NEWS

お知らせ
2023.10.6
トピックス
2023年度9月 卒業証書・学位記授与式を挙行しました
9月30日(土)午前10時より本学和泉キャンパスチャペル(聖救主礼拝堂)にて、2023年度9月 卒業証書・学位記授与式を執り行いました。
磯晴久学院長と中野瑞彦学長より、門出を祝う言葉が卒業生に贈られました。


<式典の様子>

学士学位授与 代表学生

修士学位授与者

磯晴久学院長による祝辞

中野瑞彦学長による式辞

卒業証書・学位記授与

聖歌

記念撮影

卒業パーティ

2023年度 桃山学院大学卒業式祝辞


桃山学院を代表して、皆様に祝辞を申し上げます。
本日桃山学院大学を卒業される皆様、おめでとうございます。また今までずっと見守り支えてこられたご家族をはじめご関係の皆様、おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
桃山学院大学での学生生活はいかがだったでしょうか。高校までとは違った広く、高く、深く、大きな世界を垣間見られたのではないでしょうか。大きな世界への入り口となったのではないでしょうか。一方では新型コロナウイルス禍の下、思い通りいかないこと、不安なことも多くおありになったでしょう。
しかし、きっとこうした経験が、皆様の人生の糧になると私は信じております。
卒業式のことを英語でcommencementと言います。この言葉は同時に「開始」「始まり」「初め」という意味をもつ言葉です。卒業式は別れの時、寂しさを感じる時なのですが、同時に新しい旅立ちの時、新しい世界に一歩踏み出す時でもあります。皆様はこれからさらに広く、深く、大きな世界へと、新しいステージに立たれるわけです。

さて、今年桃山学院は139周年を迎えました。大学は開学64年です。
139年以上も前、英国聖公会から派遣されたC.F.ワレン大執事が1884年現在の大阪市西区川口にありました聖三一教会の一室に生徒11人という小さな学校が始まりです。桃山学院大学には、ワレンさんをはじめ宣教師や、先人たちがもたらした聖公会のスピリットが、風のように流れています。この聖公会のスピリットが、皆様のステージできっと役に立ちます。

皆様を待ち受ける日本や世界の状況はどうでしょうか。順風満帆とは言えず、逆風が吹く世界に、皆様は歩みを進めることになります。
私は、ここ数十年私たち人間が大事にしてこなかった「3つのS」があるのではないかと考えています。
3つのS ソイル(土) ソウル(魂、心) ソサエティ(社会)
ソイル 自然を人間のための資源と見なし、それを競い合って奪い合ってきた、今も奪い合っている。人間の欲望が世界を危機的な状況にしています。
人間の欲がささやかな小さないのちをないがしろにしたり、傷つけています。
そうした資源の奪い合いの中で、「ソウル」、人間は、自分の心や体も金儲けの手段のようにしていじめてきたのではないでしょうか。
さらに、その奪い合いの中で、「ソサエティ」、つまり回りの人との助け合い、分かち合いを忘れてきてしまったのではないか。
私はこの「3つのS」の中に本当の豊かさがあり、人間のしあわせがあると考えております。言い換えますと、「ソイル」は地球とつながること、「ソウル」は自分とつながること、自分を大切にすること、「ソサエティ」は人々とつながること。隣人を大切にすること。もっといいますと、「ソイル」は私たちの地球を大切にすること。「ソウル」は自分を大切にすること。「ソサエティ」は隣人を大切にすること。たくさん所有することでなく、つながりを大切にする、そこに真の豊かさや、しあわせがあるのではないでしょうか。

さきほど申しました桃山学院大学に流れます聖公会のスピリットには、「ブリッジチャーチ、橋渡し」の役割を大事にしているということです。今世界に必要なのは、先ほどの3つのSをつなぐことです。地球環境・自然と人間、人と人、宗教と宗教、国と国、民族と民族の間に大きな壁や対立をつくることではなく、大きな橋を架けることです。寛容な心をもって、他者と和解し、共に生きようと努力することです。皆様が新しいステージにおいて、特に「橋渡しの役割」「橋を架ける役割」を担ってくださることを私は心から期待しています。

