<2022年度卒業証書・学位授与式の様子>
<2022年度卒業証書・学位授与式の様子>
2022度 卒業証書・学位記授与式式辞
みなさん、ご卒業おめでとうございます。
ご家族並びに保証人の皆様、ご卒業おめでとうございます。
教職員一同、心からお祝い申し上げます。
本日卒業する皆さんは、コロナ禍によって2020年度、2021年度と2年間にわたり、大学での授業はもちろん、クラブやサークル活動、あるいはアルバイトまで、さまざまな制約がのしかかりました。そうした中で、入学前に夢見ていた大学生活を実現できずに、残念な思いをしている人もいるでしょう。しかし、皆さんはそうした過酷な環境にも挫けずに日々の学修に取り組み、本日の卒業を迎えました。私は学長として、皆さんの努力に敬意を表します。
さて、卒業生の皆さんは本日をもってこの桃山学院大学を卒業し、早ければこの3月から社会人としての人生を歩みだすことになります。敢えて申し上げますが、それは決して容易な道ではありません。
コロナ禍は落ち着きを見せつつあるものの、世界情勢は引き続き混沌としています。ウクライナ危機は依然として収束のめどが立たず、貴重な人命が日々失われています。加えて、世界的な資源価格の高騰により、電気ガスなどエネルギー価格のみならず食料品価格まで上がり始めています。まさにインフレ時代の到来です。低価格に慣れきってきた私たち、特に若い皆さんにとって、物価が持続的に上昇していくなど生まれて初めてのことでしょう。更には、地球温暖化の進行による自然環境の破壊、出生者数の大幅な減少による人口減少、デジタル化や人工知能による生活の劇的な転換など、これまでに経験したことのない世界が既にやってきています。これらのことは、コロナ禍とは別の意味で、私たちが、時代や社会の大きな転換、すなわちパラダイム・シフトに直面していることを意味しています。
しかし、人類の長い歴史を振り返れば、私たちは感染症あるいは戦争など数多(あまた)の困難を克服してきました。大切なことは、今回も必ず乗り越えることができるという信念を持つことです。よく言われる言葉ですが、「意思が変われば、行動が変わる、行動が変われば結果が変わります」。これを私たちが置かれている現状に応用して言い換えれば、
「本当の困難に直面した時にこそ、人の本当の価値がわかる。逃げずに前を向いて進めば、必ず結果が付いてくる」
ということになるでしょう。
その時に皆さんに思い出してほしいのは、桃山学院大学の建学の精神に基づく「地域で、世界で、人を支える」というビジョンです。ここには、私たちが他の人や社会を一方的に支えるのではなく、私たち自身も多くの人々に支えられていることを忘れないでほしい、社会は人間の共同体なのだという気持ちが込められています。
本日卒業する皆さんは、桃山学院大学での勉学やクラブ活動を通しての友人との交わり、或いはアルバイト先での仲間との協働作業を通じて、支えまた支えられながら、大きな力を培ってきました。桃山学院大学の学生として身に着けた力をもって立ちむかえば、どんな試練も必ず克服することができると私は信じています。
最後に、卒業生の皆さんに私から有名な言葉を紹介します。
皆さんも知っているアップル・コンピューターの創業者である故スティーブ・ジョブズ氏は、米国スタンフォード大学での2005年6月卒業式に登壇し、卒業生に次のメッセージを贈りました。
Stay hungry, Stay foolish
これを私なりに解釈すれば、「新しい何かを発見しようと常に貪欲であれ、
この言葉になぞらえて、私から一つの言葉を贈ります。
Stay positive, Stay honest
私がこの言葉に込めた意味は、
数年後に皆さんが社会人として立派に成長し、再び桃山学院大学を訪ねきてくれる日を楽しみにしています。
明日から、皆さんが明るい未来を切り拓いていくことを心から願っています。
本日は誠におめでとうございました。
2023年3月17日
桃山学院大学
学長 中野瑞彦