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2026.3.26
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2025年度卒業証書・学位記授与式を挙行しました
3月17日(火)、本学和泉キャンパス総合体育館(メインアリーナ)において、2025年度卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
磯晴久学院長と中野瑞彦学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。
また、卒業生を代表して、経営学部の石田彩さんより答辞が述べられました。


<2025年度卒業証書・学位記授与式の様子>

2025年度 卒業証書・学位記授与式 祝辞
「新しいステージにあがる皆様へ ~土の器として生きる」

皆様、ご卒業おめでとうございます。今まで、見守り、支えてこられたご家族はじめ、ご関係の皆様、おめでとうございます。学院を代表して、お祝いの言葉をお贈りします。ご存知の方もあるかと思いますが、桃山学院は1884年C.F.ワレン大執事によって、現在の大阪市西区川口の地に、小さな種が植えられました。諸先輩方がバトンを受け継いで、受け継いで今年2026年で142年を迎えました。少し先ですが、2034年には創立150周年を迎えます。皆さまも入学の時、桃山学院のバトンと受け継いでくださって、今日ご卒業の時を迎えられたわけです。

さて、桃山学院大学での学生生活はいかがだったでしょうか。中学・高校の時よりも高く、深く、広く、大きな世界を垣間見ることができたのではないでしょうか。英語で卒業式のことをコメンスメント(Commencement)と言います。
卒業と聞きますと、お別れの時、寂しさを感じる季節ですが、このコメンスメントには、「開始、始まり、初め」という意味があります。さよならの季節ですが、同時に「開始、始まり、初め」の季節でもあります。皆さんは、大学時代からさらに、高く、深く、広く大きな世界に向かって新しいステージ、新しい舞台に上がる時を迎えようとしています。

新しいステージに上がろうとしている皆様に、聖書のことばをお贈りします。創世記の第2章、人間の創造神話です。「主なる神は、土の塵で人を形作り、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きた者となった。」
人間が土の塵から創られた。人間は「土の器」だというのです。昔昔の人々が、人間が死に土に埋めるといつの日か土に帰っていくことから、土の塵から人間が創られたと考えたのでしょう。「土の器」と聞きますと、人間のはかなさ、もろさ、弱さを感じます。
人間(ホモサピエンス)の誕生は約38億年前頃と言われます。山や木の上で暮らしていた人間の祖先が、何故か、山から、木から下りてきます。犬歯も大きくない人間は、確かに大変弱い存在でした。猛獣たちの格好の標的になります。人間は大変危機的な状況に生きることになります。その後も幾度となく人間はいのちの危険、危機的な状況にさらされます。たとえば、氷河期などです。しかし、人間は幾度となく危機的状況を乗り越えて、今に至っています。「いのち」は38億年前から皆さんまで、一度も途切れることなく続いています。危機的な状況は幾度となくあったのですが。奇跡と言ってもいいかな?

ところで、危機的状況を乗り越える力は一体何だったのだろうか。京都大学の山極寿一先生(ゴリラの先生)は、人間に与えられているいくつかの要素があったからだと語っておられます。

① 共同体性 血縁・家族を越えて支え合っていく、分かち合っていく、広く仲間で生きていっていること
② 共感する力 相手のことを心配したり、愛おしく思ったり、お互いに思い合ったりすること 私たちは2足歩行。なぜか、諸説あります。ある方のお話に、家族や仲間のために食べ物や飲み物を運ぼうとして立ち上がったところから始まったというちょっと素敵なお話を聞いたことがあります。
③ 忍耐力や柔軟性 多様な人々を仲間として受け入れていくおおやかな心寛容の心をもっていること
人間は弱さ、もろさを持っていますが、共同体性、共感する力、忍耐力、柔軟性を与えられて、弱みを強さに変えて生き抜いてきたのです。桃山学院大学のスピリット、校風である自分を大切にし、他者に対して責任を負う自由と、いつも他者に気配りをする愛の心が、共同体性・共感性・忍耐力・受難性等には地下水のように流れています。皆様は桃大において、こうした風に触れたのです。
また、土にはもう一つの側面があります。土には宝が隠されています。生き物を育て、守り、生かす力をもっています。自然界、農業を思い浮かべて下さい。陶芸、焼き物も土をこねて、こねて作られます。土から、薬の原材料が発見されることもあります。土は、目には見えないのですが沢山の宝をもっています。それは、ここにおられる皆様一人一人と同じです。皆様は宝をもっておられます。可能性と言い換えていいでしょう。それも一つではなく、いくつももっておられます。そのことに気づいて、新しいステージへ上がる方もあるでしょう。まだ見つけていないという方もあるでしょうが、心配いりません。必ず、神さまは、宝、可能性を与えてくださっています。自信をもって新しいステージに上がってください。
そして、人間創造の場面では、土の塵から創られた人間の鼻から、神様は「いのちの息」を吹き込まれ、人間は生きるものになったと記されています。
私たち一人一人に、神様の息、いのちの息が吹き込まれていて、神さまは、私たちが弱さやもろさに悩むとき、働いて力づけてくださいます。

今日皆さんは卒業の時を迎えました。いよいよ出発の時、旅立ちの時です。
しかし時代は「順風満帆」というより「逆風」の時代と言っていいのではないでしょうか。さようならのことを、グッバイと申します。
これは、「GOD BE WITH YOU 神さまが共におられますように」ということの略です。皆さんの新しいステージの上に、神さまが共にいて、守り、導いてくださいますようにお祈りしています。皆さん、ご卒業おめでとうございます。

GOD BE WITH YOU!

