【研究活動】

共同研究プロジェクト活動概要

2019年度 地域社会連携研究プロジェクト活動概要

2002年度に地域社会と連携した共同研究を推進するために、共同研究プロジェクトの中に「地域社会連携研究プロジェクト」を設置しました。今 年度は下記のプロジェクトが活動を行います。


<17連258>

研 究 テ ー マ : 天変地異の社会学X
英 文 テ ー マ : Research on social phenomenon based on natural disasters X
研 究 期 間 : 2017年4月 〜 2020年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

 代表者 ・青野 正明 国際教養学部教授 : 植民地朝鮮における天変地異と新宗教団体の研究
      ・辻 高広 国際教養学部准教授 : 近代中国における天変地異と経済の研究
      ・串田 久治 国際教養学部教授 : 中国における災異思想と政治的「予言」の研究
      ・深見 純生 国際教養学部元教授 : インドネシアにおける天変地異と「予言」の研究
      ・青山 亨 東京外国語大学教授 : 古代ジャワ文学における天変地異と「予言」の研究
      ・シントンフォン 愛媛大学教授 : 中国仏教における天変地異と「予言」の研究
      ・細井 浩志 活水女子大学教授 : 日本における天変地異と「予言」の研究
      ・佐々 充昭 立命館大学教授 : 朝鮮朝における天変地異と「予言」の研究
      ・一色 哲 帝京科学大学教授 : 日本における天変地異とキリスト教の研究

      
研究の対象とする地域:日 本・中国・朝鮮・インドネシア・台湾・シンガポール・マレーシア
研究の目的・特色

 本研究は、先の「天変地異の社会学T〜W」の発展的継続研究である。これまでの研究で次第に明らかに なっていったが、天変地異 が必ずしも天禍として忌避されるのではなく、天の恵みとして受け入れられている地域もあることが判明した。天変地異の解釈が宗教 と深く関与していること、天変地異は必ずしも災いではなく、恩恵として認識されていることなどの発見があり、中国・台湾・インド ネシア・韓国での調査では、それぞれの地域と時代によって天変地異は違った解釈を生み出しているという事実が明らかとなった。こ のことは、日本国内の調査(長崎・壱岐・対馬・沖縄・奄美大島)によって、更に明らかとなった。
 その間、本プロジェクトは、海外の研究者と意見交換しているときに、日本の場合、仏教・神道だけでなく、キリスト教も調査の対 象にすることや、近代中国で天変地異が経済にもたらした影響(これらは正史などに記録がある)も視野にいれてはどうかと指摘を受 けていた。2014年度より一色哲氏に参加していただき、キリスト教が天変地異に重要な社会的役割をもっていることが解明しつつ ある。また、2016年度より本学に赴任された辻高広氏(中国近代史)に加わっていただいたき、近代中国における天変地異と経済 の側面からの研究を加え、より層の厚い研究成果が期待できる。

研究プログラム(計画・スケジュール)

今期の計画は、これまでの研究成果を出版することである。

1年次:南京大学を訪問して范金民教授と意見交換をし、南京地域の天変地異について調査する。
2年次:本プロジェクトのこれまでの研究成果を整理し、出版計画を具体化する。
3年次:より広い読者層を対象にした一般書を出版する。

共同研究の内容および効果

  東アジアの自然観を「天変地異」を通して総合的に解明した研究はこれまで皆無である。古来人々
を最も苦しめた天変地異に知識人はいかに取り組んだか、換言すればいかに合理的に説明したか、時
に「予言」という神秘性を付与しながら人々に納得できる理論を打ち立てた点を究明することによって、
『聖書』に見える「ナビ(知識人)」が政治を批判し道徳を問題にした発言を繰り返す「反体制的な
存在」であった(チョムスキー)ことと考え合わせるなら、東アジアに通底する天変地異観から人類
に普遍的な思考のためのモデルを打ち立てることができるであろう。
  同時に、それぞれの地域で展開される独自性に注目することによって、東アジアを「中国文化圏」
あるいは「儒教文化圏」という一括りにして論ずる安易な文化論に軌道修正を促すことができる。


<17連259>

研 究 テ ー マ : Locavestingの考え方に基づく関西、中・四国地域経済圏の地域再生のための金融的方策の研究
英 文 テ ー マ :Research of financial schemes based on Locavesting concept for
       revitalization of the Kansai district and the Chugoku-Shikoku district
       economies

研 究 期 間 : 2017年4月〜 2020年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者 ・中野 瑞彦 経済学部教授 : 本プロジェクトの取りまとめ役とし て、研究・調査計画の立案・
                            実行および研究成果の取りまとめを担当
    ・金光 明雄 経営学部准教授 : 研究・調査に関する助言、研究成果に関するコメントおよび
                     本プロジェクトの会計を担当
    ・松尾 順介 経営学部教授 : 調査活動の企画・実行および本プロジェクトで実施する研究会
                    の企画・調整を担当
    ・四宮 章夫 弁護士 : 調査研究全般に対する助言、インタビュー調査先の紹介、研究会企画
                 および参加、研究成果に対するコメント
    ・赤井 厚雄 早稲田大学研究院客員教授 : 調査研究全般に対する助言、インタビュー調査先
                          の紹介、研究会企画 および参加、研究成果に対するコメント
    ・田頭 章一 上智大学法科大学院教授 : 調査研究全般に対する助言、インタビュー調査先
                         の紹介、研究会企画 および参加、研究成果に対するコメント
    ・大杉 謙一 中央大学大学院法務研究科教授 : 調査研究全般に対する助言、インタビュー
                      調査先の紹介、研究会企画 および参加、研究成果に対するコメント
    ・梅本 剛正 甲南大学法科大学院教授 : 調査研究全般に対する 助言、インタビュー調査先
                            の紹介、研究会企画 および参加、研究成果に対するコメント
    ・有岡 律子 福岡大学経済学部教授 : 調査研究全般に対する助言、インタビュー調査先
                            の紹介、研究会企画 および参加、研究成果に対するコメント
    ・高田 賢治 大阪市立大学法学部・大学院法科研究科教授 : 調査研究全般 に対する助言、
                            インタビュー調査先の紹介、研究会企画 および参加、研究成
                           果に対するコメント

