研究活動共同研究プロジェクトおよび研究成果

プロジェクト活動概要

2024年度 共同研究プロジェクト活動概要

共同研究プロジェクトの制度は、1975年に学際的研究または専門を異にする研究者の共同研究を支援するために設置されました。今年度は下記のプロジェクトが活動を行います。

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  • 研究テーマ

    日本の社会問題とそれへの対応

  • 英文テーマ

    Social Policy in Japan

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
小島 和貴 法学部教授
日本行政史
見浪 知信 経済学部准教授
日本経済史
永水 裕子 法学部教授
医事法、人権
鈴木 康文 法学部講師
西洋法制史
島田 克彦 経済学部教授
日本都市史
松澤 俊二 社会学部准教授
近・現代日本とプロレタリア
瀧澤 仁唱 本学名誉教授
学働運動、労働法
上野 勝男 元本学教員
住宅問題
天本 哲史 法政大学社会学部教授/元本学教員
行政法
松本 未希子 名古屋経済大学講師/元本学教員
行政法

研究の目的・特色

 日本はこれまで、様々な社会問題を抱えてきた。これらは感染症や貧困、住宅問題、さらには優生保護など医療をめぐる人権問題などの広がりをもつ。こうした問題に対しては、政府は対応を試み、住民との協働が模索され、現在まで継続している。
まさに住民生活をめぐる社会問題に対しては「総合的」なアプローチが求められるようになる。本プロジェクトでは、社会問題とそれへの対応おいて、法、行政、都市空間、経済問題、労働運動を中心とする視点より、西洋諸国との比較やさらには歴史的な経緯を踏まえて検証しようとするものである。


研究プログラム (計画・スケジュール)

<2022年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。
<2023年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。
<2024年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。また本研究の総括を行う。
     

共同研究の内容および効果

 本研究は、近代日本の社会問題に政府と住民の視点から接近しようとするものである。社会問題は、古今東西において存在し、また住民生活そのものであることから、実態の解明は容易ではない。そのため社会問題の原因やそれへの対応などを解明しようとする際には、研究上の工夫が必要となる。政治家、官僚、社会運動家、労働者・職工そして住民など、学際的な視点が求められる。本研究では従来から取り上げられてきた官僚や労働者、社会運動家、あるいは法制度の視点に、住民の視点を加えて、日本の社会問題の位置づけやそれへの対応を解明するものである。住民の視点を取り上げる際、注目されるのが従来の住民運動、労働運動等に加えて第一線の行政職員や自治会などである。
本研究の成果は、学術論文等の形で随時公表することを予定する。

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  • 研究テーマ

    実験経済学に関する研究・教育基盤の形成

  • 英文テーマ

    Formation of Research and Educational Infrastructure for Experimental Economics

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
西﨑 勝彦 経済学部准教授
研究総括、ミクロ経済学に関する実験
吉田 恵子 経済学部准教授
ミクロ経済学に関する実験
井田 大輔 経済学部教授
マクロ経済学に関する実験
上ノ山 賢一 経済学部准教授
マクロ経済学に関する実験
浅海 達也 経済学部講師
ミクロ経済学に関る実験
米田 紘康 経済学部准教授
ミクロ経済学に関する実験
大田 靖 経営学部教授
ファイナンスに関する実験
齋藤 巡友 経営学部准教授
経営財務に関する実験
小松 佐穂子 社会学部准教授
認知心理学に関する実験
濵村 純平 関西学院大学准教授/元本学教員
会計学に関する実験
吉川 丈 経済学部兼任講師/大阪公立大学大学院現代システム科学研究科准教授
ミクロ経済学に関する実験
北田 智久 近畿大学准教授
会計学に関する実験
小山 真美 高知工科大学助教
会計学に関する実験

研究の目的・特色

 経済学では「人間は合理的に行動する」ことが1つの基本となっている。しかし、実際は必ずしも合理的ではなく、理論的な研究成果と実際の経済現象との間にはしばしば乖離が見られる。そうした乖離を説明する学問分野として行動経済学があり、その乖離を分析する1つの方法として行動実験が挙げられ、その実験手法を研究する学問分野として実験経済学がある。本プロジェクトは、行動実験を本学で実施するための基礎をハード・ソフトの両面から整備し、具体的な研究課題に取り組む準備を整えることを目的とする。
本学のような教育に重点を置いている大学では、行動実験の実施環境はほとんど整っていない。本プロジェクトでは、それをハード面(実験実施システムおよび実験参加者募集システムの運用)とソフト面(謝金の支払い手続き、実験実施者・補助者の育成)で整備し、教育に重点を置いている大学で世界標準の行動実験が実施できるような環境を整えるところに特色がある。

 

 

研究プログラム (計画・スケジュール)

1年目(2022年度)は基本文献の紹介や模擬実験を通して行動経済学および実験経済学について理解を深めつつ、行動実験の先行研究について調査する(調査がつけば外部の研究者を招いて研究会を開く)。また、学内で実験実施システムおよび実験参加者募集システムを利用できるよう情報センターと整備を進める。
2年目(2023年度)は試験的に行動実験を実施して実験実施者・補助者を育成する。また、研究支援室と調整して実験参加者に謝金を支払う段取りを整える。
3年目(2024年度)は本学の学生の実験参加者として本格的に行動実験を実施し、実験実施に支障がないか検証する。実験の内容は公益事業に関するものを予定している。

共同研究の内容および効果

 本プロジェクトは、行動実験を本学で実施するための基盤を上記のようなハード・ソフトの両面から整備し、具体的な研究課題に取り組む準備を整えることを目的とする。また本プロジェクトによって、研究に重点を置いている大学における実験結果と比較して、学生の質の違いが意思決定に与える影響を分析できるようになる。その分析結果を踏まえて、研究に重点を置いている大学と実験結果をプールし、より多くの実験データに基づいて意思決定の諸問題を検証できるようにするための条件を探索できるようにもなる(実験結果のプールのための条件探索は最先端の研究課題として科研費の挑戦的研究などで取り上げられている).また,3年目は公益事業に関する実験を予定しており,これを問題なく実施できるようになることで,公共インフラに関する課題に行動実験を通して取り組むことができるようにもなる.