2026年3月17日
学院長 磯 晴久(日本聖公会大阪教区主教)

2025年度 卒業証書・学位記授与式 式辞

皆さん、ご卒業おめでとうございます。
また、これまで卒業生の学びを支え、温かく見守ってこられたご家族並びに保証人の皆様に対し、 教職員一同、心からお祝い申し上げます。

本日の卒業式では、昨年4月に桃山学院教育大学と統合して誕生した人間教育学部から、本日、第一期の卒業生を送り出すことができました。これは学長として大変喜ばしいことです。

さて、皆さんが「桃山学院大学の卒業」という大きな節目を迎えるにあたり、私が皆さんに期待することは、これから皆さんが進んでいく未来において、大きな視野を持って、常に自分なりに考え、行動し続けてほしいということです。
私たちの社会は今、これまで以上に不確定な要素に包まれ、不安定化しています。6年前のコロナ禍以降に明らかなになった社会の不安定化は、それまでとはスケールが異なるレベルになっていると言ってもよいでしょう。

本日は、この不安定な社会の背景にある2つの大きな要因について、私の考えを述べます。

第一の要因は、日本の人口減少の加速です。過去20年間に、日本の新生児の数は、実に4割も減少しました。その結果、日本の社会や経済を支える基盤となる労働力人口が、すさまじい速度で失われようとしています。これはアジアの国々でも同様です。労働力人口の減少は、地域社会の存在そのものを揺るがす深刻な事態なのです。おそらく、それを補うように、人工知能AIを搭載したロボットが人間の労働力を代替していくのでしょう。皆さんも知っての通り、近年のAIの進化には著しいものがあります。AIが人類の知識の総和を超える「シンギュラリティ」がもうすでに来ていると言っても過言ではありません。

そのAIの世界でも、すでにAIがAIをコントロールし、さらにはAIがAIを開発する時代となっています。既に、「AIエージェント」と呼ばれる、自分で考え、自分で目標達成に向けて計画・実行するAIが登場しています。また、これまでのように画面の中で言葉を操る「大規模言語型AI」の時代から、あたかも人間のようにロボットや機械を制御する「フィジカルAI」の時代に入ろうとしています。わずかこの2、3年でこの変化が起きているのです。AIの進化は、プラスとマイナスの両面があります。恐ろしいことは、どこまでが人間が決めたことなのか、どこからがAIが決めたことなのか、判断できなくなることです。 
しかし、視点を変えれば、これは私たちが「より人間らしく」生きるための素晴らしい時代の幕開けでもあります。複雑な計算や作業をAIが担ってくれるからこそ、思いやり、共感、そして新しいものを生み出す創造力といった、「人間にしかできない豊かな感情」が、かつてないほど価値を持ちます。これからの時代は、皆さんがもっと自由に、もっと人間らしく活動し、皆さんの創造力が最も輝くステージになるとも言えます。人口減少とAIの進化の中でこそ、皆さんに自分の頭で主体的に考えることが求められているのです。

第二の要因は、国際情勢の著しい混迷です。4年前のロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの紛争、そして今まさに激化しているアメリカ、イスラエルによるイランへの攻撃など、世界各地で激しい争いが絶え間なく続いています。
国際社会において、「力による支配」が台頭しようとしています。対話や歩み寄りではなく、自らの意に従わない相手を圧倒的な力、すなわち軍事力によってねじ伏せるやり方は、かつて人類が多くの犠牲を払って学び、過去のものにしたはずでした。しかし現実には、力によって自らの考えを押し通すことが正当化されようとしています。そして、平和を求める抗議の声さえも、かき消されようとしているのです。
この不安定な時代にあって、私たちが自分の頭で考えず、内なる声に耳をふさいだ時に、果たしてそこにはどのような未来が描けるでしょうか。本学の建学の精神は「キリスト教精神にもとづく世界の市民の養成」です。「世界の市民」とは、「自由と愛の精神」を持つ人を指します。自由には他者への愛と責任がともないます。「自由」とはひとりひとりの人格と主体性を尊重すること、「愛」とは互いに仕えあいながら他者と共に生きることです。私たちは、決して「人をないがしろ」にしてはなりません。分断が深まる世界において、皆さんが学んだこの「自由と愛の精神」こそが、社会を平和へと導く、最も強力な手段になるのです。

