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2024.10.29
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桃山学院大学における生成AIの利用ガイドラインについて

2024(令和6)年10月9日
大学評議会承認

 

1 本ガイドラインの目的
桃山学院大学は2023年6月8日に「ChatGPT等の生成系AIに関する基本方針について」を発表しました。その趣旨に基づき本ガイドラインを作成しました。
本ガイドラインは、桃山学院大学における学修・教育・研究・業務でChatGPT等の生成AIを利用する際に注意すべき事項を解説したものです。
生成AIは業務効率の改善や新しい企画等の提案に役立つ反面、入力するデータの内容や生成物の利用方法によっては法令に違反したり、他者の権利を侵害したりする可能性があります。
生成AIは大変便利でありますが、利用に関してトラブルが発生しないように、本ガイドラインを熟読して利用してください。

2 生成AIに関する基本方針
既に発表しました基本方針のとおり、今後広く生成AIが利活用されていくであろうことを踏まえ、その使用を一律に禁止することはしません。学生・教職員が学修・教育・研究・業務において生成AIを適切に利活用することを基本方針とします。

3 本ガイドラインが対象とする生成AI
本ガイドラインは生成AI全般を対象としています。
また、これらの生成 AI によって機能拡張されたソフトウェアも同様と考えます。

4 生成AIの利用が禁止される用途
本学では以下の用途・業務での生成AIの利用を原則として禁止します。
(1)個人情報を用いての利用(個人情報保護法に違反する可能性があるため)
(2)機密情報(情報公開されていない財務・業務計画情報等)を用いての利用
(3)他の組織から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報を用いての利用

5 本ガイドラインの構成
生成AIは、利用者が何らかのデータ入力を行い、その生成物を得る構造になっています。
したがって、本ガイドラインでは、「データ入力時に注意すべき事項」と「生成物の利用時に注意すべき事項」の2項目について記載しています。

6 データ入力に際して注意すべき事項
生成AIに入力(送信)するデータは多種多様なものが含まれますが、知的財産権処理の必要性や法規制遵守という観点から以下のデータを入力する際は特に注意が必要です。

(1)著作権侵害に対する配慮
単に生成AIに他人の著作物を入力するだけなら原則として著作権侵害に該当しません。
ただし、当該入力対象となった他人の著作物と同一・類似するAI生成物を生成する目的がある場合には、入力行為自体が著作権侵害になる可能性があります。
また、生成されたデータが入力したデータや既存のデータ(著作物)と同一・類似している場合は、当該生成物の利用が当該著作物の著作権侵害になる可能性もありますので注意してください。

(2)登録商標・意匠(ロゴ・デザイン)
商標や意匠として登録されているロゴ・デザイン等を生成AIに入力することは商標権侵害や意匠権侵害に該当しません。
もっとも、この点は著作物と同様、あくまで「入力行為」に関するものである点に注意が必要です。故意に、あるいは偶然生成された、他者の登録商標・意匠と同一・類似の商標・意匠を商用利用する行為は商標権侵害や意匠権侵害に該当します。
すなわち、生成AIにロゴやデザインを入力する際には登録商標・意匠の調査は必ずしも必要ではありませんが、生成物を利用する場合には当該調査が必要です。

(3)著名人の顔写真や氏名
著名人の顔写真や氏名を生成AIに入力する行為は、当該著名人が有しているパブリシティ権の侵害には該当しません。
ただし、生成AIを利用して生成された著名人の氏名、肖像等については、それらの氏名や肖像等を商用利用する行為はパブリシティ権侵害に該当するので注意が必要です。

(4)個人情報
生成AIに個人情報を入力する場合、個人情報保護法に基づき特定される本人の同意を得る必要があります。毎回そのような同意取得は運用上現実的ではなく、また入力した情報が他の生成AI利用者の回答に反映されることにより情報が漏洩・拡散する恐れがありますので、個人情報を入力しないでください。

(5)自組織の機密情報
組織内の機密情報を生成AIに入力する行為は、生成AIの処理内容によっては情報漏洩につながります。さらに、特許などの権利が発生する機密情報の場合は法律上保護されないリスクがありますので、当該機密情報を入力しないでください。

