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2022.9.28
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2022年度9月 卒業証書・学位記授与式を挙行しました
9月24日(土)午前10時より本学和泉キャンパス 聖救主礼拝堂(チャペル)において、2022年度9月 卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
磯晴久学院長と中野瑞彦学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。

今年も新型コロナウイルス感染症の状況を考慮して、卒業生のみチャペルでの式典に入場し、ご家族・ご関係者の皆様にはキャンパス内の指定教室からライブ中継でご視聴いただきました。

<式典の様子>

式典の様子

証書授与の様子

証書授与の様子

磯学院長による祝辞

■2022年度9月 卒業式祝辞

学院長 主教アンデレ 磯 晴久
 桃山学院を代表して、皆様に祝辞を申し上げます。
 本日桃山学院大学を卒業される皆様、おめでとうございます。また今までずっと見守り支えてこられたご家族をはじめご関係の皆様、おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
 桃山学院大学での学生生活はいかがだったでしょうか。高校までとは違った広く、高く、深く、大きな世界を垣間見られたのではないでしょうか。大きな世界への入り口となったのではないでしょうか。一方では新型コロナウイルス禍の下、思い通りいかないこと、不安なことも多くおありになったでしょう。
 きっとこうした経験が、皆様の人生の糧になると私は信じております。
 卒業式のことを英語でcommencementと言います。この言葉は同時に「開始」「始まり」「初め」という意味をもつ言葉です。卒業式は別れの時、寂しさを感じる時なのですが、同時に新しい旅立ちの時、新しい世界に一歩踏み出す時でもあります。皆様はこれからさらに広く、深く、大きな世界へと、新しいステージに立たれるわけです。

 今年桃山学院は138周年を迎えました。大学は開学68年です。先日エリザベス女王の葬送式が行われました。桃山学院のバックグラウンドにあります聖公会という教会の葬送式の伝統にのっとって行われました。女王は聖公会の信徒、英国聖公会のメンバーの代表。138年以上も前、その英国聖公会から派遣されたC.F.ワレン大執事が1884年現在の大阪市西区川口にありました聖三一教会の一室に生徒11人という小さな学校が始まりです。
 桃山学院大には、ワレンさんをはじめ宣教師や、先人たちがもたらした聖公会のスピリットが、風のように流れています。この聖公会のスピリットが、皆様のステージできっと役に立ちます。
 皆様を待ち受ける日本や世界の状況はどうでしょうか。大阪では万博、カジノ開設、経済的な右肩上がりを取り戻そうとしています。しかし新型コロナの影響もあり、私は右肩上がりの時代は終わって、右肩下がりの時代に入ったと感じています。
 また、現在日本には、在日韓国・朝鮮の方、中国、台湾の方はじめ190か国260万人以上の外国からの方が暮らしています。この5年間で50万人増加しました。新型コロナが落ち着きましたら、今後さらに増えるでしょう。日本は多民族・多文化社会になっていきます。
 そうした時、聖公会が大切にしてきたスピリットが役に立ちます。
 一つは、絶対主義とか独裁主義を容認しないことです。人間は完全無欠ではありません。私は世界の指導者たちが、あまりに偉くなりすぎているのではと危惧しています。さらに、聖公会が、そして桃山学院が大切にしてきたのは、「なっていく」充全に向かって徐々に、成長し続ける、変化し続けることです。
 そして、もう一つは、「ブリッジチャーチ、橋渡し」の役割を大事にしているということです。今世界に必要なのは、人と人、宗教と宗教、国と国、民族と民族の間に大きな壁をつくることではなく、大きな橋を架けることです。寛容な心をもって、他者と和解し、共に生きようと努力することです。皆様が新しいステージにおいて、特に「橋渡しの役割」「橋を架ける役割」を担ってくださることを私は心から期待しています。