ここで、ある一人の「人間」の声を紹介します。名前は、モハメド・アリです。彼は、アメリカの黒人プロボクシング選手で、人種差別と闘いながら世界チャンピオンに上り詰めた、スポーツ史において最も偉大で影響力のあるアスリートの一人です。今から30年前、1996年のアトランタ・オリンピックにおいて、パーキンソン病と闘いながら、聖火の最終ランナーを務めた彼は、震える手で聖火台に火を灯しました。その姿は、世界中の人々の心を打ちました。しかし、彼の「本当の勇気」は、それよりもずっと前に示されていたのです。 
1960年代のアメリカでは、若者はベトナム戦争へ行くために徴兵されていました。兵役を避けるためにカナダへ渡る者もいれば、国旗を燃やして戦争に抗議する運動も広がっていました。そんな中、世界チャンピオンとして富と名声の絶頂にあったアリは、そのすべてを失う覚悟である一つの決断を下します。自らの信念と良心に従い、兵役に就くことを公然と拒否したのです。彼は、こう語りました。
「私は逃げません。旗を燃やしたりもしません。カナダにも行きません。私はここに残ります。私を刑務所に入れたいのですか?結構です。私は400年間も投獄されてきたようなものです。あと4、5年、そこにいてもいいでしょう。しかし私は、他の貧しい人々を殺すために、1万マイルも離れた遠い国まで旅をするつもりはありません。私の敵は、中国人でも、ベトコンでも、日本人でもありません。自由を望むとき、正義を望むとき、平等を望むとき、その願いを踏みにじる者こそが、私の敵なのです。私に『あなた方のために戦え』と言う。しかし、あなた方は、このアメリカでさえ、私の権利や宗教的信条を守ろうとしない。この故郷でさえ、私のために立ち上がろうとしないのです。」
彼が守ろうとしたのは、世界チャンピオンとしての名声ではありませんでした。それよりも大切な、自分の良心と内なる声でした。

どれほど大きな力に囲まれても、自分の心が「それは違う」と語りかけるとき、その声に耳を傾け、信じて行動することが、本当の勇気なのではないでしょうか。
私は、本学の卒業生には、どんな状況の中でも、自らの内なる声を大事にしてほしい、その声を信じてほしいと願っています。卒業生の皆さんには、その力があると信じています。どれほど社会が変化しようとも、恐れることはありません。皆さんの持つ若さと情熱、そしてこの桃山学院大学で培った「自由と愛の精神」を持ち続ければ、必ずや分断を乗り越え、自分らしく生きられる明るい未来を切り拓いていけると、私は確信しています。
最後に、今日卒業する皆さんが、それぞれの道で精一杯生きてくださることを祈っています。そして、数年後に皆さんが社会人として立派に成長し、再び桃山学院大学を訪ねてきてくれる日を楽しみにして、私の卒業式での式辞とします。本日はご卒業、誠におめでとうございました。

2026年3月17日
桃山学院大学 学長
中野 瑞彦

2025年度 卒業証書・学位記授与式 答辞

本日は、春の訪れを感じるこの佳き日に、教職員の皆様をはじめ、多くの方々のご臨席のもと、このように盛大な卒業式を挙行していただきましたことに、卒業生一同、心より御礼申し上げます。また、只今、中野学長、磯学院長よりお祝いのお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。

4年前、私たちは新型コロナウイルスの影響がまだ残る中で桃山学院大学に入学しました。授業はオンラインと対面の両方で行われるなど、これまでにない形で大学生活が始まりました。当初は戸惑いや不安を感じることもありましたが、日々を重ねる中で少しずつこの環境に慣れていきました。友人たちと過ごした時間や何気ない会話の一つ一つが、今振り返るとかけがえのない思い出となっています。

この4年間、私たちは諸先生方の温かいご指導のもと、それぞれの分野に触れながら多くのことを学んできました。ゼミ活動では企業のマーケティングについて考える機会があり、若い世代を対象とした化粧品ブランドのプロモーションをテーマに、どのようにすれば人の関心を引きつけ、ブランドの魅力を伝えることができるのかを意見を交わしながら考えました。こうした経験を通して、それまで何気なく見ていた日常の風景も少し違って見えるようになりました。お店での商品の見せ方や伝え方にもさまざまな工夫があることに気づき、身近な出来事を多角的に捉える視点の大切さを感じるようになりました。大学でのさまざまな学びを通して得たこの視点を大切にしながら、これから社会の中でも物事を広い視点で捉え、自分なりに考え続けていきたいと思います。

本日、私たちは桃山学院大学を卒業し、この4月からそれぞれの新しい環境へと歩み出します。これから先の社会は日々大きく変化し、時には思い通りにいかないことや困難に直面することもあるかもしれません。しかし、本学で出会った人々や、この場所で過ごした日々を胸に、それぞれの場所で自分らしく歩み続けていきたいと思います。

最後になりましたが、これまで熱心にご指導くださいました先生方、温かく支えてくださった職員の皆様、そしてどんな時も見守り励ましてくれた家族、共に時間を過ごした友人たちに、卒業生を代表して心より感謝申し上げます。本日ご臨席くださいました皆様のご健勝とご多幸、そして桃山学院大学のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げ、卒業生代表の答辞とさせていただきます。

2026年3月17日
卒業生代表
経営学部 石田 彩