園田 俊介 Shunsuke Sonoda

研究業績

  • 『津島市立図書館編年資料集成 1895-2015 (上下冊)』 (単著, 津島市立図書館, 2016年)
  • 『図書館情報資源概論 人を育てる情報資源のとらえかた』 (共著, ミネルヴァ書房, 2018年)
  • 『情報資源組織論』 (共著, 東海大学出版会, 2020年)
  • 『情報資源組織法 第3版』 (共著, 第一法規, 2021年) ほか
  • 「埋もれた自館関係史料と、 館史公開、 発刊への運び」 (共著, 『図書館界』 第69巻第2号, pp.151-158,2017年) ほか

図書館での勤務経験とその内容

もともと歴史学を研究していましたが、大学院の時に研究と生活の役に立つからとすすめられ、初めて大学図書館の業務に携わりました。
その後、2007年度に管理職を募集していた愛知県の公共図書館に採用され、15年間、図書館の管理運営や地域資料の収集などに従事しました。
公共図書館では、図書館の管理運営に携わる傍ら、地域資料を充実させるため多岐に及ぶ資料を収集しました。
当初は古写真や映像などの視覚資料を優先しましたが、これは多くの住民にとって関心が高く馴染みやすい地域資料であると同時に、観光ガイドや街並み保存、歴史研究などに広く活用できるためです。収集成果として16ミリフィルムから起こしたDVD、写真資料を整理した歴史写真集、地元新聞の集大成である地方新聞集成など、図書館から多く刊行し公開することができました。
こうした地域資料に関する取り組みに加え、多くの歴史文化に関する講演や教育活動を務めることで各方面からの学術的信頼を得ることができ、それが新たな資料の収集や活用へと展開しています。

なぜ図書館や司書に関連する学問を目指されたのですか?

公共図書館に赴任した当初、館内には地域資料の種類、数量とも不足し、職員も地域史に対する苦手意識があったため、貸出・返却以外に地域住民との繋がりはほとんどありませんでした。そのため、まず地域資料コレクションの整備拡充を目指しましたが、その前提として図書館情報学を修学し、地域資料全般について理解を深める必要がありました。
こうした目的で関連分野を追究し、どのような地域資料が存在し、どのようにコレクションとして構築するのかなど、体系的に学び実践することができました。現在、地域資料コレクションが地域との結びつきに重要な役割を果たすようになり、大変意義深いものになったと感じています。

私の好きな本

最近では馬部隆弘著『椿井文書日本最大級の偽文書』(中公新書:2584)が印象に残りました。
本書は江戸後期の「椿井文書」について、どのような意図や目的を持って創作され、どのように活用されたのか、さらには偽文書の特徴や留意すべき点について丁寧に解説を施しています。情報源や情報内容を考証することなく(あるいは偽文書と知りながら)鵜呑みにし、そのまま地域問題、歴史問題、観光資源、地域おこしなどへ活用する危うさは、情報氾濫とも言うべき現在において一層高まっています。さまざまな情報資源を扱い、地域と繋がっていく図書館司書にもぜひ一読をすすめたいと思います。

受講生へのメッセージ

公共図書館では図書全般に関する知識や地域研究もできる司書が必要とされてはいますが、社会教育施設である以上、関連する各学問領域の基礎知識をはじめ、コミュニケーション能力、情報発信、文書管理など総合的な能力が求められています。普段からさまざまな分野、地域のことに興味や関心を持ち、円滑なコミュニケーションを図っていくよう心がけてください。