 新しいステージでは、きっといろいろなことがあるでしょう。腑に落ちないこと、納得できない状況、壁にぶつかったり、自分の力のなさにがっかりしたり、転んだりと。南アフリカで人種隔離政策(アパルトヘイト)と闘い、逮捕され、獄中に27年間留置された故ネルソン・マンデラさんは、1991年に人種隔離政策を撤廃に導き、1993年のノーベル平和賞を共同受賞されました。マンデラさんは、「生きる上で最も偉大なことは、決して転ばないことではありません。転ぶたびに起き上がり続けることにあります。」と語っておられます。どのようなときも、転んでも希望を失わず、ゆっくりでいいので、起き上がり続けてください。

 これからの皆様の新しいステージにおいて、神様が共におられ、神様が豊かに祝福してくださいますように、お祈りしております。皆様ご卒業おめでとうございます。

■2022年度9月 卒業式祝辞

学長 中野瑞彦
みなさん、ご卒業おめでとうございます。
ご家族並びに保証人の皆様、ご卒業おめでとうございます。
教職員一同、心からお祝い申し上げます。

 本日卒業する皆さんには、一昨年度、昨年度と2年間にわたるコロナ禍によって、大学での授業はもちろん、クラブやサークル活動、あるいはアルバイトまで、さまざまな制約がのしかかりました。そうした中で、皆さんが挫けずに日々の学修に取り組み卒業に至ったことに、学長として敬意を表します。

 さて、卒業してこれから実社会に漕ぎ出していく皆さんを、今後も多くの試練が待ち構えていることでしょう。足許を見ても、不安定な状況が続いています。新型コロナ・ウイルス感染症は、第7波がようやく落ち着きを見せましたが、この11月には再び感染拡大が予想されています。ウクライナ危機も依然として収束のめどが立たず、貴重な人命が日々失われています。

 加えて、世界的な資源価格の高騰により、電気ガスなどのエネルギー価格のみならず食料品価格まで上がり始めました。まさにインフレ時代の到来です。長年にわたってデフレーション、低価格に慣れきってきた私たち、特に若い皆さんには、毎年、あるいは毎月のペースで物価が上昇していく、これまでに経験のない世界がやってきています。これもまた、コロナ禍とは別の意味で、時代や社会の大きな転換、すなわちパラダイム・シフトと言えるでしょう。

 しかし、人類の長い歴史を振り返れば、私たちは感染症あるいは戦争など数多(あまた)の困難を克服してきました。大切なことは、今回も必ず打ち克つことができるという信念を持つことです。意思が変われば、行動が変わる、行動が変われば結果が変わります。
古代中国の思想家である荀子の言葉に、「深谿(シンケイ)に臨まざれば地(チ)の厚きことを知らざるなり」というものがあります。これは「生涯、学び続けなければならない」という趣旨の中で出てくる文章で、その意味は、「深い谷を見なければ、地の厚さも分からない」というものです。これを私たちが置かれた現状に応用して解釈すれば、「様々な困難を経験しなければ、現在の状況がいかに恵まれているか、いかに多くの人たちに支えられているかを理解できない」ということになるでしょう。例えば、コロナ禍の下での医療従事者の人たちの献身的な支えを思い出せば、十分に理解できるところです。

 卒業する皆さんにも、ぜひとも桃山学院大学で培った「世界の市民として人を支える」の理念を持って、家族や友人を支える、組織や社会を支える「人」になってほしいと願っています。その際に皆さんにもっとも大事にしてほしいことは、自分自身を信じることです。自分自身を信じていれば、課題や困難を何とかして乗り越えようとする意思が生まれます。意思があれば、次の一歩を踏み出せます。一歩踏み出せば、景色が変わります。皆さんも社会人として見る新しい景色の中で、思う存分に跳び跳ねてください。

 本日卒業する皆さんは、桃山学院大学での勉学や友人との交わり、或いはアルバイト経験で培った大きな力を持っています。その力をもって立ちむかえば、どんな試練にも必ず立ち向かうことができると私は信じています。
ぜひ、数年後に桃山学院大学を訪ねて、社会人として成長した皆さんの姿を見せてください。

 本日は誠におめでとうございました。