      
研究の対象とする地域:日本、西日本地域並びに関西地域
研究の目的・特色

  本研究の目的は、日本国内、特に関西経済圏並びに中・四国経済圏において地域に蓄積された資金を地域資源の発掘・育成のために投資する金融・投資スキームのあり方を研究 し、地域活性化に資することである。ここで重要なことは、地域資源として、観光資源や特産物に限定するのではなく、地域に貢献す る地域人材、農林水産業を含む地元の産業、地域で培われたインフラやコミュニティ、さらには技術や文化を包括するとともに、財政 資金ではなく、民間の資金を導入する視点を設定することである。その際、最近欧米で注目されている”Locavesting”概 念およびこれに基づく取り組みが先行事例となると考えられることから、これを踏まえた上で、関西経済圏並びに中・四国経済圏の地 域活性化のための金融・投資スキームのあり方を調査・研究する。

研究プログラム(計 画・スケジュール)

2017年度: 既存の金融・投資スキームの現状と課題の調査(現地調査を含む)。
2018年度:地域活性化の取り組みにおける行政・補助金が与える影響の分析(現地調査を含む)。
2019年度:上記の調査・分析結果を踏まえた上での、望ましい民間資金供給のあり方の検討(現地調査を含む)。

共同研究の内容および 効果

  第一に、従来の地域活性化に関する金融関係の研究は、地方金融機関を中心とした銀行融資の分析が主であり、クラウドファンディン グや投資ファンドを含む金融・投資スキーム全般に関する研究はほとんどないに等しい状況であり、本研究はこの分野の研究の嚆矢と 位置付けられる。
 第二に、地域活性化に関する金融・投資スキームに関して、現場の実態調査を中心とした調査・研究を試みることによって、デー タ・統計分析では得られない成果が期待できる。具体的には、様々な金融・投資スキームの特徴や性格を考察することで、地域活性化 における金融・投資スキームの分布・取組状況を明確にすることができる。これによって、地域活性化とりわけ西日本地域・関西地域 における金融・投資スキームの充足度が明らかになるものと思われる。
 第三に、本研究を政策的な提言につなげることが期待できる。現時点では、各金融・投資スキームには、共同・連携するような枠組 みがなく、それぞれが個別的に取組を進めているが、それぞれの特徴を組み合わせた取組が行われることで、シナジー効果が発揮でき る可能性がある。また、これによって、政府の補助金支出が抑制される効果も期待できる。さらに、より適切で効果的な行政支援のあ り方を構想できることも期待される。本研究は、そのような政策的提言の基礎となりうるものと考えられる。


<17連260>

研 究 テ ー マ : 大学教育における南近畿の地域文化資源の掘り起こし・保存・活用の研究
英 文 テ ー マ : A Study on University Education for Discovery, Preservation, and Use of           Regional Cultural Resources in South Kinki
研 究 期 間 : 2017年4月 〜 2020年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者 ・井上 敏 経営学部准教授 : 博物館学・文化財学からの総合検討、国内外の実態調査
    ・梅山 秀幸 国際教養学部教授 : 南近畿の歴史および歴史資料の掘り起こし
    ・村中 淑子 国際教養学部教授 : 文化資源としての南大阪および和歌山の方言の研究
    ・和栗 珠里 国際教養 学部教授 : 文化遺産の現況の世界と日本の比較
    ・今澤 浩二 国際 教養学部教授 : 和歌山県とトルコの文化交流および中近東の文化
                        資源の現況
    ・片平 幸 国際教養学部准教授 : 南大阪および和歌山の寺院および寺院址の研究
    ・島田 克彦 経済学部教授 : 南近畿の歴史および歴史資料の掘り起こし
    ・笠谷 和比古 本学客 員教授 : 歴史学の視点から見た南近畿の文化資源の掘り起こし
    ・山内 章 本学客員教授 : 南近畿の有形文化財の現況調査
    ・河田 昌之 和泉市久保惣記念美術館館長 : 和泉市における文化資源の掘り起こし
    ・橋詰 文之 和泉市久保惣記念美術館副館長 : 和泉市における文化資源の掘り起こし
    ・後藤 健一郎 同学芸員 : 和泉市における文化資源の掘り起こし
    ・上仁 理恵子 同学芸員 : 和泉市における文化資源の掘り起こし
    ・白石 耕二 和泉市市役所職員 : 和泉市における文化資源の掘り起こし
    ・五月女 賢司 吹田市博物館学芸員 : 地域資料の教育的活用と人材育成の研究
    ・尾谷 雅彦 河内長野市立図書館地域文化遺産啓発専門員
                        : 河内長野市における文化資源の掘り起こし

      
研 究の対象とする地域:南 大阪・和歌山・熊本・鳥取、韓国・台湾
 【付加された内容:2019年度申請書より】沖縄・西日本・北陸・東北
研究の目的・特色

  2011年度より2期、計6年にわたって井上・梅山を中心に、対象を和泉市、そしてやや広げた南大阪において、「地域文化の掘り 起こし・保存・活用の研究」を行ってきた。その研究の成果をまとめつつ、さらに発展させるべく、2017年度からはより地域を広 げて「大学教育における南近畿の地域文化資源の掘り起こし・保存・活用の研究」という課題のもとで、共同研究を続ける。折から、 大学が白浜市および日高川町とも提携協定を結んだこともあり、南近畿における唯一の私立総合大学としてこの地域の文化資源の集積 を目指して研究を深めていきたい。
 また本学では学芸員課程を設けてその充実をはかっているが、2015年度からは日本国際文化学会が認定する「文化交流創生コー ディネーター」資格の参加校にもなっている。南大阪および和歌山県に存在する博物館、歴史・文化資料館との積極的な交流を通して 学生の教育に資したい。更に、現在の学術の状況では、地域を考える上では世界の研究の動向を踏まえねばならないことはいうまでも ない。歴史的にも、日本の諸地域は世界の諸地域とつながりをもってきた(堺は世界と交易を行ってきたし、海難事故をきっかけとし た串本市とトルコは交流を続けている)。
 そのうえ、不幸なことに日本は地震大国であり、2016年度だけでも熊本と鳥取を地震が襲い、多くの文化財が被害を受けた。江 戸時代、和歌山南部の町々は大津波の被害を受けてほぼ壊滅したが、見事に復興を遂げた。むしろ、地震・津波を契機にして串本の無 量寺の円山応挙と長沢芦雪の記念碑的な絵画作品をもつこととなる。自然あるいは人為の災害によって文化資源のこうむる被害の過去 と現在の状況を調査・考察する過程で世界の状況も必然的に視野に入れざるを得なくなる。この方面での海外の研究者との交流も不可 欠であり、I.Sによる文化資源の意図的な破壊ももちろん起こりうる問題として取り上げざるをえない。文化資源が文化資源である からこそ破壊するvandalism(非文化的蛮行)を、われわれの研究理念の対極にあるものとして確認しておく必要がある。
 上記の世界の各地域にもアンテナを張って、研究者を招き、またこちらから出向いて調査することもあり、これまでも台湾、東京で 行って来たように、国際シンポジウムを開くことも視野に置いている。

