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2024.3.19
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2023年度卒業証書・学位記授与式を挙行しました
3月15日(金)、本学和泉キャンパス総合体育館メインアリーナにおいて、2023年3月 卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
磯晴久学院長と中野瑞彦学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。
また、卒業生を代表して、経済学部の長谷川健太さんより答辞が述べられました。

<2023年度卒業証書・学位授与式の様子>

2023年度 卒業証書・学位記授与式祝辞
「希望を見失わず」


学院を代表して、皆様に祝辞を申し上げます。
桃山学院大学を卒業される皆様、おめでとうございます。また、今まで見守って来られたご家族・ご関係者の皆様、おめでとうございます。新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりの中、従来の卒業式を守ることが出来ないでここ数年を過ごして参りましたが、今年は従来の桃大卒業式ができますことを、ご努力・準備くださった関係の皆様と、そして神様に感謝します。

さて、皆様、桃山学院大学での学生生活はいかがだったでしょうか。わたしたちは、さまざまな体験・経験から学びながら生きて行きます。しかし、自分の体験・経験だけでは小さな世界に留まってしまいます。皆様にとって桃山学院大学での学生生活は、大きな世界への入り口となったのではないでしょうか。これから皆様は、それぞれの志をもってさらに広く、深く、大きな世界へと歩み出して行かれます。
卒業式のことを、英語でコメンスメント(Commencement)と言います。卒業式というと別れの時、寂しい時なのですが、このことばは同時に「開始」とか「はじまり、初め」という意味も持ち、新しい旅立ちを意味することばです。卒業式は、桃山学院大学を巣立つ時であると同時に、新しい世界に一歩踏み出す時であります。皆さんは、これから新しいステージに上って行かれます。

今日私は、新しいステージに上がる皆様に、是非お贈りしたい言葉があります。新約聖書ローマの信徒への手紙第5章1章3節以下です。「苦難をも誇りにしています。私たちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことはありません。」

皆様は、桃山学院大学での勉学・研究・課外活動・人々との出会いを通して、このローマの信徒への手紙に通じる、「生き抜く力」を身につけられました。コロナウイルス、世界各地の災害・紛争のように、何が起こるかわからないこの世界の中で「希望」を見失わずに「生きる力」、「生き抜く力」を身に付けられたのです。これから皆様が上る新しいステージにおいても、きっといろいろなことがあるでしょう。山があれば谷もあります。いかなる時も、不安定な中でも、揺れ動く時も、桃山学院大で身に着けた「生きる力」を使って、「希望」を見失うことなく、苦難を乗り越えていってください。

わたしたちは別れのあいさつで、グッバイと言います。卒業式は、互いにグッバイを言うときですが、これはGOD be with you. 神さまが共におられますようにということばの略です。これからの皆さんの新しいステージにおいて、神様が共にいてくださり、力づけてくださることをお祈りいたします。ご卒業おめでとうございます。

2024年3月15日
学院長 磯 晴久(日本聖公会大阪教区主教)

2023年度 卒業証書・学位記授与式式辞

みなさん、ご卒業おめでとうございます。
また、これまで卒業生の学びを支え、温かく見守ってこられたご家族並びに保証人の皆様、教職員一同、心からお祝い申し上げます。

冒頭に、今回の令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。地震発生後、既に2か月以上が経過していますが、依然として生活の再建が困難な人たちが多くいます。一日も早く、日常生活を取り戻せることを願っております。

さて、本日卒業する皆さんの多くは、まさにコロナ禍の始まった2020年4月に、この桃山学院大学に入学されました。入学当初から対面授業が困難となり、大学も未曾有の事態への対応に苦慮し、皆さんは大学生活の半分にあたるほぼ2年間をオンライン授業の中で過ごすことになりました。学長としても私個人としても、大変残念であったと感じています。それでも皆さんは、立派に学業を修められ、この晴れの日を迎えられました。これまでの皆さんの努力に敬意を表し、改めて、お祝い申し上げます。

皆さんの卒業にあたり、今日は、現代の社会において、桃山学院大学、またその卒業生が果たすべき役割について、少し話をします。

今回のコロナ禍での教訓は、「物理的に人と人が分断されてしまい、心の中が空洞になってしまった人達が少なからずいた」ことだと考えています。今でも、まだ回復していない人たちがいます。そのような人たちをどう支えていくか、が私たちの役割(課題)です。

能登半島地震でも、交通が分断された人々は、不安の中で何日間も何週間も毎日を過ごさざるを得ませんでした。世界に目を向けても、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃では、多くの人たちが家族を奪われ、住まいを失うなど、言葉では言い表せない苦しみを味わっています。私たちにできることは残念ながら限られていますが、そのような人たちの惨状に思いをはせることはできるでしょう。

