反応テ ストによる移動の反応時間が用いられている。近年におけるバランス能力に関する研究では、高齢者においては性差が認められること や、運動習慣の有無によって異なることが明らかにされている。若年者における研究では、性差がないこと、および定期的な運動習慣 の有無では差が認められるといったことが報告されている。しかし、サッカー選手のバランス能力については必ずしも明らかにされて いるとは言えない。仮説として、サッカー選手は静的バランス能力に優れており、且つ、動的バランス能力にも優れているのではない かと考えている。本研究結果において、サッカー選手の静的・動的バランス能力が一般学生や他の競技選手より優れているとすれば、 コンディショニング等の一つ有効な指標となりえるものと考える。

【付加された内容:2019年度申請書より】
  昨年度は、大学サッカー選手の動的バランス能力測定を行い、テストの信頼性を検討した。大学サッカー選手の動的バランス能力 は、一部の指標では信頼性が認められなかった。しかしながら、ポジションにより動的バランス能力は異なることが明らかになった。 今年度は、静的バランス能力測定を行い、静的・動的バランス能力の関係性について考察する。


<18共265>

研 究 テ ー マ :都市財政における新しい社会的リスクへの対応状況
英 文 テ ー マ :A study of urban fiscal policy in New social risk
研 究 期 間 : 2018年4月〜2020年3月(2ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・木村 佳弘 経済学部准教授 : 予算分析、研究取りまとめ
         ・大倉 季久 社会学部准教授 :  都市における社会的リスクの研究
        ・吉弘 憲介 経済学部准教授 : GIS分析
         ・竹原 憲雄 本学名誉教授 : 委託費研究
        ・松本 淳 大阪市立大学経済学部准教授 : (専攻)財政学・社会保障論 (分担)予算分析
         ・水上 啓吾 大阪市立大学院創造都市研究科准教授
                                                                  : (専攻)財政学・都市政策  (分担)委託費研究

      
研究の目的・特色

 本研究では、都市財政の現状と課題を、新たな方法論を駆使した実態分析を通じて「可視化」することを目的とする。具体的には、次の3点の課題に取り組む。すなわち、@都 市内における財政需要の地理的分布を、住民属性と住民が抱える多様なニーズを踏まえながら経年で分析する。Aいわゆる「新しい社 会的リスク」を踏まえた経費分類を通じて、都市財政(基礎自治体)が果たしている機能と役割について実態的に検証する。B外部委 託の現況を把握することで、基礎自治体における政策ネットワーク(基礎自治体・民間事業者・地縁的、機能的非営利団体間の関係) を分析する。
 本研究は都市の多様な財政需要の変容(@)とそれに対応する自治体の経費状況・執行の実態(A、B)について検証する。得られ た知見をもとに財政学、財政社会学、ならびに地方財政論における経費論への貢献を目指す。

 【付加された内容:2019年度申請書より】
都市農村比較の観点から農村自治体の分析を加える。
このため、2019年度に予定していた調査先に、都市部以外の中山間地域を追加する。

研究プログラム (計画・スケジュール) 

 2018年4月以降、基本的に毎月、研究会を実施。
 2018年後期に大阪市において福祉・介護・保育事業に関連する部局へのヒアリング調査を予定
 2019年前期に中間報告の実施
 2019年後期に国内政令市でのヒアリング調査を予定
 
 【付加された内容:2019年度申請書より】
 当初、中間報告を2019年前期と記載していたが、2018年度秋に吉弘により、成果報告を実施する。
報告は、桃山学院大学・啓明大学校共同研究報告会において、実施予定。

共同研究の内容および効果

 本研究の研究実施に当たっては、大別すると以下のステップを通じて行う。
ステップ1:都市財政における予算を「新しい社会的リスク」への対応を念頭に分類する
ステップ2:その供給者としての外部委託の実態を明らかにする
ステップ3:空間的な供給情報を、GISソフトを用いてマッピングすることで視覚化する。これにより、都市財政による歳出につい て、都市住民のニーズとの対応状況を、量的・空間的に明らかにすることを可能とする。
 地方財政において、予算分析の手法は手詰まり感もある中、本研究はこの行き詰まりを乗り越える可能性を秘めている。また、大阪 市およびその他の地方財政、地域政策へのフィードバックが期待される研究であり、今後、注目される手法となると考えられる。