 【付加された内容:2018年度申請書より】
また、韓国は地域ごとに国立博物館を作っているが、その実態を知り、地域との関係構築および地域の大学との連携の在り方について 調査をする。
台湾では、山内・井上を中心にして、2016年にはシンポジウムを行った。そこで構築した研究者
との関係を持続的なものとして、意見交換を行いたい。


研究プログラム(計 画・スケジュール)

  南大阪における地域文化資源の掘り起こしを継続するとともに、それと並行して、日高川町および白浜市を中心とした和歌山県の地域 文化資源の掘り起こしを進めていく。
2017年度:
   5〜6月―日高川町および白浜市の史家あるいは学芸員の方を招いて南近畿研究会(2〜3回)
    ロンドン大英博物館の葛飾北斎展(日本文化の国際的な受容を調査。日本の文化資源は普遍的足り
    うるか)
   8〜9月―和歌山県での現地調査(1〜3回)
    イタリア・ナポリ近郊の遺跡調査(2011年に実施したものの6年後の状況を調査。発掘調査しつつ、
   その状況を公開する模範的な例であり、金剛寺などの地域の文化財の修復のやり方に参考となる)
   10 〜12月―南近畿研究会(2〜3回)
   1〜2月―南近畿研究会(1〜2回)
   3月―シンポジウム
★熊本、鳥取における地震からの復興状況の調査
   (これについては、2016年度から急遽はじめたもので、継続的に行っていく。不幸なことであり、
   そうならないことを願ってやまないが、この地域がいつ同じように被災するか予見できない)
2018年度:
  南近畿の地域文化資源の掘り起こし
   地震に見舞われた地域の復興状況の調査
2019年度:
   南近畿の地域文化資源の掘り起こし
   地震に見舞われた地域の復興状況の調査
   中近東の平和が回復されれば、パルミール遺跡の破壊状況を踏査(現実的には文献による研究になる
   可能性が高い)

 【付加された内容:2019年度申請書より】
中近東及びパルミール遺跡の調査については現実的に平和が回復されたとは言えない状況のため、日本国内の南近畿以外の地域の 調査に変更する。

共同研究の内容および効果

  和泉市、河内長野市、泉大津市との連携協力関係をさらに深め、南大阪の他の自治体とのネットワークを構築するとともに、あらたに 和歌山県の文化資源の掘り起こしを進めていくことで、南近畿での地域貢献をはたし、この大学が位置し、主な学生の出身地であるこ の地域での認知度を向上させることが出来る。「南―北問題」は世界で問題にされ、イタリアでも問題にされるが、より身近な大阪の 日々痛感させられている問題でもある。南大阪の地域文化振興を桃山学院大学が中心になって果たすことにより、北との地域としての 優勢の逆転をはかる土台をつくる。
 文化資源の情報の集積を果たして、それを教育プログラムに組み入れることにより、豊富なコンテンツを学生の教育に提供できるよ うになる。 


<17連261>

研 究 テ ー マ : 水インフラ整備更新の課題と展望
英 文 テ ー マ : Perspectives on Water Infrastructure Maintenance and Replacement
研 究 期 間 : 2017年4月 〜 2020年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・井田 憲計 経済学部准教授 : 水インフラと産業連関分析
    ・澤田 鉄平 経済学部准教授 : 水インフラと建設業
    ・荒木 英一 経済学部教授 : 水インフラと計量分析
    ・大島 一二 経済学部教授 : 中国・日本のインフラ
    ・田代 昌孝 経済学部教授 : 水インフラと地方財政
    ・望月 和彦 経済学部教授 : 水インフラの制度と歴史
    ・矢根 真二 経済学部教授 : 水インフラと経済分析
    ・井田 大輔 経済学部准教授 : 水インフラと金融・マクロ経済学
    ・櫻井 雄大 経済学部講師 : 水インフラと経済情報処理
    ・中村 恒彦 経営学部教授 : 水インフラと会計制度
    ・M村  純平 経営学部講師 : 水インフラと管理会計
    ・天本 哲史 法学部准教授 : 水インフラと法制度
    ・小島 和貴 法学部教授 : 水インフラと行政制度
    ・竹原 憲雄 本学名誉教授 : 水インフラと地方財政
    ・吉川 丈 本学非常勤講師 大阪府立大学准教授 : 水インフラと経済分析
    ・野田 知彦 大阪府立大学教授 : 水インフラと地域労働
    ・岡村 誠 学習院大学教授 : 水インフラと地域経済
    ・登り山 和希 長崎ウエスレヤン大学准教授 : 水インフラと地方自治体の国際協力事業
    ・田村 剛 鳥取短期大学助教 : 水インフラと地域経済
    ・孟 哲男 大阪商業大学研究員 : 中国・日本のインフラ

