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お知らせ
2019.9.24
お知らせ・イベント
2019年度9月卒業証書・学位記授与式を挙行しました
9月21日(土)、本学チャペルにて、卒業記念礼拝および9月卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
卒業生・関係者合わせて200名近くが出席し、出田善蔵理事長と牧野丹奈子学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。

出田善蔵理事長による祝辞

卒業生代表者への卒業証書・学位記授与

2019年度9月 卒業証書・学位記授与式式辞

皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族、ご親戚、保護者の皆様、おめでとうございます。桃山学院大学の教職員を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。

さて皆さんの多くはこれから社会に出て働くわけですが、今、社会ではAIをはじめとする技術革新が急速に進んでいます。そのため、仕事が大きく変わってきています。そこで今日は、これからの仕事とそこで必要な力について私の考えを交えながらお話しし、お祝いの言葉に代えさせていただきたいと思います。

先ほども言いましたように、近年のAIをはじめとする技術革新には目覚ましいものがあります。単純作業の自動化は当たり前です。無人工場や無人コンビニなどはますます進むでしょう。RPAのような事務の自動化も進んでいくでしょう。そして、それだけではありません。高度な専門知識を必要とする仕事であっても、それに明確な答えがあるものならば、AIが行なうようになるでしょう。そのため、2030年頃には人間の今の仕事の半分をAIが行なうとまで言われるほどです。では私たち人間がすべき仕事とはどのような仕事か。それは新しいアイデアを生み出す、新しい答えを実現していくクリエイティブな仕事ということになるでしょう。これは、あらゆる現場で求められるようになります。

ではどのようにすれば、新しいアイデアを生み出すクリエイティブな人になれるでしょうか?通常、何か新しいことを考え出すとき、まずは過去の知識や考え方を学ぶことから始めます。また、単なる思い付きで終わらせないために、論理的な分析も行います。勿論、これからもこのようなことは大切です。しかし、ここで注意すべきは、これからの社会では変化があまりにも激しいため、過去の成功体験や分析に基づく予測などがあまり役に立たなくなるということです。何か新しいアイデアを生み出すときも、過去の正解や論理的な分析結果がこれまでのような意味を持たなくなります。これからの社会において新しいアイデアを生み出すとき、私たちがよりどころとすべきものは何か。それは、来るべき新しい社会をしっかりとイメージして、「そこにあるべきもの」を見抜く力だと私は考えています。つまり、イマジネーションの力です。

このようなイマジネーションの力を手に入れるためには、直観、倫理観、美的センスといったようなその人の、いわば心のスタイルが必要になるでしょう。たとえば「面白そう」とか「感動した」とか「美しいなあ」といったような感覚です。このような感覚が、来るべき未来やあるべきもののイメージを想起させるのです。また、このような心のスタイルをAIは当分もつことができない、人間ならではの特徴だともいえるでしょう。

ですから皆さんには、このような直観や倫理観や美的センスなどの心のスタイルを磨いてほしいと思います。ぜひとも、日ごろから美しい音楽を聴いたり、絵画を鑑賞したり、感動する小説を読んだりしてください。心に響くような映画や演劇なども観てください。また、花を見るときなども、理屈抜きで、素直にその美しさだけを感じてほしいと思います。そのような毎日の体験が心のスタイルを磨くことになり、イマジネーションの力を育てるのです。しっかりとした知識と論理思考の上に、さらにそのようなイマジネーションの力が加わったとき、新しいアイデアを生み出せるクリエイティブな人となるでしょう。

これからの社会はかつてなかったほど大きく変わります。このことを後ろ向きに捉えるのではなくチャンス到来と考えて、自分らしくクリエイティブに仕事に取り組んでいただきたいと思います。桃山学院大学の卒業生ならばきっとできると信じています。頑張ってください。

2019年9月21日
桃山学院大学 学長
牧野丹奈子