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お知らせ
2018.3.16
お知らせ・イベント
2017年度卒業証書・学位記授与式を執り行ないました
3月16日(金)、午前9時30分より本学チャペルにて卒業記念礼拝・学部成績優秀者表彰式を、午前10時30分より本学総合体育館メインアリーナにて、2017年度卒業証書・学位記授与式を執りおこないました。
磯晴久学院長と牧野丹奈子学長より、学部卒業生1,202名、大学院博士前期課程修了生22名、大学院博士後期課程修了生2名に、門出を祝う言葉が贈られました。
また、授与式後、チャペルにおいて社会学部卒業論文集の表彰式もおこないました。
本学の卒業生をどうぞよろしくお願い申し上げます。

卒業記念礼拝

卒業証書・学位記授与式の様子

卒業証書・学位記授与式 牧野丹奈子学長 式辞

社会学部卒業論文集表彰式

学生懸賞論文表彰式

【2017年度 卒業証書・学位記授与式 式辞】

 皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族、ご親戚、保護者の皆様、おめでとうございます。桃山学院大学の教職員を代表し、心よりお祝いを申しあげます。
 本日、皆さんは大学を卒業し、それぞれの道を歩んでいきます。皆さんの多くは今後、社会に出て働くわけですが、これからの社会はかつてなかったほど大きく変わります。そこで今日は“これからの社会で活躍するためにはどのような力が必要か”についてお話しし、皆さんへのお祝いの言葉に代えさせていただきたいと思います。

 今、さまざまな技術革新が驚くほどのスピードで進んでいます。たとえば近年のAIの進歩には目覚ましいものがあり、この20年で約半数の仕事がAIに奪われるとも言われています。では私たち人間は仕事の中でどのような力を発揮していくべきか。これについては様々な考えがありますが、今日はAIとの関係から、3つの力を紹介したいと思います。

 第一はクリエイティブ力。何もないところから新しいものを生み出す力のことです。確かにAIも何かを生み出すことができるのですが、現在のほとんどのAIは過去の大量のデータに基づいて学習し、そこから新しいものを生み出しています。ところが人間は違います。私たち人間は過去のデータに頼らなくても、自分の意志をよりどころとして新しいものを生み出すことができます。ゼロの状態から1を生み出すことが出来るのです。

 第二は高度なコミュニケーション力。互いに共感しあえるようなコミュニケーション力のことです。社会で何かを実現するためには、人の賛同を得たり、人を説得したりしなければなりません。また、仲間づくりやネットワークづくりが必要になるかもしれません。このようなコミュニケーションはAIには無理です。

 第三は決める力。責任を持ってものごとを決める力のことです。AIがどのように高度な能力を持つようになっても、ものごとの当事者にはなれないため、責任を背負うことができません。つまり責任を持って決める仕事は、AIにはできないということです。ですから、経理やプログラミングなど様々な分野においてAIが活躍するようになりますが、そこでもやはり大事なことを決める仕事は私たち人間が行うことになるでしょう。

 このように、これら3つの力は人間こそが発揮すべき能力といえます。また、これら3つの力は密接に関連しあっていることも理解しておきましょう。そしてさらに大事なことは、社会の問題に取り組む時、これらの3つの力が重要な鍵を握るということです。

 例えば、皆さんがレストランで働くとして、そこで新しいメニューを開発することになったとしましょう。さて、皆さんなら何から始めますか?お店の売り上げ状況を分析したり、ライバル店の人気メニューを調べたりするかもしれませんね。周辺に住んでいる人たちについて調べるかもしれませんね。しかし、このような調査や分析をどれだけ行なっても、それだけでは新メニューを決めることはできません。依然として新メニューはまだまだいくらでも考えられます。
 ですから最後は、「このメニューでいくんだ!」と自分で考え、決めるしかないのです。当然このとき、周りの人たちと話し合うことが必要となります。このようにして、やがて皆に喜んでもらえるメニューが生まれるでしょう。

 このメニューの話に限らず、そもそも社会の問題には唯一の正解が存在しないということを覚えておいてください。唯一の正解が存在するようなテストの問題とは違います。ですから社会の問題に取り組むときは、自分で答えを生み出す、決める、そして周りの人たちとコミュニケーションしながらまた決める。このようにクリエイティブ力、高度なコミュニケーション力、決める力を繰り返し発揮することによって、より良い答えを作っていくしかないのです。

 ここで皆さんはきっと思うでしょう。ではどうやったら、そのような力を身につけることができるのか。これらの力は本を読むだけでは身につけることができません。たとえ理屈が分かったとしても、実際にできるレベルには到達できないでしょう。これらの力を身につけたかったら、現実の問題に必死で取り組むほかありません。このとき最も大事なことは、当事者意識を持って、つまり自分の問題として取り組む姿勢です。当事者意識をもって取り組めば、そのプロセスにおいて、自分なりのクリエイティブ力、高度なコミュニケーション力、決める力を必ず身につけることができます。その結果、さらに高度な社会の問題に取り組める人となれるでしょう。

 これからの社会は間違いなく大きく変わります。このことを後ろ向きに捉えるのではなく、せっかく、変化の時代に働くのですから、新しい答えをどんどんつくっていく、そんな仕事をして欲しいと思います。仕事の大きさや種類には関係ありません。どのような仕事においても、クリエイティブ力、高度なコミュニケーション力、決める力の3つの力を発揮すれば、目の前の現実をつくっていくことができます。それこそが、真に人間らしい仕事だといえるでしょう。

 桃山学院大学で学んできた皆さんならば、新しい社会をつくる仕事がきっとできると信じています。頑張ってください。

2018年3月16日
桃山学院大学学長
牧野 丹奈子