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2020.10.1
お知らせ・イベント
2020年度9月卒業証書・学位記授与式を挙行しました
9月26日(土)午前10時より桃山学院大学チャペル(聖救主礼拝堂)にて、2020年度9月卒業証書・学位記授与式を執り行いました。磯晴久学院長と牧野丹奈子学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。

今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、チャペルでの式典をYouTubeでライブ配信し、卒業生・ご家族・ご関係者にはキャンパス内の指定教室において視聴をしていただきました。

なお式典の模様は、以下のURLからご覧いただけます。
▼2020年度 9月卒業式(卒業証書・学位記授与式)
https://youtu.be/R0ev8vk6bv0

磯晴久学院長

牧野丹奈子学長

2020年度9月 卒業証書・学位記授与式式辞

皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族、ご親戚の皆様、おめでとうございます。桃山学院大学の教職員を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。

このたびは、新型コロナウイルス感染症の影響により、卒業式をこのような形で執り行うこととなりました。また、この春学期はすべての授業を急遽、遠隔授業としたため、皆様には多くのご苦労をおかけしたことと思います。1日でも早く新型コロナウイルス感染症が終息し、平穏な日々が戻ることを祈っております。

さて、皆さんの多くはこれから社会に出て働くわけですが、今、社会では働き方が大きく変わってきています。その理由のひとつはご存じのように、近年の技術革新です。そしてさらに、働き方を大きく変えたのが新型コロナウイルス感染症です。今日はこれからの新しい働き方についてお話しし、お祝いの言葉に代えさせていただきます。

この春以降、新型コロナウイルス感染症対策のために、多くの人がリモートワークを体験しました。私もその一人です。オンラインを通じての打ち合わせや共同作業では、やはり微妙なニュアンスが伝わらなかったり、また場の空気を読むのが難しかったりと、いくつかの課題を感じました。しかし同時に、多くのことがリモートワークでできることも実感しました。企業の社員アンケートにおいても、リモートワークに対して「やってみると意外と支障なく働ける」、「浮いた通勤時間が自由に使える」といったような声があがっております。また、リモートワークの成果を見て、都心のオフィスを引き払い、地方へ移転する企業もあらわれております。このように、これまで当たり前だと思ってきたことが当たり前でなかったと気づくことが多々ありました。今後、新型コロナウイルス感染症が終息しても、働くスタイルが以前の形に100%戻ることはないでしょう。

このように働くスタイルが変われば、当然、仕事の質も変わってきます。満員電車に乗って会社に行き、会議や書類作成をこなし、また満員電車で帰宅する。この行為そのものが仕事だという考えはもはや通用しません。働くスタイルは自由だが、価値を生み出さなければ仕事の意味がない。そのような考えが浸透するでしょう。しかし、価値を生み出すということは容易ではありません。そこには強いエネルギーが必要となります。それは仕事へのモチベーションです。

たとえば、たくさん給料がもらえるので頑張ろう、上司に怒られるので頑張ろう、といったようなモチベーションのみでは、価値を生み出す仕事をやりとげることはできません。なぜなら、このような外から与えられるモチベーションは仕事の内容そのものへの興味を小さくしてしまう、いわば弱いモチベーションだからです。これに対して、自分の能力や個性を発揮したい!といった内から湧き出るモチベーションは強いモチベーションとなります。

ある小学生が、お母さんにお使いを頼まれたとしましょう。この子はその時、遊びたかったのですが、「1回行けば100円あげる」と言われたので、お使いに行くことにしました。外からのモチベーションが働いたわけです。ところが、それから何度もお使いを繰り返して一定の金額が貯金箱に貯まったら、もうこの子はお使いに行かなくなるでしょう。こうなると200円でも300円でも無理です。これに対して、お使いでその子らしさを発揮できるような工夫をするとします。たとえば、その子がスイーツを大好きで詳しいならば、「余ったお金で、家族が喜ぶようなスイーツを何でも買ってきていいよ」と言ったとしましょう。すると、家族を喜ばせたい、驚かせてやろうと、その子は色々考えます。スイーツの知識の見せどころです。その子にとって、お使いは楽しいものとなり、もう100円は不要かもしれません。このように、自分の能力や個性を発揮したい!というモチベーションは、報酬よりも強いモチベーションなのです。このことは子供も大人も同じです。自分らしさを発揮したいという内から湧き出るモチベーションこそが、仕事への強いエネルギーとなるでしょう。

ところが、仕事における自分の能力や個性がまだよくわからない人は多いかもしれません。では、どうすれば、自分の能力や個性を見つけることができるか。最後にこの方法をお話しして終わりたいと思います。その方法とは、今の自分の場所で精一杯頑張ってみることです。目の前の仕事を自分事として、真剣に取り組む。そのことによって人ははじめて、自分の能力と個性に気づくことができるのです。目の前の仕事を他人事のように、こなしたり流したりするような姿勢では、一生かかっても自分の能力や個性に気づくことはないでしょう。まずは、その場所で頑張ってみる、そのことが自分らしさを見つける道であり、そうやって強いモチベーションを持つ人になれるのです。

今後、皆さんがそれぞれの能力や個性をいかんなく発揮し、新しい社会に価値を生み出す人となることを願っています。桃山学院大学の卒業生ならばきっとそのような人になれると信じています。頑張ってください。
2020年9月26日
桃山学院大学 学長
牧野丹奈子