<19共269>

研 究 テ ー マ :発展途上国における世帯資産評価と起業行動に関する実証的研究 -ミャンマー・マンダレー近郊農村の事例調査を中心に-
英 文 テ ー マ :Study of assets evaluation of families and startup in a developing country ?case of Myanmar, Mandalay-
研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・室屋 有宏 経営学部教授 :  リーダー、総括、調査票・現地調査・報告書担当
       ・濱村 純平 経営学部講師 : 進捗管理、連絡・調整、会計担当
       ・山田 伊知郎 経営学部教授 : 進捗管理、連絡・調整、現地調査・報告書担当
       ・櫻井 結花 経営学部准教授 : 調査票・報告書担当
       ・横山 泰三 本学共通教育機構講師 : 現地調査・報 告書担当
       ・関 浩成 新協工業所社長 : ミャンマーの起業/現地調整
        ・須田 敏彦 大東文化大学・教授 : 南アジア経済論/研究助言
        ・金子 あき子 龍谷大学講師 :  調査票・現地調査・報告書担当

      
研究の目的・特色

  東南アジアやアフリカ諸国のような経済的に未発達な地域においては、貨幣のみでは収入や資産などを正しく評価することは困難であ る。しかし、このような地域での経済的活動を正当に評価するためには当該地域における経済的な評価方法が一定程度確立される必要 がある。本研究は、このような経済的未発達地域において今後貧困から起業を経て経済的に発展していくための地域条件を探りたい。 Morduchら(2009)は、南アフリカやバングラデシュといった国でファイナンスダイアリーという手法で貧困層の家計戦略 を聞き取っている。彼らの研究によると、地域特性により物的資源、不確実性の原因、資産の蓄積方法、人 口密度、インフラストラク チャ等の相違により、資産の内容が異なり、評価の内容も異なっている。本研究では、Morduchら(2009)の研究の妥当性 を検証しながら、どの要因がどのように資産の増減・保証といった家計戦略に影響を及ぼすのかを明らかにする。

研究プログラム (計画・スケジュール)

2019年4月から2022年3月までの3年間で複数地域・複数世帯の家計調査を行う。
2019年度は、調査票の作成、ミャンマーの対象地域および調査対象家族の選定を行う。同時に調査対象家族には年2回訪問するこ とにより、経過観察を行う。
2020年度は、年2回の調査を継続的に行うとともに、データ蓄積・時系列分析を行い、その結果を経営システム学会等で報告す る。2021年度は、学会における最終報告と論文作成を行う。

共同研究の内容および効果    

 ミャンマーでは農業が主な産業となっている。室屋先生は東南アジアでの豊富な活動や、第1次産業から6次産業化につい ての研究を進めていることから、本研究の成果は今後の研究にとっての基盤となるものであり、適任である。櫻井先生は国際 経営の研究視点から、特に最貧困地域とされるミャンマーについてはより客観的なアドバイスがいただけることと、調査票の 作成、改善といった点から指摘がいただける。金子先生は、協力隊員時代にセネガルの農村で女性グループと一緒にマイクロ ファイナンスについての経験があり、本研究の実現可能性を高めることに貢献していただける。山田先生は、ミャンマーのマ ンダレー近郊を調査した経験から、マイクロファイナンスが活用できれば多くの起業機会が存在することを確認してきた。そ のため、起業の条件に興味を持っている。ミャンマーにおける起業や産業は経済的に見ても注目されており、本研究の成果 は、他の多くの視点からの基礎的研究という意味がある。

<19共270>

研 究 テ ー マ :人文・社会科学におけるテキストマイニングの適応可能性
英 文 テ ー マ :Adaptation possibility of text mining in the human and social science
研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・中村 勝之 経済学部教授 : 教学IR活動におけるテキストマイニング
       ・石川 明人 社会学部准教授 :  宗教学・戦争論関連のテキスト分析
       ・天本 哲史 法学部准教授 : 判例研究におけるテキストマイニング
        ・梅田 百合香 経済学部教授 : 思想史研究におけるテキストマイニングの意義と課題
         ・角谷 嘉則  経済学部准教授 : 地域商業のアンケート調査におけるテキストマイニング
        ・塚田 鉄也 法学部准教授 :  国際関係論におけるテキストマイニング
            ・辻 高広 国際教養学部准教授 : 中国近代史研究におけるテキストマイニング
             ・西ア 勝彦 経済学部講師 : 経済学実験におけるテキストマイニング
             ・早川 のぞみ 法学部准教授 : 法哲学研究におけるテ キストマイニング
             ・豆原 啓介  経済学部講師 : 歴史資料解釈におけるテキストマイニングの応用