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  • 研究テーマ

    学生アシスタントと教職員の連携による教育効果

  • 英文テーマ

    Educational Effects of Cooperation between Student Assistants and Faculties

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
櫻井 結花 経営学部准教授
授業実践・研究の総括
藤田 智子 経営学部教授
教育プログラムの評価
藤井 暢人 経営学部講師
アンケート調査・授業実践
大田 靖 経営学部教授
データサイエンス/教育プログラムの評価

研究の目的・特色

 昨今,学士課程の学生を教育の補助業務に携わらせる大学が増加している。このような学生は「学生アシスタント(Student Assistant, SA)」と呼ばれ,その範囲は実習の補助やグループワークにおけるファシリーター,新入生の学生生活全般に関する相談など多岐にわたる。文部科学省は,このような学生アシスタントについて「教育活動の活発化や充実に資するのみならず,教える側の学生が主体的に学ぶ姿勢や責任感を身に付けることができることにもなり,非常に意義深い」とその重要性を説いている。
 こうした背景から,各大学における事例報告も行われているものの,学生アシスタントと教職員の連携に関する課題や効果に焦点を当て,全国の現状を調査・整理した研究や,理論的側面から考察した研究は少ない。そこで本研究は,国内の学生アシスタントの活用事例を体系的にまとめるとともに,学生アシスタントと教職員の連携における課題と効果について,理論的に考察する。さらにこれらに基づき,教育効果の高い学生アシスタントを活用するための教材・教育プログラムを開発することを目指す。

研究プログラム (計画・スケジュール)

2022年度:学生アシスタントと教職員の連携に関する論点整理,現状調査の下調べ
2023年度:効果と課題に関する理論的検討,全国の現状の調査・整理,研究結果の統合
2024年度:研究結果に基づく教材・教育プログラムの開発と評価
※開発した教材・教育プログラムを,適宜実践・評価することで,より効果的な教材・教育プログラムの開発を目指す。
※定期的な研究会(3ヵ月に1回開催)以外に,他大学へのヒアリング調査(資料収集を含む)や他大学の授業の視察等を予定している。また,外部講師による講演会の開催や学会の参加により最新の情報の収集に努める。加えて,合宿研究会を随時実施して考察を深めていきたい。
 

共同研究の内容および効果

 本研究では,各研究者の得意とするアプローチを活かしつつ,理論的側面,実践的側面から学生アシスタントと教職員の連携に関する総合的研究を行う。本研究の参加者は,いずれも教育に関する研究を行うものだが,専門分野やアプローチの方法を異にする。また各参加者は,実際に学生アシスタントを活用した授業を行っているが,授業の内容や対象学生,活用の方法も大きく異なる。こうした各教員の専門分野や教育経験を生かし,それぞれの立場から学生アシスタントと教職員の連携について,その課題と効果を探究することにより,専門的かつ多面的な教材や教育プログラムの提示が可能となる。
大学では学生が自立した人間として成長することが期待されているが,学生アシスタントはその一手法として重要だと考えられている。学生アシスタントの課題と効果を示しつつ,教材・教育プログラムの開発を行う本研究は,教育現場の改善と充実に大きく貢献するものである。本研究の成果は,学会報告や学術論文への投稿を通じて,広く社会に発信していく予定だが,これらは,全国の大学教員,職員,大学生,それぞれに対して有益なものとなると考えられる。
 

<22共288>

  • 研究テーマ

    地域経済における持続的な起業・企業エコシステムの形成-時系列分析を加味した起業・後継者育成、企業成長支援の調査研究

  • 英文テーマ

    Formation of entrepreneurial ecosystems in local economies -Analysis of entrepreneurs, successors, and incubators including historical aspects

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
服部 繁一 ビジネスデザイン学部准教授
持続可能な中小企業経営の調査研究
稲田 優子 ビジネスデザイン学部講師
アントレプレナーシップ教育の調査研究
岩田 千栄美 ビジネスデザイン学部特任教授
政策・方針決定過程への女性の参画拡大

研究の目的・特色

 近年、わが国は、開業率の低さ、経営者の高齢化、人口減少などにより、地域存続が喫緊の課題になっている。このような状況の中、2014年以降に政府の政策として地方創生の産業支援が強化されてきた。現在、地方自治体、企業・団体、高等教育機関において新規事業の創出支援、既存事業の維持・継承・発展に事業を担う人材の輩出や、成長発展に欠かせないエコシステムの形成事例も出現しつつある。
これらに関しては中小企業白書を含め官民で調査や事例報告が行われている。しかし、多くの場合、特徴的な事例紹介であり、地域資源との関係や、時系列的な発展や変化の分析はなされていない。そこで本研究では、起業・後継者育成、企業成長支援の地域における仕組み(起業・企業エコシステム)について分析する。その際に、どのような各地域の資源(社会的、文化的、経済的な資源など)を活用しているのかに注目する。また、現時点の仕組みだけではなく、時系列的な分析も加味する。調査対象は大阪を含む3~5地域を対象とする予定である。各地域における具体的な起業支援活動・事業承継支援活動活性化の仕組みを明らかにし、高等教育機関などでの活用に貢献することを目的とする 

研究プログラム (計画・スケジュール)

