卒業生教員からのメッセージ

2006年度 卒業生教員ホームカミングデー

  11月12日(日)の第3回本学ホームカミングデー終了後、教職課程委員会主催の卒業生教員ホームカミングデー「教育界への誘い−卒業生教員が在学生に語る教職の魅力−」が、聖ペテロ館5階第4会議室で14:00から実施された。本学卒業の教育関係者を対象とするこの催しは今年度で7回目となる。
 参加卒業生の自己紹介、大学側参加者紹介のあと、5名の現職教員が熱のこもった体験談を語り、引き続いて、卒業生教員有志による「メルゼミ(メールを介しての自主ゼミ)への誘い」の会がもたれた。その冒頭では、今年度教員採用試験の現時点での合格判明者7名のうちから堀田美波さん(01E)が、採用試験対策の「秘策」の一部を披瀝した。
司会は進学塾イングKK法人事業部マネージメントリーダー・安達貞夫氏(86S)、「メルゼミへの誘い」は羽曳野市立誉田中学校教諭・浅水一則氏(68S)。
当日は、報告者と同じ学校の同僚(本学卒業)の参加、同期生同士の思わぬ出会いの場面なども見られ、有意義なホームカミングデーとなった。また終了後も「独自の交流会」がもたれた。
以下は、当日の5名の教員によるスピーチの一部である。
 

松葉輝子(94L)  大阪市立此花総合高等学校教諭(英語)

  総合学科の魅力として科目により受講生徒数が違うことがあり、私の英語の授業は20数名、英会話は外国人助手と2人で5名の生徒を担当しています。新任のときの感想は、「教員というのは教科担当だけではないな」ということでした。進路指導の仕事(情報入力のためパソコンの技術が不可欠)、部活指導、校務分掌などでも、とても忙しかったです。
高校では誰でもが担任をもつということではありませんが、2年目からは担任をもたせていただきました。教科の仕事3割、担任の仕事7割という感じです。しかし自分の担任クラスの生徒でも、教科の関係で、その顔を朝夕のHRのとき以外には見ることができない場合もあります。そのため、年賀状はもちろんのこと、一人一人の誕生日の前後にカードを渡したり、夏期休暇終了直前には宿題忘れの注意のため葉書を書いたりして、交流を保つ努力をしました。そして自分の誕生日に卒業生が会いにきてくれてプレゼントをもらったときには、担任をもって、また採用試験で頑張って良かったと、つくづくと思いました。自分が担当した生徒が5名(担任をした学年は3名)すでに桃山に入学し、うち1名は教職課程を履修し、来年度、教育実習で戻ってきます。今からとても楽しみです。

 

新田知子(01S) 富田林市立喜志小学校教諭

新任早々ではあまりないことだそうですが、1年生の担任をしています。小学校では、普段は考えられないようなことが起こります。例えば授業中に突然、「先生、赤鉛筆超長い!!」と、お母さんが入れ換えてくれた新しい赤鉛筆を見せにきたり、筆箱からいきなりバッタが飛び出したり。毎日が驚きと笑いの連続です。
 大学3回生のときに、友達に誘われて大阪城ホールへ企業説明会に行ったことが、現在の自分をつくっています。いろいろなブースを回りましたが、どうも自分には合わないと感じました。それまでにスキー・インストラクターの資格を活かして、修学旅行などで来た生徒たちにスキーを教えるバイトなどをし、教えることの面白さを体験していましたので、教員の道を目指すことにしました。卒業後、通信教育で小学校免許をとることにし、同時に、教育実習先で紹介していただいた介助員の仕事もしました。面接試験では、介助員の体験は珍しがられて大いに注目され、また2次試験の歌唱試験では、他の受験者のオペラ歌手のような歌い方ではなく、「あわてんぼうのサンタクロース」を選んで振り付けつきで楽しく歌いました。「これが効いたかな」と、自分では思っています。

 