      
研究の目的・特色

 コンピューターによる計算技術の向上により、文章をデータ化することが可能になった。文章に代表されるテキストデータを品詞分 解した上でより高度な分析を実行して新たな知見を得る。こうした一連を総称してテキストマイニングという。これまでは Twitterでのつぶやきなどから顧客の嗜好をつかむマーケティングの世界を中心に活用されていたが、近年、思想史などデータ 分析を主流としない研究分野においてもテキストマイニングを活用した研究業績がみられるようになってきた。現在はまだ萌芽的段階 だが、これからますます重要性を増す分析手法になると思われる。本研究では経済学・法学・政治学・宗教学・歴史学・思想史・哲 学・倫理学・教育学など、人文および社会科学系諸領域でテキストマイニングにもとづいた分析を試みる。その中で、これまでにない 知見が得られるのか? テキストマイニングでは未解明な問題はどこにあるのか? 人文・社会科学系領域におけるテキストマイニングの分析射程を明らかにするのが本研究の目的である。
 

研究プログラム (計画・スケジュール) 

  本研究に参加する各メンバーはテキストマイニングの手法に習熟しているわけではない。そのため、1年目では外部講師を複 数招いてテキストマイニングの発想方法や分析結果の解釈について研鑽を積むことに主眼を置く。それと同時に、テキストマイニ ングはテキストデータ作成にかなりの時間を要するため、テキストデータの作成に注力する。2年目以降は各メンバーがテキスト データにもとづいて解析作業を行い、年に4回程度の研究会を開催して解析結果を共有しつつ、分析射程を明らかにしていく。そ の際、必要に応じて分析手法に関する勉強会も開催する。

共同研究の内容および効果

 本研究の最大の効果は統一的な分析手法による学問間の相互理解にある。人間社会が成熟しグローバル化が進展する中で、学問分野固有の問題が明確になりにくくなってきてい る。これは当然学際的研究の必要性の高まりを示唆するものであるが、その際、各学問領域の専門用語を並べるだけでは学際的研究と は言えない。無論、学際的課題について各専門領域の立場でどう理解するかという視点は重要であるが、次の段階として何らかの意味 で統一的視点によって分析する必要がある。本研究は各専門領域をテキストマイニングという統一的手法で再検証することで各専門領 域間の接合を図るとともに、学際的領域や各専門領域での新たな課題の発見など、多岐にわたる効果が期待できる。

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研 究 テ ー マ :近代日本の社会問題とそれへの対応
英 文 テ ー マ :Social Problems and Countermeasures in pre-war Japan
研 究 期 間 : 2019年4月〜2022年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者  ・小島 和貴 法学部教授 : 行政史
         ・島田 克彦 経済学部教授 :  都市史
         ・瀧澤 仁唱 法学部教授 : 労働運動・労働法
        ・鈴木 康文 法学部講師 : 法制史

      
研究の目的・特色

  近代日本の人々は、様々な社会問題を抱えていた。伝染病や貧困はその最たる例である。こうした問題に対しては、政府は内務省を中心に対策をとってきた。伝染病対策では衛生 委員や市町村衛生吏員、警官が活躍した。貧困対策では、恤救規則や労働者疾病保険、工場法、救護法などに基づき、労働者や生活困 窮者の生活支援を行った。しかしこうした政府の側の対応のみでそうした問題が解決されてきたわけではない。政府の政策を受容する 中で住民の間には、例えば労働運動や衛生組合、方面委員にみられるような活動が登場するのである。特に衛生組合や方面委員といっ た取り組みに関しては従来の研究で取り上げられることは多くはない。もしくはその実態は不明な点が少なくないのである。そこで本 研究は、従来の研究動向に衛生組合や方面委員などの視点を加味して、近代日本の社会問題の諸相やそれへの対応を解明しようとする ものである。

研究プログラム (計画・スケジュール) 

<2019年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批   
     判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。研究報告は2か月に一度を予定する。
<2020年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批   
     判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。研究報告は2か月に一度を予定する。   
     研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。
<2021年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批 
     判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。研究報告は2か月に一度を予定する。    
     研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。また本研究の総括を行う。

共同研究の内容および効果

  本研究は、近代日本の社会問題に政府と住民の視点から接近しようとするものである。社会問題は、古今東西かならず存在し、また住民生活そのものであることから、実態の解明 は容易ではない。そのため社会問題の原因やそれへの対応などを解明しようとする際には、研究上の工夫が必要となる。政治家、官 僚、社会運動家、労働者・職工そして住民など、学際的な視点が求められるのである。本研究では従来から取り上げられてきた官僚や 労働者、社会運動家等の視点に、住民の視点を加えて、近代日本の社会問題の位置づけやそれへの対応を解明するものである。住民の 視点を取り上げる際、注目されるのが従来の労働運動等に加えて衛生組合や方面委員などである。
本研究の成果は、学術論文等の形で随時公表することを予定する。