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2026/04/01
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新館長就任のご挨拶

図書館長就任のご挨拶

山川 俊和(経済学部 教授)

 このたび、桃山学院大学図書館長を拝命いたしました。光栄に存じるとともに、その責任の重さを改めて感じております。

 サン=テグジュペリの『星の王子さま』に、次のような一節があります。「心で見なければ、ものごとはよく見えない。大切なものは目に見えない」。日本の環境経済学のパイオニアである都留重人もまた、折に触れてこの一節に言及していました。経済成長の物質的繁栄の裏で進む公害や自然環境の破壊を捉える枠組みを模索した都留の仕事と、この一節は共鳴しています。


 私自身も、この問いを意識して研究を続けてきました。気候変動、自然や生物多様性の喪失、そして深刻な社会的格差と不平等——これらと向き合う政治経済学は、「目に見えにくいもの」を見ようとする知的営為です。大気中の二酸化炭素、将来世代へのさまざまな負担、日本から遠い国で起きている環境被害、いずれも見えにくいものです。それでも、それらを直視し、言葉にし、可視化できるようにすることこそ、学問の役割でしょう。その役割は、社会的分断と反知性主義の時代だからこそ、ますます重要になっていると思います。


 今日、様々な知的プラットフォームの整備や、生成AIの登場によって、情報へのアクセスはかつてなく容易になりました。膨大な知識が瞬時に引き出せる時代に、図書館の存在意義を問い直す論調もあるかもしれません。しかし、デジタル化が進み、読書のあり方も大きく変化するからこそ、書架が並び、静寂があり、知的な営みの蓄積が物理的に息づく空間に身を置くことの意義は、むしろ高まっているのではないでしょうか。「何を問うべきか」という問いを立てる力、そして星の王子さまの言う「目に見えないもの」を感じ取る力は、図書館のような知的空間に身を置き、そこから生まれる創発的な想像力や対話の中で育まれるものだと考えます。


 本学図書館が、学生・教職員・地域の皆さまにとって、そのような知の拠点であり続けるよう、誠心誠意努めてまいります。どうかよろしくお願いいたします。


図書館長就任のご挨拶