(6)他の組織から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報
外部事業者が提供する生成AIに、他の組織との間で秘密保持契約(NDA)等を締結して取得した秘密情報を入力する行為は、生成AI提供者という「第三者」に秘密情報 を「開示」することになるため、契約に反する可能性があります。 そのため、そのような秘密情報は入力しないでください。

7 生成物を利用するに際して注意すべき事項
(1)生成物の内容に虚偽が含まれている可能性がある
GPTやBERTといった生成AIの大規模言語モデル(LLM)の原理は、「ある単語の次に用いられる可能性が確率的に最も高い単語」を出力することで、もっともらしい文章を作成していくものです。したがって、生成内容には虚偽が含まれている可能性があります。
生成AIのこのような限界を知り、その生成物の内容を鵜呑みにせず、必ず根拠や裏付けを自ら確認するようにしてください。

(2)生成物の利用が既存の権利を侵害するリスク
①著作権侵害
生成AIを利用して出力された生成物が、既存の著作物と同一・類似している場合は、当該生成物を利用(複製や配信等)する行為が著作権侵害に該当する可能性があります。
そのため、以下の留意事項を遵守してください。
・特定の作者や作家の作品のみを学習させた特化型AIは利用しないでください。
・プロンプト(質問・作業指示)に既存著作物、作家名、作品の名称を入力しないようにしてください。
・特に生成物を「利用」(配信・公開等)する場合には、生成物が既存著作物に類似しないかの調査や、生成物の利用が権利制限規定(著作権法30条1項や同30条の3等)に該当するかの検討を行うようにしてください。
ただし、学生や教職員がAIを利用して生成したものが、既存の著作物と同一又は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利用することは著作権法第35条により可能です。

②商標権・意匠権侵害
画像生成AIを利用して生成した画像や、文章生成AIを利用して生成したキャッチコピーなどを商品ロゴや広告宣伝などに使う行為は、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を侵害する可能性がありますので、生成物が既存著作物に類似しないかの調査に加えて、登録商標・登録意匠の調査を行うようにしてください。

③虚偽の個人情報・名誉毀損等
生成AIは、個人に関する虚偽の情報を生成する可能性があることが知られています。虚偽の個人情報を生成して利用・提供する行為は、個人情報保護法違反(法19条、20条違反)や、名誉毀損・信用毀損に該当する可能性がありますので、そのような行為は行わないでください。

(3)生成物について著作権が発生しない可能性がある
仮に生成物に著作権が発生していないとすると、当該生成物は基本的に第三者に模倣され放題ということになりますので、自らの創作物として権利の保護を必要とする個人や組織にとっては大きな問題となります。
この論点については、生成AIを利用しての創作活動に人間の「創作的寄与」があるか否かによって結論が分かれますので、生成物をそのまま利用することは極力避け、できるだけ加筆・修正するようにしてください。

(4)生成物を商用利用できない可能性がある
生成AIによる生成物をビジネスで利用する場合、当該生成物を商用利用できるかが問題となります。
この論点は、利用する生成AIの利用規約により結論が左右されます。
< 例 >
※ChatGPTの場合、生成物の利用に制限がないことが利用規約に明記されているので、この点は問題になりません。

(5)生成AIのポリシー上の制限に注意する
生成AIにおいては、これまで説明してきたリスク(主として法令上の制限)以外にも、サービスのポリシー上独自の制限を設けていることがあります。
< 例 >
※ChatGPTを利用する場合、以下の点に注意してください。
ChatGPT の利用ポリシーでは、「アダルトコンテンツ、アダルト産業、出会い系アプリ」、「許可なく法律実務を行うこと、または資格のある人が情報をレビューしないままに特定の法的助言を提供すること」などの具体的禁止項目が定められています。また、医療、金融、法律業界、ニュース生成、ニュース要約など、消費者向けにコンテンツを作成して提供する場合には、AIが使用されていることとその潜在的な限界を知らせる免責事項をユーザに提供する必要があることも同ポリシーには明記されています。さらに、関連ポリシー上は、ChatGPTなどOpenAI社のサービスを利用して生成されたコンテンツを公開する際には、AIを利用した生成物であることを明示することなどが定められています。
※Usage Policies(https://openai.com/policies/usage-policies

8 事務所管
本ガイドラインの事務所管は学長室とする。

9 改廃
本ガイドラインの改廃は大学評議会の議を経て学長が行う。

付則
本ガイドラインは2024(令和6)年10月9日から施行する。