 3年間で各地域の調査研究を実施し、成果報告を行う。 
2022年度は、文献研究に取り組むとともに、調査対象の地域の対象者の選定、予備調査を行う。
2023年度は、地方自治体、企業・団体、起業支援機関、起業家にインタビュー調査を実施し、分析する。
2024年度は、学会報告と論文作成を実施する。
 

共同研究の内容および効果

 地方創生には個人の価値観を尊重し、豊かな地域社会の構築と持続が求められており、その地域の経済の基盤となる起業活動や起業支援が欠かせない。本研究では、国内外の事例を参照しながら時系列を整理し、分析対象地域においてどのように持続的な起業・企業のエコシステムが形成されているのかを明らかにする。奥田先生は、国内外のエコシステムに関する研究をされていることから、地域経済における比較研究や時系列分析に取り組んでいただくことを期待している。稲田先生は、定量・定性調査を用いて国内外の学生を対象にしたアントレプレナーシップ教育の効果に関する研究をされており、既存事業の維持・継承・発展に事業を担う人材育成や起業支援が調査対象者に与える影響を明らかにしていただくことを期待している。服部は、中小企業経営に関する研究をしており、起業家や企業家と中小企業支援機関の相互補完関係による持続可能な経営について明らかにする。本研究の効果は、地方自治体、企業・団体、高等教育機関の産学連携を用いた広範囲の視点や起業家に着目した点など多角的な観点から地域経済における持続的な起業のエコシステムの形成を明らかにし、高等教育機関における有効的な起業支援の仕組みづくりを提唱することである。学会等での発表や学術論文で成果を公表する。
 

<23共291>

  • 研究テーマ

    21世紀の日本の安全保障(Ⅶ)

  • 英文テーマ

    Japan’s Security in the 21st Century(Ⅶ)

  • 研究期間

    2023年4月~2026年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
望月 和彦 経済学部教授
戦間期におけるわが国の安全保障政策から現在の安全保障政策を考える
田代 昌孝 経済学部教授
地方財政と安全保障
松村 昌廣 法学部教授
日米同盟の制約と日本の選択肢─共同連携作戦を中心に─
村山 高康 名誉教授
冷戦後の国際関係分析と日米中の安全保障体制構想の研究
江川 暁夫 経済学部教授
日本・東南アジアの経済安全保障関係
伊藤 カンナ 名古屋大学准教授
西洋経済史からみた日本の安全保障
鈴木 博信 名誉教授
日本の安全保障にかかわる一要素としてのロシアの伝統的な「西方観」と安保意識
藤森 かよ子 福山市立大学名誉教授
リバタリアニズムから見た日本の安全保障─政治哲学的アプローチから─
星川 大祐 本学事務職員
冷戦後の日米安全保障体制と東アジア
捧 堅二 元大和大学教授
冷戦後のアメリカ、日本、中国の安全保障体制を中心とした国家体制の比較分析

研究の目的・特色

 2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は人々の安全保障に関する認識を一変させた。この軍事侵攻に対して国際連合を初めとする国際社会は有効な対策をとることができないこともまた明らかになった。同時に台湾を巡る米中対立も激しさを増し、また北朝鮮によるミサイル発射実験も頻繁に行われており、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しくなる一方である。今こそわが国の安全保障について真剣に考えるべきである。その意味で私たちが長年続けてきた安全保障研究はその意義を再確認されていると言えるし、その研究成果は各種の経路を経て公表されている。

研究プログラム (計画・スケジュール)

 本研究プログラムは21世紀の日本の安全保障(Ⅵ)で残された課題に取り組みながら、メンバーの専門性も踏まえた多面的な角度から安全保障問題の解決を議論していきたい。そのためには研究発表以外にも、防衛産業や軍事演習の見学、自衛隊や米軍基地へのヒアリング調査が必要不可欠な作業となる。また、このような安全保障の実践的な活動や研究を行うと同時に、議論を活発にするための合宿を設けたいと思う。
また、日本の外務省や防衛省、さらにはアメリカ、韓国、台湾の安全保障を担当する実務家に対しても積極的なインタビューを行う。このような作業を通じて、書物や資料の熟読だけでは得られないであろう知見を加えることが可能となり、実現可能な安全保障への政策提言も十分なものになると予測されよう。
具体的には、自国優先主義に基づく脱グローバル化の情勢を踏まえて、国家安全保障の世界的な動向を見ながら、多面的な分析を行う。次年度には、分析を通じて得られた結論の実現可能性を探るべく、様々な実態調査を通じて政策の影響を考察する。さらに、第3年度には国際情勢の変化を踏まえた我が国における安全保障政策の評価と再検討を行うこととしたい。
これらの研究発表や討論、あるいは実態調査を通じて様々な情報や資料の収集が可能となり、今後における日本の安全保障政策の展望が見出されるだけでなく、より実現可能な政策提言が出来るものであると思われる。

共同研究の内容および効果

 多様な専門分野の研究から多角的な安全保障の政策を分析評価することが可能である。研究の方向性は単なる政治・外交・軍事面に留まらず、経済や社会面、あるいは歴史的なイデオロギーを考慮した政策提言を行えるようにしたい。
この共同研究の成果は基本的に個人の研究の進捗状況に委ねられるが、プロジェクト終了後には何らかの形での成果物を出版したいと考えている。その際には、草稿を回覧してコメントを加えるなどをして、研究会や実態調査を通じたうえでの知見を加えるよう心掛けるつもりである。参加者の中には学術論文だけでなく、本プロジェクトで盛んに行われた議論や研究発表を踏まえて、内外の新聞やテレビ番組を利用して、解説や提言をしているものもいる。
これらの多様な側面からの研究から様々な相乗効果が期待出来るようになり、出来上がった成果出版物は広く社会に貢献できるものになると確信している。
 

