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2025.9.29
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【ビジネスデザイン学部】学外プロジェクトの授業で中小製造業の採用戦略を提案
本学ビジネスデザイン学部2年次では企業18社のご協力のもと、課題解決型授業(PBL)の学外プロジェクトを実施しています。9月19日(金)、この授業の一環としてビジネスデザイン学部生が考える中小企業の人材採用戦略の成果発表会を大阪市中央区の大阪マーチャンダイズ・マートビル(OMM)において行いました。経済産業省近畿経済産業局の事業「地域中小企業・人材研修支援調査・分析」の一環で、一般財団法人大阪労働協会とともに取り組み、企業の方々の前で提案しました。

学生を受け入れていただいたのは、大阪市鶴見区の精密金型メーカー「株式会社新日本テック」、大阪市西成区のアルミ・ステンレス加工メーカー「株式会社坂口製作所」、大阪府泉大津市のロボットメーカー「株式会社HCI」の3社です。高い技術力を強みとする3社ですが、対企業(BtoB)の事業のため一般への知名度は低く、いかに新卒採用をするかが課題となっています。学生たちは夏期休暇中に各社を訪問して経営者や社員の皆さんからお話をうかがい、会社の特色と強み、求めている人材像などを把握しました。その後、「就活生が魅力的と感じるであろう点を訴求する方法」を考え、各企業に二つの提案をまとめました。

【株式会社新日本テック】
①「この企業は自分が見つけた」と就活生に感じさせるためにTikTokによる情報発信を学生に発注し会社の魅力を実感してもらう
②製造業を敬遠しがちな文系学生向けに経営層によるトークスキル講座を開催して会社の魅力を知ってもらう
【株式会社坂口製作所】
①志望業種を絞り込む前の大学2年生を対象にした「新製品開発体験プログラム」
②会社の雰囲気の良さを伝える「就業体験と社内サークル活動を組み合わせたインターン型職業体験」
【株式会社HCI】
①就活イベントに配膳ロボットを持ち込み、文系学生にロボットビジネスでの営業・事務職の必要性を実感してもらう
②大学の食堂トレーに採用情報のQRコードを印刷するなどの方法でインターンシップより気軽に参加できるカジュアルな接点を作り、文系にも幅広い仕事があることを伝える

その他の視点として、現在の学生は「高い技術力」や「働きがい」といった企業がPRする情報や内容を〝重い〟と捉えるケースが多いことをあげました。一方で、実際に企業を訪問してみると「社長との距離の近さ」や「社内の人間関係の良さ」、「自由な雰囲気」などを感じ、その魅力が伝わっていない点を指摘しました。

また、製造業にも営業職、事務職はあるのに、文系学生はメーカーというだけで就職対象から外してしまう傾向が強いことも指摘しました。そのうえで、各社の以下の魅力を踏まえて提案をまとめました。
【株式会社新日本テック】社長・経営陣は難しい技術的な話を極めて分かりやすく伝えるトーク力がある。
【株式会社坂口製作所】社内サークル活動が盛んで社員の人間関係が良好である。
【株式会社HCI】社内のロボカフェの店長がネイルをしているなどおしゃれに関しても自由な社風である。
 
企業の方々は、「これまで、働きがいをアピールしてきたが、むしろ引いてしまうというのは非常にショックだったが勉強になった」(株式会社新日本テック・和泉康夫社長)、「会社の魅力=会社の強み(技術力など)と思っていたので、考え方を変えなければいけないと気づかされました」(株式会社HCI・岡本千里管理本部本部長)、「大学2年次生を対象にした、社内サークル活動を組み込んだインターンは考えたことがなかった。学生の考え方を聞ける貴重な機会だった」(株式会社坂口製作所・坂口清信社長)と、学生たちの発想に刺激を受けたとのお声をいただきました。

経済産業省近畿経済産業局 地域経済課の沼本和樹 総括係長は「大学の講義と企業のマッチングを通じて、企業支援を行う面で気づきが多かった。データの分析と、現場で感じたことは両方とも大切だが、これからは後者の重要性が増す。『私はこう思った』と話す学生が多かったことは良かった」と評価しました。
一般財団法人大阪労働協会 人材開発戦略部の橋詰泰幸副部長からは「当初はSNSを活用する提案が多くなるのではと予想していたが、様々な提案がありレベルも高かった。企業訪問から僅か1か月でまとめたのはすごいと感じた」と講評いただきました。


<成果発表会の様子>

株式会社新日本テックによる講評の様子

株式会社坂口製作所による講評の様子

株式会社HCIによる講評の様子

集合写真