研究活動共同研究プロジェクトおよび研究成果

プロジェクト活動概要

2022年度 共同研究プロジェクト活動概要

共同研究プロジェクトの制度は、1975年に学際的研究または専門を異にする研究者の共同研究を支援するために設置されました。今年度は下記のプロジェクトが活動を行います。

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  • 研究テーマ

    21世紀の日本の安全保障(Ⅵ)

  • 英文テーマ

    Japan’s Security in the 21st Century (Ⅵ)

  • 研究期間

    2020年4月~2023年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
望月 和彦 経済学部教授
戦間期におけるわが国の安全保障政策から現在の安全保障政策を考える
櫻井 雄大 経済学部講師
コンピューター・シミュレーションを使った紛争の研究
松村 昌廣 法学部教授
日米同盟の制約と日本の選択肢─共同連携作戦を中心に─
田代 昌孝 経済学部教授
地方財政と安全保障
江川暁夫 経済学部教授
日本・東南アジアの経済安全保障関係
伊藤 カンナ 名古屋大学准教授
西洋経済史からみた日本の安全保障
村山 高康 名誉教授
冷戦後の国際関係分析と日米中の安全保障体制構想の研究
鈴木 博信 名誉教授
日本の安全保障にかかわる一要素としてのロシアの伝統的な「西方観」と安保意識
藤森 かよ子 福山市立大学名誉教授
リバタリアニズムから見た日本の安全保障─政治哲学的アプローチから─
星川 大祐 本学事務職員
冷戦後の日米安全保障体制と東アジア
捧 堅二 元大和大学教授
冷戦後のアメリカ、日本、中国の安全保障体制を中心とした国家体制の比較分析

研究の目的・特色

 米中貿易摩擦が深刻化する状況下で、アジア・太平洋地域に新たな安全保障が求められている。核保有のみならずサイバー攻撃も伴った軍事戦略が多様化しており、大国間の国際関係が緊張化すると同時に、経済的にも自由な資本移動主義から自国優先主義を貫く傾向に政策転換してきた。必然的に、世界的な格差の拡大が各国内部に留まるだけでなく、欧州における製造業の低迷が長期化して、米国は外需と設備投資の減速に直面している。 結果として、世界的なパワーバランスの急激的な変化に対して、我が国の安全保障もドラスティックな改革が求められていると言えよ う。
 それに対して、中国では香港の民主化要求デモに対する鎮圧化、及び一党独裁による都市化や産業化の動きを見ながら、三農問題や内陸開発等の課題を抱えている。このような国内における社会不安を抑えるべく、軍事動向は国防費の増加と人民解放軍の近代化が積極的に推し進められてきた。具体的には、軍拡の一環として海軍艦艇部の太平洋進出を中心とした「国家海洋権益の維持」を任務として規定し、習近平政権でも「中国の偉大な復興」をスローガンに南シナ海(南沙・西沙諸島)や東シナ海(尖閣諸島)における主権の確立を目指している。
 さらに、中台関係に目を向けると北京の強硬策に新たなる緊張が到来したことを鑑みても、本来の目指すべき台湾の公的な統一には程遠い内容になっている。このような状況下で復興に必要な経済成長はもはや停滞期にあると言っても過言ではないであろう。
 それ以外にも、朝鮮半島においては南北軍事境界線に関する議論がまとまらず、北朝鮮が日本列島の上空を通過する弾道ミサイルを度々発射しており、軍事・安全保障の面で大きな影響を与えている。また、核兵器の開発や拡散が進むようになると、新たなる防衛体制も検討しなければならない状況が想定される。
 以上のことから日本の安全保障は対外的な緊張化と波乱含みの未来を伴いながら、新たなる国際関係を確立するための軍拡、あるいは財政再建のための軍縮の選択に迫られている。したがって、米国依存の軍事戦略は沖縄基地問題の住民反対運動に直面しながら、 様々な社会的・経済的課題への対応と同時進行で行わなければならない。
 また、我が国は現実な安保政策への転換に対する世論の反応を制約条件に、現憲法下で課されている防衛関係法律等の改正を背景とした自衛隊の役割も再検討する必要があろう。たとえば、国際緊急援助隊の派遣や国際連合平和維持活動等に対する協力等は我が国の自衛隊に求められる喫緊の課題でもある。
 本プロジェクトは、これからの安全保障について、これまでの先行プロジェクトで行ってきた以上に、どのような施策が必要かつ可能かという視点から、多面的に考察、提言することを目的とする。
 