      
究の対象とする地域:関西・日本・アジア諸国
研究の目的・特色

 本研究は、前身にあたる14連238「水インフラ整備の課題と展望」の後継的な研究と位置づけられる。3年間の成果として、産 官学各方面にネットワークは広がり、発信された成果を知った行政現場がアドバイスを求めて実際に本学を来訪するまでになってい る。研究の対象と成果が社会的ニーズの高い的を射た適切なものであった証左であろう。以下、改めて新規申請にあたっての目的と特 色を述べる。
 中国やインドの経済成長や人口増加に伴い、世界的な水不足・水危機の進行が指摘される中、国際貢献および国際ビジネスの両面に おいて日本のインフラ輸出への期待が高まりつつある。しかし同時に、高度成長期に急速に整備された日本の水インフラはすでに老朽 化のピークを迎えつつあり、増加する自然災害への対策や耐震強化どころか、財政的には施設の維持さえままならない事業体や自治体 が少なくないのが現状であろう。すなわち、日本国内でも事業規模・経営効率性・料金等の大幅な地域格差を無視できなくなりつつあ り、これまでの規制の仕方や法律の在り方自体の根本的な見直しが迫られているのである。
ゆえに本研究の目的は、こうした関西および全国の地域格差や各地域固有の問題分析を通じ日本のインフラ行政を再検討することによ り、今後の地域および国際的なインフラ整備に貢献することである。引き続き上水道に焦点を当てつつ、農業用水・工業用水・下水道 でも同様に、老朽化や料金等の複数指標を活用した地域格差の総合的な分析は、これまでの研究には見出し難い独自の特色であると考 える。

研究プログラム(計画・スケジュール)

 17年度は、事業体の事例研究やデータに基づく実証研究、あるいはその基盤となっている法制度やその理論モデルや歴史等、各自 が興味と比較優位を有する分析対象と方法・資料に関して情報交換・共有を深化させる。
 18年度は、基本的な問題、たとえば事業収益や料金等の成果指標の地域格差や地域固有問題について、各自の分析成果を照らし合 わせ、できる限り集約する。
 19年度は、上記の成果指標だけでなく、各事業体が置かれている様々な環境条件や事業規模等の相違に関しても情報共有を進め、 これらの構造指標と成果指標との関係の分析にまで研究を進める予定である。

共同研究の内容およ び効果

  地域格差に焦点を当てた水インフラの研究であり、水インフラの研究自体が中国等の新興国のインフラ整備や日本のインフラ輸出を考えるうえでの基礎となるだけでなく、日本の 事業体の経営効率や料金、老朽化や事業規模といった指標の事業間・地域間格差も明確にする予定である。できれば、その格差を事業 体の環境や現行の法律や規制といったより抜本的な制度問題からも明瞭に説明できれば、今後のインフラ行政にも説得力のある展望を 導くことができよう。
  少なくとも、老朽化が進んでいるのに更新投資もままならない事業体が現存する状況では、本校が属する地域が近畿・関西・日本において、どのようなレベルにあり、何が最も大 きな問題なのかを明らかにすることは、当該地域振興への一定の効果を有すると確信する。


<17連262>

研 究 テ ー マ : 若年性認知症者と家族に対する地域包括ケアを進めるための支援のあり方
英 文 テ ー マ : Way of support to advance the Regional Comprehensive care for younger          persons with dementia and their families
研 究 期 間 : 2017年4月 〜 2020年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・川井 太加子 社会学部教授 : 研究統括チーフ
    ・黒田 隆之 社会学部准教授 : 本人・家族支援
    ・村橋 功 社会学部准教授 : 本人・家族支援
    ・砂田 貴彦 本学非常勤講師 : 本 人・家族支援
    ・金津 春江 本学非常勤講師 : 本人・家族支援
    ・杉原 久仁子 本学非常勤講師 : アートの会との連携による推進
    ・武田 卓也 本学非常勤講師 :  地域包括ケアとの連携
    ・馬 天生 大学院社会学研究科博士前期課程2年 : なごみ会との連携
    ・嶋田 直美 大学院社会学研究科博士後期課程6年 : グループホームとの連携による推進
    ・松永 貴志子 大学院社会学研究科博士後期課程1年 :  本人・家族支援
    ・白草 広江 NPO法人認知症の人とみんなのサポートセンター電話相談 : 本人・家族支援
    ・藤原 太郎 和泉リハビリ訪問看護ステーション : 本人・家族支援、専門職連携
    ・庄司 彰義 岸和田市役所 : 岸和田まあるい会との連携(医療・介護連携)
    ・北川 仁美 万年青居宅支援事業所 : 医療・介護連携、患者・家族支援

      
研究の対象とする地域:大 阪府和泉市、岸和田市、堺市
 【付加された内容:2019年度申請書より】フィンランド
研究の目的・特色

  若年性認知症は18−64歳における人口10万人当たり47.6人いるといわれている。つまりこの和泉市だけでも約50人の若年 性認知症の方がおられると予測される。
  65 歳未満で発症する若年性認知症は、働き盛りの世代であるため、本人だけでなく家族の生活にも大きく影響する。仕事の継続が困難となり、退職を余儀なくされ経済的に苦しい状 況になることもある。また、子どもが成人していない場合には、教育、就職、結婚などにも何らかの影響があると考えられる。加えて 親の介護と重複する場合には、介護負担だけではなく経済的な負担も背負うことになる。しかし、認知症についての普及啓発や医療、 介護の支援体制は整備途中であり、2013年から3年間共同研究プロジェクトからの支援を受け若年性認知症対策として、認知症カ フェの取り組み、若年性認知症の本人および家族会の立ち上げ等を行い、普及啓発に取り組んで一定の研究成果があった。今回、本学 が位置する泉州地域において福祉・医療の現場から少し距離を置いた大学という機関でこれまでに行ってきた取り組みについての評価 研究を行い、さらに普及啓発に取り組むことは意義があると考える。                                             

研究プログラム(計画・スケジュール)

1、 学内で奇数月に本人・家族の会を行いながら実際に専門職や行政職員、当事者本人、家族が集う場を
  持ち若年性認知症の方の在宅で暮らすことの現状を相互に理解する。また同時に、これまで行ってきた
  この活動について評価研究を行う。年度末に泉州地区の方々を対象に普及啓発を目的にシンポジュウ
  ムを行う  (1年目)
2、 引き続き奇数月に本人・家族会を行いながら、国内で同じように本人家族会を開催されている所を視察
  し我々の取り組みを評価し新たな課題を発見する。地域住民の方の理解の推進と家族会の参加者を広
  げるための広報活動を専門職、民生委員、地域住民との連携のもと行う。また、年度末には泉州地域へ
  の普及啓発として一年間の結果報告会と講演会を同時に開催する。(2年目)
3、海外の若年性認知症の事例を、諸分野の従事者が共同で学習する。その学習とこれまでの活動、評価
  研究結果等から、今後の和泉市の若年性認知症施策についての提言をまとめる。(3年目)                                                                            【付 加された内容:2019年度申請書より】
フィンランドで収集したケアの現況と日本でのヒアリングの結果を基に研究会に講師を招き今後について検討する。