新しいステージでは、きっといろいろなことがあるでしょう。腑に落ちないこと、納得できない状況、壁にぶつかったり、自分の力のなさにがっかりしたり、転んだりと。祝辞の中でよくお話することですが、南アフリカで人種隔離政策アパルトヘイトと闘い、逮捕され獄中に27年間留置され、1991年には隔離政策を撤廃に導き、1993年ノーベル平和賞を受賞された故ネルソン・マンデラさんは、「生きる上で最も偉大なことは、決して転ばないことではありません。転ぶたびに起き上がり続けることにあります。」と語っておられます。起き上がりこぼしですね。どのようなときも、転んでも希望を失わず、起き上がり、歩き出してください。

これからの皆様の新しいステージにおいて、神様が共におられ、神様が豊かに祝福してくださいますように、お祈りしております。皆様ご卒業おめでとうございます。

学院長 主教アンデレ磯 晴久

2023年度 桃山学院大学卒業式式辞

 

皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。
ご家族並びに保証人の皆様、ご卒業おめでとうございます。
教職員一同、心よりお祝い申し上げます。

桃山学院大学に入学した日から今日まで、長いようで短い期間だったと思います。特に、本日卒業する皆さんは、2020年4月からコロナ禍が本格的に始まり、困難な環境の中での学生生活を余儀なくされました。皆さんのあらゆる活動に様々な制限がのしかかり、十分な学生生活を送ることができなかったと思います。私たち教職員としても、パンデミックというこれまでに経験したことのない事態に直面し、学生の皆さんのことを思って心を痛めた日々でした。

平時の状態に近くなった今となっては、コロナ禍の2年間は遠い昔の出来事のように感じられますが、本日、無事に卒業式を迎えるにあたって、改めて学生の皆さんや教職員の地道な努力の積み重ねがあったことを思い返します。困難な状況の下でも、卒業生の皆さんは本当に挫けずに頑張ったことに、改めて敬意を表します。

さて、卒業生の皆さんの多くは、これから社会人として現実の社会に一歩を踏み出すことになります。会社や団体で働いたり、自ら事業を起こしたり、様々な道を歩むことでしょう。皆さんもすでにご存じの通り、日本のみならず世界を俯瞰しても、私たちが生活している社会は大きな転換期を迎えています。残念ながら、それらの全てが決して明るいものとは言えません。ロシアによるウクライナ侵攻、異常気象による大災害の頻発など、厳しい現実があります。生成系AIの登場も、人間の活動、とりわけ頭脳を用いる諸活動に大きな影響を与える可能性があります。また、社会構造の面でも大きな変化が生じています。特にこの日本では少子高齢化が急速なスピードで進んでおり、社会のシステムそのものが変革を迫られています。このように、皆さんはこれまでの延長線上にはない時代で活動していかなくてはなりません。

しかし、怯むことはありません。皆さんには、この桃山学院大学で培った様々な「力」があります。それは、学問を通して学んだ知識であり、諸活動を通して身に着けた実践力であり、仲間とぶつかり合いながらも励ましあった共感力であり、最後までやり遂げた実行力なのです。「桃山学院大学で学んだのだ」という自信をもって、社会という大海原に漕ぎ出してください。

確かに実社会というのは、それなりに厳しい世界です。すべてが自分の思うようになるわけではありません。むしろ、思うようにならないことの方が多いかもしれません。そこで諦めてしまう人も少なくないのが現実です。あるいは、気が付いたら、思ってもいなかった道に迷いこんでしまうこともあるでしょう。また、様々な事情によって思い通りにならないこともあるでしょう。

その時は、一度ゆっくり立ち止まって、自分自身の気持ちに、自分自身の思いに素直に向き合って、もう一度自分の意思を確認してみてください。皆さんは一組織の人間である前に、一人の個人であり、「世界の市民」であることを思い出してください。未来のあなたの道は、あなた自身が創り出すのです。私たち桃山学院大学の教職員は、卒業生の皆さんが悔いのない人生を歩んでくれることを心から願っています。

最後になりますが、くれぐれも健康に気をつけて、社会人としての一歩を踏み出してください。本日は、おめでとうございました。

桃山学院大学
学長 中野瑞彦