2024年度秋季公開講座

日本の貨物鉄道輸送の現在とこれからのイメージ画像

講師:福田 晴仁(桃山学院大学経営学部教授)

11月29日(金)15:30〜17:00に開催いたしました!

 公開講座は、大学における学問研究の成果を市民の皆様に公開することを目的に1977年から毎年開催しています。本年も会場参加型とZoomによるオンライン配信の両方にて実施いたしました。
 福田先生は交通・物流・観光について研究されています。近年は日本の貨物鉄道と産業遺産観光に焦点を当て、日々研究に取り組まれており、今回はトラック輸送による「2024年問題」を解決するべく「貨物鉄道輸送」の可能性について取り上げられました。
公開講座の画像01
公開講座の画像02
 現在、輸送手段の主流となっているトラック輸送から鉄道輸送への転換「モーダルシフト」の必要性に着目し、かつては主要な輸送機関であった鉄道が補完的な輸送機関となった要因、そして現在トラック輸送が直面する問題について、さまざまな貨物車両の画像を交えながら解説いただきました。
 1950年度には全体の50%以上を占めていた鉄道輸送は、2020年度には全体の4.7%にまで落ち込んでいますが、その要因として、トラック輸送を前提とする物流システムの確立などが挙げられます。一方で、近年トラック輸送が抱えるドライバー不足や環境面での問題を改善する策の一つとして、長距離トラックを中心に鉄道輸送へのモーダルシフトの必要性がうたわれています。
 鉄道路線図や運輸部門における二酸化炭素排出量の資料、そしてスウェーデンのバッテリーEVトラックをはじめとした諸外国の取り組みについての資料を交え、モーダルシフトへの可能性やなかなか進まない背景について、明快かつ詳細に講義をしていただきました。

 受講者からは「これまでの仕事でも貨物鉄道輸送との接点はなかったが、貨物鉄道の現状や課題について、ポイントを分かりやすく解説していただき、大変有意義だった。中長期的に他の輸送手段に計画的に移行すべきだと感じた。」「物輸送については物流の効率化や製造と消費地の距離の問題などの見直し、改善など、理想的な社会生活基盤の構築が必要と考える。専門家の様々な面からの研究が結合し集大成され、よりよい流通が生まれることを願う。」などの感想を頂戴し、第2弾の開催を希望するお声もいただきました。
 ご参加くださった皆様、また、アンケートにご回答くださった皆様、誠にありがとうございました。来年度の秋季公開講座に関する詳細は、決まり次第、桃山学院大学エクステンション・センターのホームページにて、お知らせいたします。
 桃山学院大学では、これからも公開講座という場で地域の皆様に学びの機会を提供できるよう努めて参ります。今後ともより多くの方のご参加をお待ちしています。