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2025.3.21
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2024年度卒業証書・学位記授与式を挙行しました
3月17日(月)、本学和泉キャンパス総合体育館(メインアリーナ)において、2024年度卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
磯晴久学院長と中野瑞彦学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。
また、卒業生を代表して、社会学部の森杏菜さんより答辞が述べられました。


<2024年度卒業証書・学位記授与式の様子>

2024年度 卒業証書・学位記授与式祝辞
「心の内に塩を持ちましょう」


卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。またご関係の皆様、おめでとうございます。学院を代表いたしまして、祝辞を申し上げます。
桃山学院大学での学生生活はいかがだったでしょうか。
広く、高く、深い世界を探求し、経験する時となられたことでしょう。
皆さまは、コロナ感染症が、少し落ち着き、勉学。活動が元に戻りつつある日々を過ごされました。しかし、元に戻って行くと言うのは、言うは優しいのですが、力のいることです。皆さまが経験した忍耐と回復への働きは、大きいものがあったと思います。この経験は、きっとこれからの人生の糧となります。どうぞ自信をもって、次のステージに上がっていってください。

さて、今日巣立っていく皆様に、聖書のみ言葉を、お贈りします。
聖書には、「あなたがたは地の塩である」(マタイによる福音書5章13節)という有名な聖句があります。あなたがたは「地の塩になりなさい」というのではなくて、もう「地の塩なのだ」というのです。皆さまは、桃山学院大学での勉学・経験を通して、すでに「地の塩」の働きを担える人になっています。
もう一つ、「自分自身の内に塩を持ちなさい。そして、互いに平和に過ごしなさい。」(マルコによる福音書9:50C)という聖句もあります。
私は、若い頃「塩という強い味のイメージ」で受け取り、「妥協しない、揺るがないあり方」を「塩」を通じて、主イエスは教えておられると受けとめていました。しかし、「塩の対比作用」ということを知り、この聖句の読み方が変わったのです。塩の「対比作用」というは、他の味の中に、塩を少量加えると、塩味は消えるが、そのもののもつ味がひときわ強く、よくわかるようになる作用のことです。たとえば、ぜんざいを作る時に、砂糖に少量の塩を加えると、ぜんざいは甘さを増し、大変おいしくなると聞きました。よく添えられる塩昆布もその役割でしょうか。
また、旨味に対しても、この「対比作用」というのは大きな効果があるそうで、出汁を取った時に、少量の塩を加えて味をきくと、味の善し悪しがたちどころに分かるとも聞きました。そうすると「塩」はそのままではなく、かくし味として使われた時に大きな力を発揮すると言うのは、大きな気づきでした。
「塩」は、かくし味として使われた時にこそ大きな力を発揮するのです。
「自分自身の内に塩を持ちなさい。そして、互いに平和に過ごしなさい。」と主イエスは言われました。ここでの「塩」、それを自らの内に保ちなさいというのは、自己を強く主張するというよりも、社会の中で溶け込んで、和解や平和を作り出していく、人を育て生かす働きを担うという風に考えることができます。
それは、あたかも私たちがかくし味的な役割を担い、人々の間にあって、また社会の中で周囲の人々の良さを引き出していくとも考えることができます。かくし味的な生き方は、桃山学院大学が大切にしている「自由と愛」の精神が、わたしたちに求めている姿、生き方ではないでしょうか。
塩のように、隠し味となって、周りの人々を生かす人になってください。
まわりの人々から、「なくてはならない人」「頼られる人」になってください。皆様は、その力を桃山学院大で、身につけました。
先日とてもうれしいことがありました。私が本大学のチャプレン時代に、国際ワークキャンプ・インドネシアを学生の皆さんと準備し実施致しました。バリ島にある児童養護施設で子どもたちと過ごす時を持ちました。先日卒業生から連絡がありました。20年前の卒業生です。NPO法人を立ち上げて、インドネシアを中心に、こどもたちへの支援、日本に働きにきているアジアの青年を支援する働きをはじめるので、一緒にやろうというお誘いでした。2人はインドネシアで企業している、ある卒業生は、アジアとの交流を中心に大学の講師をしています。
大学時代に出会ったアジアの子どもたちとの交流を大切に、ずっと取り組んできてくれていた。とてもうれしく、すぐに了解と返事をしました。さらに、うれしかったのは、ワークキャンプの中で、思うようにいかなくて挫折を経験した人が加わっていることでした。
彼らはこの世界の中で、「塩」の働きをはじめようとしています。実を結ぶのは10年後20年後なのです。皆さまも新しいステージで、「塩」の働きを開始してください。

