皆様、ご入学おめでとうございます。ご関係の皆様もお喜びのことと存じます。桃山学院を代表して、心から歓迎申し上げます。
さて、桃山学院の歴史は1884年に始まります。今年136年、大学は1959年開学ですので、61年となります。皆さまは創立136年目、大学開学61周年の大学院入学者です。そして、新型コロナウイルス禍、という特別な、忘れられない2020年の入学者であります。皆さんも不安な日々を過ごしてこられたと思いますが、新型コロナウイルスはわたしたちの生活のいろいろな場面に大きな影響を与えています。大学で学問・研究する者の課題として、私たちは新しい生き方、新しい世界や社会の在り方の創造ということがあると思います。皆さんがそれぞれのご専門を通して、この課題を追求し、この世界・社会に貢献してくださることを期待しています。
桃山学院大学は、「自由と愛のキリスト教精神による人格の陶冶」と「世界の市民の育成」という建学の精神をもっております。その中の「陶冶」という言葉は、日常ではめったに使うことのない言葉ですが、わたしはすばらしい言葉だと考えています。その意味は、人間には天賦の才、天から、キリスト教で申しますと神から、いろいろな才能や能力、可能性が与えられている、(これは皆さんお一人お一人のことです。)その皆さんの可能性を、土を練って美しい陶器を作り上げていくように育てあげて、大きな実りとするそういう意味のことばであります。皆さんは、すでに自分の才能や能力、可能性に気づき、目標ももって大学院に入学して来られました。皆さんが桃山学院大学において、大きな実りと成果をあげられますようにお祈り致します。
わたしたちの大学のバックボーン、背景には、聖公会というキリスト教会があります。聖公会が大切にしてきた精神・心があります。それは、わたしたちは何か真理を既に獲得しているのではなく、わたしたちはいつも真理を求めて歩む旅人だと言うことです。桃山学院において、既成の概念に囚われることなく、真理を求めて歩む旅を満喫してください。
聖書のことばに、新しいブドウ酒は新しい革袋にということばがあります。どこまでおいしく発酵するかわからない新しいブドウ酒が皆さんです。桃山学院大学は新しい革袋でありたいと願っています。皆さんが、心豊かな大学院生活を過ごし、大きな実りが与えられますように祈念しつつ、お祝いの言葉とさせていただきます。今日は本当におめでとうございました。