 さらに、21世紀の日本の安全保障には対外的な部分に留まらず、防災や危機管理としての側面も含まれると考える。南海トラフや首都直下型地震に備えるため、自衛隊法第83条において、国家は自衛隊の災害派遣を認めており、災害復興でも自衛隊の貢献度は大きい。それ以外にも、各自治体は自衛隊の要請に依存するだけでなく、災害対策基本法に基づき、「地域防災計画」を作成して、広域的に住民の安全保障に尽力している。そのため、本プロジェクトでは、防災や危機管理としての安全保障も含めて研究活動を進める。

研究プログラム (計画・スケジュール)

 本研究プログラムは21世紀の日本の安全保障(Ⅴ)で残された課題に取り組みながら、メンバーの専門性も踏まえた多面的な角度から安全保障問題の解決を議論していきたい。そのためには研究発表以外にも、防衛産業の見学、自衛隊や米軍基地へのヒアリング調査が必要不可欠な作業となる。また、このような安全保障の実践的な活動や研究を行うと同時に、議論を活発にするための合宿を設けたいと思う。
 また、日本の外務省や防衛省、さらにはアメリカ、韓国、台湾の安全保障を担当する実務家に対しても積極的なインタビューを行う。このような作業を通じて、書物や資料の熟読だけでは得られないであろう知見を加えることが可能となり、実現可能な安全保障への政策提言も十分なものになると予測されよう。
 具体的には、自国優先主義に基づく脱グローバル化の情勢を踏まえて、国家安全保障の世界的な動向を見ながら、多面的な分析を行う。次年度には、分析を通じて得られた結論の実現可能性を探るべく、様々な実態調査を通じて政策の影響を考察する。さらに、第3年度には国際情勢の変化を踏まえた我が国における安全保障政策の評価と再検討を行うこととしたい。
 これらの研究発表や討論、あるいは実態調査を通じて様々な情報や資料の収集が可能となり、今後における日本の安全保障政策の展望が見出されるだけでなく、より実現可能な政策提言が出来るものであると思われる。

共同研究の内容および効果

 多様な専門分野の研究から多角的な安全保障の政策を分析評価することが可能である。研究の方向性は単なる政治・外交・軍事面に留まらず、経済や社会面、あるいは歴史的なイデオロギーを考慮した政策提言を行えるようにしたい。
 この共同研究の成果は基本的に個人の研究の進捗状況に委ねられるが、プロジェクト終了後には何らかの形での成果物を出版したいと考えている。その際には、草稿を回覧してコメントを加えるなどをして、研究会や実態調査を通じたうえでの知見を加えるよう心掛けるつもりである。
 参加者の中には学術論文だけでなく、本プロジェクトで盛んに行われた議論や研究発表を踏まえて、内外の新聞やテレビ番組を利用して、解説や提言をしているものもいる。
 これらの多様な側面からの研究から様々な相乗効果が期待出来るようになり、出来上がった成果出版物は広く社会に貢献できるものになると確信している。

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  • 研究テーマ

    経済学部独自アンケート(E-folio)の深化に向けて

  • 英文テーマ

    Analysis and improvement of E-folio, the student survey by the faculty of economics since 2012.

  • 研究期間

    2020年4月~2023年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
荒木 英一 経済学部教授
計量分析、調査実施
矢根 眞二 経済学部教授
質的分析、調査改善
井田 憲計 経済学部准教授
計量分析、調査実施
中野 瑞彦 経済学部教授
質的分析、調査改善

研究の目的・特色

 経済学部では、2012年度から、LMSを活用したオンライン記名式の学部生アンケート調査(E-folio)を実施してきた。本プロジェクトは、この調査結果を包括的に分析し、さらにその分析結果をフィードバックさせて、調査自体(調査項目や実施形態等)の一層の改善をめざすものである。
 調査開始から8年を経て蓄積された個票サンプルは3000に達しており、さらに、記名式調査の重要な特徴として、各サンプルは、学内各所(教務・入試・就職など)に存在する学生データとの照合が可能である。このため、単なるアンケート集計にとどまらず、回答と実態との比較分析をはじめ、実態から回答を類推することや、逆に回答から実態を予測するといった分析を試みることが可能となっている。従来の同種調査から一歩踏み込んだ新機軸の分析をめざしたい。

研究プログラム (計画・スケジュール)

2020年度 個票サンプル自体の詳細な集計作業
       学内各所管への連絡とデータ併合作業
       新たな分析方法の模索
2021年度 新たな分析作業の始動
       分析結果のアンケート改善へのフィードバック
2022年度 調査項目・実施形態の改訂
       分析作業の継続(定型作業化)

