新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
今年も少し早めでしたが、さくらの花が皆さんの入学をお祝いするかのように咲いてくれています。
花の咲く期間は本当に短いです。そしてそのために、木や草はどれだけ長い間準備をしてきたことでしょう。どれだけ多くの自然の力が働いたことでしょう。お世話する人の力も働いたでしょう。その結果として美しい花が咲き、そしてそれがまた、次の世代を育んでいく備えになっていくのです。
私たち人間も意識してふりかえってみると、そのような自然の育みの流れ、循環の中に置かれています。
今、ここにいるお一人お一人がこの時を迎えるのに、どれだけ多く自然の力、人々の忍耐、お世話、育みがあったのでしょうか。また自分自身の人生の積み重ねとして、願い、志、そして取り組んだことも少なくなかったと思います。この礼拝は、そういう様々な働きや力を振り返る、感謝し、更に次の一歩のための決意を成すときではないかと思います。
桜の花の色の染め物をしている人が書いておられたことです。
あの花びらが醸し出すほんのりとした薄桃色は、なかなか染色の技術で出すのが難しいのだそうです。
あの色を出す材料として、普通花びらを使うと思ますよね。しかし花びらを使うとオレンジ色に近い色になってしまうそうです。
ではどうしたのかというと、様々な試行錯誤の末、開花直前の細い枝先の部分を集めて煮だし、染色するとあのほんのりとした薄桃色が出るのだそうです。
これが何を意味するかというと、「木は全身で準備している」のです。花びらの先だけ薄桃色にしようということはできない。根っこから枝先、そして最後にあの花びらの先に、あの色を作り出しているのです。
どうぞ皆さん、小手先で取り組むのではなく、心から、身体から、全身で本気になって、本音で取り組んでください。
桃山学院大学はそのお手伝いをするために、全力を尽くします。
神さまもきっと見守ってくれています。 皆さんの健闘をお祈りします。