共同研究の内容および効果

  まだまだ泉州地域に若年性認知症の方が集える場や活動の場が少ないため、桃山学院大学で行っている本人・家族会に泉州地域の専門職及びボランティアの方々にも参加してもら い、お互い理解を深める。そして、泉州地域に特に本人が活動できる場を本人とともに作り出すことにより、若年性認知症になっても 自宅で住み続けられる泉州地域を目指す。
  そのために、奇数月に本人家族会、偶数月に前の月の振り返りと次の月の打ち合わせを行いながら参加する方々が地元に帰り活動を広められるようなかかわりを展開する。
また、我々の行っていることを評価するためにも国内、海外の事例を集めそれを参考にしながらより良い活動にする。
  これらの結果として、本人・家族が出かける場ができ、家族(配偶者)にとっては、同じ境遇の人と情報共有できることで生活の幅が広がることが期待できる。また、そのことが 地域の方々との交流のきっかけにもなり、地域包括ケアを進める上での普及・啓発に貢献することにもなる。さらにこうした活動を通 して、今後の課題や改善策が見えてくる。


<18連266>

研 究 テ ー マ : 総合的東南アジア研究に関する台湾国立政治大学国際関係研究東南アジア研究センターとの学術交流
英 文 テ ー マ : An Inter-disciplinary Approach to Contemporary Southeast Asian Studies in         the Partnership of the Center for Southeast Asian Studies at the NCCU            Institute of International Relations
研 究 期 間 : 2018年4月〜 2021年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・松村 昌廣 法学部教授 : 東南アジアの安全保障と日米同盟
    ・小澤 義昭 経営学部教授 : 東南アジアにおける監査報告書改革の動向
    ・金本 伊津子 経営学部教授
              : 東アジアおよび東南アジアにおけるグローバル・マイグレーション
    ・江川 暁夫 経済学部准教授 : 東アジア企業のインドシナ地域における産業配置戦略
    ・内山 怜和 経済学部講師 : ASEANの経済統合、ASEAN後発国の開発戦略
    ・大島 一二 経済学部教授 : 農産品貿易分野を中心とした中国・ASEAN経済関係
    ・楊 昊 台湾国立政治大学国際関係研究所東南アジア研究センター長
              : 東南アジア地域主義、東南アジア辺境政治(外交安全保障、社会研究)
    ・孫 采薇 台湾国立政治大学国際関係研究所東南アジア研究センター副センター長
              : 東南アジア政治、東南アジア民族研究(実証研究)
    ・? 玲君 元台湾国立政治大学国際関係研究所研究員、Pacific Lutheran Unviersity教授
              : アジア太平洋経済貿易協力(外交安全協力)
    ・薛 健吾 台湾国立政治大学東アジア学部助理教授 : 政治経済学、東南アジア安全保障
    ・王 雅萍 台湾国立政治大学民族学部副教授 : 東南アジア民族関係
    ・邱 R元 台湾国立政治大学社会学部助理教授 : 東南アジア社会、インドネシ ア研究
    ・竹内 俊隆 京都外国語大学教授 : 東アジアの国際関係、軍縮、信頼醸成措置
    ・尾上 定正 日本戦略研究フォーラム・政策提言委員 : 東アジアの軍事情勢

      
研 究の対象とする地域:東南アジア諸 国と域外関係諸国(日台中米露等)
研究の目的・特色

  国際的に著名な台湾国立政治大学の国際関係研究所東南アジア研究センターと高度な学術研究上の交流を行い、将来、同センターとの継続的な協力関係を可能とするため、本学総 合研究所との覚書締結を念頭に、パイロット・プロジェクトとして実施する。これにより、英語(追加的に、中国語)を媒介とす る高度学術研究上の経験と実績を、本学にも蓄積することを目標とする。
  本学術交流は国際関係学、政治学、経済学、経営学その他社会科学分野を対象とし、@東南アジア研究とA東南アジアを巡る国際関係を取り扱う。具体的な内容としては、東南ア ジア諸国の現況や各国が抱える政策課題、ASEAN(東南アジア諸国連合)の地域協力の動向、日本、米国、中国を含めた域外 大国との関係に関する多角的な比較分析、政策評価、政策提言等となる。

研究プログラム(計画・スケジュール)

1年度目 本プロジェクト・メンバーが台北に赴いて、今後の研究の方向性、具体的なプランを策定す 
       る。必要に応じて、本学或いは相手方にて学内あるいは公開研究会を行う。
       可能な場合、相手側研究者を招待し、本学の学内研究会で発表してもらう。
2年度目 相手方が開催する国際学術会議に発表者・討論者を派遣する。本学或いは相手方にて公開研究
       会を行う。
3年度目 2年度と同様に、国際会議や研究会を行う一方、論文や書籍などの形で研究成果の発表を具体
       化するようプランを策定する。また、相手方との学術交流を継続・深化する覚書締結の是非、
       可否、内容などを検討し、その結果を本学研究所長に報告する。  

共同研究の内容および効果

  交流の方法は、まず東南アジア研究センターが主催又は後援する国際学術会議・セミナー等に本学から研究者を派遣し、発表や討論に参加させる。また、他方では、本学に招聘し た同センター関係者を囲んだ研究会を開催する。当然、こうした学術交流には、英語(限定的に、中国語)による口頭での研究発表や 討論、国際基準の学術専門雑誌の単著・共著による論文執筆や専門書の分担執筆などが含まれる。(国立政治大学は、国際関係研究所 が発行する国際的に著名な国際査読学術雑誌である―Issues & Studies: A Social Science Journal on China, Taiwan, and East Asian Affairsをはじめ、各種学術雑誌を発行している。)順調に進めば、世界的に有名であるが「地域研究」に力点を置く京大東南アジア研究所に対して、本学が社会科学分野 からのアプローチを主とする研究や政策提言に関して協働できる研究拠点として第一歩を始めることができる。