共同研究の内容および効果

 まず、8年間にわたり蓄積された個票3000サンプルの包括的な集計作業を通して、本学経済学部生の特質や傾向、およびそれらの時系列推移等を明らかにする。E-folioの特徴は自由記述欄が多いことにあるが、柔軟なテキスト処理手法を併用して効率的な集計作業(の定型化)を進めたい。
 次に、学内他所(教務、入試、就職など)に存在する学生データとの照合により、種々の分析を試みる。たとえば、成績/就職の良し悪しに影響を与える要因(出身高校偏差値・評定平均値などの外生要因をコントロールして、キーとなる内生要因を探る)、経済学部生のタイプ分け(卒業時の成果と入学時点初期値の比較、初期値から成果の予測が可能かどうか)等。
 さらに、こうした分析結果をもとにして、学部生調査の改善(質問項目の変更追加等とよりよい実施形態)について考察する。

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  • 研究テーマ

    第三段階教育における教育の社会的成果に関する国際比較研究

  • 英文テーマ

    A Comparative Study of Social Impact of Tertiary Education

  • 研究期間

    2020年4月~2023年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
藤間 真 経済学部教授
図書館情報学教育・アメリカ調査
村上 あかね 社会学部准教授
インクルーシブ教育・初年次教育・オランダ調査
吉田 恵子 経済学部准教授
インクルーシブ教育・初年次教育・オーストラリア調査
萩原 久美子 社会学部教授
インクルーシブ教育・初年次教育
野尻 亘  経済学部教授
地理学教育
吉弘 憲介 経済学部教授
経済学教育・アメリカ調査
井上 敏 経営学部准教授
博物館学教育
中村 恒彦 経営学部教授
会計学教育
中西 啓喜 社会学部准教授
インクルーシブ教育・初年次教育・入試制度・イギリス調査
大田 靖 経営学部准教授
ICT教育担当
水沼 友宏 経営学部講師
インクルーシブ教育・初年次教育・図書館情報学教育・ICT教育担当
小林 球子 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
長内 遥香 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
横山 恵理 非常勤教員
言語・プログラム開発検証
橋本 あかり 兼任講師
図書館情報学教育担当
井田 憲計 経済学部准教授
統計学教育担当
高良 要多 本学教務課職員
インクルーシブ教育・初年次教育・アメリカ調査
花井渉 九州大学大学院 人間環境学研究院
インクルーシブ教育・初年次教育・入試制度・イギリス調査
櫛井亜衣 元共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
中田 英利子 元共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証・ICT教育担当
星 愛美 共通教育機構契約教員
言語・プログラム開発検証
向村 九音 非常勤教員
言語・プログラム開発検証
林 玲穂 非常勤教員
言語・プログラム開発検証

研究の目的・特色

 本研究の目的は、第三段階教育における「教育の社会的成果」研究を踏まえて、1)日本の中堅私立大学生を対象とした量的・質的調査の分析から、現代社会において重要と考えられている3つのリテラシー(言語・数学・ICT)の高さが良好な成績および大学・社会への適応をもたらすメカニズムを明らかにする。2)オランダ・アメリカ・オーストラリア・日本の4か国における既存のリテラシー育成プログラムと社会参加・社会的包摂のためのプログラムの現状と課題を現地調査から析出する。3)日本において新しく開発したプログラムの効果の検証。4)MLA連携の生涯教育的効果についての国際比較。
 インターネットと通信技術が発達し、また多様性を増しつつあるなかで、従来の日本型雇用慣行を前提とした第三段階教育は変革を求められている。このような現状を踏まえて、大学の役割を理論的・実証的に再定義することに本研究の特色がある。
高大接続、初年次教育、および入試制度に関する調査分析も含める。
 

研究プログラム (計画・スケジュール)

1年目(2020年度):各メンバーの知見のリユニオンによる役割分担の精密化、リテラシー概念とレリバンス(意義)の再検討、調査の準備(現地の制度理解・調査項目選定・調査関係資料翻訳・倫理委員会申請・対象者とのコンタクト)。専門家を招いて研究会の開催。
2年目(2021年度): 現地調査実施(夏休みまたは春休み)。日本での質的聞き取り調査。日本におけるプログラムの開発と実践の検証。学会報告(進展状況によって大学教育学会・初年次教育学会等から適当な学会を選ぶ予定)・論文執筆。
3年目(2022年度):現地調査実施(夏休みまたは春休み)。日本での質的聞き取り調査。日本におけるプログラムの開発と実践の検証。学会報告(大学教育学会・初年次教育学会等)・論文執筆。

