江川暁夫教授(経済学部 経済学科)の論文が、バンコク日本人商工会議所が発行する会報誌『所報』(2025年4月号 No.756)に掲載されました。
江川教授は、開発ミクロ経済学、国際政治経済論を専門としており、タイの低所得者向け政策の効果、ASEAN経済統合を研究テーマとしています。
江川教授は、「タイの『中所得国の罠』:創造的破壊と政策・政治」を執筆しています。
<論文概要>
世界銀行公表の「世界開発報告2024」は、「中所得国の罠」の回避策を知りながら脱却できない要因を議論し、既得権益を破壊して新しい成長産業を促進していく「創造的破壊」の実現の重要性を説いている。これを、創造的破壊を構成する「創造」「保全」「破壊」の3つに分けてタイの昨今の低成長に当てはめると、技術力や人材育成の取組の不十分さが「創造」への制約かつFDIの呼び込みの足かせとなる。また、エリート層・男性重視の慣習・規範という「保全」の力が依然として強固で、かつ、特に非製造業部門における外国人事業者の参入制限が「破壊」の妨げとなっているという問題がある。これらを打破していくことが、タイが中所得国の罠を越えていく上で不可欠だが、それらの多くは政策や政治の意識変革を要する。その意識変革に対し、外国の政府や企業との協力関係が、破壊のみならず創造・保全に関する推進力になる可能性はある。
【参考URL】
▼バンコク日本人商工会議所Webサイト
会報誌『所報』
▼本学Webサイト
江川暁夫教授 教員データベース