<23共292>

  • 研究テーマ

    障害者差別解消法施行後の大学における合理的配慮と学生支援(Ⅱ)

  • 英文テーマ

    Reasonable Accommodation and Support for College Students after the Disability Discrimination Act(Ⅱ)

  • 研究期間

    2023年4月~2026年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
安原 佳子 社会学部教授
全体総括、発達障がいのある学生支援を中心に研究会の企画
小松 佐穂子 社会学部准教授
研究会の企画(教育心理学を中心に)及び取りまとめ
篠原 千佳 社会学部准教授
国内外の大学に関する情報収集、研究会への関与
信夫 千佳子 経営学部教授
障がい者雇用を中心に研究会の企画、情報収集
金澤 ますみ 社会学部准教授
スクールソーシャルワークを中心に研究会の企画、情報収集
栄 セツコ 社会学部教授
メンタルヘルスを中心に研究会の企画、情報収集
辻井 誠人 社会学部教授
精神障がいのある学生支援を中心に研究会の企画、情報収集
清水 美穂 本学非常勤講師
スクールソーシャルワークの視点からの情報収集、研究会への関与
森田 政恒 本学教務課課長
教務上の支援の検討
尾崎 博久 本学学生支援課課長
学生生活上の支援の検討
永嶺 敦史 本学キャリアセンター事務課課長
就職活動上の支援の検討

研究の目的・特色

 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、障害者差別解消法)施行後、行政機関のみならず大学を含む教育機関や事業所は、配慮を申請する障がい者に対する合理的配慮を求められている。大学においても、増加する障がい学生に対して合理的配慮とそれに伴う支援提供を迫られてきた。常に大学として合理的配慮への理解を含む支援体制があることが前提となった状態で、支援システムの構築および全学生と教職員への啓蒙が大きな課題となっていた。前回(2020~22年度)の研究で我々は、その支援システムの構築開始状況がうかがえる国内データを示すことができた。しかし、コロナ禍で大学や関係機関・企業等の訪問やそれによる情報収集が不十分であったため、本研究では、障がいのある学生に対する支援について、現状を把握するために大学等を訪問し、その関係者・専門家より直接実情に関する情報を収集することを目的とする。学際的な視野で分析を行い、効果的な支援システムを検討したい。本研究の特色としては、障がいのある学生支援について、様々な専門性から多角的に研究することである。さらに、新たな課題を見つけ出し、課題解決に向けての議論を通じて、現実的な支援システムを提案し、学生支援の向上に寄与したい。
 

研究プログラム (計画・スケジュール)

 本研究は3か年を計画している。
・2023年度 研究会(事例検討会を含む)、前回(2020~22年度)の研究成果をもとに大学等の視察・情報収集
・2024年度 研究会(事例検討会を含む)、大学等の視察・情報収集の継続、分析と検討
・2025年度 研究会(事例検討会を含む、情報の整理とまとめ)、成果のまとめ
1年次は前研究成果をもとに大学での視察と更なる情報収集、2年次も継続して情報収集を行いながら情報分析と検討、3年次は情報及び課題の整理、およびそれらに基づいた学生支援システムの構築の検討をする。
なお、研究成果については、学会での報告、成果物(論文)の作成、大学現場への提言を予定している。
 

共同研究の内容および効果

 本研究では、障害者差別解消法(2016年)以後の大学における学生支援の状況に関して、外部講師も招いての研究会(共同研究メンバーを中心に障がいや学生ニーズ、支援の資源等をテーマに研究)、学外にも開放型の研究セミナー(障がいのある学生の支援に関連したテーマでのセミナー)、大学の現状調査(主に国内の大学視察、障がいのある学生の支援に関する情報収集)を通じ、教育的視点のみならず、法学、社会福祉学、社会学、経営学的な視点等幅広く分析し、新たな課題を明らかにする。その課題解決を検討することで、より現実的であり適切な支援システムを提案する。それにより、実際の本学の学生支援実践に役立つこと、また将来的には出版等を通じてその効果を発信し情報共有することで、更なる課題発見と研究効果が期待できる。

<23共293>

  • 研究テーマ

    新指導要領とデータサイエンスに対応する大学教育の理論と実践

  • 英文テーマ

    Theory and practice of university education corresponding to the new teaching guidelines and data science

  • 研究期間

    2023年4月~2026年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
藤間 真 経済学部教授
全体統括、情報教育
櫻井 雄大 経済学部講師
ICT教育
井田 憲計 経済学部教授
経済学教育
吉弘 憲介 経済学部教授
経済学教育
中西 啓喜 社会学部准教授
初年次教育・入試制度
萩原 久美子 社会学部教授
初年次教育
村上 あかね 社会学部准教授
初年次教育
大田 靖 経営学部教授
データサイエンス教育
中村 恒彦 経営学部教授
会計学教育
森下 裕三 国際教養学部准教授
言語学教育
水谷 直樹 共通教育機構教授
データサイエンス教育
三井 規裕 共通教育機構准教授
初年次教育
小林 珠子 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
長内 遥香 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
星 愛美 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
櫛井 亜衣 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
林 玲穂 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
鈴木 小春 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
高良 要多 本学教務課職員
初年次教育
井田 大輔 経済学部教授
経済学教育
井口 祐貴 法学部講師
スポーツにおけるデータサイエンス