共同研究の内容および効果

 欧米の第三段階教育では、近年急速に、障がい者、女性、セクシュアルマイノリティ、外国にルーツのある学生、さらに親が非大卒の「第一世代」学生を含む広義の「インクルーシブ教育」が導入され始めている。それと同時に、3つのリテラシー(言語・数学・ICT)の習得や社会的包摂を促す取り組みがみられる。海外の事例の研究(文献研究およびヒアリング)、日本における既存の量的調査の自由回答欄の分析、聞き取り調査を通じて、なぜそのような取り組みが必要となったのか。その取り組みを実現させている背景は何か、取り組みの効果と課題は何かを明らかにして、体系的に分析する。さらに、日本で開発したリテラシー向上プログラムの有効性やMLA連携の生涯教育的効果を検証する。これまでメンバーが取り組んできた社会経済的格差、職業訓練、リテラシーやMLA連携に関する研究や実践をより広い現代的な文脈に位置づけて発展させ、学術的・政策的に貢献することが期待される。
  高大接続、初年次教育、および入試制度に関する調査分析も含めることで多面的な発展を目指す。日本における既存の量的調査の自由回答欄の分析は行わない。

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  • 研究テーマ

    大学生のスポーツとヘルスリテラシーに関する研究

  • 英文テーマ

    The Power of Sports in Developing Health Literacy For University Student

  • 研究期間

    2021年4月~2024年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
大野 哲也 社会学部教授
研究統括
竹内 靖子 社会学部准教授
会計・総括補佐
石田 あゆう 社会学部 教授
企画:メディアとスポーツ・メディアスポーツ論(女性美イメージとスポーツ)の視点から
名部 圭一 社会学部 教授
事例検討:メディアとスポーツ・メディア文化理論(スポーツ情報の需要構造)の視点から
川井 太加子 社会学部教授
助言:医療福祉・健康分野
木下 栄二 社会学部教授
助言:社会調査分野
木島 由晶 社会学部准教授
事例検討:メディアとスポーツ・文化社会学(ゲームとしてのスポーツ論)の視点から
長﨑 励朗 社会学部准教授
事例検討:メディアとスポーツ・情報文化論(コミュニケーションとしてのスポーツ)の視点から
松本 直也 経済学部准教授
企画:大学生の健康とスポーツ・コーチング論の視点から
井口 祐貴 法学部講師
実態調査・分析統括:大学生の健康とスポーツ・体力・トレーニング論の視点から
大西 史晃 経済学部 講師
実態調査・分析: 大学生の健康とスポーツ ・健康教育論の視点から
山下 陽平 共通教育機構契約教員
実態調査・分析:大学生の健康とスポーツ・運動生理学の視点から
石村 広明 共通教育機構契約教員  
実態調査・分析:大学生の健康とスポーツ・スポーツ文化論の視点から
松元 隆秀 共通教育機構契約教員
実態調査・分析:大学生の健康とスポーツ・身体活動・測定評価の視点から
水流 寛二 本学兼任講師・NPO法人キャンピズ代表
企画:障害児者の健康とスポーツ・障がい児者スポーツ支援の視点から
植田 里美 本学兼任講師・大阪市長居障がい者スポーツセンター指導員
事例検討:障害児者の健康とスポーツ・障がい児者スポーツ現場の視点から
石田 易司 名誉教授・(社福)大阪市障害者福祉スポーツ協会理事長
助言:障害児,者福祉スポーツ分野

研究の目的・特色

 生涯健康であることが社会的目標となり、その目標を達成するために身につけるべき重要な能力として、「ヘルスリテラシー」が注目されている。ヘルスリテラシーとは、良好な健康状態の維持・増進のために必要な情報にアクセスし、理解し、活用するための個人の意欲と能力を決める認知的社会的スキル(WHO,1998)とされており、現代社会において、それらをいかに育むかは喫緊の課題である。
本研究の目的は、ヘルスリテラシーを育む方法を、社会学研究におけるスポーツ論、ジェンダー論、ゲーム論、コミュニケーション論および、スポーツ実践研究としてコーチング論、トレーニング論、野外教育論、障害者サポートの観点を有する専門家らの知見をつなぐ学際的共同研究から明確化することである。
本研究の特色は、①現代社会におけるスポーツ活動事例検討、②「健康・スポーツ科学」受講生のスポーツ活動実態調査・分析③インクルーシブな支援の3つの視点から、総合的に検討することで、より多角的にヘルスリテラシーを理解し育む方法を検討することである。
 

