〜卒業生教員からのメッセージ

2012年度 「第13回 卒業生教育関係者の集い」

2012年11月18日(日)に教職課程委員会主催による「卒業生教育関係者の集い」が開催されました。2012年度は「ホームカミングデー」(第9回)当日の午後1時から4時にかけて、ペテロ館第6・7会議室にて行われました。この集いは、教育にかかわる卒業生と教職課程履修学生との貴重な交流の場として年に一度開催されてきましたが、今回で13回目です。

本年度の「集い」も大学祭最終日に実施が決まったため、教職課程の授業時に積極的に参加を呼びかけ、出欠を問うアンケート調査を行いました。その結果、7名の履修学生(在学生および科目等履修生)が参集し、卒業生とそのご家族13名、教職員7名を加えて計29名で有意義な一時を過ごすことができました。本年度は10月末までに4回生および卒業生から複数の教員採用選考試験合格者が判明しましたが、そのうち数人の方が集いに参加して喜びの合格報告をしてくださいました。

第1部の「卒業生による講演」では、山本光代氏(02S 大阪府公立中学校社会科教諭)と篠崎亮輔氏(02B・06A 大阪府公立中学校英語科教諭)に約30分ずつ基調報告をしていただきました。引き続き、参加者全員が一人ずつ簡単に自己紹介をしました。第2部「卒業生と教職課程履修学生との懇談」では、卒業生と履修学生が二つのグループに分かれ、それぞれ山本氏と篠崎氏の司会により活発な議論を行いました。茶菓子をつまみながら賑やかな懇談を行った後で、全体会に移りました。グループごとに選出された学生代表1名が、それぞれのグループ討議の内容についてまとめの報告を行いました。

今回の集いも、参加した履修学生にとっては大変有意義な情報収集の場となったと思います。卒業生からいただいた数々のアドバイスを胸に、これからも教職をめざして努力していってほしいと願っています。



次に、山本・篠崎両氏の基調報告の概要および参加者からお寄せいただいたメッセージの一部をご紹介します。

山本光代氏

採用試験に現役合格し公立中学校の社会科教師となって7年目になりました。現在勤めている学校の教員の年齢構成が偏っていて、50代のベテランと20代の若手の人数が多くその中間層が少ないため、意思疎通などで難しさを感じています。 教員には精神力が必要です。生徒・保護者や先生方と上手にコミュニケーションをとっていくために、いろいろな人と知り合うことが重要だと思います。
最近の親たちは精神的に弱いと感じます。家庭に何らかの問題があると子どもに大きな影響が及びます。実際、学校で荒れている生徒は深刻な家庭問題を抱えている場合が多いようです。そこで、生徒たちには自分が親になった時にどのような親になりたいか、折を見て尋ねています。その際、自分の親とは異なるいろいろな大人がいることを教え、将来自分たちも社会の一員になるという自覚を持たせようと試みています。自分で働いて稼いだお金でどんなに楽しい世界が経験できるか、自立した生活を送ることがどんなに重要か、そのためにも大学4年間の経験が大切だという思いを伝えています。
教員採用試験対策としては、4回生の4月から7月までに1日12時間ほど勉強しました。受験参考書を自分で決め、傾向と対策も自分で考えながら自主的に勉強しました。同時に学校ボランティア活動にも参加し、学校現場での経験を積み重ねていきました。それらの経験は採用試験の面接の時に役立ちました。現在でも生徒たちにその時のエピソードを話しています。


篠崎亮輔氏

採用後初めて赴任した中学校で3年目となりました。地域で有数の文教地区にあり、生徒たちの勉学意欲は高く、現在は落ち着いています。50代のベテランから20代の若手まで教員の年齢構成もバランスよく、役割分担もきちんとできていて恵まれていると思います。
教師の魅力は、「感動して涙ぐむことができる」職業であることに尽きると思います。やんちゃな生徒が不登校の生徒の家を毎日訪ねていたことを知り、その子を見直したことがありました。
私が学級で大切にしていることがいくつかあります。@学級全体で目標を共有すること:「一致団結してやろうや」という教師の思いを伝えるために、生徒全員に手紙を書いています。大変ですが。A教室環境の整備:勉強する雰囲気を作るための環境づくりが大切です。B自分の思いを生徒に語ること:教師自身の気持ち(喜怒哀楽)を生徒にはっきりと伝えることが大切です。学級がまとまりやすくなります。 今までに辛いと思った経験は、部活動を巡り保護者ともめたことです。反対に嬉しかった経験は、合唱コンクールで最優秀賞を獲得したことです。その時、教室で生徒に替え歌で出迎えられ全員から手紙をもらいました。
教師に必要な力は5つあると思います。@聞く力:生徒に聞いているよという姿勢を示すことです。A見せる力:生徒に教師自身の喜怒哀楽をはっきり示すことです。B話す力:生徒に対してプラス思考で語りかけ、どうしたらできるようになるかを考えさせることです。C見る力:生徒の長所を見出すことです。生徒とよく話し、生徒をよく見るために洞察力を身に着けてください。D考える力:指導の基準に準じるだけでなく、先輩からのアドバイスを加味して自分のカラーを出すことが大切です。
最後に、在学生からの質問にお答えします。採用試験では面接重視なので、誰かに見てもらって練習してください。大阪府、堺市の試験は難しいので、筆記試験で6割以上とれるようしっかり勉強してください。

 


 

86S 小野 博健

「教師は横綱相撲でなければ…。」

最近思うのが、なんか「先生、焦りすぎ!」です。目の前のことに必死になり過ぎて、少し先のことや求める長期的な過程と結果などは眼中にはなく、とにかくやっつけ仕事になっているような気がします。短い期間で答えや結果を求めていくから、やたらと子ども達や地域、社会に媚びたり、その逆に過剰な言葉や肉体的な体罰に走るのです。媚びるのも、体罰も支離滅裂で、将来像を描けていないことでは同じこと。子ども達や保護者達の一挙一動にあたふたやどたばたしていては、先生への信頼も堕ちていきます。そんな先生や学校、はたまた塾がどんなに多いことか。

