≪2023年度 入学式 学長式辞≫
新入生の皆さん、保証人の皆様、ご入学まことにおめでとうございます!
桃山学院大学へようこそいらっしゃいました!
教職員一同、心から皆さんを歓迎いたします。
今年度に入学された新入生の皆さんは、高校入学時あるいは在学時に突然としてコロナ禍に見舞われ、授業やクラブ活動などの学校内での活動だけでなく、修学旅行や様々な外部への大会参加などでも大きな制約を受けてきたことでしょう。貴重な青春の一ページが失われてしまったことを、私も一人の教員として大変残念に思います。そのコロナ禍の制約も、この5月からはほとんどなくなります。そうです!桃山学院大学での躍動感あふれる生活が、皆さんを待っているのです。
桃山学院大学では、昨年度から既に対面授業を中心とした、大学本来の姿に戻っています。大学での学びは、教科書や書籍の中だけではありません。もちろん一冊の書物をじっくり読んで深く考えることは、皆さんの人間としての基盤を作るという意味で、とても重要な学びです。しかし、それだけでは十分とは言えません。実際に社会と交わり、様々な課題に取り組んでいくことが大切で、それが皆さんの成長の糧となります。
大学の授業の中には、実際に地域の団体や商店街を訪問し、様々な人たちの話を聞いたりデータを収集・分析したりすることにより、課題を解決していく実践的なものがあります。皆さんは過去3年間のコロナ禍の中で、こうした活動が十分にできなかったと思います。桃山学院大学での実践的な学びを通じて、その成果を社会に向けて存分に発信してください。
われわれ桃山学院大学は、英国国教会の流れを汲み、1959年に開学しました。メインキャンパスを大阪府和泉市に構え、あべのBDLを大阪市阿倍野区昭和町に構えています。両キャンパスを合わせて、合計6学部、7学科を有する学生数約6,400名の文系総合大学です。更に、堺市には、法人を同じくする桃山学院教育大学があります。
ここで入学式にあたり、新入生の皆さんにお話してきたいことは、本学は、開学以来、キリスト教精神に基づく「世界の市民の養成」を建学の精神としているということです。これは、自分とは異なるものの見方や考え方を理解し、世界のどこででも誰とでも協働できる人を育成していくという意味です。この人材を私たちは「世界の市民」と呼んでいます。このため、本学の全学部生の必修科目として「世界の市民」という科目が設置されています。
近年の新型コロナウイルス感染症、ウクライナ危機、トルコ大地震といった惨事を見るにつけ、今こそ人々が助け合い、支えあうことが求められています。「自分だけ良ければそれでよい」という時代ではなくなっているのです。
まさに今の時代にこそ、本学の建学の精神に基づく「世界で、地域で人を支える」というビジョンが求められています。
こうしたビジョンのもと、わが桃山学院大学は、海外との交流を重視しています。本学は世界26の国と地域、64大学と国際交流の提携を結んでおり、コロナ禍以前は多くの桃大生が海外へ飛び出すとともに、100名以上の留学生がこのキャンパスで学んでいました。今年度から海外交流も本格的に復活し、桃山学院大学は再び「世界の市民」を養成する大学として輝きを取り戻すでしょう。
同時に、本学は地域を支えるとともに、その地域に支えてもらうという相互依存関係を大切にし、地域の創生と活性化に貢献しています。2019年に和泉市・泉大津市・河内長野市・岸和田市と提携した「4つの約束」のもとに、学生・教職員が協同して地域の諸問題解決に取り組んでいます。また、ビジネスデザイン学部のあるあべのBDLを中心に、私たちは大阪中心部の船場地区と新たな街づくりに向けた連携を図っています。
さて、最後に皆さんに申し上げたいことは、大学生活には自己責任が伴うということです。授業への出席にしても、課題の提出にしても、あるいはクラブ・サークル活動にしても、すべて自分で考え決断し実行していきます。高等学校までのように、学校が細かく面倒を見てくれるわけでありません。言い換えれば、大学とは、卒業後に社会に羽ばたくために、みなさんの自主性と自律性を育てる場であり、そのための時間なのです。法律の改正により、皆さんは既に成人としての資格を与えられています。
このことは、同時に皆さんが大人としての責任を問われることを意味するのです。しかし、怯むことはありません。困ったことや迷うことがあれば、何でも大学に相談してください。
新入生の皆さんには、この桃山学院大学でぜひ自らのやりたいことを見つけ、それを可能な限り追い求めてほしいと願っています。教職員一同、皆さんを支援していきます。
一緒に頑張りましょう!
2023年4月3日
桃山学院大学 学長
中野 瑞彦