研究プログラム (計画・スケジュール)

・2021年度:役割の確認、先行研究の整理・分析、成功事例の視察、調査準備   (調査対象・調査方法・分析方法の選定・倫理委員会申請)
・2022年度:調査実施、調査方法・分析方法の検討・改善、論文執筆
・2023年度:調査実施、調査方法・分析方法の再検討、論文・書籍執筆 

共同研究の内容および効果

 スポーツ領域における、ヘルスリテラシーを育む方法を明確化するために、社会学・健康スポーツ学等多様な専門家と共に、実態調査・実践研究・理論研究を通して、以下3つの視点から研究を進める。
研究内容は、①社会学(メディア等)の視点からスポーツ領域におけるヘルスリテラシーに関する事例を検討することで、スポーツ環境・スポーツ観戦・ボランティア活動等、多様なニーズに対応したヘルスリテラシーの実態や方法が明確化すると考えている。②「健康・スポーツ学」では、自らの健康・体力について理解を深める一助となるよう、2020年度より受講生を対象にIPAQ(国際標準化身体活動質問票日本語版)を導入している。現在は、受講生の身体活動自己評価に活用されているが、①を手掛かりに,大学生の実態に合わせた評価をさらに精査し、学生の特徴に合わせた指導・支援方法の検討を行う。さらに、③インクルーシブな健康スポーツ教育を推進するために、障害児者のヘルスリテラシーに関する現状を理解し、育む方法も検討する。
これらの研究により、青年期の特徴にあわせたヘルスリテラシーに関する支援方法が明確化されれば、大学生等のスポーツ目的別・タイプ別支援環境構築の一助となることが期待される。

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  • 研究テーマ

    大学サッカー選手におけるオフフィートテストの有効性

  • 英文テーマ

    Effects of off-feet test in university soccer players

  • 研究期間

    2021年4月~2024年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
松本 直也 経済学部准教授
研究統括
井口 祐貴 法学部講師
フィールドテスト担当
竹内 靖子 社会学部准教授
フィールドテスト担当
石村 広明 共通教育機構契約教員
オフフィートテスト担当
山下 陽平 共通教育機構契約教員
オフフィートテスト担当
大西  史晃 経済学部 講師
先行研究・学会発表用資料作成
川端 悠 本学兼任講師・大阪府立大学高等教育推進機構准教授
データ解析統括

研究の目的・特色

 近年、ランニング動作でのトレーニングの場合、着地衝撃によって腰や膝の負担が蓄積されることで起きる障害リスクの
軽減やリハビリ中の選手のためにオフフィート・テスト(固定式バイクを利用した)がサッカーやラグビーチームに導入されている。
本研究で対象とするサッカー競技はポジションによって生理学的(エネルギー供給機構)特徴が異なることが報告されていることから、
オフフィートテストは一様ではなく、選手のポジションに適したものを実施しなくてはいけない。
本研究では①フィールドテスト(垂直跳び、40mスプリント、Yo-Yoテスト)と②固定式バイクを利用したテスト(6秒ピークパワーテスト、30秒スプリント・テスト、4分エアロビックテスト)の
関係を定量的に明らかにし、各ポジションに求められる能力をオフフィート・テストで評価可能か検討することを目的とする。 

研究プログラム (計画・スケジュール)

2021年度 既存のフィールドテストから各ポジションの生理学的特性をまとめる。固定式バイク(WattbikePro)による予備実験を行い、テストの信頼性を検討する。
2022年度 本実験を実施する。フィールドテストとオフフィート・テストの関係性をピアソンの積率相関係数から検討する。
対象者の身体負担度(心拍数と血中乳酸)をモニタリングするため、ハートレートモニター(POLAR社製)およびLactate Proを使用する。
2023年度 本実験の再検討およびまとめ、論文執筆。