でも、心から信頼できる素晴らしい心・技・体の揃った教育の世界の横綱の先生方も公教育にも私教育にはおられます。ですが、ちょっと年齢的には高いので、若い先生方には「お説教」にもなり、また高すぎる「壁」でしょうが、どんどん挑んで跳ね返されて、そこから感じ取って、いつかは乗り越えていくことです。でないと、日本の教育には未来はないですから。この大学には、大横綱の先生方がたくさん卒業されています。どんどんと利用して、学んで、吸収してほしいと思います。

かつてのやんちゃな大横綱、朝青龍関は蹲踞(そんきょ)の時に、手のひらを相手に向けていました。これは相手を全身全霊で受け止めて勝負する、という横綱の姿でした。私は先生たる者はある意味で教室でも学校でも横綱であれ、と思います。目先しか見ずに、小手先で子ども達に接して、じたばたしている先生も弱い横綱も見苦しいことこの上ないですから…。
かくいう私も大きな心、広い視野で精進と努力を重ねて、教育の大横綱を目指します。ともに頑張りましょう。

 

小野依子

「教師が育てるもの」

貴学出身者の夫と教育関係者の集いに参加させていただくようになって、四年になりました。毎年この回に参加させていただくことが一年の一つの目標で、先生を目指す学生さんたちや若い先生方の熱意とベテランの先生方の深く温かいお話が、私の活力になっています。

私はまだまだ自分のことより先輩の先生方の受け売りの方が多いですが、ひとつ言えることは、教師が子どもたちにかかわるのは、彼らの人生の一時だけだということです。

だから、教師はその数年にかける強い責任感と果てしないエネルギー、短期的、中期的、長期的な期間で子どもたちにどのようになっていてほしいかという理想像とそれを具体化するためのプロセスと妥協しない厳しさを持っておかなければならないと思います。

採用試験に合格するためにというよりもむしろ合格してからが勉強です。だからこそ、大学時代にたくさんのことを学んで少しでも勉強貯金を作っておいてください。実生活や読書だけでなくテレビなどからもたくさんの人に触れて、育てたい子どもたちの理想像を少しでも明確にしておいてください。

教師が育てるのは勉強したことで問題が解ける能力や知識ではなく、勉強という経験を通じて素直に努力できる態度や忍耐力といった、普遍的なものだと思いますから。

 

卒業生のコメント
63E

多面的な角度からさまざまな意見・アドバイス等が出され、学生達にとっては貴重な経験の場だったし、現場の教員にとっても各校からの話を聞き、気付かされたり、学生からの声もとても参考になる交流の時間だった(時間的に余裕があってよかった)。希望とすれば第1部(卒業生教育関係者による講演)のあと、全体から(投げかけられた質問等について)の声を聞いてもよかったのではと思います。

69S

頼もしい後輩の先生の奮闘をお聞きし、とてもうれしく思いました。 ぜひ、大量採用のチャンスを生かし、チャレンジしてほしいと思います。開放制の教員養成の要として、桃山学院大のユニークな人材が、現場に入ってくれることを心から期待しています。何かお手伝いできることがあれば喜んでボランティアしたいと思います。粘り強く、息長く、健康を大切にして(したたかに)頑張って下さい。昨年より又、一歩中身の濃い交流ができ良かったと思います。

69S

卒業生で若い二人の先生の報告は、自信に満ちとても好感を持てました。教職を希望する学生さんの参加者が増えることを期待します。

73S

最後まで出席できず、誠に申し訳ありませんでした。少しですが後輩が現場で活躍している姿を見れて嬉しかったです。

86S

毎年この機会が心の張り合いになっています。学生達もそうですが、若い先生が技量を試す機会を作れたと思います。特に採用対策を含めて授業コンなどをやっていけたらと思ったり・・・先輩が先達にならないと、と思います。 語る先輩ではなく魅せる先輩でありたいです。

 

本日はどうもありがとうございました。毎年、ここに参加させていただく、とういうのがひとつの目標です。若い目標をもった先生志望の学生さんたちに負けず、私もがんばります。

07S

この集まりでは、堺市以外の先生も多く来られていて、様々な実践を聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。

08S

現場の声を自分だけでなく他の先生方から頂くことができ大変有意義でした。ありがとうございました。

在学生のコメント
09S

先輩方の貴重なお話を聞くことができ、本当に勉強になった。今日お聞きしたことを無駄にすることなく、今後に活かしていきたいと思う。教員を目指す学生は絶対に参加すべきだと思う。

11E

卒業生の現役で教員をなさっている方々から、教育現場の生の声や、授業のアドバイスなど、貴重なお話ありがとうございました。とても有意義な時間を過ごすことができました。ぼくも絶対、教員になろうと改めて思いました。

12L

沢山良い話が聞けてためになりました。また、機会があればお話を聞きたいです。

12L

今回の集いを通して、心に浮かんだ言葉があります。 『永遠の未完成、これ完成。』

12A

私の卒業校ではこのような集いがあまりありません。現役職員の卒業生の方との懇談会も人数制限があり、倍率が高くほとんど参加できない状況ですので、今回のこのような場に参加することができ、とても嬉しく思っておりますし、貴重なお話をお伺いすることがきで、本当にありがとうございました。

12A

様々な立場の先生からお話をおうかがいすることで、特定の型にはまった教師よりも、その人の良さを出すことのできる人が魅力的な教師だと思いました。

 

 

 

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