ここで、私の記憶に強く残っているテレビドラマを紹介します。今から40年程前に、NHKで放送された「夢千代日記」という、全5話の短編ドラマがあります。全体としては暗い話なのですが、なぜか印象が強い物語です。舞台は兵庫県の山間にある湯村温泉という小さな温泉町です。そこでは、人生につまずいてしまった人、不幸にまみれてしまった人など、様々な事情を抱えた人が、出口の見えない中懸命に生きようと、お互いに寄り添って支え合いながら暮らしています。女優の吉永小百合さんが演じる主人公の夢千代という芸者さんは、母親の後を継いで小さな「置屋」を営みながら暮らしています。夢千代自身も、お母さんの胎内にいる時に広島市で被爆し、白血病を抱えながら、余命あと3年という過酷な宣告を受けて生きています。自身も辛い状況であったにもかかわらず、彼女は苦しんでいる人々の話を真摯に聞き、寄り添いました。彼女にできることはただそれだけでしたが、それでも夢千代に話を聞いてもらった人々は、安心して何とか生き続けることができたのです。
原作者の早坂暁さんによれば、このドラマに込めた思いは、「平和への願い」と「人と人が支え合う大切さ」だそうです。当時20歳代だった私にはよくわかりませんでしたが、近年になって、ようやくその重みが実感できるようになりました。

皆さん、改めて、桃山学院大学のビジョンをもう一度思い出して下さい。
「地域で、世界で、人を支える」というのが本学のビジョンです。これから先、どのような時代が待っているのか、私には予見できません。災害も起きるでしょうし、人工知能が人間を超えるシンギュラリティに到達するのも時間の問題でしょう。しかし、AIは、人間の心をもって人に寄り添うことができません。いくら言葉や知識を学習して「答え」を返してくれても、気持ちは伝わりません。

私が皆さんにお願いしたいことは、皆さんはこの桃山学院大学で、「人を支える」精神を身につけたのだということを忘れないでほしいということです。この大学に在籍している間に、皆さんは自覚的ではなかったかもしれませんが、折に触れ「人を支える」という本学のビジョンに接してきたのです。是非、これを一生の財産として持ち続けてください。

最後に、今日卒業する皆さんが、それぞれの道で精一杯生きてくださることを祈っています。そして、数年後に皆さんが社会人として立派に成長し、再び桃山学院大学を訪ねてきてくれる日を楽しみにして、卒業式の式辞とさせていただきます。

本日はご卒業、誠におめでとうございました。

2024年3月15日
桃山学院大学 学長
中野 瑞彦

2023年度 卒業証書・学位記授与式答辞

日差しにも確実に春の気配が感じられ、キャンパス噴水前横断歩道のベニバスモモ(紅葉すもも)が元気に咲き出しました今日この日に、教職員の皆様をはじめ多くの方々のご臨席の下、かくも盛大な卒業式を開催いただきましたことに、卒業生一同心より御礼申し上げます。また、ただ今 中野学長、磯(いそ)学院長よりお祝いのお言葉を賜りましたことに、かさねて御礼を申し上げます。

振り返ると4年前の2020年、新型コロナウィルスの猛威が本格化し、入学式も行われない異例の状態で始まった学生生活でした。不慣れなリモート形式の授業を通じて、大学での学びに挑戦しはじめ、何度かの緊急事態宣言、ワクチン接種を経つつ、ようやく対面でキャンパスに来て学ぶことができるようになった喜びはひとしおでした。
4年間、私たちは諸先生方のご指導を受け、大いなる知識を得ました。加えて、かけがえのない多くの友人を得ることができました。自身の留学や海外からの留学生との交流、あるいはそれぞれの課外活動など、桃山学院大学ならではの充実した環境の下で、多くの友人たちと共によく遊び、そして勉学に取り組んだ時間はとても楽しくかつ有意義で、この上なく贅沢な4年間でありました。いま卒業の時を迎え、喜びをかみしめる一方で、友人達との別れに寂しさを感じずにはいられません。

しかし、いつまでも過去をなごり惜しむことは許されません。明日から私たちは社会に出てそれぞれの道を歩み始めます。そこには未解決の問題が山積しています。多種多様な問題・課題が立ちはだかる昨今、大学を経て世の中に出ていく私たち若者が果たすべき役割は、ますます重大かつ重要になってきていると思います。私たちは桃山学院大学で得た知恵と「世界が変わる体験」を基に、社会の中で出会う人々と協力し合い、待ち受ける困難な課題に立ち向かって行かねばならないのです。

最後になりましたが、先生方・職員の皆様のご指導、そして暖かく見守ってくれた家族があってこそ、今日この卒業の日を迎えることができました。卒業生を代表して、私たちを支え、導いて下さった全ての方々に心より御礼申し上げます。そして、皆様方のご健康と桃山学院大学の更なる発展を祈念して、答辞と致します。

2024年3月15日
卒業生代表
経済学部 長谷川健太