共同研究の内容および効果

 本研究は、固定式バイクを使用して大学サッカー選手に対するオフフィートテストの有効性を検討するものである。一般にオフフィートテストは身体的負担度がランニングよりも少ないため、テストによって生じる怪我のリスクも軽減されるため推奨したいが、エビデンスが少ないのが実情である。本研究でオフフィートテストの信頼性や妥当性が証明されることで、本学サッカー部の競技力向上および安全なトレーニング指導を継続するための手段として有効である。
近年では、エビデンスに基づいた効率的な指導方法が多くの論文で報告されているが、資金や研究設備の問題で指導者の経験値に基づいた感覚的な評価および指導しか行えないケースが少なくない。本研究が学生やスポーツ指導の現場に幅広く還元されれば、社会的に貢献することとなる。研究とスポーツ指導がより密接に連動するよう尽力したい。また、研究成果については、日本トレーニング科学会での学会発表を予定している。
 
 
 

<22共285>

  • 研究テーマ

    日本の社会問題とそれへの対応

  • 英文テーマ

    Social Policy in Japan

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
小島 和貴 法学部教授
日本行政史
島田 克彦 経済学部教授
日本都市史
永水 裕子 法学部教授
医事法、人権
鈴木 康文 法学部講師
西洋法制史
見浪 知信 経済学部講師
日本経済史
瀧澤 仁唱 本学名誉教授
学働運動
向村 九音 本学非常勤講師
日本史
上野 勝男 元本学教員
住宅問題
天本 哲史 元本学教員
行政法

研究の目的・特色

 日本はこれまで、様々な社会問題を抱えてきた。これらは感染症や貧困、住宅問題、さらには優生保護など医療をめぐる人権問題などの広がりをもつ。こうした問題に対しては、政府は対応を試み、住民との協働が模索され、現在まで継続している。
まさに住民生活をめぐる社会問題に対しては「総合的」なアプローチが求められるようになる。本プロジェクトでは、社会問題とそれへの対応おいて、法、行政、都市空間、経済問題、労働運動を中心とする視点より、西洋諸国との比較やさらには歴史的な経緯を踏まえて検証しようとするものである。


研究プログラム (計画・スケジュール)

<2022年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。
<2023年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。
<2024年度>資料を収集し、資料批判を行う。資料の収集は各研究員が相互連絡の下行い、資料批判ののち収集した資料に関して適宜報告を行う。
研究報告は2ヶ月に一度を予定する。研究成果がまとまったところから適宜論文等で成果を公表する。また本研究の総括を行う。
     

共同研究の内容および効果

 本研究は、近代日本の社会問題に政府と住民の視点から接近しようとするものである。社会問題は、古今東西において存在し、また住民生活そのものであることから、実態の解明は容易ではない。そのため社会問題の原因やそれへの対応などを解明しようとする際には、研究上の工夫が必要となる。政治家、官僚、社会運動家、労働者・職工そして住民など、学際的な視点が求められる。本研究では従来から取り上げられてきた官僚や労働者、社会運動家、あるいは法制度の視点に、住民の視点を加えて、日本の社会問題の位置づけやそれへの対応を解明するものである。住民の視点を取り上げる際、注目されるのが従来の住民運動、労働運動等に加えて第一線の行政職員や自治会などである。
本研究の成果は、学術論文等の形で随時公表することを予定する。

<22共286>

  • 研究テーマ

    実験経済学に関する研究・教育基盤の形成

  • 英文テーマ

    Formation of Research and Educational Infrastructure for Experimental Economics

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
西﨑 勝彦 経済学部准教授
研究総括、ミクロ経済学に関する実験
吉田 恵子 経済学部准教授
ミクロ経済学に関する実験
井田 大輔 経済学部教授
マクロ経済学に関する実験
上ノ山 賢一 経済学部准教授
マクロ経済学に関する実験
浅海 達也 経済学部講師
ミクロ経済学に関る実験
米田 紘康 経済学部准教授
ミクロ経済学に関する実験
大田 靖 経営学部准教授
ファイナンスに関する実験
齋藤 巡友 経営学部准教授
経営財務に関する実験
濵村 純平 経営学部准教授
会計学に関する実験
北田 智久 経営学部兼任講師・近畿大学准教授
会計学に関する実験
小山 真美 高知工科大学助教
会計学に関する実験

研究の目的・特色

経済学では「人間は合理的に行動する」ことが1つの基本となっている。しかし、実際は必ずしも合理的ではなく、理論的な研究成果と実際の経済現象との間にはしばしば乖離が見られる。そうした乖離を説明する学問分野として行動経済学があり、その乖離を分析する1つの方法として行動実験が挙げられ、その実験手法を研究する学問分野として実験経済学がある。本プロジェクトは、行動実験を本学で実施するための基礎をハード・ソフトの両面から整備し、具体的な研究課題に取り組む準備を整えることを目的とする。
本学のような教育に重点を置いている大学では、行動実験の実施環境はほとんど整っていない。本プロジェクトでは、それをハード面(実験実施システムおよび実験参加者募集システムの運用)とソフト面(謝金の支払い手続き、実験実施者・補助者の育成)で整備し、教育に重点を置いている大学で世界標準の行動実験が実施できるような環境を整えるところに特色がある。