これから皆様は、さらに大きな世界に向かって、新しいステージへと上がって行かれます。卒業式はさよならを言う時です。さよなら、グッバイとも言います。これは、GOD BE WITH YOU!の略です。神さまが共にいてくださいます。神さまが共にいて、あなたを愛し、導いてくださいますから、勇気をもって、希望を胸に、階段を一歩ずつ登ってください。
神さまの祝福をお祈りしています。ご卒業おめでとうございます。

2025年3月17日
学院長 磯 晴久(日本聖公会大阪教区主教)

2024年度 卒業証書・学位記授与式式辞

みなさん、ご卒業おめでとうございます。また、これまで卒業生の学びを支え、温かく見守ってこられたご家族並びに保証人の皆様、教職員一同、心からお祝い申し上げます。
冒頭に、今回の大船渡市の山林火災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
さて、本日卒業する皆さんの多くは、まさにコロナ禍の真っ最中であった2021年4月に、この桃山学院大学に入学されました。
未曾有の事態に大学関係者も対応に苦慮し、皆さんは大学生活の最初の1年間を様々な制約の中で過ごさざるをえませんでした。学長としても個人としても、大変残念であったと感じています。それでも皆さんは、立派に学業を修められ、この晴れの日を迎えられました。改めて、お祝い申し上げます。
ここで、皆さんが羽ばたいていくこれからの社会において、私が桃山学院大学の卒業生に期待することについて、少し話をします。それは、今後の社会の変化について、大きな視野を持って、常に自分なりに考え続けてほしい、取り組んでほしいということです。
今、世界を俯瞰すると、これまでに築き上げられてきた社会の仕組みや価値観が壊れようとしています。主要国の一つであるロシアがウクライナに対し武力で侵攻したり、超大国アメリカが地政学的な領土拡大や関税による貿易戦争などを声高に主張し始めたりするなど、これまで私たちが当たり前だと思っていた世界の仕組みを大きく変えようとする動きが目立ちます。現代ではすでに解決ずみ、或いはあり得ないと思っていたことが、一定の時を超えてまるで振り子のように戻ってきたようです。
これは一時的な現象でしょうか。恐らくそうではありません。現代の社会や経済の構造問題が背景にあると考えるべきでしょう。私は、今起きている変化にふさわしい言葉として、「歴史は繰り返さないが、韻・リズムを踏む」という、アメリカの作家マーク・トウェインの言葉を紹介します。この言葉の意味は、歴史上全く同じことは起こらないが、似たような事象は長い歴史の中でよく起きるという意味の言葉です。
彼は19世紀から20世紀にかけて活躍し、その代表作は皆さんも知っている「トムソーヤーの冒険」です。つまり、近現代の私たちが直面している世界に近い、大きな変化を知った上でこの言葉を残しているのです。
ところで、この日本社会自身も、大きな構造問題に直面しています。それは言うまでもなく、少子化問題です。皆さんの世代は、同学年の人口がおよそ120万人ですが、昨年2024年に生まれた新生児の数は72万人と報道されました。約20年間で4割の人口減少です。このペースが続けば、皆さんが社会の中心となる20年後の40歳ごろには、新生児の数はおよそ43万人と大きく減少します。
この結果、現在の60歳人口と20歳人口の比率は、現在ではおよそ10対7であるものが、皆さんが社会のベテランとなる40年後には、10対4まで広がってしまうことになります。つまり、40年後の20歳の若者の人口数は、皆さんの人口数の半分以下になってしまうのです。
急速な少子化に現在の日本の社会構造が耐えられるのかどうか全くわかりません。もちろん、人工知能を搭載したロボットが、物理的な課題を解決してくれる可能性はあります。人口知能が人間の能力を超えるシンギュラリティが、もうすぐそこに来ています。しかし、それだけでは解決できない課題が数多くあることも事実です。
一方で、構造変化は大きなチャンスでもあります。これまでの延長線上のやり方では対応できない時だからこそ、新しい発想と新しいエネルギーが求められるのです。若い皆さんは、社会や職場でリーダーとして、そのチャンスをつかむことができる場所に立てるのです。時には、うまくいかないこともあるでしょう、失敗もあるでしょう。しかし、諦めずに前に進んでください。
そこで、卒業する皆さんに、次ぎの言葉を贈ります。アフリカ大陸、最南端の南アフリカ共和国で人種差別反対運動に身を投じ、度重なる困難や長年の獄中生活にも屈せず、最後は黒人大統領となったネルソン・マンデラ氏の言葉です。
「人生における最大の栄光は、決して転ばないことではなく、転ぶたびに立ち上がることにある。」
私は、本学の卒業生にはその力があると信じています。桃山学院大学で培った学びと経験を土台として、必ずこれからの時代を乗り越えていけると確信しています。
最後に、今日卒業する皆さんが、それぞれの道で精一杯生きてくださることを祈っています。そして、数年後に皆さんが社会人として立派に成長し、再び桃山学院大学を訪ねてきてくれる日を楽しみにして、卒業式の式辞とさせていただきます。
本日はご卒業、誠におめでとうございました。