<18連267>

研 究 テ ー マ : マルトリートメントの親の子育てに関する理解とその支援
英 文 テ ー マ :Understanding and Supporting Parents and Preventing Child Maltreatment
研 究 期 間 : 2018年4月 〜 2021年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・栄 セツコ 社会学部教授 : 統括・企画・実践的調査
    ・安原 佳子 社会学部教授 : 企画:保育関連との連携
    ・木下 栄二 社会学部教授 : 企画:調査設計とその分析
    ・金澤 ますみ 社会学部准教授 : 企画:学校関連との連携
    ・郭 麗月 本学退職教員・心斎橋心理療法センター医師 : 助言:医療関連との連携
    ・高田 さやか 本学実習指導室職員 :保育士養成におけるソーシャルワーク・パンフレット作成
    ・榎原 紀子 指定特定相談支援事業所風真鳥・精神保健福祉士
                     : アウトリーチにおける子育て支援に関する事例提供と検討
    ・小野 史絵 藤井クリニック・精神保健福祉士
                     : アウトリーチにおける子育て支援に関する事例提供と検討
    ・玉岡 枝里子 三家クリニック・精神保健福祉士
                     : アウトリーチにおける子育て支援に関する事例提供と検討
    ・平田 はる奈 地域生活サポートセンターとらいむ・精神保健福祉士
                     : アウトリーチにおける子育て支援に関する事例提供と検討
    ・辻本 直子 オラシオン代表取締役
                     : アウトリーチにおける子育て支援に関する事例提供と検討

      
研究の対象とする地域:日本(大阪・東京)
研究の目的・特色

  本研究の目的は、教育・保育・社会福祉の観点から精神障害者の子育て支援の方策を提示することにある。2014年に我が国が障害者権利条約に批准して以降、障害者が一人の 人間として、あたりまえにもつ権利を行使する支援の必要性が高まってきている。「精神障害をもつ人(以下、精神障害者)」に着目 すると、病者ではなく生活者の視点に立った支援が強調されるようになった。しかし、病状悪化時や精神的不調時において、精神障害 者が適切な養育を行うことは難しく(以下、マルトリートメント)、加えて、その障害特性の理解をふまえた支援が可能な援助者・支 援者(保育士や教職員等)は未だ少ないのが現状である。
  そこで、2015年から3か年の本学総合研究所共同研究プロジェクトで得た精神障害者の子育てに纏わる支援の知見をふまえて、本研究では障害理解の促進と支援の質の向上を 目指し、障害特性の理解を図るパンフレットや支援者自身のかかわりをモニタリングできるシートを作成することにした。
  本研究が現職の精神保健福祉士や保育士養成に携わる研究者等との共同研究であり、本研究成果が
精神障害者の子育て支援の質の向上やその子育て支援に関する政策提言が可能なことに加え、子どもの
レジリエンスが育つ環境づくりに寄与できる点に特色がある。

研究プログラム(計 画・スケジュール)

 本研究は3か年を計画している。
 1年次は、支援者が活用できるアセスメントシートと啓発用のパンフレットの作成と同時に、「親」役割を
もつ精神障害者とその子どもの世帯に着目した事例研究、情報収集を行う。
 2年次は、事例研究から析出した具体的な子育て支援の知見や先駆的な子育て支援を行っている実践的
調査をふまえて、保育士や教職員等の支援者に向けたパンフレットや援助者・支援者のかかわりに関する
アセスメントシートの精度を高める。
 3年次は、事例研究や実践的調査研究をふまえて、パンフレットやアセスメントシートの精度を高める
とともに、親役割をもつ精神障害者とその子どもの世帯に対する支援に関する政策提言を行う。
尚、各々の年次において、社会福祉学会や精神障害者リハビリテーション学会等で成果報告を行う。

共同研究の内容および 効果

 本研究は、精神障害によるマルトリートメントの親に対する子育て支援に関して、事例研究、実践的調査、政策提言を研究の柱に設 定している。本研究の独自性は、未だ調査研究が少ない「親」役割をもつ精神障害者とその子どもの世帯に着目した点にある。これを もとに、我々が開発したアセスメントシートを用いた事例検討やパンフレットを用いた講座を行い、そこから析出された子育て支援の 内容をふまえて、それらの精度を高める。そして、その妥当性を確証するため先駆的に子育て支援を担う援助者・支援者に実践的調査 を実施し、抽出された知見をふまえて、パンフレットやアセスメントシートの精査を行い、マルトリートメントの親の子育て支援に関 する政策提言を行う。このような共同研究により、「親」役割をもつ精神障害者の支援者、並びに子どもに日々関わる保育士や教職員 等の援助者にとって、親とその子ども及び世帯のニーズに基づく支援の一助になることが期待できる。


<18連268>

研 究 テ ー マ :学校という場をめぐる諸課題の解決に向けた学際的研究
英 文 テ ー マ : An multidisciplinary study related to solution of school problem
研 究 期 間 : 2018年4月 〜 2021年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・金澤 ますみ 社会学部准教授 : 全体統括
     ・川口 厚 経済学部准教授 : 学校学研究会の取りまとめ
     ・安原 佳子 社会学部教授 : 学校学勉強会の取りまとめ
     ・水流添 綾 社会学部兼任講師 : ソーシャルデザイン検討会のとりまとめ
     ・新井 肇 関西外国語大学教授
          : 生徒指導論・教育相談/学校学研究会および主として学校学勉強会への関与
     ・峯本 耕治 長野総合法律事務所弁護士
          : スクールロイヤー実践者/学校学研究会および主として学校学勉強会への関与
     ・郭 理恵 大阪人間科学大学助教 : スクールソーシャルワーク論/学校学研究会
                        および主としてソーシャルデザイン検討会への関与
     ・山中 徹二 大阪人間科学大学助教
          : 障害者(児)福祉学/学校学研究会および主として学校学勉強会への関与
     ・長瀬 正子 佛教大学講師 : 社会的養護/学校学研究会および主として学校学勉強会
                     への関与
     ・森本 智美 NPOサニーサイドスタンダード代表(大阪府太子町)
          : 子どもの居場所の実践者/学校学研究会および主として学校学勉強会への関与