 

 

研究プログラム (計画・スケジュール)

 1年目(2022年度)は基本文献の紹介や模擬実験を通して行動経済学および実験経済学について理解を深めつつ、行動実験の先行研究について調査する(調査がつけば外部の研究者を招いて研究会を開く)。また、学内で実験実施システムおよび実験参加者募集システムを利用できるよう情報センターと整備を進める。
2年目(2023年度)は試験的に行動実験を実施して実験実施者・補助者を育成する。また、研究支援室と調整して実験参加者に謝金を支払う段取りを整える。
3年目(2024年度)は本学の学生の実験参加者として本格的に行動実験を実施し、実験実施に支障がないか検証する。実験の内容は公益事業に関するものを予定している。

共同研究の内容および効果

 本プロジェクトは、行動実験を本学で実施するための基盤を上記のようなハード・ソフトの両面から整備し、具体的な研究課題に取り組む準備を整えることを目的とする。また本プロジェクトによって、研究に重点を置いている大学における実験結果と比較して、学生の質の違いが意思決定に与える影響を分析できるようになる。その分析結果を踏まえて、研究に重点を置いている大学と実験結果をプールし、より多くの実験データに基づいて意思決定の諸問題を検証できるようにするための条件を探索できるようにもなる(実験結果のプールのための条件探索は最先端の研究課題として科研費の挑戦的研究などで取り上げられている).また,3年目は公益事業に関する実験を予定しており,これを問題なく実施できるようになることで,公共インフラに関する課題に行動実験を通して取り組むことができるようにもなる.


<22共287>

  • 研究テーマ

    学生アシスタントと教職員の連携による教育効果

  • 英文テーマ

    Educational Effects of Cooperation between Student Assistants and Faculties

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
櫻井 結花 経営学部准教授
授業実践・研究の総括
水沼 友宏 経営学部講師
国内の事例調査・論点整理
伊藤 潔志 経営学部教授
教育理論的観点からの課題・効果の考察
藤田 智子 経営学部教授
教育プログラムの評価
藤井 暢人 経営学部講師
国内の事例調査・授業実践
大田 靖 経営学部准教授
データサイエンス/教育プログラムの評価

研究の目的・特色

昨今,学士課程の学生を教育の補助業務に携わらせる大学が増加している。このような学生は「学生アシスタント(Student Assistant, SA)」と呼ばれ,その範囲は実習の補助やグループワークにおけるファシリーター,新入生の学生生活全般に関する相談など多岐にわたる。文部科学省は,このような学生アシスタントについて「教育活動の活発化や充実に資するのみならず,教える側の学生が主体的に学ぶ姿勢や責任感を身に付けることができることにもなり,非常に意義深い」とその重要性を説いている。
 こうした背景から,各大学における事例報告も行われているものの,学生アシスタントと教職員の連携に関する課題や効果に焦点を当て,全国の現状を調査・整理した研究や,理論的側面から考察した研究は少ない。そこで本研究は,国内の学生アシスタントの活用事例を体系的にまとめるとともに,学生アシスタントと教職員の連携における課題と効果について,理論的に考察する。さらにこれらに基づき,教育効果の高い学生アシスタントを活用するための教材・教育プログラムを開発することを目指す。

研究プログラム (計画・スケジュール)

2022年度:学生アシスタントと教職員の連携に関する論点整理,現状調査の下調べ
2023年度:効果と課題に関する理論的検討,全国の現状の調査・整理,研究結果の統合
2024年度:研究結果に基づく教材・教育プログラムの開発と評価
※開発した教材・教育プログラムを,適宜実践・評価することで,より効果的な教材・教育プログラムの開発を目指す。
※定期的な研究会(3ヵ月に1回開催)以外に,他大学へのヒアリング調査(資料収集を含む)や他大学の授業の視察等を予定している。また,外部講師による講演会の開催や学会の参加により最新の情報の収集に努める。加えて,合宿研究会を随時実施して考察を深めていきたい。
 