山本光代(02S) 門真市立第七中学校教諭(社会)

新任1年目から1年の担任をしています。いま1年の地理を教えていますが、自分のころとは全く違っていて、教科書できちんと教える外国は3つのみ、日本は3県のみです。これではあまりに知識不足で心配です。私は、調べ学習というのは、例えばリンゴの産地や門真までのルートなどを地図や資料を参考にして調べることであると思っていますが、いまは「地域の人から話を聞いてくる」のが調べ学習のようになっていて、地図や資料の活用ということができていないのです。生徒たちには必要最小限の知識を与えたいと思うので、教科書からは少し離れ、自分が受けた時のような授業をしています。
 いま問題になっている「いじめ」のことですが、現在のところ40人の担任クラスに「いじめ」はありません。ただ「こういうことはいじめになるのか」と悩むことがあります。例えば、体育のある日には必ず休む生徒がいました。そうすると当然のこと、他の生徒があれこれ言い、本人はそれを気にします。こういう場合、どのように助言すればいいか、あれこれ考えざるをえません。1年間がどのように動いていくか分かりません。生徒も自分も。自分が成長すれば生徒も成長すると考えて、頑張っています

 

藤井拓也(99L) 大阪市立加美南中学校教諭(英語)

これから教師を目指す人に言いたいのは、学生の間に、教科に関する学習を十分にしておくべきだということです。これは一人でいくらでも出来ます。生徒相手のことは、就職後でないとできません。総合的学習、文化祭や体育祭の準備、修学旅行、そしてまさに生徒指導などで、非常に多くの時間をとられ、そこで自然と鍛えられます。
 各教育委員会が重視しているキー・ワードのようなものがあるので、それに留意する必要があります。大阪市の場合は「カウンセリング・マインド」です。面接の時には、「生徒に多くを語ってもらって、うまく聞くことが重要である」という趣旨のことを強調し、それなりに評価されたように感じました。部活指導のことも重視されています。自分はサッカーをしてきたので「できる」と自信をもって答えることができましたが、他の部活の指導もできるかと質問されたときも「できる」と答え、ただし具体的な細かな指導法はこれから勉強すると補足しました。講師などをして、できるだけ学校現場の体験をしたほうがいいです。そのことが模擬授業の試験などで生きてきます。自分は現在でも、現場の先生の重要だと思った話し方や内容は必要に応じてメモをとり、参考にしています。

 

北野正浩(86S) 東大阪市立意岐部中学校教諭(社会・技術家庭)

 「教職の魅力」というのは、かなり複雑です。自分の場合は社会科でなかなか合格できず、4年間講師を続けました。その間に決断し、D大学の夜間課程に1年間通って、「技術家庭」の免許を取得し、それで合格することができました。新任の学校で5年在職したあと、現在の中学校に転任しました。生徒の暴力事件で悩まされことがあります。他の中学校へ20数名が「殴りこみ」をかけた事や、同僚の先生をかばうために腰椎を痛めた事など、いろいろあります。そのような生徒達も卒業すれば、「いい子」になっていました。
 現在も、部活の朝練、夕練、帰宅は10時、という忙しい毎日を送り、一方で「学年主任」として、また「クラス担任」として一人一人の生徒達と日々関わり奮闘しています。いままた「どんな仕事をしたいか」と尋ねられれば、やはり教師を選びます。どんなに大変な日々が続いても、3年間に1日は嬉しくて涙のでる日があります。それは卒業式の日です。真剣に関わったならば、それに対してこの日だけは生徒達は真剣に応えてくれるはずです。今「やる気」のある教師が求められていますが、「やる気」とは「生徒に真剣に立ち向かっていけるかどうか」です。教師が真剣であれば、生徒は付いてきます。

2015年度 2014年度 2013年度  2012年度  2011年度  2010年度
  2009年度  2008年度  2007年度  2006年度  2005年度
   過去のメッセージはこちら