研究の目的・特色

 2025年度から大学に新入生として入ってくる世代は、情報化が急速に進展する社会の変動を受けて大きく変動した指導要領に基づいた教育を初等中等教育で受けてくることとなる。
また、国としてデータサイエンス(以下DS)などに関する人材が非常に不足していることと、それを補うための教育を大学教育を含めた国全体として目指すことが、『AI戦略2021』で宣言されている。 
これらは、大学教育の入口と出口の両面から大学教育に変化が求められていることを意味する。
そこで、我々は、大学の入口出口の変化を、その背景にある社会の変化とそれに対応した政策を踏まえながら明らかにすることを通じて大学教育がどのように変動するべきかを探求する。
この研究においては、単に大学の入口・出口のみに注目するのではなく、その背景にある社会的要求、特に関連する国の政策に注目するのが特徴である。
 
【新規申請書記載内容からの変更】
本プロジェクト申請以降、ChatGPT等の生成AIが急速に普及し、大学に限らず社会におけるICT利用に変貌をもたらしていることを踏まえ、生成AIの活用の実情と大学教育への応用も研究目的に加味する。
 

研究プログラム (計画・スケジュール)

1年目(2023年度)は、新旧学習指導要領の教育内容の変化を調査する。また大学における各学問分野のDSによる変化とそれに対応するための学内外の実践を調査する。その際、大学教育学会にて情報を収集する。さらにそれらを踏まえて本学の試行授業の実践について検討する。
2年目(2024年度)は、新学習指導要領対応初年次教育を試行的に開始し改善の必要な部分を調査する。また、DSの要素を組み込むことが可能な科目を選定して試行実践を始める。DSの要素を組み込んだ科目の連携について、社会に求められる人材という観点より研究する。
3年目は(2025年度)は、新学習指導要領対応初年次教育を本格的に展開し、中高段階での新学習指導要領の内容の定着度を確認すると同時に、科目そのものの実効性についても検証する。さらに、DSの要素を組み込んだ科目群の連携を図ることによる学生の成長についても検証する。

【新規申請書記載内容からの変更】
 データサイエンス班の主要メンバーがSDPの実務準備にエフォートを割いていることや今年に入ってからの生成AIの急速な普及に対応するため、計画が予定通り進んでいないのが正直なところである。
 しかし、共通教育機構に任期付き専任教員として着任され、本プロジェクトにも参加されるお二人(水谷教授・三井准教授)がまさにこのプロジェクトの目指すところを専門とされているので、お二人の専門性を最大限に生かすことによって、ビハインドを取り戻す予定である。
 
 

共同研究の内容および効果

 本プロジェクトは、大学教育への入口と出口の変化に着目して、急激な情報化に対応した大学教育の自己改革の方向性を明らかにするものである。
大学への入口の変化に着目した部分では、特に指導要領について背景にある理論を含めて検討することで、現在の初年次教育に求められる変化を明らかにする。
大学からの出口の変化に着目した部分では、近年人材不足が叫ばれているデータサイエンス分野に注目して、既存学問分野へのデータサイエンスの影響の調査・政策文書や出版物等の比較検討を踏まえて実験授業を学部横断的に立案試行する。本共同研究によって、入学した学生により適合した教育によって、社会のニーズにより適合した人材を輩出する大学教育の理論的根拠を構築することが期待できる。
 
【新規申請書記載内容からの変更】 
生成AIの急速な普及への対応を、共同研究の内容に加味する予定である。その結果、大学教育への生成AIの効果的な導入についての理論的・実践的知見を得るという効果を得ることを目指す。
 

<24共298>

  • 研究テーマ

    日本の大学におけるアカデミックライティング科目の 指導内容に関する調査

  • 英文テーマ

    A Survey on the Curriculum of Academic Writing Courses in Japanese Universities

  • 研究期間

    2024年4月~2027年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
三井 規裕 共通教育機構准教授
全体統括
西藤 真一 経営学部教授
大学教育で実施されている文献の調査
藤間 真 経済学部教授
大学教育で実施されている文献の調査
櫛井 亜依 共通教育機構契約教員
大学教育で実施されている文献の調査
小林 珠子 共通教育機構契約教員
大学教育で実施されている文献の調査
長内 遥香 共通教育機構契約教員
大学教育で実施されている文献の調査
星 愛美 共通教育機構契約教員
文献調査内容のまとめと分類整理
鈴木 小春 共通教育機構契約教員
文献調査内容のまとめと分類整理
林 玲穂 共通教育機構契約教員
文献調査内容のまとめと分類整理

研究の目的・特色

 本研究の目的は、2000年以降日本の大学教育で実践されている学術的な文章の書き方を対象に、文献調査を通じて指導内容の実態を明らかにすることである。先行研究では、学術的な文章の書き方に関する指導項目について、アンケート調査が行われている(時任ほか 2022)。その内容は指導項目を12項目に分け、どの程度できているかを大学の教員を対象に調査したものである。先行研究によって大学の学術的な文章の書き方の指導の傾向は明らかになっているものの、具体的な指導内容までは十分にわかっていない。そこで、本研究では12項目を参照しつつ、教材として作成されている文献を調査・分析し、12項目の具体的な指導内容を明らかにする。
 日本の大学教育において実践されている学術的な文章の書き方の指導内容の傾向を明らかにする研究は管見の限り見当たらず、本研究の特色であると言える。
・時任 隼平ほか(2022)「初年次生のアカデミックライティングに関する実態調査」.関西学院大学高等教育研
究第12号,pp.31-45.