      
研究の対象とする地域:南大阪地域(主として太子町、羽曳野市、富田林市、岸和田市)
研究の目的・特色

 学校という場に身を置く子どもにとって、また、その子どもたちと同時代を生きている私たち大人にとって「いま、学校とは、どう いう場としてあるべきか」を問うことは、多くの学問領域や専門職においても重要なテーマである。しかし、これまで「いじめ」「不 登校」「学級崩壊」等の研究は、社会福祉学、教育学、心理学、法学、医学、経済学、その他それぞれの学問領域が個別にアプローチ をするにとどまる時代が続いている。しかし、今日の複雑な課題を解決するためには、単一の学問領域からのアプローチでは限界があ る。そこで本研究は、「学校という場をめぐる諸課題」について学際的に議論することで、地域・社会的課題としてとらえなおし、そ れを解決していくための方法を探求することを目的とする。
  本研究の特色は、目的を達成する方法として、@「学校という場をめぐる諸課題」に対して、複数の学問領域の研究者や南大阪地域の実践者が、同時に集まり課題解決を議論する 場を創出する点、A議論された解決のモデルを研究者や専門職にとどまらず、当事者である子ども本人や保護者、学校にかかわる NPOや自治会の人なども含めた地域住民と共有するデザインを検討することにある。その際、主な対象地域は、研究スタッフが継続 的に関与している地域(太子町・羽曳野市・富田林市・岸和田市)である。このデザインは、ソーシャルデザイン(「人間の持つ『創 造』の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動」寛裕介2013『ソーシャルデザイン実践ガイド』英治出版)の考え方に立 ち、芸術分野の実践者とも協働する。
 

研究プログラム(計 画・スケジュール)

2018年度:学校学勉強会/学校学研究会/ソーシャルデザイン検討会の実施/学校ソーシャルワーク学会に参加。
2019年度:学校学勉強会/学校学研究会/ソーシャルデザイン検討会(視察を含む)の実施。
2020年度:学校学勉強会/学校学研究会/ソーシャルデザイン検討会(視察を含む)・報告会の実施。

共同研究の内容およ び効果


@ 学校学勉強会:学校、NPO、当事者等の実践報告等を中心に地域実践者が参加できる勉強会の実施。
A 学校学研究会:「学校という場をめぐる諸課題」解決の方法を検討する(研究スタッフおよび関連領域の講師の参加)。
B ソーシャルデザイン検討会:課題解決の方法を周知するデザインを検討する。社会課題の解決に芸術分野の視点を取り入れている活動を視察する。
効果
 ● 「学校という場をめぐる諸課題」の解決に向けて学際的議論の場を醸成する。
 ●上記諸課題を地域課題・社会課題として位置づけ、研究者・実践者・地域住民が、共に学校の諸課題に   ついて考えるきっか けをつくることができる。


<19連272>

研 究 テ ー マ : 香港フードエキスポを活用した地域産業の活性化に関する研究 
        −地域ブランドの輸出促進と産学官連携−
英 文 テ ー マ :Research on the regional vitalization by industry-academia-government           collaboration
研 究 期 間 : 2019年4月 〜 2022年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担
代表者 ・角谷 嘉則 経済学部准教授 : 地域ブランドの確立に関する研究
           ・櫻井 結花 経営学部准教授 : 香港進出欧米企業に関する研究
           ・大島 一二 経済学部教授 : 香港への食品輸出に関する経済学的研究
           ・吉田 恵子 経済学部准教授 : 日本食品の販売戦略に関する研究
           ・義永 忠一 経済学部准教授 : 食品輸出と地域ブランドの確立
           ・内山 怜和 経済学部講師 : アジア経済の研究
           ・室屋 有宏 経営学部教授 : 香港進出日本の地方企業の研究
           ・浦出 俊和 本学非常勤講師 : 地域経済振興に関する研究
           ・伊藤 カンナ 名古屋大学経済学部准教授 : 香港での日本食品のブランド確立
           ・竹歳 一紀 龍谷大学農学部教授 : 香港の消費者行動に関する研究
           ・唐 成 中央大学経済学部教授 : 香港における中国人観光客の消費行動
           ・徐 蘭 大学院経済学研究科博士後期課程4年
                                   : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・王 家熙 大学院経済学研究科博士後期課程2年
                                       : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・リ カク 大学院経済学研究科博士前期課程2年
                                       : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・董 秋辰 大学院経済学研究科博士前期課程2年
                                       : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・閻 冰 大学院経済学研究科博士前期課程2年
                                       : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・劉 一鳴 大学院経済学研究科博士前期課程1年
                                          : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・楊 歓 大学院経済学研究科博士前期課程1年
                                          : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・陳 蕾 大学院経済学研究科博士前期課程1年
                                          : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・周 志明 大学院経済学研究科博士前期課程2年
                                          : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・ファン ウェイ 大学院経済学研究科博士前期課程2年
                                          : 日本企業の香港への食品輸出の実態・課題を明らかにする
           ・尾崎 誠 大果大阪青果(株)果実部部長 : 日本の青果物の輸出を行っている
           ・志村 雅之 京都鰹節(株)会長 : 香港に鰹節関連商品の輸出を実施
           ・松岡 義仁 (株)和田萬商店営業部長 : 香港に胡麻関連商品の輸出を実施
           ・浜口 夏帆 香港貿易発展局大阪事務所、マーケティングアシスタント
                                                                          : 香港貿易発展局大阪事務所担当者
           ・山田 七絵 アジア経済研究所 : 香港・中国と日本との食品貿易の知見
           ・登り山 和希 長崎ウエスレヤン大学准教授 : 日本企業の香港への食品輸出の実態
           ・金子 あき子 龍谷大学農学部准教授 : 日本企業の香港への食品輸出の実態

