社会学研究科研究科修了者の実績

独自の研究を突き詰め、本研究科を
修了した方々の実績をご紹介します。

社会学研究科では博士前期課程が2000年度、博士後期課程が2003年度に創設されて、2023年度までに前期課程修了者140名、博士学位授与者11名を輩出しています。修了者はそれぞれの分野で活躍しています。

卒業生の声

大学院時代の経験と学びが
その後の人生を変えた

桃山学院大学 教授(社会学部 ソーシャルデザイン学科) 杉原 久仁子 先生 ●社会学研究科 応用社会学専攻 2016年3月修了

私は、認知症のことをもっと勉強したいと思い、本学研究科に入りました。当時は、「認知症になると何もわからない」「認知症になると家族は大変だが、本人はラクだ」という考え方から「認知症の人も苦しんでいる」「認知症になったからといってすべてが終わりではない」という考え方に変わっていくちょうど転換期だったのです。

修士課程に入って半年余りの時に若年性認知症の人たちの支援のボランティアグループの活動を始めました。さらに、仲間と一緒に若年性認知症の人と家族の支援を行うNPO法人も立ち上げました。この活動も今に至るまで20余年行っています。私の研究フィールドは、大学院生の時の体験がスタートでした。

修士を取得し、博士課程に籍をおいてからは、他大学の教員となりました。そして約10年後に本学の教員として、再び桃山学院大学の学舎に足を踏み入れることとなりました。

大学院に入ったころは、自分が母校で教員として働くことは夢にも思っていませんでした。ただ、ただ、認知症の勉強がしたいという一点でしたが、振り返ってみると、大学院時代にいろいろ経験をさせていただき、学ばせていただいたことがその後の人生を変えていったのではないかと思っています。

研究者として基礎を徹底的に
身につけた5年間

関西福祉大学 教授(社会福祉学部 社会福祉学科) 藤原 慶二 さん ●社会学研究科 応用社会学専攻 2010年9月修了

現在は社会福祉士養成に携わりながら、ソーシャルワークの幅広い可能性について実践や研究を通して考えています。特に社会福祉やソーシャルワークが資格養成にとどまるべきではないと考えて何か実践として新たな展開ができないか模索中です。

大学院では今の自分、とりわけ研究者としての姿勢や基本的な視点、技術を見つけることができました。実践と研究に取り組む教授の姿を近くで見ることができたのは私にとっての財産です。と同時に、今は私自身がそういう立場になり、改めてご指導いただいた教授の偉大さを日々痛感しています。

こうした研究の基礎を身につけるとともに、これまで私が研究を続けてこられたのは出会ってきた人のおかげです。自分から積極的に動かないと出会うことのできない人とのつながりを大切に、これからも貪欲に未知の分野に自ら飛び込んでいく姿勢を持ち続けたいと思います。

整った環境の中で
「学ぶ楽しさ」を教わった。

関西福祉科学大学 助教(社会福祉学部 社会福祉学科) 清原 舞 さん ●社会学研究科 応用社会学専攻 2012年3月修了

現在、社会福祉士・精神保健福祉士の実習指導や、社会福祉援助技術演習の講義などを行うとともに、大学院での研究テーマをさらに深める研究活動をしています。学生が実習や講義を通して専門職の卵として成長する姿を見ることは、楽しく、やりがいがあります。

桃大の研究科では、留学の経験を基に、スウェーデンの障害者福祉を通して日本の障害者福祉の支援に関する研究をしていました。先生方から細かな指導をいただけたこと、図書館の蔵書数が多く文献や資料収集に役立ったこと、院生共同研究室を遅くまで利用できたことなど、研究環境が非常に整っていたと感じます。同期の院生には社会人や留学生の方もおり、研究テーマや各国の社会福祉の現状などについてよく話していました。

学部生を含めた桃大での9年間で、先生方から「学ぶ楽しさ」を教わりました。今後も大学という場で、自身の学生時代を忘れないように、社会福祉を学ぶ楽しさを伝えていきたいと思います。

美容の持つ力を活かすため、
楽しみながら何にでも挑戦していきたい

美容師 松尾 まどか さん ●社会学研究科 応用社会学専攻 2016年3月修了

私は社会人経験を経て美容師になり、美容の持つ力を社会に活かしたいと思いNPO法人を立ち上げました。その後、美容を社会的に意味づけるために自らの視点を幅広く持ちたいと思い、桃山学院大学の大学院へと進みました。

研究科では「車いすで日常生活を行う女性が美容へアクセスする際の要因(阻害要因と促進要因)」を比較しました。そのために、「美容とは何か」「福祉とは何か」「社会の中で美容はどのような位置づけにあるのか」など、先行研究や海外の事例を基に調べていました。

この2年間で、社会人ではできない経験をすることができました。留学や、学会発表、他大学の院生との仲間づくりをはじめ、被災地や認知症のご家族、様々な困難を抱えている子どもたちがいる現場を訪問して美容ボランティアを実践するなど、社会問題の現場と美容の可能性を同時に自分で確かめることができました。美容の枠だけにとらわれずに、人を取り巻く環境や、マイノリティー(少数派)問題、また、世界中で起きている社会問題を見つめることで、これからの時代に本当に必要な支援とは何か、私が今この時代に生まれてきた役割は何か、など考えるようになりました。

今後は青年海外協力隊として、南米ボリビアの美容師養成学校へ2年間赴任します。大学院に入学する前は思いもしなかった選択です。途上国の美容と関わることで、美容のコミュニティを耕すことにも繋がると考えたからです。大学院入学前は漠然と卒業後の進路を5つほど考えていましたが、この2年間で選択肢は倍に。自分に制限を設けず、何にでも挑戦することを大切にして、楽しみながら自然の流れに身を任せたいと思います。