研究プログラム (計画・スケジュール)

2024年度
4月から9月:文献調査(大学生対象に学術的な文章の書き方について書かれたテキスト対象)
10月から翌3月:指導内容・方法の整理と分類
2025・2026年度
2024年度で明らかになった傾向を元に、日本の大学教育における学術的な文章の書き方の共通点と課題点を明らかにし、課題点については対応策について検討する。
上記期間中は夏休み、春休みに1回ずつ1日使った研究会を大学内で実施。また、学会発表や論文投稿前に全員で議論を行う。3つのグループに分かれ、初年次教育学会、日本リメディアル教育学会、日本教育工学会にて適宜学会発表を予定している。
 

共同研究の内容および効果

 本研究では、大学生を対象とした学術的な文章の書き方に関する文献を対象にその内容を調査する。具体的には、日本語表現の習得を意図しているのか、学術的な文章の構造を重視しているのかなどの指導内容面の実態を把握する。また、学習方法についても個人、グループ、オンデマンド形式など、どのような実践方法が用いられているのか調査していくことで、日本の大学教育における学術的な文章の書き方の指導内容の傾向を一定程度明らかにできる。
本研究に取り組むことで、日本の大学教育における学術的な文章の書き方の指導内容の傾向が明らかになり、その結果、本学の授業実践に研究で得られた知見を反映できると考えている。さらに、本学の学生のための教材を開発することを視野にいれ、より充実した教育実践への波及効果があると考えている。
 

<24共299>

  • 研究テーマ

    サステナビリティの政策研究—環境・エネルギー問題を中心に

  • 英文テーマ

    Policy Research on Sustainability: Focusing on Environmental and Energy Issues

  • 研究期間

    2024年4月~2026年3月(2ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
山川 俊和 経済学部教授
全体統括、産業政策(含サプライチェーン管理)分析担当
吉弘 憲介 経済学部教授
地域政策(含ディーセントワーク)分析担当
井田 大輔 経済学部教授
金融政策(含サステナブルファイナンス)分析担当
豆原 啓介 経済学部准教授
エネルギー政策の経済史的分析担当
米田 紘康 経済学部准教授
環境配慮行動の政策分析担当
浅海 達也 経済学部専任講師
経済成長の政策分析担当
金 太宇 社会学部准教授
廃棄物問題の政策分析担当

研究の目的・特色

 本研究の目的は、21世紀の重要な政策規範として認知されつつあるサステナビリティ(持続可能性)の達成に必要な論点を整理し、新しい経済政策の枠組みを模索することにある。本研究では、持続可能な開発目標(SDGs)に示された17の目標を意識し、その中から、気候変動を中心とした環境・エネルギー問題および経済成長の質に関わる論点を中心に研究を進める。本研究の特色は、環境・エネルギー問題を中心としたサステナビリティの問題に、環境経済学、地域政策、金融論、行動経済学、国際経済学、開発経済学、経済史、そして環境社会学という学際的なメンバーでアプローチするところにある。こうした学際的・総合的アプローチを通じて、環境保全とサステナビリティをめぐる新たな政策研究のフレームワーク構築に貢献することを目指す。

研究プログラム (計画・スケジュール)

2024年4月以降、2ヶ月に1度のペースで研究会を実施する。
2024年度の研究会では、各研究者の専門領域におけるSDGsおよび資源管理との関係に関する研究報告を行う。
夏季休暇期間および春季休暇期間には外部講師を招いたミニシンポジウムを開催する。同会には参加研究者だけでなく、広く学内の研究者、院生、学生にも周知参加を呼びかける。
2025年度には各研究者間での共同研究や、書籍に向けての研究蓄積の整理、議論を中心に研究会を実施する。
同年度外部講師シンポでは参加研究者の成果アウトプットに資するものを予定している。
 

共同研究の内容および効果

本研究では、次の3つのステップで展開する。ステップ1:サステナビリティおよびSDGsに関わる経済学、経済政策的な論点を整理するための勉強会を実施し、共通理解を深める。ステップ2:気候変動問題を念頭に置きながら、産業政策(山川)、地域政策(吉弘)、金融政策(井田)の3つの政策論的視点から分析を進め、サステナビリティの経済政策の基礎を固める。その上で、環境配慮行動のナッジ政策(米田)、エネルギー利用の政策史(豆原)、経済成長政策(浅海)、廃棄物政策(金)など、関連する政策領域に関する分析を進める。同時に、本研究グループに不足している内容(例:サステナビリティとジェンダー)などについて、学内外の研究者を招聘し研究報告をお願いする。ステップ3:上記の成果を集約し、サステナビリティの経済政策として書籍を出版する。
効果としては、学内外での研究ネットワークの質的向上と、サステナビリティ・SDGsという社会的注目度が高いテーマについての桃山学院大学の研究力を対外的に発信できることが期待される。
 

<24共300>

  • 研究テーマ

    異文化共生に関する越境的研究

  • 英文テーマ

    Global Studies for Intercultural Cohesion

  • 研究期間

    2024年4月~2027年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
宮脇 永吏 国際教養学部講師
フランスの現代社会と文化
土屋 祐子 国際教養学部准教授
ローカル・エスニックメディア
今澤 浩二 国際教養学部教授
イスラーム世界の歴史と文化
片平 幸 国際教養学部教授
日本表象をめぐる日本と西洋の交流史
辻 高広 国際教養学部准教授
中国近代の歴史と文化
韓 娥凜 国際教養学部講師
排外主義と多文化共生

研究の目的・特色

 本研究の目的は、現代社会における異文化共生のあり方を再考し、共生の可能性とそれを阻む障害を明らかにすることである。本研究では、人と文化の越境によって生まれる新しい社会・文化形態、それゆえの摩擦を検討する上で、あえて時代と地域、さらには学問領域を限定しない方針を取ることに特色がある。これによって、例えばヨーロッパにおいて多様な文化形態に現れてきた東方世界への憧憬が、いかにして現代社会の文化的・宗教的軋轢へと転じ得たのかを俯瞰して捉えることができる。逆に、現代において特定の文化圏固有のものとされる現象の中に、古来「外」の視点が織り込まれてきたことを再発見する必要もある。また、ハワイのようにマルチエスニックな社会が成立している事例からは、困難を乗り越えるヒントを得ることが期待できる。こうした点から、本研究では地理的・学問的領域の専門を異にする者たちが一つのテーブルにつき越境に関する知見を共有することに大きな意義がある。