共同研究の内容および効果

本研究では,各研究者の得意とするアプローチを活かしつつ,理論的側面,実践的側面から学生アシスタントと教職員の連携に関する総合的研究を行う。本研究の参加者は,いずれも教育に関する研究を行うものだが,専門分野やアプローチの方法を異にする。また各参加者は,実際に学生アシスタントを活用した授業を行っているが,授業の内容や対象学生,活用の方法も大きく異なる。こうした各教員の専門分野や教育経験を生かし,それぞれの立場から学生アシスタントと教職員の連携について,その課題と効果を探究することにより,専門的かつ多面的な教材や教育プログラムの提示が可能となる。
大学では学生が自立した人間として成長することが期待されているが,学生アシスタントはその一手法として重要だと考えられている。学生アシスタントの課題と効果を示しつつ,教材・教育プログラムの開発を行う本研究は,教育現場の改善と充実に大きく貢献するものである。本研究の成果は,学会報告や学術論文への投稿を通じて,広く社会に発信していく予定だが,これらは,全国の大学教員,職員,大学生,それぞれに対して有益なものとなると考えられる。
 

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  • 研究テーマ

    地域経済における持続的な起業・企業エコシステムの形成-時系列分析を加味した起業・後継者育成、企業成長支援の調査研究

  • 英文テーマ

    Formation of entrepreneurial ecosystems in local economies -Analysis of entrepreneurs, successors, and incubators including historical aspects

  • 研究期間

    2022年4月~2025年3月(3ヶ年)

研究スタッフ、研究課題および 役割分担

代表者
服部 繁一 ビジネスデザイン学部准教授
持続可能な中小企業経営の調査研究
稲田 優子 ビジネスデザイン学部講師
アントレプレナーシップ教育の調査研究
奥田 浩二 ビジネスデザイン学部教授
起業支援に関するエコシステムの調査研究

研究の目的・特色

近年、わが国は、開業率の低さ、経営者の高齢化、人口減少などにより、地域存続が喫緊の課題になっている。このような状況の中、2014年以降に政府の政策として地方創生の産業支援が強化されてきた。現在、地方自治体、企業・団体、高等教育機関において新規事業の創出支援、既存事業の維持・継承・発展に事業を担う人材の輩出や、成長発展に欠かせないエコシステムの形成事例も出現しつつある。
これらに関しては中小企業白書を含め官民で調査や事例報告が行われている。しかし、多くの場合、特徴的な事例紹介であり、地域資源との関係や、時系列的な発展や変化の分析はなされていない。そこで本研究では、起業・後継者育成、企業成長支援の地域における仕組み(起業・企業エコシステム)について分析する。その際に、どのような各地域の資源(社会的、文化的、経済的な資源など)を活用しているのかに注目する。また、現時点の仕組みだけではなく、時系列的な分析も加味する。調査対象は大阪を含む3~5地域を対象とする予定である。各地域における具体的な起業支援活動・事業承継支援活動活性化の仕組みを明らかにし、高等教育機関などでの活用に貢献することを目的とする 

研究プログラム (計画・スケジュール)

 3年間で各地域の調査研究を実施し、成果報告を行う。 
2022年度は、文献研究に取り組むとともに、調査対象の地域の対象者の選定、予備調査を行う。
2023年度は、地方自治体、企業・団体、起業支援機関、起業家にインタビュー調査を実施し、分析する。
2024年度は、学会報告と論文作成を実施する。
 

共同研究の内容および効果

 地方創生には個人の価値観を尊重し、豊かな地域社会の構築と持続が求められており、その地域の経済の基盤となる起業活動や起業支援が欠かせない。本研究では、国内外の事例を参照しながら時系列を整理し、分析対象地域においてどのように持続的な起業・企業のエコシステムが形成されているのかを明らかにする。奥田先生は、国内外のエコシステムに関する研究をされていることから、地域経済における比較研究や時系列分析に取り組んでいただくことを期待している。稲田先生は、定量・定性調査を用いて国内外の学生を対象にしたアントレプレナーシップ教育の効果に関する研究をされており、既存事業の維持・継承・発展に事業を担う人材育成や起業支援が調査対象者に与える影響を明らかにしていただくことを期待している。服部は、中小企業経営に関する研究をしており、起業家や企業家と中小企業支援機関の相互補完関係による持続可能な経営について明らかにする。本研究の効果は、地方自治体、企業・団体、高等教育機関の産学連携を用いた広範囲の視点や起業家に着目した点など多角的な観点から地域経済における持続的な起業のエコシステムの形成を明らかにし、高等教育機関における有効的な起業支援の仕組みづくりを提唱することである。学会等での発表や学術論文で成果を公表する。