2025年3月17日
桃山学院大学 学長
中野 瑞彦

2024年度 卒業証書・学位記授与式答辞

厳しい冬の寒さも和らぎ、通学路の桜の蕾も膨らみ始め、例年の満開の桜を思い浮かべると、春の訪れを感じ心躍る季節となりました。本日は教職員の皆様をはじめ、多くの皆様のご臨席のもと、このように盛大な卒業式を挙行していただきましたことに、卒業生一同心より御礼申し上げます。また、只今、中野学長、磯学院長よりお祝いのお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。

思い起こせば4年前の2021年、新型コロナウイルスの猛威が続く中、本学に入学し、多くの授業がリモート形式で行われる状態で始まった学生生活でした。入学当初は、不慣れな土地での学生生活で不安も多くありました。その中で、数少ない対面で行われた授業で出会った仲間と仲を深め、支え合い共に勉学に励みました。次第に日常生活が元に戻り始め、対面授業が多くなり、仲間とともに教室に向かい、授業を受け、笑い合うことができるようになりました。かつては当たり前であったそんな日常のありがたみを強く感じられるのは、仲間とともに支え合ったコロナ禍の日々があったからだと思います。
この4年間、私たちは諸先生方のご指導を受け、各々の分野で大いなる知識を得ました。私事にはなりますが、私は入学前から、世界中に友人を作ることを目標としていました。しかし失敗を恐れ、行動に踏み切ることができないでいました。そのような時に本学の職員の方から「一度やってみないとどうなるかはわからないよ」というお言葉をいただきました。些細な一言かもしれませんが、私はそのお言葉を受け、「ここで行動を起こさなかったらこれまでの自分と何ら変わらないままだ」、「恐れずまずは挑戦してみよう」と思うことができました。そのことをきっかけに、国際交流のプログラムに積極的に参加し、様々な国の留学生との交流を通して、国外にもかけがえのない多くの友人を作ることができました。さらに国際交流以外にも、本学ならではのプログラムに積極的に参加できるようになりました。勉学と様々な活動に挑戦し続け、得た4年間の経験は、これからも私の背中を押し続けてくれることでしょう。真に私自身の「世界が変わる体験」を体現することができたと感じています。

今日、私たちは桃山学院大学を卒業し、この4月からはそれぞれの道へと歩み始めます。私たちが歩んでいく社会は、日々状況が目まぐるしく変化し、一筋縄では解決することができない複合的な問題や課題で溢れています。このような社会の中で、本学で培った知識や経験を基に、活躍し、社会を担う人材となれるよう、卒業生一同精進して参りたいと思います。

最後になりましたが、常に真摯に向き合い、ご指導してくださった先生方・職員の皆様、そして私たちを暖かく見守り、選択する道を応援し続けてくれた家族、4年間共に勉学に励み、楽しい時間を共有した友人、私たちを支え、導いてくださった全ての方々に、卒業生を代表し、心より御礼申し上げます。本日、ご臨席いただいた皆様方のご健勝・ご活躍と桃山学院大学の更なる発展をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。

2025年3月17日
卒業生代表
社会学部 森 杏菜