研究プログラム (計画・スケジュール)

1年目:本研究参画者の問題意識の共有。担当分野・スケジュールを確認し、個別研究に着手する。
後半には各分野の専門家を招聘し、異なる立場から共生の問題を検討する研究会を開催。
2年目:個別研究の成果を提示し、進捗状況を報告する研究会を複数回開催する。
引き続き、各分野の専門家を囲んだ研究会を開催し、専門的知見を共有する機会を設ける。
3年目:全体の研究成果を論文にまとめる。引き続き各分野の専門家を囲んだ研究会を開催。
研究成果を学内シンポジウムとして学生に開き、教育現場に還元する。
 
 

共同研究の内容および効果

 各参加者の立場から、異文化共生における可能性と相互理解を阻む誤解等について検討する。宮脇は公教育の場で宗教的表徴を禁じたフランスを対象として、「表現の自由」の理念を背景に持つ異文化共生社会の課題を検討する。今澤はイスラームがヨーロッパに与えた影響やヨーロッパに住むムスリムが置かれる状況について検討し、双方の共生方法を模索する。土屋はハワイなどの国内外におけるローカル・エスニックメディア実践の中から、異文化越境の可能性を検討する。片平は西洋の日本表象の変遷とそれに対する日本の応答を交流史の観点から考察し、他者との共生がどのように実現しうるかを検討する。辻は中国の近代社会において、流入したヨーロッパの文化、制度がいかに受容されてきたのかについて検討する。韓は批判的談話分析の観点から日本の排外主義団体によるヘイトスピーチを分析し、外国にルーツをもつ人々への差別がどのようにして正当化されているかを明らかにする。本研究は領域横断的な対話を実践することで共生の課題解決の糸口を探ると同時に、異文化を学ぶ学生にリアルな認識をもたらし学習意欲を促進する。

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  • 研究テーマ

    認知症の人と家族のピアサポートの場の構築

  • 英文テーマ

    Creating a place for peer support for persons with dementia and their families

  • 研究期間

    2024年4月~2027年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
杉原 久仁子 社会学部教授
全体統括
川井 太加子 社会学部教授
本人・家族支援
黒田 隆之 社会学部教授
ピアサポート
栄 セツコ 社会学部教授
ピアサポート
金津 春江 本学非常勤講師
家族支援
武田 卓也 本学非常勤講師
家族支援
藤原 太郎 本学非常勤講師
本人支援
馬 天生 社会学研究科博士後期課程
本人支援
チョウ イクレイ 社会学研究科修士課程
ピアサポート
畑中 亜紀 社会学研究科修士課程
家族支援
家村 哲也 桃山なごみ会家族
家族支援
飯坂 孝子 和泉市認知症機能強化型地域包括支援センター
地域連携
折田 静香 和泉市認知症機能強化型地域包括支援センター
地域連携

研究の目的・特色

 障害、精神疾患などを抱える人たちのピアサポートの実践や研究は多くあるが、認知症の本人や家族の支援は、支援者と当事者間で行われることが多く、認知症の人たちのピアサポートの実践及び研究は、まだ少ない。また認知症家族のピアサポートは、通常、認知症の相談活動の一環として行われることが多く、相談支援活動との線引きははっきりしていないことが多い。
そこで、本研究では、若年性認知症の人・初期の認知症の人と家族におけるピアサポート活動を試み、
ピアサポートの運営、継続の工夫、専門職の立ち位置などを考察し、認知症の人と家族におけるピアサポート活動の継続のための課題を明らかにしたい。対象は、自分の思いを表現でき、活動能力が維持されているという観点から若年性認知症の人及び初期の認知症の人とその家族とする。新薬の開発などによって、今後認知症の診断は早まることが予測される。診断が「早期発見早期絶望」とならないために、ピアサポートの場は有効である。これらの活動は、認知症基本法が目指す「共生社会」への第一歩だと位置づけることができる。

研究プログラム (計画・スケジュール)

1.学内で2カ月に1回、若年性認知症の人や家族が交流できる場を開催し、構成員でピアサポートについての勉強会を開催する。
2.引き続き、学内で2カ月に1回、若年性認知症の人や家族が交流できる場を開催する。交流会にて、徐々に本人、家族のピアサポートの場を作っていく。本人、家族のピアサポートの実施から問題点を明確にする。
3.引き続き、学内で2カ月に1回、若年性認知症の人や家族が交流できる場を開催し、ピアサポートを行う。本人、家族のピアサポートの課題とその解決方法を考える。また支援者の役割を明確にする。
 

共同研究の内容および効果

 大阪府下の中でも認知症の人と家族のピアサポートの場は少なく、泉州地域では本人や家族たちが交流できる場も少ない。そのため、本学で行う認知症の人と家族の交流会は貴重である。ピアサポートは、本学での交流会をベースに場を作っていく。実践を続けながら、本人、家族、支援者へのアンケートなどを元に、ピアサポートのあり方、継続のための工夫、支援者の立ち位置などを考察し、ピアサポートをつくるまでの経過、課題をまとめる。
 認知症の人と家族のピアサポートは、認知症の人が他の人々と力を合わせ支えあう共生社会を目指すものである。当事者同士の支援は、今後の認知症支援の一つのスタイルでもある。本研究をモデル事業とし、他地域に広めることができれば、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりに貢献することにもなる。ピアサポーターが養成されれば、自治体などでのピアとしての助言も可能となる。
 

<24共302>

  • 研究テーマ

    短時間計測における心拍変動評価の妥当性

  • 英文テーマ

    Validity of heart rate variability assessment in short-time measurements.

