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お知らせ
2020.9.16
お知らせ・イベント
2020年度秋学期入学生の皆さまへ
新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。
今年度は、大学院生3名が入学されます。
2020年度秋学期から入学される皆さまに、磯晴久学院長と牧野丹奈子学長からのメッセージをお届けいたします。

■2020年度9月 入学式式辞


真理を求めて旅する旅人

学院長 磯 晴久

皆様、ご入学おめでとうございます。ご関係の皆様もお喜びのことと存じます。桃山学院を代表して、心から歓迎申し上げます。
さて、桃山学院の歴史は1884年に始まります。今年136年、大学は1959年開学ですので、61年となります。皆さまは創立136年目、大学開学61周年の大学院入学者です。そして、新型コロナウイルス禍、という特別な、忘れられない2020年の入学者であります。皆さんも不安な日々を過ごしてこられたと思いますが、新型コロナウイルスはわたしたちの生活のいろいろな場面に大きな影響を与えています。大学で学問・研究する者の課題として、私たちは新しい生き方、新しい世界や社会の在り方の創造ということがあると思います。皆さんがそれぞれのご専門を通して、この課題を追求し、この世界・社会に貢献してくださることを期待しています。

桃山学院大学は、「自由と愛のキリスト教精神による人格の陶冶」と「世界の市民の育成」という建学の精神をもっております。その中の「陶冶」という言葉は、日常ではめったに使うことのない言葉ですが、わたしはすばらしい言葉だと考えています。その意味は、人間には天賦の才、天から、キリスト教で申しますと神から、いろいろな才能や能力、可能性が与えられている、(これは皆さんお一人お一人のことです。)その皆さんの可能性を、土を練って美しい陶器を作り上げていくように育てあげて、大きな実りとするそういう意味のことばであります。皆さんは、すでに自分の才能や能力、可能性に気づき、目標ももって大学院に入学して来られました。皆さんが桃山学院大学において、大きな実りと成果をあげられますようにお祈り致します。
 わたしたちの大学のバックボーン、背景には、聖公会というキリスト教会があります。聖公会が大切にしてきた精神・心があります。それは、わたしたちは何か真理を既に獲得しているのではなく、わたしたちはいつも真理を求めて歩む旅人だと言うことです。桃山学院において、既成の概念に囚われることなく、真理を求めて歩む旅を満喫してください。

聖書のことばに、新しいブドウ酒は新しい革袋にということばがあります。どこまでおいしく発酵するかわからない新しいブドウ酒が皆さんです。桃山学院大学は新しい革袋でありたいと願っています。皆さんが、心豊かな大学院生活を過ごし、大きな実りが与えられますように祈念しつつ、お祝いの言葉とさせていただきます。今日は本当におめでとうございました。

■2020年9月入学式祝辞

学長 牧野 丹奈子

皆さん、ご入学おめでとうございます。
ご家族の方々、また、これまで皆さんがお世話になった方々も、この日をきっと喜んでおられると思います。桃山学院大学の教職員を代表し、心よりお祝いを申し上げます。

このたびは、新型コロナウイルス感染症の影響により、このような形で皆さんをお迎えすることになりました。1日でも早く平穏な日々が戻ることを祈っております。

桃山学院大学のビジョンは「地域で、世界で、人を支える」です。ですから大学院に入られる皆さんには、地域や世界の発展に貢献する研究が期待されています。今日は、そのような皆さんに、知識や理論の奥にある「意味」の大切さについてお話ししたいと思います。

研究とは、よく調べ、よく考えてものごとの真理に迫ることです。まだ誰も知らないことや気づいていないことを明らかにすることでもあります。これが研究と勉強との違いです。
このような研究を進めるためには、様々なことに取り組まなければなりません。たとえば、情報を集めることもそのひとつです。今はネットの時代です。ネットにはあらゆる知識や理論があります。大変便利です。ですから、ネットを適切に使いこなし情報を検索することは、研究を進めるうえでも重要なスキルといえます。
しかし、このようにネットから得られる情報は、すべて断片的なものだということを知っておいてください。知識や理論を関連付けながら研究を深めるためには、それらの知識や理論の内容そのものだけでなく、その奥にあるものを見ることが大切となります。

たとえば、研究の分野ごとに有名な知識や伝統的な理論があります。これらの内容をしっかりと理解することは研究の基本です。しかし、ご存じのように今は変化の激しい時代です。それらの知識や理論の内容そのものは、今では当たり前のものになっているかもしれませんし、もう役立たなくなっている部分があるかもしれません。私たちが見るべきは、知識や理論の内容そのものだけではないということです。
私たちが知識や理論を学ぶとき、見るべきは、「なぜ、そのような知識や理論が生み出されたのか」、「どうやって、そのような知識や理論を生み出すことができたのか」、「その知識や理論を生み出す信念は一体何か」ということなのです。これらの知識や理論の奥にあるものをよく見て考えることによって、これまでの様々な知識や理論がもつ意味がわかります。意味がわかったとき、個別であった知識や理論を関係づけることができます。さらに、現在の状況と関連づけることができます。そして、現在の自分の研究と関連付けて深めていくことができるでしょう。

新型コロナウイルス感染症は多くの不幸や不安をもたらしましたが、同時に、働き方や学び方、生活様式などを見直すことも求めてきました。実際、これまで当たり前だと思ってきたことが、実はそうではなかったと気づくことも多々ありました。新型コロナウイルス感染症が終息しても、以前の社会に100%戻ることはありません。いわば新しい社会の到来です。こうした変革期においてこそ、知識や理論がもつ意味を深く理解する必要があると考えます。

 ぜひとも知識や理論の奥にあるものをよく見て、意味を考え、自分の研究を深めてください。皆さんが、新しい社会に向けて立派な研究成果をあげられることを願い、お祝いの言葉に代えさせていただきます。