      
研究の対象とする地域:日本、香港
研究の目的・特色

  我が国の地域経済は長期不況と人口流失等の要因により農工業産出額が減少傾向にあり、今後も地域経済の縮小が懸念されている。こうした情勢の中で、地域の中小企業にとって 新たな市場の開拓が重要な課題となり、これを海外市場に求め、海外において地域ブランド・企業ブランドを確立することが、求 められている。これまで本学では、大阪・奈良・和歌山等の行政機関と協力関係を持ち、地域の中小企業製品の輸出振興を促進し てきたが、中小企業の海外展開は、限られた人材、資金、情報のもとでは、実現には多くの困難に直面している。
 こうしたなか、本研究では、香港貿易発展局大阪事務所の協力を得て、香港フードエキスポ(アジア最大級の食品展示会)を主 要対象として、海外市場での日本の地域ブランドの確立の可能性と課題を明らかにする研究を実施する。最終的には、産学官の協 力により、海外での地域ブランドの確立を実現することがこの研究の目的である。具体的には、香港フードエキスポにおいて、各 地域の特産品の紹介やPR活動を本大学の教員・院生とともに現地の行政、地域企業と協力し、実施することを計画している。
 本研究の特色としては、大学、行政、企業の三者が連携し、現実の販促事業を推進しつつ、地域の中小企業の海外進出の課題に 関する研究を実施するという点があげられる。

  

研究プログラム(計 画・スケジュール)

@大阪府、和歌山県、京都府、奈良県等の関西地域の行政組織、香港貿易発展局、海外展開を希望する企業、本大学教員・院生の面談 によりプロジェクト進行のための相互理解を深める(2019年4月〜7月)。
A海外進出に意欲的な地元企業を選抜し、プロジェクト参加の合意を得る(2019年5月〜7月)。
B大学、市、企業との間で数回にわたり、地域ブランドの販売戦略や販促、出展手続きの進行状況に関する会合を実施する(2019 年5月〜7月)。
C香港貿易発展局の博覧会にて、大学教員・院生等が企業、市と共に商品のPR活動を実施する(2019年8月)。事業の検証と課 題を検討し、研究を進める(2019年9月〜2020年3月)。
*2020年度、2021年度についてもほぼ同様なスケジュールで進める予定である。
  

共同研究の内容および 効果

・ 大学教員・院生、地元企業、行政が交流し、出展や地域ブランドの確立に関して協力することで、事業を推進すると同時に研究を推進 する。
・大阪府・和歌山県等の地域の行政組織が博覧会で地域ブランドの確立を推進することで、地域のPR活動と地域活性化の新たな可能 性を発見する。また地元企業にとっては新たな市場開拓につながる。
・大学、地元企業、行政の地域連携は、「産学官連携の新しいモデル」として今後の地域提携の発展が期待できる。


<19連273>

研 究 テ ー マ : インドネシアとの相互的文化交流に関する総合的研究(V)
英 文 テ ー マ : Interdisciplinary Study of the Mutual Cultural Exchange between Japan and         Indonesia (V)
研 究 期 間 : 2019年4月 〜 2022年3月 (3カ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者 ・小池 誠 国際教養学部教授 : 文化人類学・インドネシア研究
    ・片平 幸 国際教養学部准教授 : 比較文化研究
    ・今澤 浩二 国際教養学部教授 : 歴史学・イスラーム研究
    ・森田 良成 国際教養学部准教授 : 文化人類学・インドネシア研究
    ・宮嶋 眞 チャプレン : キリスト教学・IWC団長経験者
    ・鈴木 隆史 本学兼任講師 : インドネシア研究
    ・由比 邦子 本学兼任講師 : インドネシア研究
    ・南出 和余 本学退職教員 : 文化人類学・IWC引率経験者
    ・深見 純生 本学退職教員 : インドネシア史
    ・小島 和貴 法学部教授 : 日本とインドネシアの行政比較
    ・今井 敏子 本学職員 : 看護学・IWC引率経験者
    ・イ・ヌガ・シクラマ  ウィディア・アシ財団 : バリ島でIWCを支える立場
    ・亀山 恵理子 奈良県立大学准教授 : インドネシア・国際協力研究
    ・富岡 三智 京都産業大学・兼任講師 : インドネシア・ジャワ舞踊研究

      
研 究の対象とする地域:インドネシア
研究の目的・特色

 本研究プロジェクトは、これまでインドネシアに関心をもつ本学教員が実施してきた共同研究プロジェクトをさらに発展させるもの である。1987年よりインドネシアのバリ島で実施されてきた国際ワークキャンプ(IWC)の経験を基盤にしつつ、これまでは文 化人類学・歴史学・キリスト教学など様々な研究分野から、インドネシアの社会と文化に対して総合的な視点でアプローチすることを 目指してきた。今回申請する地域社会連携研究プロジェクトは、これまで積み重ねてきたインドネシアの社会と文化に関する研究を継 続するとともに、日本とインドネシアとの友好を深めるための効果的な文化交流の在り方を明らかにしたい。教育や宗教、芸能、映画 など多様な分野において、日本とインドネシアとの間の一方向的ではない相互的な交流を進ませるために現在何が求められているか模 索したい。

研究プログラム(計 画・スケジュール)

 本研究プロジェクトの主たる活動は、研究会を定期的に実施すること及び インドネシアと日本国内における調査研究である。研究会は長期休暇中を除いて原則として2ヶ月に1回程度、本学において開催 する予定である。
2019年度:日本においてインドネシアの文化、とくに伝統芸能がどのように紹介されているかというテーマをおもに取り上げ る。
2010年度:日本においてインドネシアの文化、とくに映画がどのように紹介されているかというテーマをおもに取り上げる。
2021年度:日本のポピュラーカルチャーのインドネシアにおける人気について取り上げる。

共同研究の内容および効果

 本研究プロジェクトは、日本におけるインドネシア理解を深化させるための基礎的な調査研究と、その研究成果と関連させて、日本 とインドネシアとの文化交流をさらに充実させるための、より実践的な要素を含む研究活動プログラムから成る。本学がバリ島で実施 してきた国際ワークキャンプの成果と、インドネシアのペトラ・キリスト教大学及びディアナ・プラ大学との留学生の交換を学内の教 育研究の活性化につなげたいと考えている。日本とインドネシアの文化交流活動に関する調査研究の成果によって、従来のインドネシ アとの交流活動がより円滑かつ効果的に進められることが期待される。本研究プロジェクトは、学内の教職員だけでなく、学部学生と 留学生に対しても研究会への参加への参加を呼びかけ、インドネシアに対する理解と関心を深めたいと計画している。今後は、学外、 さらには、インドネシアに対しても、本学におけるインドネシア研究の成果を発信していきたい。