  • 研究期間

    2024年4月~2027年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
松本 直也 経済学部准教授
研究統括
竹内 靖子 社会学部准教授
実験コーディネーター
井口 祐貴 法学部講師
実験計画作成
大西 史晃 経済学部講師
先行研究・学会発表用資料作成
杉 秋成 共通教育機構契約教員
研究会企画
松元 隆秀 共通教育機構契約教員
測定機器メンテナンス
川端 悠 大阪公立大学准教授 都市・健康スポーツ研究センター /本学兼任講師
データ解析
小笠原 佑衣 大阪公立大学 都市・健康スポーツ 研究センター
実験計画作成

研究の目的・特色

 心拍変動は、心電図上のR波の間隔(R-R interval)が心拍毎に変化する生理学的現象であり、周波数解析によって自律神経機能の評価に用いられるものである。連続的に心拍変動を計測することで、トレーニングやゲーム後の疲労度を非侵襲的に定量化できることからアスリートの日々のコンディショニング評価の一つとして期待できる。近年はアスリートを対象に短時間(2分以内)の計測での妥当性(Krejč´ıI et al.,2018;Esco and Fkatt,2014) が報告されているが、サンプルサイズが小さいため、検討の余地がある。よって、本研究は、心電図が簡便に計測できる心拍センサー(Polar H-10)を用いて、男子大学サッカー選手を対象とした短時間の心拍変動評価の妥当性を検証することを目的とした。
 短時間計測における心拍変動評価の妥当性が証明された場合、簡便なコンディショニングツールとして利用が促進されるだろう。また、エビデンスに基づいた効率的な課外活動指導となり、大学生アスリートの競技力向上に寄与すると考える。
 

研究プログラム (計画・スケジュール)

2024年度 実験計画の作成および予備実験
①測定時間、測定姿勢等の決定 ②学会大会での報告(研究が順調な場合)
2025年度 本実験
2026年度 追加実験および論文執筆。
 

共同研究の内容および効果

 本研究は、トレーニング科学の領域から、大学生アスリートの競技力向上および安全なトレーニング指導を継続するための新しい知見の獲得を目指して実施するものである。
近年では、エビデンスに基づいた効率的な指導方法が多くの論文で報告されているが、資金や研究設備の問題で指導者の経験値に基づいた感覚的な評価および指導しか行えないケースが少なくない。本研究が学生やスポーツ指導の現場に幅広く還元されれば、社会的に貢献することとなるため、研究とスポーツ指導がより密接に連動するよう尽力したい。また、研究成果については、日本フットボール学会での研究発表を予定している。

<24共303>

  • 研究テーマ

    大学生における生活実態調査研究

  • 英文テーマ

    Survey research on the actual living conditions of university students

  • 研究期間

    2024年4月~2027年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
井口 祐貴 法学部講師
研究統括
大西 史晃 経済学部講師
研究統括補佐
松本 直也 経済学部准教授
実態調査・分析コーチングの視点から
松元 隆秀 共通教育機構 契約教員
実態調査・分析 測定評価の視点から
杉 秋成 共通教育機構 契約教員
実態調査・分析 体力・トレーニングの視点から

研究の目的・特色

 近年、我が国の若者の健康意識は増加傾向にある。一方で健康情報を獲得し、活用するためのヘルスリテラシーに関してはアジア諸国と比較しても低い傾向にある(Duong,2017)。また、日本の健康教育は欧米諸国と比べて遅れており、小学校、中学校、高校の保健体育の授業のみでは不十分である。特に大学は社会にでる1つ前のライフステージである。このタイミングでの健康教育は生涯における健康について考える上で重要な位置づけである。
 本研究の目的は、現在の大学生の生活習慣、睡眠、栄養、体力、身体活動、身体組成、メンタルヘルスなどについて調査を行い、学生の現状に適した健康教育の内容について検討することである。
 本研究の特色は、1人の教員の知識や専門性に偏らず、専門分野の異なる教員によって多角的な面から健康教育の内容について検討できる点である。

研究プログラム (計画・スケジュール)

本研究は3年間実施され、以下のスケジュールにそって実行する予定である。
2024年度春学期:役割分担、調査準備(調査対象・調査方法・分析方法・倫理申請・研究スケジュールの調整)
2024年度秋学期:調査実施、測定方法の再検討、研究スケジュールの調整
2025年度春学期・秋学期:調査実施、調査方法・分析方法の検討・改善、データの解析および論文執筆
2026年度春学期・秋学期:調査実施、調査方法・分析方法の検討・改善、データの解析および論文執筆・小冊子の作成
 

共同研究の内容および効果

 本研究では、大学生に必要な健康教育を検討するために大学生の生活習慣、睡眠、栄養、体力、身体組成、身体活動、メンタルヘルスなど日々の生活に関連する項目についてアンケート調査および測定を実施する。2024年度の秋学期より、受講生を対象に調査を行う。アンケートおよび測定項目については、学生への負担を考慮し、安全かつ短時間で実施可能な測定を選定する。
 本研究により想定される効果としては、①本学の学生の生活実態を明らかにできる。効果的な健康教育を行うためには、学生の現状を把握し、学生の現在のニーズと将来のニーズに即した教育を行うことが重要である。②健康教育のモデルケースとなる可能性。一般体育の授業は、ただ運動する機会を提供するだけでなく他国と同様に健康教育の場として期待がされている。しかしながら、各教員の専門性や知識は異なるため1人の教員がこれを統一することは難しい。本研究では実態調査を背景に健康教育を考案するため、それぞれの意見を集約した健康教育が可能になる。